« SFマガジン2020年12月号 | トップページ | テッド・チャン「息吹」早川書房 大森望訳 »

2020年11月18日 (水)

国末憲人「テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像」草思社

…テロリストが誕生した過程と背景を探り、彼らの意識と思考回路を明らかにするのが、本書の目的である。
  ――はじめに

バタクランでの犠牲者90人のうち、複数の銃弾が死因となったと考えられるのは12人に過ぎなかった。残る78人は、ただ一発の銃弾が致命傷となった。やみくもに乱射したわけではない。一人ひとりに標的を定めて撃ったのである。
  ――第2部 ヨーロッパ戦場化作戦 第3章 バタクランの地獄

テロはきわめて珍しい。普段起こり得ない出来事であり、入念な対策を講じればかなりの割合で防ぐこともできる。
  ――終わりに

【どんな本?】

 2015年~2016年にかけて、ベルギーとフランスでは、イスラム過激派による四つのテロ事件が相次いだ。

  1. 『シャルリー・エブド』襲撃事件(→Wikipedia)
  2. パリ同時多発テロ(→Wikipedia)
  3. ブリュッセル連続爆破テロ(→Wikipedia)
  4. ニース・トラック暴走テロ(→Wikipedia)

 犯人はいずれも地元に住む若者たちだった。外国から忍び込んだテロリストではない。が、同時に、犯人たちの背景には、アルカイダや自称イスラム国など、国際的なイスラム過激派組織とのつながりがあった。

 彼らはなぜ過激化したのか。これは一種の宗教闘争なのか、それとも虐げられる者たちの反乱なのか。彼らはいかにして国際テロ組織と繋がり、その思想に染まったのか。彼らを抑えるべきフランスやベルギーの治安維持組織の対応は適切だったのか。そして、どうすればイスラム過激派のテロを防げるのか。

 朝日新聞社の記者として長くパリに住み、今も朝日新聞ヨーロッパ総局長を務める著者が、犯人たちの育成歴や過激思想に染まるまでの道のりを調べ、彼らの動機・洗脳の過程・準備と犯行の詳細・国際テロ組織の戦略と手法と人脈を洗い出し、イスラム過激派テロの実像を明らかにするとともに、それを防ぐ手立てを示す、意外性と刺激に満ちたルポルタージュ。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 2019年10月24日第1刷発行。単行本ハードカバー縦一段組み本文約487頁。9.5ポイント43字×18行×487頁=約376,938字、400字詰め原稿用紙で約943枚。文庫なら上下巻ぐらいの分量。

 文章は比較的にこなれている。内容も特に難しくない。ただ、登場人物がやたらと多い。第1部と第2部の冒頭に主要人物の一覧があるが、加えて人名索引も欲しかった。

【構成は?】

 ほぼ時系列順に話が進む。先に書いたように、やたら登場人物が多い。第1部と第2部の冒頭に主要人物の一覧があるので、複数の栞を用意しよう。また、犯行場面の描写はかなり迫真に迫っているので、グロ耐性のない人は注意。

クリックで詳細表示
  • はじめに
  • 序章 人はテロリストに生まれない、テロリストになるのだ
    • 相次いだ大規模テロ
    • 20年の雌伏
    • 欧州価値観への挑戦
    • 反グローバル主義としてのジハード
  • 第1部 テロリストの誕生 『シャルリー・エブド』襲撃事件
  • 第1章 孤児兄弟の原風景
    • 狙われた新聞社
    • 場末の故郷
    • いたずらっ子の弟と泣き虫の兄
    • イスラム主義の萌芽
    • 母の自死
    • 山峡の孤児院
    • 家族の話はタブー
    • 途絶えた消息
    • イスラム化する移民街
    • ビュット=ショーモン筋
    • 「敵はユダヤ人」
    • シェリフ収監
  • 第2章 運命の邂逅
    • 刑務所の闇
    • フランスのビンラディン
    • 「武装イスラム集団」の台頭
    • 独房の抜け穴
    • 「ジャーナリスト」クリバリの活躍
    • ビキニからニカブに
    • クリバリ、大統領に会う
    • 殉教者の妻マリカ
    • アルカイダの二つの流れ
    • 欧州人権裁、ベガルを救う
  • 第3章 死火山の町で
    • 過激派を受け入れたホテル
    • 謎めいた行動
    • 山中で軍事訓練か
    • 急激な変貌
    • シェリフとベガルの出会い
    • 野に放たれたベガル
  • 第4章 イエメンへの旅
    • ごみ分別大使
    • アウラキと「アラビア半島のアルカイダ」
    • 兄に成りすまして出国
    • イエメンへの同行者
    • 司令官にのぼり詰めた男
    • 橋渡しをした人物
    • 筋金入りのジハード主義者
  • 第5章 チーム・クリバリ
    • クリバリ始動
    • 移民系エリートの挫折
    • モアメドとクリバリの邂逅
    • 憲兵隊員との禁断の恋
    • 調達先はベルギーか
    • 銃をめぐる怪しげな世界
    • 逃した機会
  • 第6章 襲撃の朝
    • 弟子とは別の道を歩んだ師匠
    • 白い服がアイデンティティー
    • 知らず知らずのうちに
    • 看守に励まされ
    • メラー事件の衝撃
    • ジハード主義を葬り去る
    • 脱カルト活動に
    • ステップ・バイ・ステップ
    • 1月7日の朝
    • 「俺たちはアルカイダだ」
  • 第7章 「早く来て、みんな死んだのよ」
    • 「腹切り」から「シャルリ―」へ
    • 預言者の風刺漫画騒動
    • 跪いて生きるぐらいなら
    • テロは予言されていた
    • 編集会議始まる
    • 至近距離から一発ずつ
    • 「みんな死んだのよ!」
    • 警察官殺害
    • 現場に立つ大統領
    • 逃走車は北へ
    • 迷走する操作
  • 第8章 標的は「ユダヤ人」
    • パリ南方の事件
    • 狙ったのは学校か
    • 印刷工場に押し入る
    • 現場は包囲された
    • シェリフへのインタビュー
    • 「いよいよ戦争だ!」
    • 襲われたユダヤ教徒のスーパー
    • 「お前はまだ死んでいないのか」
  • 第9章 「イスラム国」の謎
    • 地下室の絶望と希望
    • 別れのメッセージ
    • 「とどめを刺した方がいいかい?」
    • 作戦遂行支持
    • 「イスラム国」にまつわる謎
    • 解放交渉成立せず
    • 終幕
  • 第10章 第三世代ジハードの脅威
    • 「ユダヤ人を救ったイスラム教徒」
    • なぜ彼らが狙われるのか
    • 「テロ尾は衰退の現れ」
    • 第一、第二世代の興亡
    • 思想家ストーリーの軌跡
    • 手づくりのテロ工房
    • ジル・ケペルの予言
    • 懸念は過激な反応
    • 危機感薄い政府
    • 背後には戦略があった
  • 第11章 終わらない結末
    • 元日の出奔
    • 「イスラム国」街道
    • クリバリのインタビュー動画
    • アヤトのメッセージ
    • 女たちのジハード
    • 既視感の広場で
  • 第2部 ヨーロッパ戦場化作戦 パリ同時多発テロ、ブリュッセル連続爆破テロ
  • 第1章 なぜフランスは見誤ったのか
    • 偽りの単独犯
    • 「イスラム国」のテロ設計者たち
    • 与えられていた任務
    • テロリストは瀬踏みを続けていた
    • テロ翌日の街角
    • 現場を歩く
    • 襲われたテラス
    • 狙われた享楽の都
    • ひょんと死ぬるテロリスト
    • 実行三部隊とロジの一部隊
  • 第2章 街角の戦場
    • テロリスト、パリ郊外に集結
    • イラクから来た自爆志願者
    • なぜ爆発は場外で起きたのか
    • テラスの惨劇
    • カフェ、ピザ店、ビストロ……
    • 多様性が狙われた
    • 目の前に頭が
    • 自爆ベルトが示す岐路
    • TATPの脅威
  • 第3章 バタクランの地獄
    • 劇場襲撃部隊の三人
    • 「復讐の時がきた」
    • 上級警視の活躍
    • 「みんな爆破してしまう」
    • 介入
    • なぜバタクランが狙われたのか
    • アバウドは舞い戻っていた
    • 問われた責任
  • 第4章 モレンベークの闇
    • 失業率52%の街
    • アブデスラム兄弟のカフェ
    • モレンベキスタン
    • アバウドが歩んだ道
    • 「イスラム国」残酷さの論理
    • 難民に紛れて
    • 「ベルギーのアルカイダ」
    • マリカとファティマ
    • ジハードのサンタ
  • 第5章 破綻したテロ対策
    • サンドニの銃撃戦
    • 謎の女性アスナ
    • 憧れの彼はテロリスト
    • フランスを救った女性
    • 過激派を取り逃がす
    • 膠州で最も孤独な男
    • 連続テロの衝撃
  • 第6章 犯罪テロ・ネクサス
    • 空港の惨劇
    • 欧州議会の足元で
    • 優等生の自爆者
    • 犯罪とテロの融合
    • 悪人こそが救われる
    • 「過激化」再考
  • 第7章 若者はいかにしてテロリストになるのか
    • テロに対する二つの視点
    • テロリストは移民二世と改宗者
    • 「過激派のイスラム化」
    • カルトに似たネットワーク
    • テロリストはなぜ「兄弟」ばかりなのか
    • 高い改宗者の割合
    • 敗残帰還者の問題
    • 「イスラム国」の子どもたち
  • 第3部 ローンウルフの幻想 ニース・トラック暴走テロ
  • 第1章 遊歩道の無差別殺人
    • 犠牲者86人
    • 家庭内暴力
    • 異常な性欲
    • 綿密な犯行準備
    • ルンペンテロリスト
    • 暴走するトラック
    • 誰がテロへと導いたのか
  • 第2章 「一匹狼」の虚実
    • 「解放」から「破壊」へ
    • ユナボマーとブレイヴィク
    • ローンウルフ誕生への五段階
    • 未熟で杜撰なテロリスト
    • 「ローンウルフは存在しない」
    • タキーヤ
    • ウィキペディア流テロの時代
  • 終章 汝がテロの深淵を覗くとき、深遠もまた汝を覗いている
    • テロリストとカルト
    • 絡めとる側
    • イスラム過激派の三層
    • 右翼との類似性
    • メモを忍ばせたのは誰だ
    • 単純明快な論理の魅力
    • 多様性のストーリーを描けるか
  • 終わりに
  • 9.11以降のイスラム過激派による大規模テロ年表
  • 参考引用文献/注

【感想は?】

 本書の結論は希望が持てると同時に、どうしようもない徒労感も感じてしまう。

 著者はテロの犯人らの育成歴を丹念に追ってゆく。そこで見えてくる彼らの姿は、「ブラック・フラッグス」が描くザルカウィの姿と重なる。そう、自称イスラム国でイキがっていたアブー・ムサブ・アッ=ザルカウィだ。

 サルカウィも欧州のテロ事件の犯人らの多くも、もともと手の付けられないチンピラだった。十代から盗みや喧嘩にあけくれ酒や麻薬におぼれ、警官とも顔なじみの連中である。日本なら半グレってところか。昔ならヤクザの三下になる奴らである。

 『シャルリー・エブド』襲撃事件のクアシ兄弟は孤児院育ちだが、パリ同時多発テロの犯人らは…

アバウドやアブデスラム兄弟は決して、移民社会の底辺にいて辛酸を味わったわけではない。むしろ、特段の不自由もない小金持ちの道楽息子であり、恵まれていた環境を生かすことなく酒や麻薬、犯罪に走った情けない男たちである。
  ――第2部 ヨーロッパ戦場化作戦 第4章 モレンベークの闇

 これは「テロの経済学」が描くテロリスト像とも重なる。恵まれた育成環境という点は、60年代~70年代の日本で暴れた極左も同じだ。彼らの多くは大学卒だった。当時の大学進学率は1~3割程度で、中卒の集団就職も珍しくない時代だ。

(かつての)インテリ出身の過激派やテロリストの多くは、本当に知識人として成長したわけではなく、(略)高等教育での挫折感が、彼らの多くを過激思想に走らせた可能性は拭えない。
  ――第2部 ヨーロッパ戦場化作戦 第6章 犯罪テロ・ネクサス

 その大学では、昔から極左やカルトが新入生を狙い盛んに勧誘していた。欧州では、舞台がモスクに変わっただけで、同じ風景が広がる。

欧州でモスクに実際に行ってみるとわかるが、その出入り口に大勢の若者がたむろして、募金を集めたり講座への参加を勧誘したりしている。まるで大学の入学式で各サークルが新入生を勧誘しているかのようである。
  ――第1部 テロリストの誕生 第1章 孤児兄弟の原風景

 「テロリストの軌跡」が描く911の犯人モハメド・アタも、この勧誘に引っかかった。

 もっとも、本書が描く犯人たちは、別の処で組織と繋がっている。ザルカウィ同様、刑務所なのだ。

(20世紀末~21世紀初頭の)フランスの人口は六千万前後であるため、イスラム教徒の割合は全国民のせいぜい6%~7%に過ぎない(略)
受刑者に占めるイスラム教徒の割合は約半数に及ぶ。
  ――第1部 テロリストの誕生 第2章 運命の邂逅

 そういやマルコムXも刑務所で改心したんだよなあ(→「マルコムX 伝説を超えた生涯」)。なおイスラム教徒が多い理由を本書はほのめかすだけだが、似た論調が「自爆する若者たち」にもある。

 モズクにせよ刑務所にせよ、若者たちを勧誘しているのは組織だ。そして、テロも実行犯の裏に多くの協力者たちがいる。『シャルリー・エブド』襲撃事件にしても、頭に血が上った者が突発的に銃をブッぱなしたのではない。組織的・計画的な犯行なのだ。

テロの後でわかったクリバリの通信記録から、何らかのかたちで事件にかかわったと疑われる人物は60人に及んだ。(略)パリ検察局は2018年、最終的に14人に対して重罪院に訴訟を請求した。
  ――第1部 テロリストの誕生 第5章 チーム・クリバリ

 もっとも、犯行を再現するあたりを読むと、かなり杜撰な計画なんだけど。まあいい。使い捨てにされる前線の兵はともかく、組織の元締めがちゃんといて、しかもけっこう絞れるのだ。

欧州のフランス語圏でテロ関連の出来事を探ると、あちこちで同じ名前が登場する。顔を出すのは毎度毎度、ジャメル・ベガルであり、マリカ・エル=アルードなのである。
  ――第1部 テロリストの誕生 第5章 チーム・クリバリ

 そんなワケで、対策の立てようもある。

テロを企てるのは、きわめて限られた、狭い世界の人脈である。警戒さえ怠らなければ、そのネットワークを壊滅状態に追い込むきっかけがあったに違いない。
  ――第1部 テロリストの誕生 第11章 終わらない結末

パリ同時多発テロにかかわった人物らが幼少期を過ごし、あるいはその後出入りしていたのは、ベルギーの首都ブリュッセル西郊の街モレンベークである。
  ――第2部 ヨーロッパ戦場化作戦 第4章 モレンベークの闇

 なお、先に名前が出たマリカ・エル=アルードは女だ。彼女は「殉教者の妻」として、そのスジではスターだったりする。

「『殉教者の妻』は、ジハード主義者のブルジョア的地位が約束され、天国にも行ける。つまり、精神的と同時に物質的な利益もあるのです」
  ――第1部 テロリストの誕生 第11章 終わらない結末

 もちろん「殉教者の母」も栄光の座だ。「ミュンヘン」が描くハサン・サラメの血統が父の「偉業」を継ぐのも、こういう社会構造があるからだろう。

 困ったことに、最近の先進国でのイスラム過激派テロの犯人は、もともと素行の悪いチンピラが多い。犯罪にも長けており、銃の密輸組織やナンバープレートの偽造職人など既存の犯罪組織とのコネもある。マフィアも、それと知らずにテロ組織に利用されている。

 ただ、そういう連中を洗脳する元締めは、かなり限られている。だから既存の過激派組織と繋がりのある人物を丹念にマークすれば、テロは防げる…

 ワケじゃないのだ。本書をちゃんと読むと、人間の本性に根ざした、もっと根本的な原因が見えてくる。これは60年代~70年代に日本で暴れた極左にも共通するんだが…

テロに走る若者の多くはもともと犯罪組織に加わり、すでに暴力行為になじんでいる。つまり、多くの若者は「イデオロギーにもとづいて暴力行為に走る」のではなく、ある種の暴力(犯罪)から別の種類の暴力(ジハード)に移行するだけだと解釈できる。
  ――第2部 ヨーロッパ戦場化作戦 第6章 犯罪テロ・ネクサス

若者たちは極端に走りやすい。(略)そのような若者たちにかつて、生きがいと死にがいと、さらには他人を殺す口実まで与えてくれたのが、共産主義だった。今、ジハード主義がそれに取って代わっている。
  ――第2部 ヨーロッパ戦場化作戦 第7章 若者はいかにしてテロリストになるのか

 つまり、ジハードは言い訳で、連中は単に暴れたいだけ、との主張だ。そういう点じゃ、「ボスニア内戦」で暴れたアルカン(→Wikipedia)の同類でもある。

 政治的にアルカンは極右になるだろう。一見、敵対しているように見える極右とイスラム過激派だが、よく見ると中身は似てたりする。威嚇的・暴力的なこと、男尊女卑なこと、硬直した上意下達型の組織が好きなこと。そして何より…

右翼はみずからも、社会の分断を通じて地位を固めようとする。
  ――第1部 テロリストの誕生 第10章 第三世代ジハードの脅威

 敵と味方をハッキリ分けて、敵を人間として扱わないことだ。「社会はなぜ左と右にわかれるのか」が語る「忠誠/背信、権威/転覆、神聖/堕落」型の極端なタイプだろう。現代ロシアでスターリンを崇める者は左翼と呼ばれるが、その精神構造はむしろ極右に近いと私は思っている。

 そして、イスラム過激派の脅威ばかりが注目されるが、実際には…

反イスラムや排外主義にもとづくテロは、イスラム過激派のテロよりもじつはずっと多い。(略)2012年から2016年途中までの間、イスラム過激派によるテロは欧米で84件起きたのに対し、右翼テロは130件に達していた。
  ――終章 汝がテロの深淵を覗くとき、深遠もまた汝を覗いている

 と、今はむしろ極右の方が脅威だったりする。なんのこたあない、暴力団同士の抗争みたいなモンなのだ。双方が政治や宗教を看板に掲げているだけで、中身は暴れたいだけのチンピラどもなのである。アフリカの失敗国家での自称反政府組織と変わりはない。ただ取り繕いが巧みなだけだ。

 徒労感を感じるのは、そういう点だ。ジハードもナショナリズムも言い訳で、本音は暴力衝動だとすれば、これはもうどうしようもない。ヒトの本能に刷り込まれた性質が原因なら、ジハードを抑えても、別の形で吹き出すだろう。そういや「暴力の解剖学」は「魚を食え」と推薦して…

 とか連想を続けると、いつまでたっても終わらないから、この辺で終わりにする。とりあえず、イスラム過激派テロに興味があるなら、年代別の分析もあり、なにはともあれ最初に読むべき本だ。

【関連記事】

|

« SFマガジン2020年12月号 | トップページ | テッド・チャン「息吹」早川書房 大森望訳 »

書評:軍事/外交」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« SFマガジン2020年12月号 | トップページ | テッド・チャン「息吹」早川書房 大森望訳 »