榊涼介「ガンパレード・マーチ 山口防衛戦」電撃文庫
時系列的には九州撤退戦の後、白の章の前。ガンパレード・マーチとガンパレード・オーケストラを繋ぐ作品。単発のおまけかと思ったら、この後もシリーズが続くようだ。つまり、新シリーズ開始の序章。この巻で登場するのは5121の面々が中心で、次に榊版マーチから参加した榊オリジナルの連中。オーケストラの面々は顔見せ程度。悲しいことに遠坂と田辺の出番がない。口絵がすごいことになっているのは榊氏の意気込みの表れかな。芝村色が薄れて榊色が濃くなる予兆かも。
これから読み始める人には同シリーズの「5121小隊の日常」から刊行順に読むことを勧める。広崎版の「高機動幻想ガンパレードマーチ」は無視していい。あれはコレクター向け。
自然休戦期になっても、おなじみ5121小隊の面々は相変わらず軍にいる。善行は東京で予算交渉に奔走、原は研究所で例のアレ、茜は士官学校、田代は茜について看護学校。他の面々は山口で待機やら教官やらしながら、のんびりと夏を過ごしていた。そこへ突如幻獣が自然休戦を破り、山口侵攻を始めた。
この巻は幕開けといった感じで、戦闘シーンもアクセント程度。5121も集結し終わってないし、榊氏の本領発揮はこれからだろう。今までのシリーズではただの学兵だった連中も少しは成長して、多少性格が変わってきている。その辺が不安でもあり楽しみでもあり。
残念なのは(違う意味で)闇を背負う者たちの掌編がない点。3人が揃う場面がないせいだろうか。
| 固定リンク
「書評:ライトノベル」カテゴリの記事
- 小野不由美「白銀の墟 玄の月 1~4」新潮文庫(2019.11.12)
- 森岡浩之「星界の戦旗Ⅵ 帝国の雷鳴」ハヤカワ文庫JA(2018.10.14)
- オキシタケヒコ「おそれミミズク あるいは彼岸の渡し綱」講談社タイガ(2018.08.05)
- エドワード・ケアリー「アイアマンガー三部作3 肺都」東京創元社 古屋美登里訳(2018.06.25)
- エドワード・ケアリー「アイアマンガー三部作2 穢れの町」東京創元社 古屋美登里訳(2018.06.24)
コメント