カテゴリー「日記・コラム・つぶやき」の122件の記事

2023年9月 8日 (金)

私が好きな社会学の名著

 某所で社会学がネタになっているので、それに便乗して。

 と言っても、私は大学で社会学を学んだワケじゃない。小中学校で社会科を学んだ程度だ。だもんで、社会学はどんな学問なのか、よく分かってない。とりあえず「三人以上の人間がいる時の人間同士の相互作用」ぐらいに考えている。要は人間関係の学問だね。

 つまりは文学や科学と並ぶ、大きなくくりの学問分野だと思っている。この理屈だと社会学の一分野として経済学や史学も入るんだが、敢えて経済学は外した。あと、妙に物騒な分野が多いのは、私の好みです。

【文化人類学関係】

 いきなり世間が考える社会学とは全く異なるのを出したけど。世の中にはどんな社会があるのか、それぞれに共通する法則はあるのか、どんな要素がどんな制度に影響するのか、とかは、社会の原理・原則を洗い出そうとしてるワケで、科学における物理学のような、いわば社会学の王道ではないか、と思うワケです。

ルース・フィネガン「隠れた音楽家たち イングランドの町の音楽作り」法政大学出版局 湯川新訳

 イングランドの人口12万人の町、ミルトン・ケインズ。どこにでもありそうな町を対象とし、アマチュア音楽活動を続ける人々を調査した本。クラシック,ブラスバンド,オペラ,ジャズ,カントリー&ウェスタン,フォーク,ロック/ポップなど広い分野で、楽団の構成員・活動内容・収支・社会的地位・聴衆などの統計的調査の他、実際に演奏会に訪れその様子を記録し、また楽団の構成員どうしの交流関係も探ってゆく。

 学者が書いた本だけあって、文章が硬いのが唯一の欠点。でも、私が音楽が好きなのもあって、内容はとっても楽しく読めた。フォークとロックとカントリーの意外な関係とか。アマチュア音楽家に興味があるなら、ぜひ読んでみよう。そう、そこの「ぼっち・ざ・ろっく」のファン、君のことだよ。

ジェラード・ラッセル「失われた宗教を生きる人々 中東の秘教を求めて」亜紀書房 臼井美子訳

 エジプト、レバノン、シリア、イラク、イラン、パキスタンなどは、イスラム教の国だと思われている。だが、実際には多種多様な宗教があり、その信者が住んでいる。彼らはどんな教えを信じ、どんな所にいて、どんな暮らしをしているのか。他の宗教との兼ね合いはどうか。そして、彼らの未来は。

 宗教というと面倒くさそうだが、少数民族を訪ね歩き、その社会と暮らしを観察したレポートとしても面白い。結局のところ、「そういう習わしだから」みたいな宗教もあって、「宗教とは何か」を真面目に考えると、かえって混乱しちゃうかもしれない。

高野秀行「謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア」本の雑誌社

 「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」をモットーとする辺境旅行作家の高野秀行が、当時は海賊王国のように言われていたソマリアへ赴き、そこに住む人々と体当たりの付き合いを重ね、ソマリアの実情を描き出した捧腹絶倒の旅行記。

 いやホント、捧腹絶倒の内容なのに、なぜ南部ソマリアでは争いが絶えないのか、なぜソマリランドが平和を得られたのかとか、けっこう真面目な問題にも、ソレナリに納得できる解が得られるから油断できない。地元の人たちとカートをクチャクチャやった結果カート依存に陥ってまで得た現地の実情は、奇想天外でありながら「そりゃそうだよな」とも思えるあたりが、この本の楽しい所。

 って、ジャーナリストの突撃レポートであって、全く学者の本じゃないんだけど、面白いからいいよね。

テオドル・ベスター「築地」木楽舎 和波雅子・福岡伸一訳

 一時期は豊洲への移転で大騒ぎになった築地卸売市場。なぜ築地に卸売市場ができたのか。どんな人たちが、どんな経緯で築地に店を構えるようになったのか。などの築地ローカルな話題に加え、日本における水産物の様々な流通経路とその特徴などのマクロな構造の分析も交え、人類学的な視点と知日的なガジンの目線で描く、築地市場と日本食のレポート。

フィリップ・ボック「現代文化人類学入門 1~4」講談社学術文庫 江渕一公訳

 はい、まんま、文化人類学の入門書。社会学者には左派が多い、みたいな印象があるんだけど、この本を読むと、その理由が少しわかると思う。左派が多いというより、「俺の国/民族は特別」みたいなナショナリズムを洗い流されるんだな。自分の国や民族を、外側から眺める視点が得られるというか。

 中でも私が強く印象に残っているのは、交叉いとこ婚をめぐる分析で、自由恋愛が普通な現代日本の感覚だとアレに見えるけど、その背景にある社会構造が分かってくると、ソレナリに合理的に思えてきたり。

 とはいえ、最大の欠点は、まずもって書店じゃ見当たらないこと。古本屋でもまず見つからないので、図書館に頼ろう。埋もれた、そして埋もれさせてはいけない名著だと思う。

【林学】

ヨアヒム・ラートカウ「木材と文明 ヨーロッパは木材の文明だった」築地書館 山縣光晶訳

 木材がなんで社会学なんだ?と思うだろうが、木…というか森や林と人間の暮らしは、深い関係がある。これは単に技術的な話だけでなく、どんな立場の者が・どんな目的で関わるかによって、森も人間の運命も大きく変わってしまう。だが、歴史的な資料は往々にして権力を持つ者つまり領主などの立場で書かれる。領主にとって森は狩りの場だが、住民にとっては薪の供給地だったり豚の放牧場だったり。

 薪で分かるように木材は燃料すなわちエネルギー源なんだが、石油に比べるとやたらかさばり、運ぶのが難しい。これが地域の産業や発展にも影響を与え…と、社会の在り方にも関わってくるのですね。

ジョン・パーリン「森と文明」晶文社 安田喜憲・鶴見精二訳

 そんなワケで、かつて森は社会というか文明や国家の盛衰の原動力でもあった。「木材と文明」が主に森のそばで暮らす人びとを緻密に描いたのに対し、こちらはもっと俯瞰的な視点で森と人間の関わりを描いてゆく。

 例えばメソポタミア。神話のギルガメシュは、フンババを訪ねて杉の大木が立ち並ぶ森へと赴く。これから窺えるのは、かつてのメソポタミアには鬱蒼とした杉の森があった事であり、メソポタミア文明が発達した原動力は杉の森が提供する豊富な木材だって事だ。現在のイラクの風景からは想像もできないよね。そんな風に、歴史の見方が大きく変えてしまう本なのだ。

【政治学】

 政府とは、最も大きく明文化された社会でもある。そんな政府を運営するのは政権であり、その仕組みや挙動を分析するのが政治学なら、これは立派な社会学の一分野だろう。

ブルース・ブエノ・デ・メスキータ&アラスター・スミス「独裁者のためのハンドブック」亜紀書房 四本健二&浅野宣之訳

 人が集まり組織ができれば権力勾配ができる。権力の形は様々だが、独裁政権はその極端な例の一つであり、権力というものの性質を分析するには優れたサンプルだ。独裁者たちがどのように権力を得て、どうやって維持しているのか。そのカラクリを、独裁者向けのマニュアルって形でわかりやすく分析・説明した本。

 多民族国家の独裁政権で少数民族の者が閣僚に加わってたり、傀儡国家が独裁政権ばっかりだったり、独裁政権下の国家が発展しにくい理由も、この本を読めばちゃんと分かります。

レイ・フィスマン+ミリアム・A・ゴールデン「コラプション なぜ汚職は起こるのか」慶應義塾大学出版会 山形浩生+守岡桜訳

 汚職は少ない方がいい。でも、なかなか減らない。おまけに汚職の度合いを調べるのも難しい。考えてみよう。政治家の汚職が連日ニュースになる国と、全く報道されない国では、どっちが汚職が多いだろうか。じゃ、どうやって調べりゃいいのか。微分方程式や望遠鏡は、科学の発達に大きく貢献した。手法や道具の進歩は、学問の進歩につながる。同様に、本書が紹介する汚職度合いを調べる手法は、社会学の進歩に貢献するはずだ。

 ってな風に真面目に読んでもいいけど、興味本位の野次馬根性でワイドショウを楽しむ感じで読んでも、もちろん面白い本だ。

【犯罪学】

 これも「なぜ犯罪学?」と思われるだろうが、犯罪とは社会のバグの一つと考えれば、これも立派な社会学の範疇だよね。

小宮信夫「犯罪は『この場所』で起こる」光文社新書

 著者の主張は意外なようだが、私たちの本能は著者を支持する。つまり、犯罪はいかにもヤバそうな時にヤバそうな場所で起こる、そういう主張だ。では、ヤバそうな場所とは、どんな所か。その具体的な特徴を挙げ、ヤバい場所を避けるアドバイスを教えてくれる。が、それは本書のごく一部。

 公園や建物などを造る際も、デザイン次第で犯罪の危険性は大きく変わる。また、地域の人々の活動によっても、犯罪を減らせる。これは自警団なんて直接的なモノではなく、もっと微妙で賢明で、住民の反感を買いにくく、かつ誰もが参加しやすい方法でもある。地域社会への提言として、貴重な内容を多く含む本だ。

田中辰雄・山口真一「ネット炎上の研究 誰があおり、どう対処するのか」勁草書房

 インターネット上の炎上もまた、社会のバグの一つだろう。その炎上は、どんな人がどんな手口で煽り参加するのか。どんな理由で炎上し、どんな経過をたどり、どれぐらい続くのか。そして、炎上したときには、どう対処すればいいのか。

 調査の方法がアンケートによる自己申告なので、炎上参加者のプロフィールはやや眉唾だと私は思う。だが、ニコニコ動画や2ちゃんねる(当時)の管理者がログを解析して暴いた、炎上を煽るいわば火付け人/放火犯たちの手口は、とても参考になる。いやブログやってる立場だから、ヒトゴじゃなくて興味津々だってのもあるけど。

【革命論】

 犯罪が社会のバグの一つなら、革命/クーデターは社会のセキュリティ・ホールを突く行為だろう。以下の本は革命/クーデターの手口を説明する本だが、同時にセキュリティ・ホールを塞ぐための優れた参考書でもある。

チェ・ゲバラ「新訳 ゲリラ戦争 キューバ革命軍の戦略・戦術」中公文庫 甲斐美都里訳

 ゲリラ闘争でキューバをひっくり返したチェ・ゲバラによる、革命のレシピ。なにせ火炎瓶を遠くに飛ばす方法や戦車を頓挫させる落とし穴の掘り方とかの戦闘技術を、あまりにあけすけに語っているのが凄い。他にも抵抗組織をつくり運用するためのコツや、予算も装備も劣るゲリラ軍が正規軍に挑む戦略とか、「こんな本を出版して本当に大丈夫なのか?」と、読んでいて不安になるほど。

クルツィオ・マラパルテ「クーデターの技術」中公選書 手塚和彰・鈴木純訳

 同じ武力で政権を奪うにせよ、革命は中・長期的な戦闘を続け政権を倒すのに対し、クーデターはより短期的・突発的に政権を乗っ取る方法だ。本書はそのクーデターを、倫理的な是非を完全に無視し、単に技術として巧拙を評価する本だ。特に著者が高く評価するのは十月革命のトロツキーで、曰く「反乱は、状況とは無関係に起こす事が可能」とまで言っている。ここが政治状況を前提としたゲバラと大きく異なり、また本書がより物騒な点でもある。

 とにかく手口を具体的の書いてるのが怖い。さすがに1931年の本だけあって、幾つかは手直しが必要だが、基本的な原理が分かってしまえば、現代風にアレンジもできる。と同時に、どこにセキュリティ・ホールがあって、どう塞げばいいかも分かるんだが、現代の日本はファイアウォールの一部が弱体化してるんだよなあ。

【軍事・戦争論】

 戦争は社会の危機だ。そして、それをもたらすのも社会だ。自分の社会か、敵の社会かはともかく。そんな戦争が起きる原因を探るのも、社会学の重要な役割だろう。

佐原徹哉「国際社会と現代史 ボスニア内戦 グローバリゼーションとカオスの民族化」有志舎

 ボスニアが内戦に至ったのには、ボスニア特有の事情が幾つかある。拮抗した民族構成、各民族間の流血の歴史、周辺の元ユーゴスラヴィア諸国の思惑と情勢、元連邦軍の軍備・人員構成そして配置など。これに加えユーゴスラヴィアの経済・社会構造に、導入した選挙制度の問題点が加わり、もともと火薬庫と呼ばれた土地が燃え上がった。

 などの情勢はあるが、その情勢を利用し敢えて火を焚きつけた連中もいる。そういう連中は世界のどこにでもいて、もちろん日本にも潜んでおり、今もなお隙を窺っているのだ。

ウイリアム・H・マクニール「戦争の世界史 -技術と軍隊と社会-」刀水書房 高橋均訳

 暴力装置なんて言葉があるくらいで、社会学と軍事力は関係が深い。本書は青銅の時代から技術と軍事力そして社会の構造について分析し、それぞれの時代の主力となる兵器や戦術そして技術が、社会というか権力の構造までにも決定的な影響を与えた由を明らかにしてゆく。

 私が特に印象に残っているのは、いわゆる封建時代の権力・支配構造に、馬が大きく関係していること。本書では主に西洋の事情を扱っているけど、同じような事が同時代の日本でも起きているワケで、なかなか感慨深かった。

マーチン・ファン・クレフェルト「戦争文化論 上・下」原書房 石津朋之監訳

 「戦争は政治の延長」と主張するカール・フォン・クラウゼヴィッツの戦争論に真っ向から喧嘩を吹っ掛け、もっとヤバくてみもふたもない戦争の原因とヒトの本性を、豊富な例で容赦なく暴き立て読者に見せつける、おぞましく挑発的で衝撃的な本。

 著者はイスラエルの軍事史家で極端なタカ派でもある。特に下巻では著者の思想が前面に出て、いささか辟易するものの、イスラエルの歴史と状況を考えると、まあ仕方がないか。

 そんな著者が書いた本ではあるが、むしろハト派こそ本書を読むべきだ。タカ派がどうやって好戦的な世論を煽るか、その根本にあるヒトの性質と欲望を白日の下に晒す点で、本書が容赦なく本質をついているのは、各国の志願兵募集のポスターを見ればよくわかる。

ダニ・オルバフ「暴走する日本軍兵士 帝国を崩壊させた明治維新の[バグ]」朝日新聞出版 長尾莉紗/杉田真訳

 ドイツのヒトラーやイタリアのムッソリーニは、確固たる意志を持ち強力なリーダーシップで国を戦争へ引き込んだ。だが、太平洋戦争に向かった大日本帝国は、いささか異なる。そこに強力なリーダーはいなかった。前線の指揮官たちの暴走により、次々と外交上の選択肢を失い、戦争以外の手段を失ったのだ。

 なぜそんな国になったのか。帝国陸軍は、なぜ前線の指揮官を統制できず、彼らの暴挙に引きずられたのか。著者はその原因を明治維新に求め、維新の志士が残した文化や思想へと行きつく。

 文化史・思想史の色が濃いが、制度や組織構造への具体的の言及も多い。戦争を厭う人はもちろん、組織を立ち上げ維持・統率し運営する人にも得る物が多い本だ。

【その他】

モートン・D・デービス「ゲームの理論入門 チェスから核戦略まで」講談社ブルーバックス 桐谷維・森克美訳

 ゲーム理論の生みの親は、数学と科学の天才ジョン・フォン・ノイマンだ。それが社会学と関係があるのかというと、確かにゼロ和ゲーム(全プレーヤーの利害を合計すると差し引きゼロになる)ではあまり関係がなくて、数学が中心だ。しかし、非ゼロ和ゲームでは様相が異なる。

 合理的に考えれば、プレイヤーは自分の利益の最大化を狙うはずだ。だが、実際には違う。敢えて自分が損をしてでも、他のプレイイヤーに損をさせようとする場合もある。ここに、社会的な動物であるヒトの性質が顔を出す。なんか難しそうだが、経済制裁や戦争って、そういう事だよね。

 更に、ゲームが繰り返される場合や、プレイヤー同士が連絡を取り合えるか否かなど、ゲームをとりまく状況でも、プレイヤーの振る舞いは変わる。社会とは互いが協力しあう、少なくとも協力し合うように促すゲームでもある。ならば、より優れた社会を設計し運営するには、ゲーム理論の知見が役に立つはずだ。

ジョエル・ベスト「統計はこうしてウソをつく だまされないための統計学入門」白揚社 林大訳

 続けて数学っぽい本だが、著者は社会学者を名乗っている。実際、本書に難しい数式は出てこない。なんで社会学者が統計の本を? と思うだろうが、ニュースの世論調査や社会運動家の演説では統計数字がよく出てくるからだ。

 それらの数字は、どこからどうやって出てきたのか、その調査方法や加工方法、そして社会学者も含め世論を動かそうと目論む者たちは、どのように数字を操るのか。その手口を容赦なく暴きだし人々に注意を促す本だ。真面目に読んでもいいが、野次馬根性で読んでも面白い。

エドワード・ヒュームズ「『移動』の未来」日経BP社 染田屋茂訳

 私たちの暮らしは移動が支えている。例えばスマートフォンが出来るまでに、部品は中国と台湾と日本の工場を行き来する。こういったグローバル化を支える基盤の一つは、港湾や海運業界だ。その港湾や海運業界は、どんな人たちがどんな組織でどのような役割を果たしているんだろうか。現代の港湾や海運業界は、どんな情勢にあるんだろうか。

 もちろん、陸上の話も扱っている。合衆国はクルマ社会だ。それは政策や司法にまで影響を及ぼしている。自転車が好きな私にはいささか辛い話も多い。UPS社の右折と左折の話など、身近ながら役に立つ逸話もチラホラ。乗り物好きにはお勧めの一冊。

エドワード・グレイザー「都市は人類最高の発明である」NTT出版 山形浩生訳

 都市化は世界的な傾向だ。だが、環境問題に関心がある人は、都市より田園の暮らしを良しとする人が多い。都会の空気は汚いし、スラムだってある。でも、本当に田園生活は地球にやさしいんだろうか。首都圏に住めば自家用車は要らない。鉄道と路線バスでたいていの用事は済む。とはいえ、通勤ラッシュは辛いよね…

 など、都市にまつわる色々なテーマについて、環境問題や社会問題、交通渋滞や都市の盛衰の鍵など、様々な角度で面白エピソードと統計数字を交え、私たちが気づいていない都市の性質を描き出し、事によっては政策提案にまで踏み込んだ本。ちなみに著者の姿勢は「都市化賛成」です。

【終わりに】

 なんかズレてるのばっかだよな、と思うなら、それは私の考える「社会学」がズレてるからだ。

 科学が化学・天文学・物理学などを含むように、社会学も政治学・史学・経済学・民俗学などを含む、大きな分野を示す言葉なんだと思っている。

 …とか書いてて、気が付いた。この理屈はおかしい。というのも。

 それは肩書き/名乗りだ。普通、科学者は、科学者を名乗らない。有機化学者や電波天文学者や理論物理学者を名乗る。そこで「あなたは科学者ですか?」と訊ねられたら、「はい」と答えるだろう。

 じゃ、経済学者や史学者や民俗学者は?

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2022年4月27日 (水)

ラジオの歌

 パソコンを弄ってる時は、iTunes でラジオを聞いてる。たいていは音楽チャンネルで、「iTunes のラジオ局/プログレ,アニメ,サザンロック,局集」なんて記事も書いた。だもんで、ラジオにはちょっと思い入れがある。そんなワケで、ラジオをテーマにした歌を集めてみた。

CARPENTERS - Yesterday Once More

 まずはカレン・カーペンターの歌声が心地よいイエスタデイ・ワンス・モア。今は Youtube や iTunes Music などで聴きたい時に聴きたい曲を聴けるけど、ラジオじゃそうはいかない。だから、好きな曲がかかるのをジッと待ってたりして、かかればそりゃ嬉しかったもんだ。そういえばラジオの番組表を載せたFM雑誌とかもあったなあ。はい、お世話になりました。

Journey - Raised on Radio

 続いてジャーニーのレイズド・オン・レイディオ。ラジオは様々な曲がかかる。だもんで、自分が知らないミュージシャンや曲を知るには、けっこう役に立つメディアなのですね。特に趣味が固まってない若い頃だと、趣味を広げるキッカケにもなったり。

Steely Dan - FM

 最近は日本でも地域のFM局が増えてきたけど、アメリカは相当な乱立状態らしく、中には大学がFM局を運営してたり。それだけに細分化も進んでて、カントリー専門局や懐かしロック専門局とかもあったり。あと、ちっと前に停電を経験したんだけど、この時に頼りになったのが地元のFM局。なにせ地域べったりなので、御近所の情報がピンポイントでわかるのだ。

Queen - Radio Ga Ga

 実はこの記事を思いついたのが、テレビで映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観たから。わがままなフレディ、ヤンチャなロジャー、理知的な紳士のブライアン、そして影の薄いジョンと、「ファンが見たいクイーン」をそのまま再現した、理想的なファン・ムービーでした。

RCサクセション - トランジスタラジオ

 チャボの派手なコードで始まって、「おお、ノリのいいロックンロール!」と思わせて、その後は微妙にユーモラスで切ないメロディーが展開する、RCサクセションの代表曲。ちなみに私が通った高校は、屋上出入り禁止でした。アニメやドラマじゃよく屋上が舞台になるけど、実際は屋上に出入りできない学校が多いんじゃないかなあ。近所から苦情がきたりするんで。

The Buggles - Video Killed The Radio Star

 最後はやっぱりこの曲、バグルスの「ラジオスターの悲劇」。日本じゃほぼ一発屋みたいな扱いだけど、その後で 90125 YES に合流したのには驚いた。いやトーマトからだっけ? それまではラジオからスターが生まれてて、例えばビートルズもそうなんだけど、この頃からプロモーション・ビデオを作りMTVで流すのが当たり前になり、色々と変わり始めた頃ですね。

 古い曲ばっかりになっちゃったけど、それは私が古い人間だからです。どうも「若い頃の想い出」みたいな扱いの曲が多いのは、やっぱりラジオってのはそういう立場なんでしょうねえ。いや職業的な運転手はカーラジオを聴いたりするんだろうけど。

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2022年1月14日 (金)

2021年に面白かった小説3つノンフィクション3つ

はい、いつも通り思い付きで選びました。

【小説】

菅浩江「博物館惑星Ⅲ 歓喜の歌」早川書房
 月と地球のラグランジュ・ポイントに浮かぶ人口小惑星<アフロディーテ>は、惑星まるごと博物館だ。学芸員の尚美・シャハムと警備員の兵藤健は共に新人。両名は頼れる先輩に囲まれながらも、違法生物の持ち込みや贋作事件に巻き込まれ…
 博物館の展示物には全く知識がない兵藤健を主役に据えたのが嬉しい。というのも、私も健と同じく芸術には素人だもんで、彼の考えがよく分かるからだ。また、彼とAI<ディケ>の関係も、ヒトとAIの理想的な関係を描いている。本当に、こんな関係が築けたらいいなあ。
「フレドリック・ブラウンSF短編全集 4 最初のタイムマシン」東京創元社 安原和見訳
 1940年代から60年代にかけて活躍したアメリカのSF/ミステリ作家フレドリック・ブラウンのSF短編を、執筆順に編集した全四巻シリーズの完結編。本書は1951年から1965年までの作品を収録。
 ブラウンの作品は星新一に味わいが似ている。スラスラ読めてわかりやすい文章、徹底的にそぎ落とした人物描写、短くてキレがよくブラックなオチ。特にこの巻は全四巻の中でも短い作品を多数収録していて、ブラウンの味が思いっきり凝縮されている。とまれ、濃いとはいってものど越しは極めて良く、日頃はあまり本を読まない人にも自信をもってお薦めできる。
三嶋与夢「ドラグーン小説家になろう
 悪徳貴族の馬鹿息子ルーデル・アルセスは、幼い時に見たドラゴンとそれを駆る騎士ドラグーンに魅了される。それまでの悪行で誰からも見限られたルーデルだが、ドラグーンになるため生活のすべてを捧げ…
 相変わらずブログの更新が滞っているのは、みんな「小説家になろう」のせいです←人のせいにするなよ ちなみに「なろう」の「完結済み」は「書き手は続きを書く気がない」という意味で、お話が終わっているとは限らないんだけど、この作品は綺麗に終わってます。ストーリーは「ワンピース」や「スラムダンク」同様、クソガキが憧れに向かいまっしぐらに突き進む、少年の冒険と成長を描く王道の物語なのでお楽しみに。

【ノンフィクション】

Martin Campbell-Kelly/William Aspray/Nathan Ensmenger/Jeffrey R.Yost「コンピューティング史 人間は情報をいかに取り扱ってきたか 原著第3版」共立出版 杉本舞監訳 喜多千草・宇田理訳
 「コンピュータ史」ではない。「コンピューティング史」だ。もちろんコンピュータの話が中心になるんだけど、それ以前の紙の時代も扱っている。というか、「第1部 コンピュータ前史」が、やたらと面白い。紙とインクの時代でも、オフィスは着々と進歩してきたのだ。私たちが使っているちょっとした道具も、当時としては革新的なOA機器だったり。もちろん、コンピュータ登場以降の英雄たちの栄枯盛衰もなかなかに熱い。
リチャード・C・フランシス「家畜化という進化 人間はいかに動物を変えたか」白揚社 西尾香苗訳
 イヌ,ネコ,ブタ,ウシ,ウマ,ヒツジ…。人類は様々な生物を飼いならし、家畜とした。野生の環境と家畜の環境は大きく違う。その違いは、家畜化された生物にも大きな影響を及ぼし、様々な変異を引き起こした。中には多くの種に共通する変異もあって…
 生物が隠し持っている進化の可能性に唖然とする。ところで、今になって気が付いたんだが、「ヒトは自らも家畜化した」なんて話もあって、だとすると、ウマやブタに現れた変異もヒトに現れ、そして将来は更に進むんだろうか。楽しみだなあ。なお「都市で進化する生物たち」も面白かった。
ベン・ルイス「最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の『傑作』に群がった欲望」上杉隼人訳 集英社インターナショナル
 2017年11月、クリスティーズの競売で絵画の落札価格の最高額が更新される。その額4憶5千万ドル。対象はレオナルド・ダ・ヴィンチの「サルバトール・ムンディ」。著者はこの作品の由来と発見そして競売へと至る経緯を追い、その過程で現代の美術界の内幕を容赦なく暴いてゆく。知られざる美術界の現状をつぶさに描く、ルポルタージュの傑作。
 作品を掘り出した美術商ロバート・サイモンとアレックス・パリッシュの活躍も楽しいし、それを評価する美術界の御大たちの姿や、売買に関わる有象無象の胡散臭い連中の肖像、大きな戦争が美術界に与える影響など、雑学やゴシップまがいの面白さが盛りだくさん。ただ、美術品を買うのが怖くなるのはなんとも。

 そんなわけで、更新が滞っているのは「小説家になろう」のせいです、はい。だって面白いんだもん。

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2021年1月 1日 (金)

2020年に面白かった小説3つノンフィクション3つ

 例年通り思い付きで選んでます。

【小説】

春暮康一「オーラリメイカー」早川書房
 遠未来。アリスタルコス星系は、明らかに人為的に改造されていた。九つの惑星のうち四つは、水星ほどの質量で、公転面が60度以上も傾き、極端な楕円軌道で近日点と遠日点は他の惑星の軌道スレスレをかすめている。何者が改造したのか。知的種族の共同探索は、この謎を解くため現地に赴く。
 超古代の知的生物が遺した遺物から始まるSF小説は数々あれど、これほど大規模なものは滅多にない。この魅力的な謎に最新科学の知識を駆使して真っ向から取り組み、なおかつ意外性に満ちた真相へと導く手腕は、新人ながら骨太の底力を感じさせる。SFならではの楽しみに満ちた、センス・オブ・ワンダー溢れる文句なしの王道本格SF。
テッド・チャン「息吹」早川書房 大森望訳
 極端に寡作ながら、作品を発表するたびに大きな話題を呼び起こすテッド・チャンの日本で二番目の作品集。不思議な世界における、静かな終焉のきざはしを語る表題作「息吹」、人工知能とプラットフォームの代替わりと子育てあるあるを巧みに組み合わせた「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」、記録することとソレを残すことの功罪を対照的な社会を背景に浮かび上がらせる「偽りのない真実、偽りのない気持ち」など、いずれも短いながら、いや短いからこそ、読者に強烈な印象を残す傑作ぞろい。
伏瀬「転生したらスライムだった件小説家になろう
 タイトルまんまのお話。異世界に転生したはいいが、なんの因果か最弱のスライムに。「え?いろいろチートな能力を得てウハウハできるんじゃないの?」と愚痴りたいが、そこには愚痴をこぼす相手すらいない。いやナニやら「捕食者」なんて妙なスキルはあるんだけど…
 略称「転スラ」で有名な作品。最近めっきり記事更新が減ったのは、「小説家になろう」にハマったせいなんで、その代表として。「転スラ」じゃあゴブタとガビル様が好きだなあ。頑張ってるのに、なんか報われない所とかw いやガビル様は半ば自業自得なんだけどw

【ノンフィクション】

ブラッド・トリンスキー&アラン・ディ・ペルナ「エレクトリック・ギター革命史」リットーミュージック 石川千晶訳
 いまさらバイオリンの新しい形を考える者はいないし、音色もストラディバリウスが理想とされている。だがエレクトリック・ギターは様々な形が次々と生まれ、その音色もプレイヤーによって様々だ。そのエレクトリック・ギターはどのように生まれ、誰が何のためにどんな工夫を加え、現代のように多種多様なバリエーションを生み出したのか。誕生前夜のリゾネーターがら現代のビンテージ・ブームまで、職人とギタリストの創意工夫の歴史を辿る。
 そう、エレクトリック・ギターの魅力は数々あれど、最大の魅力は未だ「究極の音と形」が定まっていない点だろう。ボディの形と素材からピックアップやスイッチなどの電気回路、多種多様なエフェクターやアンプの組み合わせ、そしてタッピングやアーミングなどの奏法に至るまで、正解というものがない。ヘッドレスなんてデザインは、従来の楽器じゃまず考えられない。そういう若々しい楽器であるエレクトリック・ギターの魅力がタップリ詰まった楽しい本だ。
ロジャー・クレイア「イラク原子炉攻撃! イスラエル空軍秘密作戦の全貌」並木書房 高澤市郎訳
 バビロン作戦。1981年6月7日、イラクの西部のオシラク原子炉を、イスラエル空軍が攻撃して破壊した衝撃的な軍事作戦である。イスラエルはいかにして情報を掴み、必要な機材を手に入れ、実施したのか。作戦を実行したイスラエル空軍のパイロットはもちろん、情報機関モサドの暗躍からオシラク原子炉の職員まで、幅広い取材で作戦の全容を生々しく描く軍事るポルタージュ。
 まず、物語として、やたらめったら面白い。他国上空を許可なく横切り原子炉を攻撃するという言語道断な作戦にも関わらず、イスラエルを応援したくなるからタチが悪い。またルポルタージュとしても卓越していて、専門用語をほとんど使わず、極めて丁寧に個々の機動から装備の性能やクセ、各操作の意味までこと細かく教えてくれるのが嬉しい。間違いなく軍事ドキュメンタリーの傑作。
岩本太郎「実用メカニズム事典 機械設計の発想力を鍛える機構101選」森北出版
 カム、滑車、歯車、クローラー。機械を作るには、動きを伝えたり、動きの方向やタイミングを変えたり、速さや動きの幅を変えたりする機構が要る。どんな機構があり、どんな働きをして、どのような制限があるのか。プロの設計者を支援すべく、あらゆるメカニズムを豊富な図解で紹介する、プロ向けのメカニズムの事典。
 プロ向けの事典だからして、当然ながら記述は無愛想だし、数式もバリバリ出てくる。もちろん素人が読みこなせる本じゃない。とはいえ、たっぷり載っているイラストは極めて親切で、それぞれの機構を脳内で動かしながら見ていると、「おおっ!」と人類の叡智に感動することしばし。脳内妄想能力の発達したヲタクだからこそ味わえる至福の時間が詰まった一冊。

【終わりに】

 こうやってまとめようとすると、「ゲームの王国」や「天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ」や「巨神降臨」など、SFで推したい作品が次々と沸いてくるから困る。「フレドリック・ブラウンSF短編全集」も入れたかったんだが、完結してないんで今回は見送った。

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2020年12月 2日 (水)

みんなSFのせいだ

 私が読む本は傾向がバラバラで、「これが専門」と言えるものがない。何を読むかは、店頭や図書館の棚と、その時の野次馬根性で決まる。いや小説だとSFが好きってハッキリした傾向があるんだが、ノンフィクションはアチコチの分野を食い散らかしている。

 なんでこうなったかというと、やっぱりSFのせいだ。

 まず軍事関係。これはハヤカワ文庫NFの影響が大きい。書店じゃハヤカワ文庫SFの隣にハヤカワ文庫NFがあったりする。だからSFを漁る時に、ハヤカワ文庫NFも目に入ってしまう。今はそうでもないが、昔のハヤカワ文庫NFは軍事物も多かった。コリンズ&ラピエールとかコーネリアス・ライアンとかジョン・トーランドとか。それで軍事にハマったのだ。

 そういう物理的な理由もあるが、中身のせいでもある。

 例えばゲーム理論。これに興味を持ったのは、山田正紀の「謀殺のチェス・ゲーム」にカブれたから。自衛隊の最新対潜哨戒機の盗難から始まる、ゲーム理論の専門家同士の追いかけっこを描く、アクション・ミステリ。それまで本格SFばかり書いてた山田正紀が、SFから飛び出し、より広い市場に挑戦した意欲作で、今でも一級の娯楽小説として通用すると思う。

 やはり技術史に手を出したのは、マイケル・クライトンの「タイムライン」が面白かったため。歴史学の教授と学生が英仏戦争真っただ中の14世紀のフランスに放り込まれ…ってお話。これに出てくる実践歴史学に野次馬根性を刺激された。当時の技術で当時のモノを再現しようって学問だ。ここから技術史の面白さに目覚めたのだ。

 まあ目覚めたのはいいが、歴史学ってのは異様に範囲が広い上に深く追求するとキリがない世界だ。これは技術史に限っても同じで、当時の勢力情勢や政治体制はもちろん、産業・気候・地形・生態系そして技術水準など、やたらと多くの要素が絡むんで、やっぱり足を踏み入れるとキリがないのであった。

 最近になって倫理学に目移りし始めたのは、SFマガジンで山本弘の「輝きの七日間」を読んだせい。実は連載の初回は読み逃した上にオトナの事情(→Twitter)で書籍が出てないため、いい加減な紹介なんだが、「いきなり人類の知能が七日間だけ急上昇したらどうなるか」ってお話。この作品は倫理が大きく関わってて、「ちょっと違くね?」と思う所も多かった。

 そこから始まって「そういや善悪の基準って何だろう?」とか考え始め、倫理学に行きついたのだ。ところで善悪の基準、つまり「何が善で何が悪か」ってのは、たぶん誰もが興味を持つ話…だよね、そうだと言ってくれ。まあいい。そういう事にしておく。

 でも、現実だと、そういう事を突っ込んで考えるのは、毛が生え始めた厨房か、さもなきゃ大学で哲学を研究する専門家、と相場が決まってるのは何故だろう? 誰もが興味と自分なりの意見を持って主張できる、なかなか美味しい分野だと思うんだが。もっとも、だからこそ、マジになりすぎてシャレにならん決裂をもたらしかねないネタでもあるんで、近づかないのがオトナなのかも。

 と、まあ、そんな風に、私の読書傾向が雑然かつ混沌としているのは、みんなSFのせいです。

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2020年11月 9日 (月)

2020年米大統領選でトランプにとどめを刺したのは弱小政党

 2020年のアメリカ合衆国大統領選は、激戦の末に民主党のジョー・バイデンが共和党のドナルド・トランプを下した。

 戦いを決したのは、いわゆる激戦区と呼ばれる五つの州だろう。ペンシルベニア,ミシガン,ウィスコンシン,アリゾナ,ジョージアの五州だ。いずれも僅差でバイデンが制している。

 五州の票数を見ると、面白いことに気が付く。マスコミが滅多に報じない弱小候補、ジョー ・ ジョーゲンセンが大きな役割を果たしているのだ。特にミシガンを除く四州では、ジョーゲンセン次第で結果が逆転してしまう。

 そのジョー ・ ジョーゲンセンとは何者か。Wikipedia によるとリバタリアン党の所属である。

 リバタリアン党は個人の自由を神聖視し、政府によるあらゆる規制に反対する。薬物やポルノの規制に反対する点では民主党に近いが、銃規制や最低賃金も認めない点は共和党に近い。結局どっちに近いかは時と政策と個人によるのだが、2020年現在は共和党に近い者が多い。

 つまり、ジョーゲンセン候補の支持者は、「民主党より共和党の方がマシ」と考える者が多い。ジョーゲンセン候補が立候補していなければ、トランプに投票しただろう。

 ではジョーゲンセン候補がいなければ、どうなっていたか。ロイターの速報で試算してみよう。以下に2020年11月9日(月)02:00時ごろ(日本時間)の各候補者の獲得票数を示す。

バイデン トランプ ジョーゲンセン
ペンシルベニア 3355037 3313871 77441
ミシガン 2794853 2646956 60384
ウィスコンシン 1630569 1610030 38271
アリゾナ 1631195 1612585 49406
ジョージア 2465501 2455305 61888

 ここでジョーゲンセン票がトランプに流れたらどうなるかを試算した。

選挙人数 バイデン トランプ
ペンシルベニア 20 3277596 3391312
ミシガン 10 2734469 2707340
ウィスコンシン 11 1592298 1648301
アリゾナ 16 1581789 1661991
ジョージア 16 2403613 2517193

 ミシガン以外ではトランプが逆転勝利するのだ。では、肝心の選挙人数はどうか。ロイターの速報によると2020年11月9日02:00の時点でバイデン279名、トランプ214名である。大統領選で必要な選挙人数は271人。ここでミシガンを除いた選挙人をトランプに移すと、ジョー・バイデン222人、ドナルド・トランプ271人となり、トランプが勝っていたことになる。

 これは典型的なスポイラーと呼ばれる現象だ(→Wikipedia)。大物二人が僅差で争う選挙で、弱小候補が一方の大物の票を食い、もう一方を有利にしてしまう、そんな現象である。

 現実には、ジョーゲンセンに投票した者がすべてトランプに投票するとは限らない。バイデンに投票する者もいるだろうし、誰にも投票しない者も多いだろう。

 ただ、もしバイデンが汚い手を使うつもりがあったのなら、もっと楽に勝つ方法もあった。コッソリとリバタリアン党に選挙資金を与えるのだ。巨大政党である民主党・共和党と違い、リバタリアン党の選挙資金は少なく、知名度も低い。現在の倍の選挙資金があれば、もっと多くの票をトランプから奪っただろう。民主党はバイデンを宣伝するより、はるかに高い費用対効果でトランプの足を引っ張れた。

 泡沫候補と呼ばれる候補者も、二大候補が激しい接戦を繰り広げる際には、大きな影響を及ぼすのである。

 もっと詳しく知りたい方は、ウィリアム・パウンドストーン著「選挙のパラドクス」をお読みください。

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2020年9月 3日 (木)

ハヤカワ文庫NFで文庫化してほしい本13+2冊

 今さらだが Twitter でこーゆーやりとりがあった。

一ノ瀬翔太@shotichin 8月26日
埋もれた傑作ノンフィクションがありましたら弊社で文庫化しますので教えて下さい

ちくわぶ@chikuwafu 8月26日
ジョエル・ベスト「統計はこうしてウソをつく」白揚社
G.M.ワインバーグ「ライト、ついてますか」共立出版
トーマス・ヘイガー「大気を変える錬金術」みすず書房
マーチン・ファン・クレフェルト「戦争文化論」原書房
W.G.パゴニス「山・動く」同文書院インターナショナル

ちくわぶ@chikuwafu 8月26日
ハーレー他「ヒトはなぜ笑うのか」勁草書房
スーザン・フォワード「となりの脅迫者」パンローリング
ジョナサン・ハイト「社会はなぜ左と右にわかれるのか」紀伊國屋書店
ボビー・ヘンダーソン「反★進化論講座」築地書館
ロイ・アドキンズ「トラファルガル海戦物語」原書房

ちくわぶ@chikuwafu 8月26日
デヴィッド・M・バス「『殺してやる』 止められない本能」柏書房
ジョン・パーリン「森と文明」晶文社
中村明一「倍音 音・ことば・身体の文化誌」春秋社

あと御社の
神子清「われレイテに死せず
コリンズ&ラピエール「おおエルサレム!
の増刷を

 まんま「今ちくわぶがお薦めする埋もれたノンフィクション15冊」なんで、ここで紹介する。

  1. ジョエル・ベスト「統計はこうしてウソをつく」白揚社
    世論調査や政策決定などでは、よく統計数字を使う。その実体はどんなものなのか。著者は統計学者ではなく社会学者だ。そのため、統計学の難しい所には立ち入らないので、数学が苦手な人でも大丈夫。それより数字がどのように出来上がっていくか、その過程を暴く迫力が素晴らしい。
  2. G.M.ワインバーグ「ライト、ついてますか」共立出版
    世の中の「問題」は、どのように出来上がるのか。それらは、どうすれば解決できるのか。IBMにプログラマとして勤めた著者が、軽妙な文章とユーモラスなイラストで綴る、問題と解決のエッセイ集。いつかこのブログで紹介したいと思っているんだが…
  3. トーマス・ヘイガー「大気を変える錬金術」みすず書房
    現代の社会を支える化学肥料。その雛型であるアンモニア合成を成し遂げたフリッツ・ハーバーと、それを工業化・産業化したカール・ボッシュ二人の人生を、二つの世界大戦を背景に描く。お堅い印象のみすず書房だが、この本はドラマとして滅茶苦茶に面白い。
  4. マーチン・ファン・クレフェルト「戦争文化論」原書房
    なぜ戦争が起きるのか。クラウゼヴィッツが戦争論で唱えた「戦争は政治の延長である」に真正面から異議を唱え、怖ろしい人間の本性を読者に突きつける問題作。受け入れたくない説だが、戦争を防ぐには直視しなければならない事でもある。
  5. W.G.パゴニス「山・動く」同文書院インターナショナル
    湾岸戦争で兵站を担当した著者による、一種のビジネス本ながら、軍ヲタにとっては「コンテナ物語」と並ぶ必読書。軍事系のわりに文章はこなれている上に、エピソードの紹介も軽妙で楽しく読める。
  6. ハーレー他「ヒトはなぜ笑うのか」勁草書房
    タイトルそのまま、「笑い」を徹底的に分析した本。やはりお堅い印象が強い勁草書房ながら、ジョークをたっぷり収録しているため、とても楽しく読める。優れたハッカーは往々にしてユーモアが豊かなのも、この本に従えば納得出来たり。
  7. スーザン・フォワード「となりの脅迫者」パンローリング
    人との会話、特に交渉において、困った人たちがよく使う汚い手口を徹底的に暴いた本。あまし深い付き合いのない人なら「なるたけ近寄らない」ようにすればいいんだけど、家族や職場の上司だと逃げられないから困るんだよね。
  8. ジョナサン・ハイト「社会はなぜ左と右にわかれるのか」紀伊國屋書店
    善とは、正義とは何か。一見わかりやすいようだが、人により善悪のモノサシは全く違う。これが食べ物や音楽の好みならともかく、善悪となると殺し合いにまで発展しかねない。それはなぜなのか。どうすれば共に生きていけるのか。争いたくない人のための必読書。
  9. ボビー・ヘンダーソン「反★進化論講座」築地書館
    FSM,。Flying Spaghetti Monster。空飛ぶスパゲッティ・モンスター教ことスパモン。最近になって出現した新興宗教の中でも、最も勢いが強く急激に信者を増やしつつあるスパモンの経典。
  10. ロイ・アドキンズ「トラファルガル海戦物語」原書房
    1805年10月21日の、ネルソン率いるイギリス艦隊とヴィルヌーヴ率いるフランス・スペイン連合艦隊の海戦を、政略・戦略・戦術・戦闘はもちろん、乗員の食事から排泄に至るまで、圧倒的な解像度で再現したド迫力の戦記。帆船小説を読む前に、まずコレを読んでおこう。
  11. デヴィッド・M・バス「『殺してやる』 止められない本能」柏書房
    著者は主張する。「ヒトには殺しの本能がある、ある条件下で人殺しは子孫を残すのに有利だった」と。読み終えてしばらく、私は胸の高まりが収まらなかった。
  12. ジョン・パーリン「森と文明」晶文社
    メソポタミア,ギリシア,ローマ。古の文明が栄えた地は、いずれも豊かな森におおわれていた。森と文明の意外な関わりを明らかにし、歴史の見方を変える衝撃の一冊。「木材と文明」と合わせて読むと、林学の泥沼に引きずり込まれます。
  13. 中村明一「倍音 音・ことば・身体の文化誌」春秋社
    人の声はみな違う。ハスキーな桑田佳祐、伸びのある浜崎あゆみ、そして千変万化の美空ひばり。その違いはどこにあるのか。倍音構成を軸に声から楽器そして音楽へと分析を広げ、東西の音楽の違いや政治家の声による印象までを語り、音楽ファンとオーディオマニアに強烈なボディブローを叩きこむ衝撃作。
  14. 神子清「われレイテに死せず
    太平洋戦争末期の1944年11月。陸軍玉兵団(第一師団)は、レイテ島奪還のためオルモックに逆上陸する。第57連隊の神子清伍長は敵の旺盛な火力により兵力の大半を失い、本隊とはぐれジャングルを彷徨う羽目になる。いわゆる遊兵となりフィリピンの島を巡った帝国陸軍兵たちの知られざる実態を生々しく描く、貴重な従軍手記。
  15. コリンズ&ラピエール「おおエルサレム!
    1948年5月14日のイスラエル独立と同時に発生した第一次中東戦争を、焦点となったエルサレム防衛戦を中心に、イスラエル・アラブ双方の指導者から市民まで、多彩な視点でモザイク状に再現する、20世紀ドキュメンタリーの金字塔にして、今なお続くパレスチナ問題の原点を描く傑作ルポルタージュ。

 やっぱ軍事系が多いなあ。あと、「ライト、ついてますか」はそのうち紹介したいんだけど、他にも読みたい本が山ほどあるんでブツブツ…。

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2020年1月 1日 (水)

2019年に面白かった小説3つノンフィクション3つ

 今回も思い付きで選んでます。

【小説】

小野不由美「白銀の墟 玄の月 1~4」新潮文庫
 諸国の協力を得て戴麒は見つかったものの、王である驍宗はいまだ姿をくらましたまま。しかも戴麒は角を失い、麒麟としての能力も封じられている。状況は絶望的ながら、それでも李斎と戴麒は戴へと帰り、行方不明の驍宗を探す旅に出る。二人が降り立った戴は予想通り荒れており、村は賊を恐れ門戸を固く閉ざす。なぜ阿選は反乱を起こしたのか。驍宗はどこで何をしているのか。そして戴国の行方は。
長らく中断していてファンをヤキモキさせたファンタジー・シリーズの(たぶん)完結編。いやきっと2020年に短編集が出るだけど、それは長いエピローグみたいなもんで。「魔性の子」からの伏線もちゃんと回収し、見事に完結させてくれたことが嬉しい…って、完全に主観だけで全く紹介になってないな。
大森望監修「カート・ヴォネガット全短編」早川書房
 「プレイヤー・ピアノ」「猫のゆりかご」「タイタンの妖女」「スローターハウス5」などで有名なアメリカの作家カート・ヴォネガット。だが、彼の本領は短編にこそある、と評する人は多い。もちろん、私もその一人だ。そんな彼の全短編が、 「バターより銃」 「バーンハウス効果に関する報告書」 「夢の家」 「明日も明日もその明日も」の四分冊として出た。 やはり私はSFっぽい作品に目が行ってしまうが、作家としての努力が伺える初期作品が読めるのもファンとしては嬉しかった。
東京創元社「ランドスケープと夏の定理」高島雄哉
 数学専攻のネルスが卒業論文で発表した「知性定理」は、大きな話題を呼ぶ。あらゆる知性とは会話が可能であるとする定理だ。ネルスの姉のテオは22歳で教授になった宇宙物理学の天才であり、第二執筆者には彼女も名を連ねている。テオは今、月の向こう側、L2で共同研究者の青花とともに研究に勤しんでいる。そんなテオに呼び出されたネルスが、彼女の研究室でみたものは…
 キャラクター的には姉ちゃんのテオがひときわ輝いている。天才かつ強引で理不尽、姉とはかくも恐ろしい存在なのだw つか、なんちゅうモンを隠してるんだ姉ちゃんw なども楽しいし、新人ながら最新のサイエンスに真っ向勝負を挑んだ芸風も嬉しくてしょうがない。ジェイムズ・P・ホーガンが好きな人には、自信をもってお薦めできる稀有な作品。

【ノンフィクション】

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ「セカンドハンドの時代 『赤い国』を生きた人びと」岩波書店 松本妙子訳
 東欧崩壊に続き、ソ連も崩壊した。だがそれでも人々の暮らしは続く。かつては世界の両極の一方だった大国が、ただの大国に滑り落ちた。それを機に荒稼ぎした者もいれば、取り残された者もいる。壁の向こうで、彼らはどう暮らしていたのか。政府は何を伝え、何を伏せていたのか。そして世界を震撼させた激動の中心にいた人々は…。 ノーベル文学賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチが、旧ソ連の人々の生の声を伝える、迫真のドキュメンタリー。
 「戦争は女の顔をしてない」で私をKOしたスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの、もう一つの代表作。旧ソ連の様々な人びとへのインタビュウ集だ。ロシア軍内の新兵イビリ、ソ連崩壊後の内戦、外国人労働者のモスクワでの悲惨な暮らし、旧ソ連時代の孤児院の実態、天使と噂される女の生き方、逆にひたすら金と地位を求める女…。ノーベル文学賞だからと、尻込みする必要はない。週刊誌の犯罪者記事や、新聞の三面記事を期待し、野次馬根性全開で読んでほしい。きっと「もうお腹いっぱい」な気分になれる。
ロイ・アドキンズ「トラファルガル海戦物語 上・下」原書房 山本史郎訳
 かのホレイシオ・ネルソンが救国の英雄となったトラファルガル海戦。その戦闘の様子と影響を描く作品。と書くと軍ヲタ向けの本のようだし、実際にそうなんだが、本書の面白さは圧倒的な「細かさ」にある。水兵はどこでどんな者をどうスカウトしたか、将兵は何を食べていたか、排泄はどうしたか。こういった船上生活の隅々まで、著者はエグいほどの解像度で描き出すのだ。帆船物語は読み物としちゃ楽しいが、その舞台は凄まじい臭いが充満して…
 あ、もちろん、肝心の戦闘の様子も迫力満点。当時の砲の威力はもちろん、それを撃つまでの手順までキッチリ描き、また戦術面ではネルソン・タッチのねらいまで鮮やかに明かしてくれる。当時の情勢と技術、そして両軍の性質を考えれば、実に理に適った戦術なのがスンナリと納得できるのが有り難い。書名に「物語」とあるだけに読みやすさも抜群で、初心者にお薦めの作品だ。
オーウェン・ジョーンズ「チャヴ 弱者を敵視する社会」海と月社 依田卓巳訳
 チャヴ。イギリスで低学歴の貧乏白人を揶揄する言葉だ。日本なら、ヤンキーが近いかも。定職に就かず、就いても賃金の安い非熟練労働。公営住宅に住み、ジャージで街をウロつき、飲んだくれで、ケンカッ早く、嬉々として暴動に加わる、ロクでもない奴ら。そんなイメージだ。それは本当なんだろうか?
 かつてのイギリスじゃ労働者は誇り高かった。労働党は力を持ち、労働者たちの声を国会に伝えた。なぜ、誇り高い労働者がチャヴと蔑まれるようになってしまったのか。
 この本の舞台はイギリスだ。政党も保守党と労働党だし。しかし、私にはどうしても日本と重なって見えた。この本が描くチャヴは、日本の派遣労働者の姿そのものだ。
 そう、これは極めて政治的な本だ。それも左派の。だから政治的な立場によって、感想は大きく分かれる。あなたが左派なら、間違いなく興奮する。だが、それ以上に、貧しい人こそ読むべき本だ。あなたの両親は、働くことに誇りを持っていた。労働者とは、誇り高い者なのだ。そしてあなたも誇り高く生きられるはずだったのだ。あなたの誇りを誰が奪ったのか、その答えは本書にある。

【終わりに】

 実は「トラファルガル海戦物語」と「スペイン無敵艦隊の悲劇」、どっちを選ぶか悩んだのだが、先に目についた方を選んだ。他にも「イスラエル軍事史」や「ドキュメント 戦争広告代理店」など、軍事関係は興奮する本が多かった。

 また科学では「バッドデータ ハンドブック」がプログラマあるあるで苦笑いが止まらない。「『おいしさ』の錯覚」は人生を少し「おいしく」してくれる。「『殺してやる』 止められない本能」は、読み終えてしばらくドキドキが止まらなかった。

 と、2019年はノンフィクションで収穫が多かったなあ。

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2019年12月 5日 (木)

○○力

 以下のような、○○力なるものを想像してほしい。

人はみな、多かれ少なかれ○○力がある。ただし○○力が強い人と弱い人がいる。

苦しいとき、つらいとき、ここ一番の大勝負のとき、○○力がモノをいう。○○力があれば苦しさやつらさに耐えられるし、勝負にも勝てる。

○○力は、訓練で鍛えることができる。

より厳しい訓練に耐えるほど、より優れた○○力が身につく。

残念ながら、○○力を客観的に測る手段はない。数値化もできないし、単位も定まっていない。

だが、専門家が見れば○○力の強弱はわかる。○○力を鍛えたければ、専門家に頼るべきだ。

そして他ならぬこの私、ちくわぶは○○力の専門家である。

 これであなたはちくわぶを信用するだろうか? しないよね。あなたの判断は妥当だ。だって、○○力は、たった今、私がデッチあげたものだから。

 では、上の文章から、○○力を霊能力に入れ替えてみよう。胡散臭いと思ったなら、あなたは常識は豊かで論理的にモノを考えられる人です。

 ではその次。 ○○力を精神力に入れ替えたら、どうなるだろうか? 最近はメンタルって言い方が流行ってるけど。

 ってなネタを、「懐疑論者の事典」を読んで思いついた。

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2019年9月18日 (水)

どうやって面白い本を見つけるか

 本好きにとって、一世紀前に比べたら、現代は夢のような時代だ。なにせ怒涛のように新刊が出る。出るのはいいが、その中から好みの本を見つけるのは難しい。忙しい現代人にとって、本にかかる最大のコストは書籍代より読書に費やす時間だろう。いや私は貧しいんで書籍代も重大な問題なんだが、まあそれは置いて。

 ある程度の数を読んでいれば、好みの著者・作家が増えるから、それを追いかけるだけでも充分だろうが、新鮮な味も欲しい。そんなワケで、私が本を探すのに使っているネタを並べてみた。私の趣味に偏ってるけど、そこはご容赦ください。

【文学賞とか】

 権威主義と馬鹿にされようが、それでもモノによっては文学賞の類もけっこう信用できる篩になる。ただ、ノンフィクション関係は疎いんで、教えていただければ嬉しいです。

ヒューゴー賞:SF。世界SF大会のファン投票で決まる。

ネビュラ賞:SF。作家が決めるためか、やや玄人好みかも。

ローカス賞:SF。雑誌ローカスの投票で決まる。ヒューゴー賞より流行に敏感かも。

星雲賞:SF。日本SF大会のファン投票で決まる。

日本SF大賞:SF。作家が決める。星雲賞より斬新な作品が多いかも。

ハヤカワSFコンテスト(→Wikipedia):SF。早川書房主催の新人賞。長編。地力あふれる作品が多い気がする。

創元SF短編賞:SF。東京創元社主催の新人賞。短編。新しい地平を切り開く作品が多い印象。

Twitter文学賞:小説。Twitterによる人気投票。国内篇と海外篇がある。クセの強い主流文学が多い印象。賞を取った作品より、候補作リストを私は楽しみにしている。

日本翻訳大賞:翻訳作品が対象。これもTwitter文学賞同様、候補作一覧が楽しい。

ピューリッツァー賞:アメリカで出版された物に限っているのが辛いが、一般ノンフクション部門(→Wikipedia)はアタリが多い。

【インターネット】

 ブログ関係はリンク集をご覧ください。って、Twitter ばっかりだなあ。

ハマザキカク(→Twitter):変態編集者(ごめんなさい)。マニアックなノンフィクションが好きなら、是非ともフォローしよう。

早川書房 翻訳SFファンタジイ編集部(→Twitter):SF。

早川書房 ノンフィクション編集部(→Twitter):最近はヒットが多い気がする。

河出書房新社 翻訳書(→Twitter):主流文学が多いかも。

東京創元社(→Twitter):ミステリとSFが多い。読者の感想をリツィートしてくれるのも嬉しい。

豊崎由美≒とんちゃん(→Twitter):主流文学でもエッジの利いた作品が多い。

【ウィンドウ・ショッピング】

 もちろん、書店や図書館の書棚も漁ります。文学はもちろん、音楽・歴史・軍事・工学・旅行記・科学・倫理学・産業・国際情勢あたりを遊弋してると、時間がいくらあっても足りなかったり。あと、初心者向けの統計学が、社会学の棚にあったりするんで油断できません。

【おわりに】

 軍事関係が弱いと思ってるんだけど、いいソースがあったら教えてください。

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