世代別SF作家ガイド111+1
SFマガジン編集部編「SFが読みたい!2016年版」は、2015年のSF界隈の状況を伝える、年に一度のお祭り本だ。
今年の特集は「世代別SF作家ガイド111」として、国内・海外問わず著名なSF作家を111人紹介している。ただ、1頁で2コマ=2人の作家を紹介するレイアウトであり、奇数の111人を載せたため、最後のコマが空白になってしまった。これは「最後のコマはお前が好きな作家を紹介しろ」的な編集部から読者への挑戦状だと勝手に解釈し、やってみた。
なお、参考までに、それぞれの作家のコマは次の項目&文字数になっている。
- 作家名の英語または原語表記
- 作家名のカナまたは日本語表記
- 作家概略:25字×3行=75字
- 作家紹介:26字×20行=520字
- 代表作:『代表作名』(発表年) 翻訳者 出版社
- 代表作の紹介:12字×7行=84字
では、私が偏愛する作家の一人、ロバート・R・マキャモンを紹介しよう。
Robert R. McCammon ロバート・R・マキャモン |
52年生まれ。1978年に「Baal」でデビュー。1987年「スワン・ソング」、1990年「マイン」、1991年「少年時代」でブラム・ストーカー賞を3度受賞。 |
スティーヴン・キングとディーン・R・クーンツに次ぐ第三の男と呼ばれたマキャモンには、拭いがたいB級臭がつきまとう。本人もそれを厭ってか「もう超自然的なものは書かない」と宣言したが、あざといまでにケレン味を利かせながらも綺麗に物語をまとめる卓越した職人芸にこそ、彼の本領はある。また彼が描く主人公たちも、ローンに追いまくられ今日の食欲に負ける普通の人たちであり、それがペーパーバックを愛する読者の共感を呼び覚ます。加えて彼の魅力に欠かせないのが、奥底に流れる南部人の魂だ。典型的な聖邪の対立を描く代表作「スワン・ソング」では、読者が感じる聖なる側がただ日々を生き延びているのに対し、邪なる側は清浄かつ高邁な社会を実現するため私心を捨て邁進している点に注目しよう。一見わかりやすい善悪の対立に見せかけて、そもそも何が善悪を規定するのかという深い哲学的な問いを隠しているのだ。この問いに対し彼が示す解には、マーガレット・ミッチェルやスティーヴン・ハンターと同じく、独立不羈を尊しとする米国南部人の心意気が脈々と波うっている。(ちくわぶ) |
『スワン・ソング』(1987) 加藤洋子訳 福武文庫 |
核戦争後の北米を彷徨う三組の旅人。奇跡の少女スワンと元悪役レスラーのジョシュ、ホームレスの狂女シスター、清浄な世界を望むベトナム帰還兵マクリン大佐。聖邪の最終決戦が始まる! |
などと試してみたが、やはり決められた文字数に文章を収めるのは難しい。プロのモノ書きの凄さをつくづく思い知らされた。もし真似したい人がいるなら、次のHTMLの雛形を参考にしてください。いやあ、我ながら table だらけで実に醜い html だよなあ。
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<table><tr>
<td>
英語または原語の著者名<br />
<strong>著者名</strong>
</td>
<td style="padding-left: 2em; width: 25em; height: 3em;">
著者の略歴:25字×3行=75字
</td>
</tr></table>
<table><tr>
<td colspan="2" style="width: 26em; max-height: 20em;">
著者の紹介(紹介者名):26字×20行=520字
</td>
</tr></table>
<table><tr>
<td>
<strong>『代表作名』</strong>(発表年)<br />
翻訳者名<br />
出版社
</td>
<td style="padding-left: 2em; width: 12em; height: 7em;">
代表作の紹介:12字×7行=84字
</td>
</tr></table>
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