« 小川一水「天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河」ハヤカワ文庫JA | トップページ | ハインリヒ・ヒラー「セブン・イヤーズ・イン・チベット」角川文庫ソフィア 福田宏年訳 »

2013年1月23日 (水)

もしレイ・ブラッドベリがブロガーだったら

ネタ元はサム・ウェラー著「ブラッドベリ年代記」河出書房新社濃い緑色の字の部分は、ネタ元からの引用。

12歳の時にブログを始める。以来、毎週欠かさず最低ひとつの記事をアップし続ける。

ブラッドベリが創作を始めたのは12歳の頃。それ以降、毎週必ず一編以上の短編を完成させ続ける。

ブログを始めて三年目には、ラジオの葉書職人として盛んに投稿する。授業中に勝手に番組の台本を書き、DJに手渡す。4年目にやっと投稿した葉書が読まれる。

タイピングの授業中、レイはバーンズ・アンド・アレン向けの空想的な台本を書きはじめた。そして毎週水曜の午後、フィゲロア劇場までローラースケートですべっていき、ジョージ・バーンズに手渡すのだった。(略)バーンズ・アンド・アレンがレイのジョークのひとつを採用してくれた。(略)1936年2月26日に放送された

4年目には何人かの有名ブロガーの芸を盛んに真似る。

コナン・ドイルの《シャーロック・ホームズ》、P・G・ウッドハウスの《ジーヴス》、エドガー・アラン・ポオの諸作をコピーするのに時間を費やした。

6年目になると、有名なブロガーの執筆方法に学び始める。

トマス・ウルフの作品に学び、ドーシア・ブランデの「作家になる」で磨きをかける。

「十八、十九、二十歳ごろの人間、つまり、なにも知らないのに知っていると思っている人間にとって、ウルフは完璧だ」

ブロガーのオフ会には積極的に顔を出し、はしゃいで楽しむ。うち何人かには、記事の書き方について厳しいが的確な指導を受ける。

SFファン・グループのロサンゼルスSF協会に入り、ファン雑誌にも寄稿する。ヘンリー・カットナーやC・L・ムーアに作品を見せ、批評してもらう。

「もし若い作家にアドヴァイスをあたえるとしたら、こういうだろう。その一、来る日も来る日も書くこと。その二、外へ出て、おなじような境遇の人々をさがすこと――いうなれば、特別あつらえの教会を見つけるわけだ」

9年目、やっと記事がオタク系ニュースサイトで紹介される。

彼の短編「振子」が載った<スーパー・サイエンス・ストーリーズ>の当該号は、1941年8月22日にロサンゼルスのニューススタンドにならんだ

10年目、自分でも傑作と感じられる記事ができる。執筆にかかった時間は二時間。

1942年の晴れた日、「みずうみ」を書き上げる。

12年目あたりから、オタク系ニュースサイトの常連となる。だが、オタク系というレッテルが貼られるのを恐れる。

1944年、あいかわらず週に一編を書いていた彼は、22編を売った。

13年目、別のブログを立ち上げ記事を書き始める。いきなり三つの記事が一般の大手ニュースサイトで紹介される。

1945年、<マドモワゼル>に「目に見えぬ少年」、<チャーム>に「ジェイミーの奇跡」、<コリアーズ>に「いつ果てるとも知れぬ春の日」をウィリアム・エリオットのペンネームで投稿した(略)八月の三週、レイはウィリアム・エリオットの秀作を賛美する手紙を、一誌でなく三誌すべてから受けとった。

ネタに困ると、有名ブロガーの過去の記事をナナメに拾い読みする。

「インスピレーションを得る最高の方法を見つけた。ロサンゼルスの図書館へ行って、そこらをうろつきまわり、棚から本をぬきとって、こっちで一行、あっちで一段落と拾い読みしたら、また本をとりだして、むさぼり読み、場所を変える。それかた手近の紙切れにいきなり書きはじめるのだ」

不愉快な事があった時は、それをどう記事に料理するか考える。

「自分の大好きなものを十あげて、それを褒めたたえたまえ。自分の大嫌いなものを十あげて、それを殺したまえ」

ロサンゼルスを歩く人は滅多にいない。LAは自動車の街だ。ある風の強い深夜、友人と歩いていると、レイと友人は警官の職務質問を受ける。警官の無作法な尋問が腹に据えかねたレイは、帰宅して「歩行者」を書いた。

人気が出てからは、他の人気ブログは見ない。

「うっかり盗作したくないんだ」

【おまけ】

ブログを続けるコツの一つは、こんな事を決して考えないこと。

暇つぶしの読み物を探している人は、私の記事とブラッドベリの「群集」、どっちを選ぶんだろう

|

« 小川一水「天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河」ハヤカワ文庫JA | トップページ | ハインリヒ・ヒラー「セブン・イヤーズ・イン・チベット」角川文庫ソフィア 福田宏年訳 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: もしレイ・ブラッドベリがブロガーだったら:

« 小川一水「天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河」ハヤカワ文庫JA | トップページ | ハインリヒ・ヒラー「セブン・イヤーズ・イン・チベット」角川文庫ソフィア 福田宏年訳 »