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2026年1月 7日 (水)

2025年に面白かったノンフィクション3冊

最近は小説を読んでない…というか、そもそも本をあまり読まなくなってる。そんなんでベストを選ぶのも、なんか気が引けるけど、とりあえず。

スヴェン・カート「綿の帝国 グローバル資本主義はいかに生まれたか」紀伊國屋書店 鬼澤忍・佐藤絵里訳
 ジェニー紡績機から始まった産業革命は、単に技術と産業の拡大と進歩だけではない。植民地支配と相まって、私たちが生きる世界の秩序と姿そのものを大きく変えるものだった。綿に焦点を合わせることで、現代の世界がどのように形作られたかを物語る、衝撃的な歴史の物語。
 そして当然、世界が変わることで、私たちの人生観・世界観も大きく変わった。現代は多くの人にとって就職し通勤するのが当たり前だけど、人類史上では極めて珍しい状況なんです。また、グローバル経済というけれど、それは資本が安い労働力を求めて世界中を移動する、そういう意味でもあって…
ジェイソン・K・スターンズ「名前を言わない戦争 終わらないコンゴ紛争」白水社 武内進一監訳 大石晃史/阪本拓人/佐藤千鶴子訳
 2026年初頭、現在は米国のベネズエラ大統領拉致とロシアによるウクライナ侵攻が注目を集めている。しかし、長く紛争が続いているのにも関わらず、滅多に報じられない紛争がある。コンゴ東部で続く内戦だ。どう始まり、誰が戦い、なぜ続くのか。隣国のルワンダやウガンダが介入し、120以上の武装勢力が入り乱れるコンゴ東部の状況を伝える、重量級のルポルタージュ。
 利権化してしまった紛争を描く、衝撃的な本だ。自称反政府軍たちだけに限らず、軍も紛争を歓迎し、かつ長期化を望んでいるのだ。しかも、そうなるように政府が仕向けている。資源に恵まれたコンゴがなぜ発展できないのか、その理由が痛いほどわかる。ただ、訳文は酷いので、ちと薦めがたい。
エド・ヨン「動物には何が見え、聞こえ、感じられるのか 人間には感知できない驚異の環世界」柏書房 久保尚子訳
 コウモリが超音波で世界を把握しているのはよく知られている。犬は散歩の際にアチコチを嗅ぎまわり、ソコで起きたことを知る。昆虫は植物の表面波で語り合う。鳥の歌はメロディとリズムだけでなく、「音の時間微細構造」(俺註:たぶん音色)を細かく変化させている。動物たちは、ヒトに知らない方法で世界を認識し、盛んにメッセージを発しているのだ。
 今まで様々なSFを読み奇想天外なエイリアンに驚いてきた。だが、もっと身近な所に豊かな情報世界が広がっていたのだ。ただ、私が知らず感じることもできないってだけで。ヒトがいかに世界について知らないか、そして世界がいかに豊かで喧騒に満ちているかを教えてくれる。今そこにあるセンス・オブ・ワンダーに気づかせてくれる、とても刺激的な本だった。

 他にもソ連のドミトリ・ベリャーエフの画期的な実験の報告「キツネを飼いならす」やロシアの組織的なクラッキングとの戦いをルポした「サンドワーム」もショッキングだった。今年も面白い本に出合えますように。

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