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2023年9月 8日 (金)

私が好きな社会学の名著

 某所で社会学がネタになっているので、それに便乗して。

 と言っても、私は大学で社会学を学んだワケじゃない。小中学校で社会科を学んだ程度だ。だもんで、社会学はどんな学問なのか、よく分かってない。とりあえず「三人以上の人間がいる時の人間同士の相互作用」ぐらいに考えている。要は人間関係の学問だね。

 つまりは文学や科学と並ぶ、大きなくくりの学問分野だと思っている。この理屈だと社会学の一分野として経済学や史学も入るんだが、敢えて経済学は外した。あと、妙に物騒な分野が多いのは、私の好みです。

【文化人類学関係】

 いきなり世間が考える社会学とは全く異なるのを出したけど。世の中にはどんな社会があるのか、それぞれに共通する法則はあるのか、どんな要素がどんな制度に影響するのか、とかは、社会の原理・原則を洗い出そうとしてるワケで、科学における物理学のような、いわば社会学の王道ではないか、と思うワケです。

ルース・フィネガン「隠れた音楽家たち イングランドの町の音楽作り」法政大学出版局 湯川新訳

 イングランドの人口12万人の町、ミルトン・ケインズ。どこにでもありそうな町を対象とし、アマチュア音楽活動を続ける人々を調査した本。クラシック,ブラスバンド,オペラ,ジャズ,カントリー&ウェスタン,フォーク,ロック/ポップなど広い分野で、楽団の構成員・活動内容・収支・社会的地位・聴衆などの統計的調査の他、実際に演奏会に訪れその様子を記録し、また楽団の構成員どうしの交流関係も探ってゆく。

 学者が書いた本だけあって、文章が硬いのが唯一の欠点。でも、私が音楽が好きなのもあって、内容はとっても楽しく読めた。フォークとロックとカントリーの意外な関係とか。アマチュア音楽家に興味があるなら、ぜひ読んでみよう。そう、そこの「ぼっち・ざ・ろっく」のファン、君のことだよ。

ジェラード・ラッセル「失われた宗教を生きる人々 中東の秘教を求めて」亜紀書房 臼井美子訳

 エジプト、レバノン、シリア、イラク、イラン、パキスタンなどは、イスラム教の国だと思われている。だが、実際には多種多様な宗教があり、その信者が住んでいる。彼らはどんな教えを信じ、どんな所にいて、どんな暮らしをしているのか。他の宗教との兼ね合いはどうか。そして、彼らの未来は。

 宗教というと面倒くさそうだが、少数民族を訪ね歩き、その社会と暮らしを観察したレポートとしても面白い。結局のところ、「そういう習わしだから」みたいな宗教もあって、「宗教とは何か」を真面目に考えると、かえって混乱しちゃうかもしれない。

高野秀行「謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア」本の雑誌社

 「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」をモットーとする辺境旅行作家の高野秀行が、当時は海賊王国のように言われていたソマリアへ赴き、そこに住む人々と体当たりの付き合いを重ね、ソマリアの実情を描き出した捧腹絶倒の旅行記。

 いやホント、捧腹絶倒の内容なのに、なぜ南部ソマリアでは争いが絶えないのか、なぜソマリランドが平和を得られたのかとか、けっこう真面目な問題にも、ソレナリに納得できる解が得られるから油断できない。地元の人たちとカートをクチャクチャやった結果カート依存に陥ってまで得た現地の実情は、奇想天外でありながら「そりゃそうだよな」とも思えるあたりが、この本の楽しい所。

 って、ジャーナリストの突撃レポートであって、全く学者の本じゃないんだけど、面白いからいいよね。

テオドル・ベスター「築地」木楽舎 和波雅子・福岡伸一訳

 一時期は豊洲への移転で大騒ぎになった築地卸売市場。なぜ築地に卸売市場ができたのか。どんな人たちが、どんな経緯で築地に店を構えるようになったのか。などの築地ローカルな話題に加え、日本における水産物の様々な流通経路とその特徴などのマクロな構造の分析も交え、人類学的な視点と知日的なガジンの目線で描く、築地市場と日本食のレポート。

フィリップ・ボック「現代文化人類学入門 1~4」講談社学術文庫 江渕一公訳

 はい、まんま、文化人類学の入門書。社会学者には左派が多い、みたいな印象があるんだけど、この本を読むと、その理由が少しわかると思う。左派が多いというより、「俺の国/民族は特別」みたいなナショナリズムを洗い流されるんだな。自分の国や民族を、外側から眺める視点が得られるというか。

 中でも私が強く印象に残っているのは、交叉いとこ婚をめぐる分析で、自由恋愛が普通な現代日本の感覚だとアレに見えるけど、その背景にある社会構造が分かってくると、ソレナリに合理的に思えてきたり。

 とはいえ、最大の欠点は、まずもって書店じゃ見当たらないこと。古本屋でもまず見つからないので、図書館に頼ろう。埋もれた、そして埋もれさせてはいけない名著だと思う。

【林学】

ヨアヒム・ラートカウ「木材と文明 ヨーロッパは木材の文明だった」築地書館 山縣光晶訳

 木材がなんで社会学なんだ?と思うだろうが、木…というか森や林と人間の暮らしは、深い関係がある。これは単に技術的な話だけでなく、どんな立場の者が・どんな目的で関わるかによって、森も人間の運命も大きく変わってしまう。だが、歴史的な資料は往々にして権力を持つ者つまり領主などの立場で書かれる。領主にとって森は狩りの場だが、住民にとっては薪の供給地だったり豚の放牧場だったり。

 薪で分かるように木材は燃料すなわちエネルギー源なんだが、石油に比べるとやたらかさばり、運ぶのが難しい。これが地域の産業や発展にも影響を与え…と、社会の在り方にも関わってくるのですね。

ジョン・パーリン「森と文明」晶文社 安田喜憲・鶴見精二訳

 そんなワケで、かつて森は社会というか文明や国家の盛衰の原動力でもあった。「木材と文明」が主に森のそばで暮らす人びとを緻密に描いたのに対し、こちらはもっと俯瞰的な視点で森と人間の関わりを描いてゆく。

 例えばメソポタミア。神話のギルガメシュは、フンババを訪ねて杉の大木が立ち並ぶ森へと赴く。これから窺えるのは、かつてのメソポタミアには鬱蒼とした杉の森があった事であり、メソポタミア文明が発達した原動力は杉の森が提供する豊富な木材だって事だ。現在のイラクの風景からは想像もできないよね。そんな風に、歴史の見方が大きく変えてしまう本なのだ。

【政治学】

 政府とは、最も大きく明文化された社会でもある。そんな政府を運営するのは政権であり、その仕組みや挙動を分析するのが政治学なら、これは立派な社会学の一分野だろう。

ブルース・ブエノ・デ・メスキータ&アラスター・スミス「独裁者のためのハンドブック」亜紀書房 四本健二&浅野宣之訳

 人が集まり組織ができれば権力勾配ができる。権力の形は様々だが、独裁政権はその極端な例の一つであり、権力というものの性質を分析するには優れたサンプルだ。独裁者たちがどのように権力を得て、どうやって維持しているのか。そのカラクリを、独裁者向けのマニュアルって形でわかりやすく分析・説明した本。

 多民族国家の独裁政権で少数民族の者が閣僚に加わってたり、傀儡国家が独裁政権ばっかりだったり、独裁政権下の国家が発展しにくい理由も、この本を読めばちゃんと分かります。

レイ・フィスマン+ミリアム・A・ゴールデン「コラプション なぜ汚職は起こるのか」慶應義塾大学出版会 山形浩生+守岡桜訳

 汚職は少ない方がいい。でも、なかなか減らない。おまけに汚職の度合いを調べるのも難しい。考えてみよう。政治家の汚職が連日ニュースになる国と、全く報道されない国では、どっちが汚職が多いだろうか。じゃ、どうやって調べりゃいいのか。微分方程式や望遠鏡は、科学の発達に大きく貢献した。手法や道具の進歩は、学問の進歩につながる。同様に、本書が紹介する汚職度合いを調べる手法は、社会学の進歩に貢献するはずだ。

 ってな風に真面目に読んでもいいけど、興味本位の野次馬根性でワイドショウを楽しむ感じで読んでも、もちろん面白い本だ。

【犯罪学】

 これも「なぜ犯罪学?」と思われるだろうが、犯罪とは社会のバグの一つと考えれば、これも立派な社会学の範疇だよね。

小宮信夫「犯罪は『この場所』で起こる」光文社新書

 著者の主張は意外なようだが、私たちの本能は著者を支持する。つまり、犯罪はいかにもヤバそうな時にヤバそうな場所で起こる、そういう主張だ。では、ヤバそうな場所とは、どんな所か。その具体的な特徴を挙げ、ヤバい場所を避けるアドバイスを教えてくれる。が、それは本書のごく一部。

 公園や建物などを造る際も、デザイン次第で犯罪の危険性は大きく変わる。また、地域の人々の活動によっても、犯罪を減らせる。これは自警団なんて直接的なモノではなく、もっと微妙で賢明で、住民の反感を買いにくく、かつ誰もが参加しやすい方法でもある。地域社会への提言として、貴重な内容を多く含む本だ。

田中辰雄・山口真一「ネット炎上の研究 誰があおり、どう対処するのか」勁草書房

 インターネット上の炎上もまた、社会のバグの一つだろう。その炎上は、どんな人がどんな手口で煽り参加するのか。どんな理由で炎上し、どんな経過をたどり、どれぐらい続くのか。そして、炎上したときには、どう対処すればいいのか。

 調査の方法がアンケートによる自己申告なので、炎上参加者のプロフィールはやや眉唾だと私は思う。だが、ニコニコ動画や2ちゃんねる(当時)の管理者がログを解析して暴いた、炎上を煽るいわば火付け人/放火犯たちの手口は、とても参考になる。いやブログやってる立場だから、ヒトゴじゃなくて興味津々だってのもあるけど。

【革命論】

 犯罪が社会のバグの一つなら、革命/クーデターは社会のセキュリティ・ホールを突く行為だろう。以下の本は革命/クーデターの手口を説明する本だが、同時にセキュリティ・ホールを塞ぐための優れた参考書でもある。

チェ・ゲバラ「新訳 ゲリラ戦争 キューバ革命軍の戦略・戦術」中公文庫 甲斐美都里訳

 ゲリラ闘争でキューバをひっくり返したチェ・ゲバラによる、革命のレシピ。なにせ火炎瓶を遠くに飛ばす方法や戦車を頓挫させる落とし穴の掘り方とかの戦闘技術を、あまりにあけすけに語っているのが凄い。他にも抵抗組織をつくり運用するためのコツや、予算も装備も劣るゲリラ軍が正規軍に挑む戦略とか、「こんな本を出版して本当に大丈夫なのか?」と、読んでいて不安になるほど。

クルツィオ・マラパルテ「クーデターの技術」中公選書 手塚和彰・鈴木純訳

 同じ武力で政権を奪うにせよ、革命は中・長期的な戦闘を続け政権を倒すのに対し、クーデターはより短期的・突発的に政権を乗っ取る方法だ。本書はそのクーデターを、倫理的な是非を完全に無視し、単に技術として巧拙を評価する本だ。特に著者が高く評価するのは十月革命のトロツキーで、曰く「反乱は、状況とは無関係に起こす事が可能」とまで言っている。ここが政治状況を前提としたゲバラと大きく異なり、また本書がより物騒な点でもある。

 とにかく手口を具体的の書いてるのが怖い。さすがに1931年の本だけあって、幾つかは手直しが必要だが、基本的な原理が分かってしまえば、現代風にアレンジもできる。と同時に、どこにセキュリティ・ホールがあって、どう塞げばいいかも分かるんだが、現代の日本はファイアウォールの一部が弱体化してるんだよなあ。

【軍事・戦争論】

 戦争は社会の危機だ。そして、それをもたらすのも社会だ。自分の社会か、敵の社会かはともかく。そんな戦争が起きる原因を探るのも、社会学の重要な役割だろう。

佐原徹哉「国際社会と現代史 ボスニア内戦 グローバリゼーションとカオスの民族化」有志舎

 ボスニアが内戦に至ったのには、ボスニア特有の事情が幾つかある。拮抗した民族構成、各民族間の流血の歴史、周辺の元ユーゴスラヴィア諸国の思惑と情勢、元連邦軍の軍備・人員構成そして配置など。これに加えユーゴスラヴィアの経済・社会構造に、導入した選挙制度の問題点が加わり、もともと火薬庫と呼ばれた土地が燃え上がった。

 などの情勢はあるが、その情勢を利用し敢えて火を焚きつけた連中もいる。そういう連中は世界のどこにでもいて、もちろん日本にも潜んでおり、今もなお隙を窺っているのだ。

ウイリアム・H・マクニール「戦争の世界史 -技術と軍隊と社会-」刀水書房 高橋均訳

 暴力装置なんて言葉があるくらいで、社会学と軍事力は関係が深い。本書は青銅の時代から技術と軍事力そして社会の構造について分析し、それぞれの時代の主力となる兵器や戦術そして技術が、社会というか権力の構造までにも決定的な影響を与えた由を明らかにしてゆく。

 私が特に印象に残っているのは、いわゆる封建時代の権力・支配構造に、馬が大きく関係していること。本書では主に西洋の事情を扱っているけど、同じような事が同時代の日本でも起きているワケで、なかなか感慨深かった。

マーチン・ファン・クレフェルト「戦争文化論 上・下」原書房 石津朋之監訳

 「戦争は政治の延長」と主張するカール・フォン・クラウゼヴィッツの戦争論に真っ向から喧嘩を吹っ掛け、もっとヤバくてみもふたもない戦争の原因とヒトの本性を、豊富な例で容赦なく暴き立て読者に見せつける、おぞましく挑発的で衝撃的な本。

 著者はイスラエルの軍事史家で極端なタカ派でもある。特に下巻では著者の思想が前面に出て、いささか辟易するものの、イスラエルの歴史と状況を考えると、まあ仕方がないか。

 そんな著者が書いた本ではあるが、むしろハト派こそ本書を読むべきだ。タカ派がどうやって好戦的な世論を煽るか、その根本にあるヒトの性質と欲望を白日の下に晒す点で、本書が容赦なく本質をついているのは、各国の志願兵募集のポスターを見ればよくわかる。

ダニ・オルバフ「暴走する日本軍兵士 帝国を崩壊させた明治維新の[バグ]」朝日新聞出版 長尾莉紗/杉田真訳

 ドイツのヒトラーやイタリアのムッソリーニは、確固たる意志を持ち強力なリーダーシップで国を戦争へ引き込んだ。だが、太平洋戦争に向かった大日本帝国は、いささか異なる。そこに強力なリーダーはいなかった。前線の指揮官たちの暴走により、次々と外交上の選択肢を失い、戦争以外の手段を失ったのだ。

 なぜそんな国になったのか。帝国陸軍は、なぜ前線の指揮官を統制できず、彼らの暴挙に引きずられたのか。著者はその原因を明治維新に求め、維新の志士が残した文化や思想へと行きつく。

 文化史・思想史の色が濃いが、制度や組織構造への具体的の言及も多い。戦争を厭う人はもちろん、組織を立ち上げ維持・統率し運営する人にも得る物が多い本だ。

【その他】

モートン・D・デービス「ゲームの理論入門 チェスから核戦略まで」講談社ブルーバックス 桐谷維・森克美訳

 ゲーム理論の生みの親は、数学と科学の天才ジョン・フォン・ノイマンだ。それが社会学と関係があるのかというと、確かにゼロ和ゲーム(全プレーヤーの利害を合計すると差し引きゼロになる)ではあまり関係がなくて、数学が中心だ。しかし、非ゼロ和ゲームでは様相が異なる。

 合理的に考えれば、プレイヤーは自分の利益の最大化を狙うはずだ。だが、実際には違う。敢えて自分が損をしてでも、他のプレイイヤーに損をさせようとする場合もある。ここに、社会的な動物であるヒトの性質が顔を出す。なんか難しそうだが、経済制裁や戦争って、そういう事だよね。

 更に、ゲームが繰り返される場合や、プレイヤー同士が連絡を取り合えるか否かなど、ゲームをとりまく状況でも、プレイヤーの振る舞いは変わる。社会とは互いが協力しあう、少なくとも協力し合うように促すゲームでもある。ならば、より優れた社会を設計し運営するには、ゲーム理論の知見が役に立つはずだ。

ジョエル・ベスト「統計はこうしてウソをつく だまされないための統計学入門」白揚社 林大訳

 続けて数学っぽい本だが、著者は社会学者を名乗っている。実際、本書に難しい数式は出てこない。なんで社会学者が統計の本を? と思うだろうが、ニュースの世論調査や社会運動家の演説では統計数字がよく出てくるからだ。

 それらの数字は、どこからどうやって出てきたのか、その調査方法や加工方法、そして社会学者も含め世論を動かそうと目論む者たちは、どのように数字を操るのか。その手口を容赦なく暴きだし人々に注意を促す本だ。真面目に読んでもいいが、野次馬根性で読んでも面白い。

エドワード・ヒュームズ「『移動』の未来」日経BP社 染田屋茂訳

 私たちの暮らしは移動が支えている。例えばスマートフォンが出来るまでに、部品は中国と台湾と日本の工場を行き来する。こういったグローバル化を支える基盤の一つは、港湾や海運業界だ。その港湾や海運業界は、どんな人たちがどんな組織でどのような役割を果たしているんだろうか。現代の港湾や海運業界は、どんな情勢にあるんだろうか。

 もちろん、陸上の話も扱っている。合衆国はクルマ社会だ。それは政策や司法にまで影響を及ぼしている。自転車が好きな私にはいささか辛い話も多い。UPS社の右折と左折の話など、身近ながら役に立つ逸話もチラホラ。乗り物好きにはお勧めの一冊。

エドワード・グレイザー「都市は人類最高の発明である」NTT出版 山形浩生訳

 都市化は世界的な傾向だ。だが、環境問題に関心がある人は、都市より田園の暮らしを良しとする人が多い。都会の空気は汚いし、スラムだってある。でも、本当に田園生活は地球にやさしいんだろうか。首都圏に住めば自家用車は要らない。鉄道と路線バスでたいていの用事は済む。とはいえ、通勤ラッシュは辛いよね…

 など、都市にまつわる色々なテーマについて、環境問題や社会問題、交通渋滞や都市の盛衰の鍵など、様々な角度で面白エピソードと統計数字を交え、私たちが気づいていない都市の性質を描き出し、事によっては政策提案にまで踏み込んだ本。ちなみに著者の姿勢は「都市化賛成」です。

【終わりに】

 なんかズレてるのばっかだよな、と思うなら、それは私の考える「社会学」がズレてるからだ。

 科学が化学・天文学・物理学などを含むように、社会学も政治学・史学・経済学・民俗学などを含む、大きな分野を示す言葉なんだと思っている。

 …とか書いてて、気が付いた。この理屈はおかしい。というのも。

 それは肩書き/名乗りだ。普通、科学者は、科学者を名乗らない。有機化学者や電波天文学者や理論物理学者を名乗る。そこで「あなたは科学者ですか?」と訊ねられたら、「はい」と答えるだろう。

 じゃ、経済学者や史学者や民俗学者は?

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