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2025年6月18日 (水)

クリストファー・ブラットマン「戦争と交渉の経済学 人はなぜ戦うのか」草思社 神月謙一訳

ロナルド・レーガン「平和とは、武力によらない手段で紛争を処理することだ」
  ――第7章 相互依存

ひとたび戦端が開かれれば、戦闘が継続されることで利益を得る利己的な政治家や、軍事指導者、企業、将軍が必ず現れる。
  ――第4章 不確実性 原注

ここ200年間に政府が殺害した人の数は、戦争よりも虐殺によるものの方が多いのだ。
  ――第5章 コミットメント問題

「誰もが、相手の暴力に対して自分は適切に対応していると主張するのだ」
  ――第6章 誤認識

「民主主義は与えられない。つかみ取らなければいけないのだ」
  ――第8章 抑制と均衡

安定した社会や、国家、平等は、権力の中枢にいるエリートと、外部にいる商人や大衆との内部抗争のプロセスとして出現した。
  ――第11章 戦争についてのよくある議論の真偽

(援助)組織が成功するのは、何がうまくいっているかに関するフィードバックを得ているとき、改善を促す強いインセンティブがあるとき、そして、特定の政策で成功した組織がそのノウハウを秘匿できないときである。
  ――結論 斬新的平和工学者

成功している(援助)組織は、意思決定を可能な限り中心から遠ざけ、現場に近いところで行う傾向があることがわかっている。
  ――結論 斬新的平和工学者

【どんな本?】

 戦争をなくすには、どうすればいいか? この問題を考える時、多くの人は、今までに起きた戦争を分析し、その原因を探ってきた。だが、本書は敢えて逆の方法をとる。

 戦争は高くつく。だから、多くの集団は戦争を避けたがる。これは国家に限らず、シマをめぐって争うギャングも同じだ。たいていはキリのない抗争を避け、駆け引き・取り引き・話し合いでケリをつけようとする。この交渉が失敗した時に、戦争が起きるのだ、と。

 著者は大胆にも戦争の原因を5つに絞る。正確には戦争の原因というより、交渉による解決を阻む原因だ。

 国家同士の戦争や内戦からギャングの抗争にまで視野を広げ、集団同士が暴力で衝突した事例や逆に避けた事例を挙げ、時として火花散る「前線」へと赴いて戦士や司令官に取材し、経済学とゲーム理論を用いて人が争いを避けるメカニズムとそれを阻む障害を明らかにし、平和への道を示す一般向けの解説書。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は Why We Fight: The Roots of War and the Paths to Peace, by Christopher Blattman, 2022。日本語版は2023年7月12日第1刷発行。単行本ハードカバー縦一段組み本文約435頁。9.5ポイント45字×18行×435頁=約352,350字、400字詰め原稿用紙で約881枚。文庫なら厚い一冊か薄い上下巻ぐらい。

 文章は比較的にこなれていて親しみやすい。内容も意外とわかりやすい。これには訳者の努力も大きい。著者の文章は衒学的というか文学的というか、西洋の古典を引用するなど詩的で回りくどい表現が多いのだが、訳者が上手く注をいれている。

【構成は?】

 ほぼ前の章を前提として次の章が展開するので、なるべく頭から読もう。

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  • 序章
    • 「なぜ殺し合うのか」という問いに直面するとき
    • 暴力はどれほど大きな問題か
      本書における「戦争」の定義
    • 戦争は例外であり、通常は選択されない
    • なぜ最も憎悪する敵同士でも戦争を避けるのか
      戦略の科学「ゲーム理論」
    • 戦争が起きる5つの理由
      原因を5つに整理したことの意味
  • 第1部 戦争を引き起こすもの
  • 第1章 人々はなぜ戦いを避けるのか
    • 犯罪組織でさえ抗争を避けビジネスを優先する
    • ゲーム理論が示す「戦わないという戦略」の正しさ
      労働争議や訴訟でも人々は戦いを避ける/「戦争の5つの原因」はパイの平和的分割を阻む
  • 第2章 抑制されていない利益
    • 武装勢力の元司令官が語った「おとぎ話」
    • 独裁者や寡頭独裁者はなぜ問題となるのか
    • アメリカ独立革命の不名誉な側面
    • 「抑制されていない私的利益」はどう働くか
      エージェンシー問題としての戦争バイアス
    • 「抑制と均衡」は権力者のインセンティブを変える
  • 第3章 無形のインセンティブ
    • 戦いでしか得られないもののために戦う
    • 義憤 不公正への抗議そのものに喜びを感じる
      民衆の憤りが「アラブの春」を誕生させた/不公正を罰するか。「最後通牒ゲーム」の実験/なぜ人は不公正を罰したいと思うのか
    • 道義的憤りが交渉領域を大幅に縮小させる
    • 名誉と威信 命を危険にさらしても得たいもの
      集団が全体として名誉と威信を重視する場合/抑制の効かない支配者が名誉や地位を求める場合
    • イデオロギー 理念のため頑なに妥協を忌避する
      平和的だが不平等な妥協が受け入れられない場合
    • 暴力そのものの喜びは無形のインセンティブか
      戦争が避けられないのは人類が暴力を楽しむから?
    • 妥協を拒んで交渉領域が狭まることの意味
  • 第4章 不確実性
    • ギャングのリーダーが自分の強さを誇示する理由
    • 敵と味方の実力差を評価する際の不確実性
      実力差の評価を誤ると交渉が難しくなる理由/自らの実力に関する信頼できるシグナルを送る
    • ブラフと私的情報は不確実性をより大きくする
      ブラフや私的情報が交渉領域を狭める理由
    • ライバルが多数いると評判はより重要になる
    • アメリカ対サダム・フセイン そこにあった不確実性
      フセインのブラフだった「大量破壊兵器保有」/不確実性を増大させた双方の事情/フセインは最後に査察団受け入れを認めたが…
  • 第5章 コミットメント問題
    • 予防戦争 敵の台頭を阻止するための戦争
    • 第一次世界大戦は予防戦争だったか
      ドイツはロシアの台頭を恐れていた/予防戦争が成立する一般的条件
    • アテネ対スパルタのコミットメント問題
    • パイ図で考えるコミットメント問題の論理
    • ジェノサイド 少数派台頭への恐怖が暴走するとき
    • 内戦が長引きやすいのもコミットメント問題のせい
    • 再びイラクへ 不確実性とコミットメント問題
    • 「5つの原因」が重なり合い交渉領域を狭めた
  • 第6章 誤認識
    • アインシュタインとフロイトの往復書簡
      集団間の憎悪の背後にある心理学的要因
    • 「速い思考」に働く心理的バイアスの数々
    • 自分に対する誤認識 自分の能力を過信する
      自信過剰は戦争にどのような影響を及ぼすか
    • 他者を誤認識する 誤った投影と誤った解釈
      誤認識が攻撃と復讐の連鎖を引き起こす/相手の立場に立った評価や予測ができない
    • 集団での意思決定に紛れ込むバイアス
      巨大官僚組織はどのように失敗するか
    • 誤認識と激情の恐ろしい相互作用
      自動的な否定的思考を矯正する認知行動療法/激情はバイアスを強化し、判断に影響を与える//偏狭さと反感が大きくなり、敵を悪魔化する/誤認識と激情が交渉領域を狭めていく
    • 5つの論理を集約し診断ツールとして使う
  • 第2部 平和をもたらす術
  • 第7章 相互依存
    • 競争を平和裏に処理するための4つの方法
    • 宗教対立が起こりづらい都市の特徴
    • 経済的相互依存は交渉領域を広くする
      商業はどのように平和を促進するか/経済的独立が交渉領域を狭める例 アメリカと石油
    • 社会的な交流は分極化を抑制する
    • 遠くの人との道徳的、文化的な結び付き
  • 第8章 抑制と均衡
    • 内戦が終結し優れた大統領が就任すれば万全か
    • なぜ安定した社会は多くの中心を持つのか
      リーダーが独裁者にならないための仕組み作り
    • 多中心的な体制になれば戦争は起こりづらい
    • 抑制と均衡は権力との長い闘争の末に実現する
  • 第9章 規則の制定と執行
    • 犯罪組織で取り決められた暴力を抑制する制度
    • 国家 暴力を抑制し鎮定する強力な存在
      警察官が増えるほど犯罪は減るが…
    • 無政府状態で暴力を抑制する「名誉の文化」
    • 半無政府状態にある国際社会での制度の意義
      国際機関の有効性を示す科学的証拠はあるか
  • 第10章 介入
    • カリスマ人権活動家の活躍と失敗
    • 戦争という「厄介な問題」に介入する54つの手段
    • 懲罰 経済制裁に効果はあるか
      国全体を対象とする「包括的制裁」の問題点/制裁に効果があるかを評価するのは難しい/それでも制裁は有効だと示す兆候はある
    • 執行 平和維持部隊の派遣などの効果
      内戦終結後の不安定な社会で起きた暴動/暴動鎮圧にとどまらない平和維持部隊の役割
    • 調性 和平協議の仲立ちをする調停者
      調停者が本当に機能しているという証拠
    • 社会化 自制、他人への共感、理性的判断など
      リベリアの若者や元兵士の行動を変える活動/認知行動療法で男性の暴力と犯罪が半減/同様の活動はシカゴでも大きな効果を発揮した/相手の立場で考えられるようになることの効能
    • インセンティブ 戦わないことの価値を高める
      レアルポリティークと理想主義のバランス
  • 第11章 戦争についてのよくある議論の真偽
    • 戦争に関する直感的理解の妥当性を評価する
    • 女性がリーダーになれば戦争は減るか
      女王は男の国王より戦争に巻き込まれやすかった
    • 貧困をなくせば紛争は防げるか
    • その他の直感的理解を裏切る事実
    • 戦って解決させた方がよい、という主張
      多くの権力割譲は戦争なしで進んだ
  • 結論 斬新的平和工学者
    • 戦争の一挙解決を夢想することの危うさ
    • 平和工学者のための十戒
      • 1 容易な問題と厄介な問題を見分けなさい
      • 2 壮大な構想やベストプラクティスを崇拝してはならない
      • 3 すべての政策決定が政治的であることを忘れてはならない
      • 4 「限界」を重視しなさい
      • 5 目指す道を見つけるためには、多くの道を探索しなければならない
      • 6 失敗を喜んで受け入れなさい
      • 7 忍耐強くなりなさい
      • 8 合理的な目標を立てなければいけない
      • 9 説明責任を負わなければならない
      • 10 「限界」を見つけなさい
  • 謝辞/参考文献/原注

【感想は?】

 目の付け所が素晴らしい。戦争の火種はどこにでも転がっている、そういう悲観的な発想から始まる。

 なら世界はいつでもあらゆる所が戦火に包まれていそうだが、幸いにしてそうじゃない。それは暴力による争い=武力衝突を阻む/避ける要因があるからだ。このブレーキが利かなくなった時に戦争が起きる。そういう発想である。

 なぜ武力衝突を避けるのか。これは身もふたもない理由で、つまりは高くつくからだ。「戦争の経済学」にもあるが、武力衝突は投資として見るとリスクがデカすぎて割に合わないのである。

 本書のもう一つの特徴は、国同士の戦争に加え内戦やギャングの抗争も「戦争」に含めている点だ。特にギャングの抗争などは、登場人物が少ないため(数学的な意味での)モデルとしてスッキリしていて理解しやすい。つまり本書でいう戦争とは、組織同士の武力衝突を示す。

 日本でも、ヤクザ同士の潰し合いは滅多にない。やらない理由も想像がつく。抗争が大きくなればマスコミが騒ぎ桜の代紋(警察)がお出ましになり、下手すれば双方の組が潰される。もしくは抗争で弱ったところに第三・第四の組が乱入し漁夫の利を狙うかもしれない。だから、なるたけ本気の抗争は避けたいのだ。

敵対し合うグループは、非生産的な結果を避けるために、取引をして資源を移譲するインセンティブを持っている
  ――第1章 人々はなぜ戦いを避けるのか

 実際…

現実に起きた1つの戦争の裏では、1000の戦争が話し合いと譲歩によって回避されてきた。
  ――序章

 これまた一つのハインリヒの法則(→Wikipedia)だろうか。と、いうことで、歴史上の例やギャングの抗争を調べ、衝突を回避した例と失敗した例を分析し、メカニズムを探ってゆくのである。

 さて、ヤクザを例に出したのは、半ば意図的なものだ。本書が求める平和は、公平でも平等でも正義でもない。強い側が多くを得て罪を免れる、そういう平和である。また、仲良しでもない。睨み合い・憎しみ合い・小競り合いは続くが、全面戦争には至らない、そういう状態だ。

 だもんで、本書が求めるのは、非武装の平和ではない。

平和は、博愛主義や協力からではなく、暴力の脅威が常に存在する状態から生まれ、交渉力は、攻撃するぞと相手を脅す力によってもたらされる
  ――第1章 人々はなぜ戦いを避けるのか

 困ったことに、この前提は現実の世界情勢と合致している。その上で、著者は、衝突を避けたい組織/集団が、なぜ回避に失敗するのかを探り、5つの原因を示す。

 これが本書の大きな特徴だ。戦争の原因を探るのではない。戦争を避けるのに失敗する原因を調べるのである。

 その一つは「抑制されていない利益」だ。決定権を持つ者がリスクを負わない状況である。

武力衝突の代償は公民権を持たない大衆によって払われるが、勝利した時の利益は指導者のものになる
  ――第2章 抑制されていない利益

 王や独裁者が盤石な権力基盤を持つ場合がこれだろう。幸か不幸か、現代の独裁者は戦争に負けると威信を失い権力基盤が揺らぐ。だから挑発はしても開戦はしない。どっかの半島の北もこれだろうなあ。

 ロシアのようにゴリ押しする場合もあるが…

暴力が発生するのは、概して、政治指導者が、自分たちの財力と政治組織とメディアへの影響力を使って、より大きな政治目標のために街頭で戦略的に騒乱を起こそうとするときだ
  ――第2章 抑制されていない利益

 現在のロシアも、国外にいるロシア人が国内の家族とは話が合わないとか。お互いに別の世界を見ているのだ。しかも、ロシアは政治状況もヤバい。

抑制されていないリーダーと民衆のパロキアル(身内びいき)な性質が混ざり合うと、有毒な混合物が生成される。
  ――第3章 無形のインセンティブ

 日本でも鬼畜米英とか言ってたし、ナチスドイツも東部戦線じゃ相手を人間扱いしなかった。なお、「無形のインセンティブ」の分かりやすい例は宗教だ。信長の比叡山焼き討ちや、現在のエルサレムをめぐる争いもこれだろう。

 さて、太平洋戦争の原因は幾つか考えられるが、その一つは米国の能力と意思を甘く見たことだ。

相手の力が把握できず、力の認識にズレがあるということが、おそらく多くの武力衝突の原因となっている。
  ――第4章 不確実性

 これを避ける方法の一つが、軍事演習だろう。「俺はこんなに強いんだぜ」と見せつけるのだ。

小競り合いは戦争を避けるためにある。
  ――第4章 不確実性

 これで避けられなかったのが、イラク戦争だろう。サダム・フセインは核査察を一応は受け入れたが、その後で査察団の邪魔をした。最終的に米国はフセインを信用できないと判断し、多国籍軍で攻め込んだ。相手が信用できないのでは、交渉しようがない。

政治経済学者がコミットメント問題について語るときは(略)交渉において、一方の側が、約束を守るという信用を得られないために、取り決めが成立しないことである。
  ――第5章 コミットメント問題

 やはりイラク戦争では、誤認識もあった。米国はフセインの野心を過大評価していたし、イラクの民衆は喜んで多国籍軍を受け入れると踏んでいた。現代の独裁者の最大の目的は、自分の地位を守ることで、意外と侵略までは考えてなかったりする。もっとも、プーチンのように自分を過大評価する場合もあるんだけど。最近の中国は挑発が目立つけど、習近平はどうなんだろうね。

グループ同士の闘争を理解する上で最も重要な3つの誤認識(略)
成功の可能性を過信すること、自分たちの信念や情報を誤ってライバルに投影すること、ライバルの動機を誤解して最悪の意図を持っていると思い込むこと
  ――第6章 誤認識

 さて、ここまでは回避を妨げる要素だ。後半では、回避を助ける要素を挙げてゆく。最初は、相互依存である。というか、むしろ相互交流が近い。よく知る相手とは、争いを避けるのである。その例が面白い。

中世の港から発達した都市は、宗派間抗争が、同じような沿岸都市の1/5しか発生しない
  ――第7章 相互依存

 港湾都市には様々な国や地域から商人が訪れ、商館もできる。だもんで、色々な国や地域や宗教信者が混ざり合って暮らしている。そのため、あまり武力抗争には発展しないらしい。

 また、権力が分散していると、争いを煽る勢力の暴走に歯止めがかかる。一部の者が頭に血が上って暴走しようとしても、冷静な者がソロバンをはじいて「損だからやめようぜ」と止めに入るのだ。

専制君主との約束は、その君主の在位期間しか持続しないが、法治国家の議会との約束はときの支配者が亡くなってからも続くのだ。
  ――第8章 抑制と均衡

 また、力による抑制もある。

ひとたび(帝国に)征服されると、帝国内の氏族や国は戦いを禁じられた
  ――第9章 規則の制定と執行

 これの失敗例が、ユーゴスラヴィア内戦(→Wikipedia)とナゴルノ・カラバフ紛争(→Wikipedia)だろう。ユーゴはチトーが、ナゴルノ・カラバフはソ連が抑えていたが、重しが外れた事で争いが激化した。成功例は第四次中東戦争かな? 米ソの睨みで、双方が矛を収めた。

 などと昔の米国はイスラエルとアラブ諸国の仲介をしたし、かつてはスウェーデンも中立国として多くの紛争で仲立ちをしていた。今はNATOに入っちゃったけど。こういった仲介者には、ちゃんと価値があるのだ。

調停者は「不確実性」と「私的情報」を減らそうとする。
  ――第10章 介入

 争う両者は、互いに相手の状況や立場がわからないし、相手の言葉も信用しない。そこで信用できる第三者が間に入って、言葉に重みを持たせるのである。ヤクザの手打ちも、これだね。ヤクザの場合、仲介者のメンツもかかってるので、効果は大きいんだろう。

 終盤では国際的な援助組織の話になる。あまし私たちに関係ないように思えるが、組織の中で働いている人には、思い当たる事も多いんじゃないだろうか。私は…

人間には状況を過度に単純化する驚くべき能力があるが、それが顕著に表れるのが他人に代わって決定を下すときである。
  ――結論 斬新的平和工学者

 これに痛い所を突かれた。

 世界の平和なんていう稀有壮大な目標を掲げた本だが、その内容は武装を前提としたもので、決して甘くないし、平和を実現する過程も、「先は嫌になるほど長いぞ」と厳しい。とはいえ、ギャングの抗争を例にとったりと、意外と身近な話も多い。ただ、あくまでも紛争を防ぐ方法であって、既に始まってしまった戦争を止める方法は扱っていないので、それは期待しないように。平和を愛するすべての人にお薦め。

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