浅倉久志「ぼくがカンガルーに出会ったころ」国書刊行会
SFの翻訳で有名な浅倉久志氏のエッセイ集。とはいうものの、純粋なエッセイに加え、今まで訳した小説の「訳者あとがき」や、SFマガジンで連載した海外SF紹介のコラム「SFスキャナー」、彼が編集を担当した短編集の紹介文なども含んでる。
エッセイは日本人らしくシャイで控えめな人柄が随所に現れてて、とても微笑ましい。海外に一度も出た事がないというのは意外だった。「ぼくの好きなSF作家たち」の章ではハリイ・ハリスン、ジャック・ヴァンス、R・A・ラファティ、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、ジョージ・アレック・エフィンジャー、コードウェイナー・スミス、ヘンリー・カットナー&C・L・ムーアを紹介し、フィリップ・K・ディックとカート・ヴォネガットは別格扱いされ多くの頁数を割いている。作家のゴシップはSFマガジンでも読まない限りあまり触れる機会がないんで、貴重な文章…と思ったけど、浅倉さんの本を読む人には常識レベルかもしれない。
最大の欠点は。この本で触れられてる海外作家の小説はとっても魅力的にレビューされてて、「読みたい!」と思わせるのに、その多くが入手困難なこと。まあ浅倉さんのせいじゃないんだけど。宇宙兵ブルースを買い損ねたのが今でも悔やまれる。
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