カテゴリー「パソコン・インターネット」の52件の記事

2016年4月27日 (水)

Windows:デスクトップの大量アイコンはお手軽ランチャで整理

 Windows には便利なアプリケーションが沢山ある。あるのはいいけど、使いたいアプリケーションを Windows メニューから探し出すのは手間がかかるし、面倒くさい。また、よく使う書類も、すぐ見つかる所に置いておきたい。じゃ、デスクトップに置いておこう。これなら一発で見つかるし。

 などと考えるのは人の常。でも、パソコンを何年も使っていると、デスクトップに置くアプリケーションや書類のアイコンが増えて、気が付いたらデスクトップはアイコンだらけ。

 なんてのは、多くの人が経験する話。幸いにして、この問題を解決する便利な道具がある。ランチャーと呼ばれるアプリケーションだ。

 ランチャーを極論すると。デスクトップにゴチャアゴチャとある多数のアイコンを、小さなラックにまとめて収納できるソフトだ。デスクトップのアイコンをクリックするように、ラック上のアイコンをクリックすれば、アプリケーションが立ち上がったり、書類が開いたりする。

 大抵のランチャーは他にも便利な機能があるんだが、基本的にはデスクトップを整理するための道具だと思っていい。私もぴょんきち氏が作った CLaunch を使っていた。軽くて速くて機能は充分だし、ラックもコンパクトで使う画面の面積も小さい上に、なんたってデザインがカッコいい。

 が、Windows7 だと、何か他のアプリケーションかドライバと相性が悪いらしく、なぜか動かなくなってしまった。結局、今でも何が原因かわかっていない。他のランチャーを使う事も考えたのだが、あまり余計なアプリケーションを入れたくない。

 どうせ基本的な機能しか使っていないんだし、もっと手抜きできる手口はないだろうか?

 と考えたら、実に姑息な方法があった。なんのことはない、アイコン専用のフォルダをデスクトップに置けばいい。このフォルダの中に、よく使うアプリケーションや書類のショートカットを、まとめて突っ込んでおく。書類の本体は適切なフォルダに置けば、デスクトップはスッキリする。

 パソコンを起動した時に、アイコン専用フォルダをダブルクリックで開けば、その窓がランチャーと同じように働く。表示を「一覧」にしておけば、小さいアイコンと名前だけが画面に出るので、あまり場所も取らない。Windows10 だと、こんな雰囲気の窓になります。

 この手口、さすがに CLaunch に比べると場所を取るが、利点はある。業務用のパソコンだと、セキュリティ上の目的で、余計なアプリケーションを入れてはいけない規則になっている場合がある。この手口は特にアプリケーションを入れなくていいので、業務用のパソコンでも問題ないのだ。

 なお、ショートカットを作る際は、CTRL キーと SHIFT キーを押しながら、元のファイルをアイコン専用フォルダにドラッグ&ドロップすると、 「ショートカットを作りアイコン専用フォルダに置く」操作が、一発でできます。出来上がるショートカットが「~のショートカット」って名前になるのが、ちと困りものだけど。

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2016年4月26日 (火)

Raffaele Cecco「JavaScriptグラフィックス ゲーム・スマートフォン・ウェブで使う最新テクニック」オライリージャパン 相川愛三訳 2

軽量な jQuery UI に対し、Ext JS は過酷な使用に耐えるユーザーインターフェースを提供します。
  ――4章 高度なUI

 Raffaele Cecco「JavaScriptグラフィックス ゲーム・スマートフォン・ウェブで使う最新テクニック」オライリージャパン 相川愛三訳 1 から続く。

【1章 コードの再利用と最適化】

 なんとなく、著者は8ビット機の時代からゲームを作っていたんじゃないかと思う。というのも、1章から年寄りには懐かしいネタが次々と出てくるので。浮動小数点演算を避けるために予め計算してルックアップ・テーブルにキャッシュしておくとか、キャラクターはスプライト・オブジェクトを使って背景に重ねるとか、まるでファミコンだ。

 かと思えば、Duff's device(→Wikipedia)なんて懐かしいネタも出てきたり。低レベルの話だと、2の累乗での乗除算はシフト演算で代行って小技もあったが、JavaScriptでは「実際に調べてみると」乗除算ともに特に利益はないとか。こういう所を、ちゃんと測っているのが流石だし、測り方まで教えてくれるのが俺しい。

 ただし切り捨ては Math.floor() より n >> 0 の方が、Google Chrome だと3割ほど速かったとか。他のブラウザじゃ大差ないんだけど。

 やっぱり、と思ったのが、DOM の要素を jQuery で扱う時の注意点。ドキョメント全体から指定の要素を探すのは、ソレナリに時間がかかり、処理時間にして3~8倍の差が出る。だから、扱う要素は初期化時に予め DOM を呼び出して変数に代入しておき、ループの中ではなるたけ jQuery に検索させないようにするといい。

 同様に面白いのが、多くの要素を追加する時。これも、何度も append() するより、多数の要素を含む長い文字列で HTML を作っておき、一気に append() する方が速いとか。

 ここでの描画サンプルは、縦に細長い(1ピクセル)の div 要素を横に並べてサインカーブを描くなんて荒業を見せてくれる。その手があったかw

【2章 DHTML】

 2章では、Web ならではの最適化が出てくる。例えば多数のキャラクターを一枚の PNG 画像にまとめて収納しておき、描画時にクリッピングして表示するなんて小技。HTTP プロトコルだと、小さい画像を何枚も送るより、一枚の大きい画像を送る方が速いのだ。

 これをスプライト・オブジェクトとして、描画位置は css をいじって動かす。これならフリッカーに悩まないね←古い。

 ブラウザ・ゲームで辛いのが、マシンごとの性能の違い。setInterval()setTimeout() を使ってもいいが、「Windows XP が提供するOSレベルのタイマー精度は15ミリ秒」と、あまし信用できない。

 また、スプライト・オブジェクトの移動量も、マシン性能に応じて変えなきゃいけない。遅いマシンじゃ一回の移動量を大きく、速いマシンじゃ移動量を小さくしたい。ところがPCだとブラウザ以外のアプリケーションが動いてたりするんで、最初にマシン性能を測っただけじゃ後で困ったことになる。

 ってんで、ここでは、スプライト・オブジェクト全体を処理するのにかかった時間を常に測り、これに応じてスプライト・オブジェクトの移動量を調整したり、タイムアウト値を変えたりしてる。そういう事かあ、と納得した。

【3章 スクロール 】

 最初に出てくるのは視差スクロール。複数のレイヤを重ね、手前のレイヤは速く、奥のレイヤは遅く動かすことで、立体感を出すテクニック。低予算アニメでもよく使ってたなあ。タイル・マップ・エディタ(Tiled)なんて便利なモノがあるとは。これなら私にも大戦略が作れそう←ツケあがるな

【4章 高度なUI 】

 ここでは軽量で軽快なユーザ・インタフェース・ライブラリの jQuery UI と、本格的な Ext JS 紹介。サンプルは jQuery UI を使い、回転木馬風に回る画像の列を描くもの。この章から、マウスイベントのハンドラが出てくるので、いじって楽しいプログラムが出てくる。

 ここでは Web プログラムの悩みの一つ、クライアントが画像などをキャッシュしている場合に、load イベントが発生しない問題の対処なんてのが面白い。

【5章 JavaScriptゲーム 】

 懐かしのインベーダーゲームを作る章。若い人はオリジナルのインベーダーゲームを知らないかも…と思ったが、ニンテンドーDSi や FLASH やスマートフォン向けのもあるのね。

 インベーダーゲームの細かい仕様については著者も詳しいが、註で訂正する訳者も相当なもの。段々とインベーダーが速くなる工夫は、「やはりそうか」と納得。衝突判定の工夫は楽しいが、コードそのものはコールバック使いまくりで相当に難しくなってくる。

【6章 HTML5 Canvas】

 いよいよ HTML5 の本領、Canvas。雰囲気は PostScript で、既に描いた物は参照できず、xor で描くとかは無理で、常に上書き。ただし描く際に透明度は指定可。そのためかアニメーションは難しそうで、Canvas 全体を描きなおす方法が載っている。

 最初のサンプルは、制御点をマウスで動かしベジェ曲線/二次曲線を描くもの。制御点は独立した div 要素を使う。やはり Canvas で描いた要素をスプライト的に動かすのは難しいようだ。

 FLASH/SVG/Illustrator 形式を Canvas 用 JavaScript に変換する道具が、サードパーティーから出てるのは嬉しい。

 別の意味で興奮するのが、WebSocket のチャット・ツール。ちょっと前、テロリストが情報交換に MMORPG のチャットを使ってるって話があったが、これと P2P を君合わせると金楯を出し抜けるなあ、などと思ったり。にしても XAMPP(→Wikipedia) なんて便利なモンもあるのか。これ使えば PHP を独習できるね。

【7章 ベクトル計算 】

 シューティング・ゲームなどで必須のベクトルについて、大砲の弾丸の飛翔をシミュレートするアニメーションを例に説明してゆく。弾丸の残像が少しづつ消えていく効果を出すのに、背景画像の透明度を変えながら重ね書きするって大技を繰り出してるw

 最後に、複雑なキャラクタを軽い処理で描く手法が賢い。いったん隠れ Canvas に描き、「この隠れ要素を Canvas の drawImage() 関数のビットマップソースとして用いてみましょう」。

【8章 Google Chart Tools】

 HTTP 経由で Google の API を呼び出し、グラフに変換する Google Chart API の紹介。簡単な呼び出し法では <img> タグの src で URL を指定するだけなんで、固定の HTML 頁でも使える。JavaScript 経由で呼び出すなら、Google のライブラリ jsapi(→MDN)が便利。マウスなどのイベントにコールバックを設定すれば、エフェクトもつけられる。

【9章 jQuery Mobile】

 スマートフォン用のスライディングブロックパズル(→Wikipedia)を例に、スマートフォン用 JavaScript ライブラリ jQuery Mobile を紹介する。

【10章 PhoneGap】

 10章で作った JavaScript 版を、PhoneGap により Android のネイティブに変換する。といっても、内容の大半は開発用ツールのインストールと設定。入れるのは JDK,Android SDK,Eclipse,Eclipse 用 ADT プラグイン,PhoneGap。インストールのコツや日本語版パッチも紹介してるのがありがたい。

【おわりに】

 意外と HTML5 Canvas の話は少なく、DHTML でコトが済むネタが多い。6章・7章のサンプルも DHTML で作れそうだし。

 などの JavaScript に特化した話よりも、リアルタイム系のゲーム作りの工夫のネタが楽しかった。昔はマシンが貧弱なため工夫せにゃならなかった。マシンが強力になった今は、OSやブラウザや JavaScript インタープリタが計算力を食いつぶし、結局はアプリケーション・プログラマが知恵を絞る羽目になってるのが皮肉。

 JavaScript に興味がなくても、ゲーム作りに興味があるなら、読んで損はないと思う。

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2016年4月25日 (月)

Raffaele Cecco「JavaScriptグラフィックス ゲーム・スマートフォン・ウェブで使う最新テクニック」オライリージャパン 相川愛三訳 1

 本書は、ワンランク上を目指す JavaScript プログラマーに向けた解説書です。主にグラフィックスやアニメーションを扱いますが、単に HTML5 Canvas や jQuery について説明するだけの書籍ではありません。

【どんな本?】

 Web ブラウザ上のゲーム・アプリケーションの開発用としては現在最も有力なプログラミング言語である JavaScript を使い、主に2Dのアクション・ゲームを作りたい人のための技術解説書。

 単にアニメーション用のインタフェースを紹介するだけでなく、実行速度を速くする方法、マシンの性能が違っても同じような操作感を実現するコツや、使うメモリの容量を減らす工夫、他言語と比べた JavaScript のクセ、CSS と組み合わせた印象的なエフェクトなど、今すぐ応用できるテクニックを豊富なソースコードと共に紹介する。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は Supercharged JavaScript Graphics, by Raffaele Cecco, 2011。日本語版は2012年3月17日初版第1刷発行。単行本ソフトカバー横一段組みで本文約257頁。8.5ポイント46字×38行×257頁=約449,236字、400字詰め原稿用紙で約1,124枚。文庫本なら上下巻ぐらいの分量だが、キャプチャ画像やイラストを豊富に収録しているので、実際の文字数は6~7割程度。当然ながら、ソース・プログラムもふんだんに出てくる。

 訳者は相当にプログラミングがわかっている人らしく、文章はこなれていて読みやすいし、言葉の使い方も適切。問題は内容で、次の条件三つをを全て満たす人向け。

  1. HTML と CSS が書ける。救くとも、この記事頁の HTML と CSS ぐらいは、マニュアルを見ながらでもいいので、自分で作れる。
  2. JavaScript でプログラムを作れる。と言っても、この程度のオモチャで喜んでいる程度では苦しい。プログラミング技術として、クロージャ・コールバック・継承ぐらいは使えて、Web プログラマとしては DOM(Document Object Model、→XML用語辞典) による要素の追加や変更ができる。
  3. jQuery を多少は知っている。日頃から使っていると更によし。

 意外なことに、ゲームを作った経験がない人でも、上記三つを満たす人なら、読みこなせる。なお、デバッガは Firebug を紹介しているので、ブラウザは Firefox を使っているといいかも。

 本書のゴールとしては、次のようなゲームやエフェクトが出てくる。ただし、サウンドはなし。

  • 懐かしのインベーダーゲーム:PC版&Android版
  • チャット
  • 棒グラフ:ポップアップする吹き出しつき

 描く画像は2Dが中心で、グラデーションや影をつけて立体感を出すあたりが限界。テトリスを作るには可能だけど、ぷよぷよは少しエフェクトを簡素化しないと難しいかも。さすがに物理演算エンジンを酷使する3Dゲームまでは無理です。ゲーム専用機ならPSP未満、かな。

 HTML の規格だと、5章までは DHTML 対応で、6章から HTML5 が必要になる。

【構成は?】

 前章を受けて後の章が続く形なので、素直に頭から読もう。

  •  訳者まえがき/まえがき
  • 1章 コードの再利用と最適化
    • 1.1 高速化
    • 1.2 何をいつ最適化するか
    • 1.3 自家製コードプロファイリング
    • 1.4 JavaScriptの最適化
      • 1.4.1 ルックアップテーブル
      • 1.4.2 ビット演算、整数、2進数
    • 1.5 jQueryとDOM操作の最適化
      • 1.5.1 CSSスタイル変更の最適化
      • 1.5.2 DOM挿入の最適化
    • 1.6 その他の情報
  • 2章 DHTML
    • 2.1 DHTMLスプライトの作成
      • 2.1.1 アニメーション
      • 2.1.2 カプセル化と描画の抽象化(詳細隠蔽)
      • 2.1.3 スプライトのコード
      • 2.1.4 スプライトのコード
      • 2.1.5 簡単なSpriteアプリ
      • 2.1.6 より動きのあるスプライト
    • 2.2 jQueryプラグインに変換
    • 2.3 タイマー、スピード、フレームレート
      • 2.3.1 setIntervalとsetTimeoutの使用
      • 2.3.2 タイマーの精度
      • 2.3.3 一定スピードの実現
      • 2.3.4 Internet Explorer 6 の背景キャッシュ
  • 3章 スクロール
    • 3.1 CSSだけを使ったスクロール効果
    • 3.2 JavaScriptを使ったスクロール
      • 3.2.1 背景画像のスクロール
      • 3.2.2 タイルベース画像のスクロール
  • 4章 高度なUI
    • 4.1 HTML5のフォーム
    • 4.2 JavaScriptのUIライブラリ
      • 4.2.1 jQuery UIを用いたWebインタフェース強化
      • 4.2.2 Ext JSを用いた強力なUI
    • 4.3 UI要素の自作
      • 4.3.1 3D回転木馬の作成
  • 5章 JavaScriptゲーム
    • 5.1 ゲームで使うオブジェクトの概要
    • 5.2 ゲームのコード
      • 5.2.1 ゲーム全体で用いる変数
      • 5.2.2 キーの読み込み
      • 5.2.3 キャラクタの移動
      • 5.2.4 簡単なアニメーション効果
      • 5.2.5 衝突判定
      • 5.2.6 インベーダー
      • 5.2.7 プレイヤー
      • 5.2.8 シールド
      • 5.2.9 UFO
      • 5.2.10 gameオブジェクト
      • 5.2.11 ひとつにまとめる
  • 6章 HTML5 Canvas
    • 6.1 Canvasのサポート
    • 6.2 ビットマップかベクターか? あるいは、その両方か?
    • 6.3 Canvasの制限
    • 6.4 CanvasとSVGの比較
    • 6.5 CanvasとFlashの違い
    • 6.6 Canvasエクスポータ
    • 6.7 Canvasの描画の基本
      • 6.7.1 Canvas要素
      • 6.7.2 描画コンテクスト
      • 6.7.3 矩形の描画
      • 6.7.4 直線と曲線を使ったパスの描画
      • 6.7.5 ビットマップ画像の描画
      • 6.7.6 色、境界線、塗り潰し
    • 6.8 Canvasを使ったアニメーション
    • 6.9 Canvasと再帰的な描画
      • 6.9.1 Canvasによる樹木のページレイアウト
    • 6.10 DHTMLスプライトをCanvasのスプライトに置き換える
      • 6.10.1 CanvasSpriteオブジェクト
      • 6.10.2 他のコードの修正
    • 6.11 CanvasとWebSocketを使ったグラフィカルなチャットアプリ
      • 6.11.1 WebSocketの利点
      • 6.11.2 WebSocketoのサポートとセキュリティ
      • 6.11.3 チャットアプリ
  • 7章 ベクトル計算
    • 7.1 ベクトルの計算
      • 7.1.1 足し算と引き算
      • 7.1.2 拡大と縮小
      • 7.1.3 正規化
      • 7.1.4 回転
      • 7.1.5 内積
    • 7.2 JavaScriptによるベクトルオブジェクトの作成
    • 7.3 ベクトルを使った大砲シミュレーション
      • 7.3.1 シミュレーション全体で用いる変数
      • 7.3.2 弾丸
      • 7.3.3 大砲
      • 7.3.4 背景
      • 7.3.5 メインループ
      • 7.3.6 ページレイアウト
    • 7.4 ロケットのシミュレーション
      • 7.4.1 ゲームオブジェクト
      • 7.4.2 障害物オブジェクト
      • 7.4.3 ロケットオブジェクト
      • 7.4.4 背景
      • 7.4.5 衝突判定と反作用
      • 7.4.6 ページレイアウト
      • 7.4.7 改良・改造のアイデア
  • 8章 Google Chart Tools
    • 8.1 制限事項
    • 8.2 グラフ一覧
    • 8.3 画像グラフ
      • 8.3.1 データ形式とグラフ分解能
      • 8.3.2 動的なデータの使用
      • 8.3.3 まとめ
    • 8.4 インタラクティブなグラフ
      • 8.4.1 インタラクティブなグラフのペイント
  • 9章 jQuery Mobile
    • 9.1 jQuery Mobile の基本
    • 9.2 TilePic:モバイル向けのWebアプリ
      • 9.2.1 TilePicゲームの説明
      • 9.2.2 TilePicゲームのコード
    • 9.3 PhoneGapとは
  • 10章 PhoneGap
    • 10.1 インストール
      • 10.1.1 JDKのインストール
      • 10.1.2 Android SDKのインストール
      • 10.1.3 Eclipseのインストール
      • 10.1.4 ADTのインストール
      • 10.1.5 PhoneGapのインストール
    • 10.2 EclipseでのPhoneGapプロジェクトの作成
      • 10.2.1 App.javaファイルの変更
      • 10.2.2 AndroidManifest.xmlファイルの変更
      • 10.2.3 簡単なWebアプリを作成してのテスト
      • 10.2.4 TilePicアプリのテスト
  • 付録A ソケットサーバのソースコード
  • 付録B モバイル版 Orbit Assault
    • B.1 jQuery Mobileによるモバイル対応
      • B.1.1 タッチによる砲台操作
      • B.1.2 画面回転の対応
      • B.1.3 ページレイアウト
    • B.2 PhoneGapによるネイティブアプリ化
  • 索引

【全般】

 掟破りの楽しさ。いやこの記事を書く時点では5章までしか読んでいないんだけど。

 なんといっても、いきなり最適化の話が出てくるのが掟破り。プログラミングの教科書なら、普通は「まずチャンと動くようにしろ、最適化はその後だ」と来る筈なんだがw

 というのも、出てくる例の多くが、リアルタイムの応答が必要なモノが多く、実効速度に厳しい制限があるモノが多いため。そんなわけで、プログラミングの本としては、JavaScript が云々というより、リアルタイム系のゲームを作る際のコツやテクニックの紹介がやたら楽しいし、他のプログラム言語にも応用できそうな話が多い。

 ということで、次の記事に続きます。

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2016年2月23日 (火)

Win7,iTunes : iPod を認識しなくなったがPC再起動で解決した

【概要】

 iTunes を立ち上げて、iPod nano を繋ぐ。いつもなら、ここで iPod の同期が始まるんだが、この日は違った。ケッタイなダイアログが出て、iTunes が iPod を認識しない。

 色々と試したが、最終的に PC を再起動したらあっけなく iPod を認識した。悔しいんで、ブログのネタとして活用する事にした。

【環境】

  • OS:Windows7 Home Premium バージョン6.1(ビルド 7601:Service Pack 1)
  • iTunes:iTunes 12.33.2.35
  • iPod:iPod nano 第七世代、ソフトウェアバージョン 1.0.4

【情報の元ネタ】

 Apple の「iPod nano (第 7 世代):ハードウェアのトラブルシューティング」を参考にした。
 URL は https://support.apple.com/ja-jp/HT203681

【やった事】

iPod nano の再起動:認識しない

  1. iPod nano を PC から外す。
  2. iPod nano 正面下部中央のホームボタンと、右上のスリープボタンを、アップルロゴが出るまで、約6秒ほど同時に押し続ける。
  3. 再起動したら、再び iPod nano を PC に繋ぐ。

iPod nano を繋ぎなおす:認識しない

  1. 別の USB ポートから繋いでみる→認識しない
  2. iPod nano 側のコネクタを表裏逆にして繋いでみる→認識しない

iTunes のバージョンを確認する;最新版だった

  1. iTunes のメニュー「ヘルプ(H)」から「更新プログラムを確認(C)」を選ぶ
    →「最新です」とダイアログが出る

iTunes を再起動して、再び iPod nano を繋ぐ:認識しない

Apple Mobile Device Service を再起動する:認識しない

  1. Windowsのスタートメニューから、「管理ツール」フォルダの「コンピュータの管理」を選ぶ
    →「コンピュータの管理」画面が立ち上がる
  2. 左端のタブから「サービスとアプリケーション」の左にある△印をクリックする
    →サービスとアプリケーションが開いて、項目「サービス」と「WMI コントロール」が出てくる
  3. 出てきた項目「サービス」をクリックする
    →中央のタブに沢山のサービスが出てくる
  4. 中央のタブから「Apple Mobile Device Service をApple Mobile Device Service」を右クリックする:
    →コンテキスト・メニューが出てくる
  5. コンテキスト・メニューから、再起動(E)を選ぶ
    →数秒でApple Mobile Device Service が再起動する。
  6. iPod nano を繋ぎなおす
    →認識しない

PC を再起動して、iTunes を立ち上げ、iPod nano を繋ぐ→見事に認識してくれた

【その他】

 WIndows の細かいバージョンを調べるには:

  • コマンドプロンプトから winver と入力し、リターン
    →Windows のバージョンがわかる

【関連記事】

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2016年1月24日 (日)

ローレンス・レッシグ「CODE Version 2.0」翔泳社 山形浩生訳 2

政府は自由を破壊できるだけの力はあるけれど、でも自由を守るには政府が必要なのだ。
  ――序文

サイバー空間のコードは、これまた国の規制ツールになりつつある。間接的に、コード書きを規制することで、政府は規制上の目的を実現できるし、しかもその同じ目的を直接追求したときに生じるはずの政治的な結果に苦しまずにすむことが多い。
  ――第七章 なにがなにを規制するか

「多数にとって困惑を生じさせる性的材料の生産者となる費用を上げる」のにきわめて熱心な法廷が、創造的・批評的な言論の生産者になる費用を著作権法が上げていることを露骨に無視していることは、わたしには絶え間ない驚きのもとだ。
  ――第一二章 言論の自由

セカンドライフのCEOフィリップ・ローズデール
「バーチャル世界で神とは何でしょう? 唯一の神はコードです」
  ――第十四章 独立主権

 ローレンス・レッシグ「CODE Version 2.0」翔泳社 山形浩生訳 1 から続く。

【おおまかな内容】

 今までコンピュータとネットワークの世界は無政府主義的な自由を謳歌できる世界だと思われてきたけど、本当はその逆だよ、原理的にとっても規制しやすい世界だし、事実規制は強くなっていくだろう…私たちが何もしなければ。

 と警鐘を鳴らす本。著者はスタンフォード大学の憲法学教授およびサイバー法センターの教授であり、またフリーソフトウェア財団の理事でもある。基本は法律家であり、コンピュータ方面を得意とする人で、オープン系への理解が深い立場だ。

 思想的にはリバタリアン寄りの功利主義といった感じ。アメリカ全体の利益を大きくする事を目的とし、その為には出来るかぎり多くの自由を市民に与えるべき、でも無政府状態はマズいぜ政府も必要だよ、みたいな考え方。

 いずれにせよ、追求しているのは正義でも誇りでも信念でもなくて、利益なのがポイント。だから伝統主義的な考え方の人には面白くない本だろう。

 また、根本的な所に政府不信があるのも大きな特徴。「放っときゃお上が上手くやってくれるさ」的な考え方ではなく、「政府は私達の代表のハズなんだけど、今の政府は間抜けな事ばかりしてるし、今後もそうだろうから、あまし大きな力を与えるのもマズいんじゃね?」みたいな発想がある。

 これは法律家にありがちな考え方なのかもしれないし、アメリカ人だからかもしれない。アメリカは独立していた州が連邦を組み、その連邦が成長して現在のワシントン政府になったわけで、アメリカ人の発想の根底には、市民と州政府・州政府と連邦政府の力のバランスを取ろうとする本能があるのかも。

 「合衆国」ではなく「合州国」と訳しているのも、そういうレッシグの姿勢を伝える訳者の工夫だろう。

【規制】

 全体を通し語るのは、自由と規制の話だ。規制とは何だろう? 自由を制限するものだ。レッシグは、これを四つあげる。例えばタバコだと…

  1. 法律:日本じゃ20歳未満は吸っちゃいけない事になってます。前科がつくのが嫌なら法を守りましょう。
  2. 規範:タバコが嫌いな人の前で吸うのはケンカを売ってるようなもんです。マナーを守って楽しく吸いましょう。
  3. 市場:タバコを値上げすれば吸う人は減ります…たぶん。
  4. アーキテクチャ:ライターを忘れると火をつけられません。これを「火のない所に煙はたたない」といいます←をい

 アーキテクチャなどと偉そうに言ってるけど、つまりは自然法則や技術的な制限のこと。投げた石は落ちるし、ガソリンがなきゃ自動車は走らない。私たちは、そういう制限を「当たり前」と思って受け入れてきたわけ。

【アーキテクチャ】

 そのアーキテクチャなんだが。コンピュータとネットワークの世界は、アーキテクチャが全てみたいな所がある。現実の私はモテないけど、美少女ゲームの中ではモテモテだ。現実にガンダムを操縦するのは(今は)無理だけど、操縦できるゲームもある。無敵の戦士になって戦場を駆け回る事だってできるぞ、ガンパレード・マーチなら←しつこい

 これは、ゲームのプログラムがそうなっているからだ。コンピュータとネットワークの世界では、プログラムが全てを決める。プレイヤーが空を飛べるようにプログラムを作れば、誰でも空を飛べる。何ができて何が出来ないかは、プログラムが決めることであって、自然法則や航空力学は関係ない…少なくとも、理屈の上では。

 「なら、政府は関係ねーじゃん」と思うでしょ?

【政府の介入】

 ブログをやっている以上、なるべく多くの人に読んで欲しいと私は望んでいる。そのためには、Google に好かれた方がいい。なんたって、Google 経由で来るお客さんは多い。だから、Google に媚びるよう工夫している。記事名は内容をハッキリ表すようにする。下品な写真は置かない。コンピュータ・ウィルスなんてもってのほか。

 …などと頑張ってるのに、相変わらず流行らないが、それはさておき。

 そう工夫すると、誰かが Google で検索したとき、結果一覧の最初の方に並びやすい。じゃ、Google はどうやって並びの順番を決めているのか。Google の従業員が並び替えてるわけじゃない。プログラムが並び替えている。

 Google のプログラムは、記事名と内容が違っていると、「広告じゃね?悪質だよね」と疑って、後ろに回す。下品な写真はセーフサーチに引っかかり、記事そのものを「なかった」事にする。Google さんはコンピュータ・ウィルスも大嫌いだ。これを全部、プログラムで判断してるわけ。Google すげえ。じゃ逆にエロい写真だけを探すことも←をい

 と、そんな風に、私は Google に従順に従ってブログを書いている。私だけじゃない。多くのブロガーは、Google 様のご機嫌に一喜一憂してる。この世界じゃ Google こそが支配者なのだ。

 その Google が、中華人民共和国政府に屈した。検閲に協力したのだ(その後、中国から撤退した→NHKオンライン)。ブログはうじゃうじゃある。中国共産党を批判するブログも山ほどある。中国共産党が、それを全部規制するのはまず無理だろう。でも大丈夫。Google を押さえちゃえば、ウザいブログも一緒に消える。ラッキー。

 政府が何かを規制したければ、ウザい個人を相手にする必要はない。根っこを押さえちゃえばいいのだ。個人は強固な思想信条を持っているかもしれないが、企業は違う。数人の経営者だけを説き伏せればいいし、経営者は利益で動いているんだから、物分りもいいだろう。

 と、政府はむしろ介入しやすくなっているのだ。

【政府の限界】

 警察がガサ入れするには、令状が必要だ。これは無闇なガザ入れを防ぐためだ。なぜ防ぐ必要があるのか?

 毎日ガザ入れに来られたら、生活できないじゃん。仕事にも行けないし、おちおち寝てもいられない。つまり、実質的に被害を受けるからだ。だが、本当にそれだけか?

 じゃ、部屋に盗聴器を仕掛けたり、電話を盗聴したりしたら? この場合、実害は出ないけど、やっぱし鬱陶しい。詮索されるってだけで嫌な気分になる。プライバシーの侵害だろ!

 この本では、日本の法ではなく合衆国憲法修正第四条を例に出している。これは「ガサ入れには令状が要りますよ」とした部分だ。問題は、これが「あいまい」だ、という点。修正第四条を決めた時点では、電話も盗聴器もなかったので、盗聴器や電話の盗聴を考える必要がなかったのだ。

 だが今は盗聴器も電話もある。とすると、困ったことになった。修正第四条の目的が、「実質的な被害を防ぐ」のか、「プライバシーを守る」のか、わからないからだ。

 テクノロジーの発達が、憲法の持つ「あいまいさ」を露呈させてしまったわけ。それまでは、議論しなくても「あいまいさ」は市民に有利な方向に解釈するしかなかった。だが、電話が出てきて、解釈する必要が出てきた。どうしよう?

 固定電話なら、まだ盗聴は難しいが、現代日本のように携帯電話やスマートフォンが普及したとなると、更に話はヤバくなる。前の記事で上げた酒井法子失踪事件のように、携帯電話の使用履歴でアシがついてしまう。他にもクレジット・カードやらTASPOやら、手繰る手段は増えつつある。そしてマイナンバーに至っては…

 さすがに現金は追跡不可能に思えるが、近い将来はわからない。IPv6 は別名「物のインターネット」だ。今だってお札には固有の番号がついているし、硬貨にIDチップを埋め込む事もできる。自動販売機にIDを調べる機能を仕込むぐらい出来るだろうし、通信も可能なのはプリクラが証明している。

 それ犯罪者の話だよね、善良な市民の私には関係ない。

 と思う人は、PC遠隔操作事件(→Wikipedia)を思い出して欲しい。何人もの人が冤罪となった。パソコンが遠隔操作できるのなら、携帯電話やスマートフォンだって遠隔操作できるのだ。少なくとも、原理的には。うっかり妙なアプリを入れたら、どんな悪さをされるか、わかったもんじゃない。

 しかも、スマートフォンにはGPSがついてる。当局と犯人は、いつでもあなたの居所を掴める。その気になれば、政府は私達の動きをいくらでも掴めるのだ。これが、コンピュータとネットワークがもたらした成果である。

 自由は、どこへ行った?

【軍ヲタの妄想】

 などと書いてて、思いついた。私が某国のスパイなら、きっとスマホ向けウイルスを開発するだろう。ちょっとエロいゲームのフリをしてスマートフォンに住み着き、利用者の情報を集め、カモの一覧を作る。権力者か、その側近のスマートフォンに潜り込めたら、しめたものだ。

【山形浩生の訳者あとがき】

 B・F・スキナーの「自由と尊厳を越えて」でもそうなんだが、この人の解説はとってもわかりやすい。と同時に、とっても危険だ。

 なぜ危険か。それは、あとがきを読んだだけで、本全体がわかったようなつもりになっちゃうからだ。本文は480頁を超える著作が、12頁にまとまるわけがない。だから、何が必要で何が不要か、山形氏が選びとり、重要だと思った部分だけを抜き取って書いている。当然、著者の主張とは少し違ったモノになる。

 にも拘らず、山形氏の文章はとても巧くまとまっている上に、なんたってわかりやすい。人間ってのは困ったもんで、わかったつもりになると、それ以上は学ぼうとしない。これがヤバい。

 この本の主題は規制と自由の問題だろう。だが、面白いのはそれだけじゃない。他にも沢山あるのだ。

 例えば、先の【政府の限界:】で挙げた、憲法のあいまいさ。これは法律に詳しい人には当たり前の事なのかもしれないが、私は「おお、法律って、そういう性質があるんだ!」と、ちょっとした驚きで、こういう「法律家の見ている世界」とのカルチャー・ギャップがとても楽しい本だった。

 ここで出てきた、憲法解釈を迫られた裁判所の立ち回りも、ちょっとした読みどころ。司法ってのは、そういう機能も持ってるんだなあ。

 著者の視点で面白いもうひとつは、政府への不信だ。これが単なる「政治家は汚い」とかではなく、仕組みそのものに疑問を呈しているあたりが、私にはとても新鮮に思えた。

 結論は「アメリカの議会は腐敗している」なんだが、その原因を政治家に求めるのではなく、アメリカの政治制度にまで切り込んで考えている。現在の選挙制度だと、どうしても金権政治になってしまう、というわけ。問題の原因を人ではなく制度に求めるあたりは、賢さの違いなのか文化の違いなのか。いすれにせよ、これは日本の政治も同じなんだよなあ。

【おわりに】

 など、ダラダラと長くなったが、つまりはそれだけ面白くてエキサイティングな本だ、と言いたいんです。パソコンを使う人、携帯電話やスマートフォンを使う人、そして自由を愛する全ての人にお勧めの本。

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2016年1月22日 (金)

ローレンス・レッシグ「CODE Version 2.0」翔泳社 山形浩生訳 1

 本書は無政府状態のサイバー空間からコントロールのサイバー空間への変化について語る。サイバー空間がたどりつつある道をたどると――これは第一部で説明する発展だ――サイバー空間に存在していた「自由」のほとんどは、将来は取り除かれることがわかる。
  ――第一章 コードは法である

憲法起草者たちが与えてくれた保護は、起草者たちが想像もしなかったような世界にどのように適用されるべきだろうか。
  ――第二章 サイバー空間からのパズル四つ

【どんな本?】

 元々は自由だったコンピュータとインターネットの世界は、同時に無政府状態でもあった…良くも悪くも。

 リーナス・トーバルズはオペレーティング・システム LINUX を開発し、現在のスマートフォン向けOSである Android の基礎を作った。ティム・バーナーズ=リーは World Wide Web を生み出し、やがて Amazon や Google などの土台となる。更に辿ればケン・トンプソンやデニス・リッチーによるc言語や unix に…とか言い出すとキリがない。

 だが、困った事もある。

 年に何度かはコンピュータ・ウイルスが騒ぎになる。迷惑メールは毎日やってくるし、無修正ポルノもその気になれば幾らでも手に入る。2ちゃんねるではデマと罵倒が飛び交い、Twitter では犯罪を自慢する馬鹿が続出し、LINE によるいじめも後を絶たず、個人情報の流出も珍しくなくなり、テロリストは Youtube で首切り動画を自慢して仲間を募る。

 どうにかならんのか。首相、出てこい。なんとかしろ。

 と言いたいところだが、ちょっと待て。本当に、それでいいのか。今、私たちは、2ちゃんねるじゃ安心して首相の悪口が言えるし、日本のメディアが伝えないシリア内戦の模様も、BBC やアルジャジーラで把握できる。ニコニコ動画には面白いMADが溢れ、ニュース等で話題になった場面は見逃しても Youtube で確認できる。だが、中国では?

 いや中国は極端だろ、と思うかもしれない。では、こういう話はどうだろう。東洋経済ONLINE のニュースだ。曰く「4K番組は録画禁止という驚愕のシナリオ」。

 かつてストリーミングはリアルタイムが基本だった。Youtube のような動画サービスができて、いつでもどこでも動画を楽しめるようになった。そこにネクタイ族がやってきて政府を動かし、著作権が煩く言われるようになってきた。著作権では、ミッキーマウス法(→Youtube)なんて陰口もある。

 インターネットは自由だ、なんて言っていられたのは、もう昔の話だ。既に法と規制の網がインターネットを絡み取り始めている。Winny 事件(→Wikipedia)をご存知だろうか? どころか、最近じゃ事はインターネットだけの話じゃ済まなくなってきている。政府と市民の力関係が大きく変わってしまったのだ。

 なぜ、こうなったのか。こうなる原動力は、何なのか。インターネットなどの新しい問題に対し、行政府は、議会は、司法は、どう動くのか。これは喜ばしい事なのか。将来はどうなるのか。私たちには何ができ、政府に何を求めればいいのか。コンピュータとインターネットは、今までの技術と何が違うのか。

 アメリカの憲法学の教授であり、フリーソフトウェア財団(→Wikipedia)の理事でもある著者が、サイバー空間と政府による規制について、多くの例を挙げながら原理とメカニズムと力学を解説し、また将来の展望を語る、とてもエキサイティングな法律とネットワークの解説書・思想書。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は CODE Version 2.0, by Lawrence Lessig, 2006。日本語版は2007年12月19日初犯第1刷発行。単行本ハードカバー縦一段組みで本文約482頁に加え、訳者あとがき12頁。9ポイント53字×19行×482頁=約485,374字、400字詰め原稿用紙で約1,214枚。文庫本なら厚めの二冊分ぐらい。

 文章はこなれていて読みやすい。山形浩生の文章は独特のクセがあり、特にこの本は強くクセが出ている。O'Reilly の翻訳本を読みなれている人には好まれる文体なんだが、合わない人もいるかも。

 内要は技術論1/4、法律論3/4といった感じ。いずれも初心者を想定し、丁寧に説明している。私は技術を多少知っているが、法律は素人だが、肝心の法律の部分はとてもわかりやすかった。逆に技術面は、無駄に詳しすぎる部分が多いと思う。イラストを入れるなどの工夫が欲しかったが、それより他の本を読んだり WEB で調べるほうが楽じゃないかな。

 全般的に義務教育修了程度でも、充分に理解できるレベル。

 ただし、誤字が目立つ。私でも気がつく程度なので、たぶん誤訳ではなく校正もれだろう。

【構成は?】

 前の章を受けて後の章が展開する形なので、素直に頭から読もう。訳者あとがきはとても親切で、実に分かりやすく本書の中身をまとめている。反面、大変に危険でもある。なぜ危険か、というと…

  • 第二版への序文/序文
  • 第一章 コードは法である
  • 第二章 サイバー空間からのパズル四つ
    境界線/統治者たち/ジェイクのコミュニティ/かぎまわるワーム/主題
  • 規制可能性
  • 第三章 現状主義:現状は変わらないのか?
    サイバー場所:ハーバード大学 vs シカゴ大学
  • 第四章 コントロールのアーキテクチャ
    「誰が」どこで何をした?/誰がどこで「何をした」?/誰が「どこで」何をした?/結果
  • 第五章 コードを規制する
    アーキテクチャを規制する:規制の二段階方式/コードを規制して規制のしやすさを高める/東海岸コードと西海岸コード/Z理論
  • コードによる規制
  • 第六章 各種のサイバー場所
    空間の価値観/サイバー場所/なぜアーキテクチャが問題になって空間に差が出るのか/コードを規制してよりよい規制を
  • 第七章 なにがなにを規制するか
    点の暮らし/政府と規制する方法について/間接的な手法の問題点/その先にあるもの
  • 第八章 オープンコードに見る限界
    かぎまわるバイト/数える機械/ネット上のコード/ネット上のコード小史/オープンソースの規制/いきつくところ
  • 隠れたあいまいさ
  • 第九章 翻訳
  • 第一〇章 知的財産
    著作権の終焉を告げる各種の報告について/法が救いに/サイバー空間における知的財産の未来/財産・所有物保護の限界/公法を私法で置き換える/不完全性からくる匿名性/許認可文化 vs フリー文化/完成がもたらす問題/選択
  • 第一一章 プライバシー
    私的状況でのプライバシー/公共の場でのプライバシー:監視/公共の場でのプライバシー:データ/解決策/捜索/プライバシーの比較
  • 第一二章 言論の自由
    言論を規制するもの:出版/言論の規制:迷惑メールとポルノ/言論の規制:フリー文化/言論を規制するもの:流通・配布/言論の教訓
  • 第一三章 間奏
  • 競合する主権
  • 第一四章 独立主権
    空間の主権:規則/空間の主権:規則の選択
  • 第一五章 競合する主権
    対立/互恵的な盲目性/サーバー空間の「中に」いることについて/考えられる解決策
  • 対応
  • 第一六章 われわれが直面している問題
    法廷の問題/立法の問題/コードの困ったところ
  • 第一七章 対応
    司法の対応/コードに対する対応/民主主義の対応
  • 第一八章 デクランは何を見落としているのか
  • 第一九章 補遺
  • 訳者あとがき
    バージョン2について/本書の概要/「規制」とインターネット/民主主義の将来/本書の意義(個人的に)/レッシグその後/謝辞など
  •  注/索引

【感想は?】

 ヤバい。かなりヤバい。この本の警告は、既に現実になっている。

 ばかりか、この本が予告した以上の危険が迫っている。この本では、「サイバー空間」という言葉を使っていた。当時、インターネットはいわゆる「コンピュータ」の世界だったからだ。だが、今はそうじゃない。

 私が思い浮かべたのは、酒井法子の失踪事件だ。あれは2009年8月、この本が日本で出てから2年も経っていない。彼女が姿を消してから、マスコミは報じた。「携帯電話も使っていない」。どういう意味か。携帯電話を使えば、居所がわかる、そういう意味だ。

 2007年当時だと、インターネットはパソコンの世界だった。サイバー空間は大きなモニタの向うで、現実世界との境目はハッキリしていた。でも今はそうじゃない。携帯電話やスマートフォンと共に、いつだって私達の傍にある。その気になれば、当局はいつでも私達の居所を掴める。かつては中継局から手繰る形だったが、今はGPSで細かく場所がわかる。

 これの何がヤバいのか。犯人が捕まりやすくなって治安がよくなる。いい事じゃないか。

 そんな簡単な話ではないのだ。民主主義国家では、市民の力と政府の力のバランスがある。一時期は、インターネットが市民の力を増やすと思われていた。だが、現実は違った。警察は、携帯電話で市民の居所を掴める。つまり、政府の力が大きくなっているのだ。マイナンバーと IPv6 の普及は、この動きを更に後押しするだろう。

 例えば、イランは中国政府の技術協力を得て、携帯電話網の監視システムを作り上げた。今のイスラム体制を批判する勢力を押さえ込むためだ。当然、中国も共産党政権に逆らう者を捕らえるために同じ技術を使っている。

 つまり、いわゆる「政府」と「市民」の力関係が、コンピュータとネットワークの普及により、大きく変わってしまったのだ。それも、政府有利に。

 すまない。興奮して突っ走りすぎた。次の記事では、もう少し頭を冷やして内容を紹介したい。

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2015年9月14日 (月)

佐野義幸・柳生浄勲・結石友宏・河島巌「トコトンやさしい3Dプリンタの本」日刊工業新聞社B&Tブックス

この本は、“3Dプリンタとは何か”から始まり、技術の基本とその使い方、およびこの技術が今後どのように発展していくかということをトコトンやさしく解説しました。
  ――はじめに

【どんな本?】

 最近話題の3Dプリンタとは何だろう? それで何ができて、何が嬉しいんだろう? なぜ突然に3Dプリンタが流行り、話題になったんだろう? どんな人が、どんな事に使っているんだろう? 今は何ができて、将来は何ができるようになるんだろう? どんな原理で動き、どんな種類のものがあるんだろう?

 話題の3Dプリンタについて、その歴史から原理・用途・現状・将来の展開まで、少ない頁数に豊富な図版・イラストをギッシリ詰め込み、親しみやすく紹介する、一般向けの解説書。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 2014年5月27日初版1刷発行。単行本ソフトカバー縦二段組で本文約140頁。9ポイント23字×17行×2段×140頁=約109,480字、400字詰め原稿用紙で約274頁。小説なら中編の分量だが、図版やイラストを豊富に収録しているので、実際の文字数は半分程度。

 文章はです・ます調で一見親しみやすいが、技術屋さんが書いた文章らしく、読んでみるとやや堅い。しかし内要は基礎から親切に説明しているので、じっくり読めば充分に理解できる。

 このシリーズの特徴は、知識と経験が豊富な、その道の一人者が著す点だ。反面、ド素人向けの著述は不慣れな人が多く、とっつきにくい文章になりがちである。著者の長所を引き出し短所を補うため、編集・レイアウト面で徹底的な配慮をしている。以下は、シリーズ全体を通した特徴。

  • 各記事は見開きの2頁で独立・完結しており、読者は気になった記事だけを拾い読みできる。
  • 各記事のレイアウトは固定し、見開きの左頁はイラストや図表、右頁に文章をおく。
  • 文字はゴチック体で、ポップな印象にする。
  • 二段組みにして一行の文字数を減らし、とっつきやすい雰囲気を出す。
  • 文章は「です・ます」調で、親しみやすい文体にする。
  • 右頁の下に「要点BOX」として3行の「まとめ」を入れる。
  • カラフルな2色刷り。
  • 当然、文章は縦組み。横組みだと専門書っぽくて近寄りがたい。
  • 章の合間に1頁の雑学的なコラムを入れ、読者の息抜きを促す。

【構成は?】

 はじめに
第1章 3Dプリンタとは
第2章 3Dプリンタの歴史と未来
第3章 3Dプリンタの役割
第4章 3Dプリンタの種類と特徴
第5章 3Dプリンタのソフトウェア
第6章 3Dプリンタで作ってみよう!

 基本的に前の章の内容を受けて次の章が展開する形なので、素直に頭から読もう。

【感想は?】

 3Dプリンタといっても、いろいろあるんだなあ。

 考えてみれば当たり前の話で、2Dのプリンタもいろいろだ。家庭向けのインクジェット・プリンタもあれば、オフィス用のレーザープリンタもあるし、大きいのになると印刷屋が使う大型輪転機もある。

 この本を読む前の私のイメージだと、3Dプリンタとは「賢いNC旋盤」だと思っていたが、全然違った。何より、加工法が違う。NC旋盤は削って形を整えるが、3Dプリンタはニュルニュルと吐き出してモノを形にしてゆく。機械かが吐き出したソフトクリームをコーンカップで受けて渦巻きの形に整える、みたいな。

 ソフトクリームは機械が吐き出すのはアイスだけど、3Dプリンタは色々。樹脂や金属はともかく、チョコレートまで使われているとは。10年後には、女子中高生がバレンタインデーのために頑張って3D-CADを学んだり、ケーキ屋が3Dプリンタを使ったりするんだろうか。

 冒頭は将来の話が中心で、SF者には楽しい話題がいっぱい。既に印刷物ではプリント・センターが普及してるけど、3Dでも同じサービスができるだろう、と。既にプリント・オン・デマンド(→Wikipedia)はあるから、ビルド・オン・デマンドも出てくるんだろうなあ。

 中でも納得したのが、医療分野での応用。骨や歯の形は人によって違うから、挿し歯とかもそれぞれが特注品だ。これをCTスキャナなどと組み合わせ3Dプリンタで手軽に作れるようになれば、安上がりな上に精巧なものが作れる。ということとで私の頭頂部の砂漠化も…

 他にも電化製品の部品の話が嬉しい。近所の電気屋でビルド・オン・デマンドできれば、壊れた際に部品取り寄せの手間が減らせるのだ。メーカーも部品の在庫を取っておかなくていい。ただし、肝心の素材の問題はあるんだけど。

 読んでいて楽しかったのが、「第4章 3Dプリンタの種類と特徴」。3Dプリンタの原理から仕組みまでを解説する章だ。いかにも技術屋さんが書いた文章で表現は固いし、内容もそれまでの章に比べ突然高度になった感はあるが、ヒネた表現はないし、じっくり読めばちゃんと理解できる。

 3Dプリンタの原理は色々あるが、共通しているのは「薄い面を重ねて立体物を作る」って理屈。理屈は同じでも、用途や価格により実装は様々。家庭用の小型で安い3Dプリンタなら、ヒモ状の樹脂を熱して柔らかくし、ニュルニュルと吐き出しいていくシロモノ。

 これが粉末焼結法だと、材料からして違う。ナイロン樹脂はともかく、セラミック粉末・銅・チタンとかの金属粉末もある。まず平らな台に薄く粉を敷き、レーザーなどで目的の形に焼く。再び薄く粉を敷き、焼いて…の繰り返し。どしても装置は大きく高価になるので、プロ向きってこと。

 などのハードウェアに加え、ソフトウェアの章が独立しているのも3Dプリンタならでは。ちょっとややこしいのが、3Dプリンタが受け付けるファイルのフォーマット。STL(Standard Trianglulated Language)とGコードがある。2Dのプリンタで例えると STL は PDF でGコードは PostScript に該当する…のかなあ・全然違う気もする。

 いずれにせよ、どっちも標準化されて規格が決まっているのはありがたい。昔のプリンタはメーカーや機種によって命令が全然違うから、ドライバが大変な事になってたんだよなあ。

 コンピュータから3Dプリンタへのデータの受け渡しも、オンラインとオフラインの2種がある。USBなどオンラインで直接繋いでもいいけど、これだとモノが完成するまで、コンピュータの電源を切れない。USBメモリやSDカード経由で渡せば、パソコンの電源を切ってもいい。

 パソコンの電源を切れるかどうかがなぜ大事かというと、出力にソレナリの時間がかかるから。この本では家庭用の3Dプリンタでペン立てを作ってて、出力にかかった時間が14時間。ひと晩以上かかってる。これがプロ用の大きくて精度の細かい3Dプリンタだと、もっと時間がかかるんだろうなあ。

 ここ数年で急速に普及したシロモノだけに、今後の技術進歩や価格の変動も大きいだろうから、細かい数字はすぐに古びるだろうけど、基本的な原理は変わらないはず。手軽に3Dプリンタの基礎を身につけるには、充分に役立つ本だ。にしても、pypy(→Wikipedia) なんてのがあるとは知らなかった。ちょっと使ってみたいかも。

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2015年9月 3日 (木)

スマイリーキクチ「突然、僕は殺人犯にされた ネット中傷被害を受けた10年間」竹書房文庫

「そういう、どうでもいいことにこだわっている話をブログでやったらおもしろいと思いますよ」
  ――第二章 謎の本

不思議なことに匿名の人ほど他人に対するマナー、道徳に厳しいように感じる。
  ――第五章 重圧、そして新たなる敵

【どんな本?】

 1988年、東京都足立区で凶悪な少年犯罪が起こる。多数の少年が一人の被害者を玩具のように扱い殺したのだ。1999年、インターネット上で噂が広がる。「お笑い芸人のスマイリーキクチは、この事件の犯人の一人だ」と。根も葉もないデマである。

 だが、このデマを信じこんだ者たちがいた。彼らはYahoo!知恵袋や2ちゃんねるなどの大手サイトから、スマイリーキクチが所属する事務所の電子掲示板、はては個人のブログに至るまで、様々なサイトで執拗にデマを広げようとする。中には脅迫まがいの文章もあった。

 10年間、インターネット上のデマに苦しんだ著者が、インターネットとの出会いからデマの渦中にいる者の気持ち、そして法的手続きや事件予防のノウハウに至るまでを日記形式で綴ったドキュメンタリー。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 2011年3月に竹書房より単行本で刊行。私が読んだのは2014年4がつ3日に初版第一刷発行の文庫版。文庫本縦一段組みで本文約337頁に加え、ジャーナリスト江川紹子による解説7頁。9ポイント38字×17行×337頁=約217,702字、400字詰め原稿用紙で約545枚。長編小説でもちょうど文庫本一冊分ぐらいの分量。

 ハッキリ言って、文章は拙い。が、わかりやすく親しみやすく読みやすい。具体的には、比喩が少なく文が短い。つまりはカッコよく賢そうに見せるのをスッパリ諦めて、わかりやすさと親しみやすさを最優先した文章だ。内要も特に難しくない。このブログを読める程度にインターネットを使える人なら、充分に読みこなせる。

 なお、インターネットの技術に詳しい人の目から見ると、一部に技術的に不正確な部分がある。例えばIPアドレスの意味でIPという言葉を使ってたり。これにより技術的な正確さが損なわれる反面、技術に詳しくない者にとってはわかりやすく親しみやすい文章になった。どっちがいいかは意見が分かれる所だろう。

【構成は?】

 原則として時系列順に話が進むので、素直に頭から読もう。

 はじめに
第一章 突然の誹謗中傷
第二章 謎の本
第三章 ひとすじの光明
第四章 正体判明
第五章 重圧、そして新たなる敵
第六章 スゴロク
 特別付録 ネット中傷被害に遭った場合の対処マニュアル
 加筆追加付録 目まぐるしく変わるネット社会
 あとがき/解説 江川紹子

【感想は?】

 季節的には遅いが、中学生の夏休みの感想文の題材にはいい素材じゃないだろうか。

 私はブログで記事を書いているし、2ちゃんねるにも名無しで出没している。被害者・加害者どちらにもなり得るので、両方の立場で読んだ。

 インターネットを使う身としては、冒頭から引き込まれた。話は著者が2ちゃんねるに触れた所から始まる。この時、著者はインターネットも2ちゃんねるも知らない。そのため、結構ピンボケな反応をしている。2ちゃんねるのデフォルトのハンドルを固有の名前だと思い込むあたりは、不謹慎と思いつつも笑ってしまった。

 しょうもないデマやなりすましの投稿に悩む著者。最悪の出会いのため、「ネットは気持ち悪いやつが楽しむもの」と思い込んでしまう。

 こういったインターネットに対する思い込みや、特異なサイトを覗いた時の驚きを書いた部分は、私がパソコン通信に始めて触れた時の思い出が蘇ってくる。実は私も当初はパソコン通信に良くない印象を抱いていて、それは私が好きな作家の訃報が連続して流れてきたためだったりする。いや落ち込んだのよ、あの頃はマジで。

 私の場合はパソコン通信だが、多くの人がインターネットに始めて触れた時も、様々な形で驚きと戸惑いを感じた筈で、そういった気持ちを思い出させてくれる点でも、この本の冒頭は巧くできてると思う。

 やがて知人に勧められてブログに興味を持ち、様々な人の支援を受けつつ自分のブログを始める著者。そうなんだよなあ。「どうでもいいことにこだわ」るのが、ブログの面白い所で。なんであれ、暫く続けていると初心を忘れちゃうけど、「こだわり」こそがブログの面白さなんだよなあ。

 とはいえ、著者の本職は芸人であってネットワーク管理者ではない。聴衆を笑わせるのが仕事であって、ネットワークの運営や管理で報酬を得ているわけじゃない。という事で、ここでも色々とピンボケな対応をしていたりするのも、ちょっと可愛い所。そりゃコメントの扱いとか、最初はよくわからないよなあ。

 などとインターネットに触れて一喜一憂する著者の姿を、自らのトンチンカンな対応も正直に書いてるあたり、私は実に身につまされた。以後、著者はログを解析し検索を覚え削除依頼を出すなど、どんどんインターネットの使い方に詳しくなっていくのだが、その成長過程の記録としても楽しく読めたり。

 などと読んでるこっちは気楽なもんだが、当時の著者はかなりナーバスになっていて、日頃の生活や仕事にも影響が出てくる。

 なにせ書き込まれた文言が酷い。中には脅迫とも取れるものもあり、著者は身の危険まで感じるようになる。傍から見れば「気にすんな」で済んでしまうところだが、こればっかりは当事者の立場にならないとわかりにくいだろう。いや私もブログ炎上の経験はないんでよく分からないが、「多くの人から敵意を向けられる」のが、かなりシンドイのはわかる。

 こういった、陰険な噂話のネタにされる者の気持ちを、正直に綴っているあたりも、この本の読みどころであり、小中学生などのインターネットに触れ始める人たちに読んで欲しい所でもある。やってる側はちょっとした遊びのつもりでも、やられる側は大きなダメージを受けるのだ。

 そんな噂話に翻弄される者の気持ちと同時に、そういった苦労をしている者にとって、何が励みになるのか、苦しむ家族や友人に対し周囲の者に何ができるのかも、この本から読みとる事ができる。

 デマや脅しまがいの文言に困惑し、警察を含む様々な機関に相談するものの、当時はインターネットに詳しい者も少なく、決まり文句のように「インターネットをしなければいい」と言われるばかり。このあたりの事情は、流石に今は多少改善されているだろうけど、その改善のキッカケを作った功労者の一人は著者と言っていいだろう。

 幾つもの障害を越え、なんとか犯人たちは特定できたものの…。中には某社のセキュリティー部門の責任者もいて、職場のマシンから書き込んでいたというから、呆れるやら悲しくなるやら。

 セキュリティー担当でしょ。悪意のアクセスを防いだり、ファイアウォールを突破されたら対応する立場でしょ。HTTPサーバやプロキシサーバに履歴が残る事も知らなかったのかね。なんでそんな技術に無知な奴が責任者をやってられるの? そもそもこの国の人事制度は…などと言い出すとドス黒い感情が噴火するので止めておこう。

 他の犯人も様々ながら、やはり病気っぽい人もいたり。ハッキリした意図を持ってやってる人も怖いが、病気の人も怖いよなあ。でもって、犯人の全員が、デマの内容を全く検証していなかった、というのも怖い。

 「自分は知っている」と思うと、ヒトは検証しない。ヒトゴトのように書いちゃいるが、この私にも同じことが言える。2ちゃんねらの一人として、そしてブロガーの一人として、自分がデマを撒き散らしていないとは断言できない。まあ、この辺を深く追求していくと「じゃ、何が信用できるのか」みたな話になっちゃうんだけど。

 巻末の付録は、自らの経験を活かした上で、公的なサイトなどから得た情報も盛り込んだ、なかなかの力作であるばかりでなく、文庫本を出すにあたって LINE などの最新情報も盛り込んだ充実したもの。流行り廃りの激しい世界なだけに、できれば版を重ねる度に更新して欲しい所だが、2015年現在の資料としては充分に実用的な価値がある。

 ブログでも LINE でも Twitter でも Facebook でも、インターネットを使うなら、とりあえず読んでおいて損はない。小中学校で情報科目を教えるなら、副読本として採用してもいい本だと思う。

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2015年2月27日 (金)

John Whitington「PDF構造解説」オライリージャパン 村上雅章訳

本書を先頭から読み進めるだげで、核となる概念を効率よく吸収でき、PDFというフォーマットの内部構造を理解できるようになります。そしてpdftk というフリーウェアの力を借りることで、テキストエディタを使って手作業でPDFファイルを作成したり、プログラムから直接PDFファイルを出力できるようにもなります。
  ――訳者まえがき

【どんな本?】

 PDF(Portable Document Format)は、文書形式の一つだ。主に印刷物など、レイアウトが決まった文書に向く。Adobe Systems が開発し、2008年7月に ISO 32000-1 として国際規格となった。

 インターネット上でも、官公庁が公開する資料や、一般に配布する申請用紙などで使われている。また、Microsoft Word や Adobe Photoshop などのコンピュータで作った文書を書籍化する際は、PDF で入稿する場合が多い。

 普及が進む PDF だが、その構造を知るのは難しい。公開の仕様書は膨大な頁数で、理解するには多くの前提知識が必要だ。この本は、「とりあえず大雑把にPDFの概略を掴みたい」という人向けに、「PDFとは何か」「どんな要素を持っているか」「どんな形式で記述しているか」を解説する。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は PDF Explained, by John Whitington, 2012。日本語版は2012年5月22日初版第1刷発行。単行本ソフトカバー横一弾組みで本文約219頁。9ポイント37字×32行×219頁=約259,296字、400字詰め原稿用紙で約649枚だが、サンプル・コード/サンプル出力/イラスト/表などを多数収録しているので、実際の文字数は6~7割ほど。

 日本語の文章は少々堅い。オライリーの翻訳本では平均的なレベルかな? 内容の難しさは、評価がややこしいので後述。当然ながら、これ一冊でPDFの全てを賄う本ではない。詳しく知りたければ、正規のドキュメントを読もう。また、オライリーの本だけあって、プログラミングの経験がないと辛い。

【構成は?】

 1章~4章は必ず読もう。全体の基礎となる部分だ。5章以降は、気になる所だけを拾い読みすればいい。

  • 訳者まえがき/まえがき
  • 1章 はじめに
    • 1.1 簡単な歴史
      • 1.1.1 ページ記述言語
      • 1.1.2 PDFの開発
      • 1.1.3 PDFのメリット
      • 1.1.4 ISO規格
      • 1.1.5 特殊なPDF
      • 1.1.6 各バージョンの概要
    • 1.2 PDFファイルの内部はどうなっているのか?
      • 1.2.1 テキストとフォント
      • 1.2.2 ベクタイメージ
      • 1.2.3 ラスタイメージ
      • 1.2.4 カラースペース
      • 1.2.5 メタデータ
      • 1.2.6 ナビゲーション
      • 1.2.7 オプショナルコンテンツ
      • 1.2.8 マルチメディア
      • 1.2.9 対話型フォーム
      • 1.2.10 論理構造と再フロー 
      • 1.2.11 セキュリティ
      • 1.2.12 圧縮
    • 1.3 どういった人々がPDFを使うのか?
      • 1.3.1 印刷業界
      • 1.3.2 電子書籍と出版
      • 1.3.3 PDFのフォーム
      • 1.3.4 文書のアーカイブ
      • 1.3.5 ファイルフォーマットとして
    • 1.4 便利な無償のソフトウェア
  • 2章 簡単なPDFファイルの作成
    • 2.1 PDFの基本的なシンタックス
      • 2.1.1 ドキュメントコンテンツ
      • ページコンテンツ
      • ファイル構造
    • 2.2 ドキュメント構造
    • 2.3 要素を組み立てる
      • 2.3.1 ファイルヘッダ
      • 2.3.2 主となるオブジェクト
      • 2.3.3 グラフィックスコンテンツ
      • 2.3.4 カタログと相互参照テーブル、トレーラ
    • 2.4 すべてをまとめる
    • 2.5 補足
  • 3章 ファイル構造
    • 3.1 ファイルレイアウト
      • 3.1.1 ヘッダ
      • 3.1.2 本体
      • 3.1.3 相互参照テーブル
      • 3.1.4 トレーラ
    • 3.2 字句規約
    • 3.3 オブジェクト
      • 3.3.1 整数と実数
      • 3.3.2 文字列
      • 3.3.3 名前
      • 3.3.4 ブーリアン値
      • 3.3.5 配列
      • 3.3.6 辞書
      • 3.3.7 間接参照
    • 3.4 ストリームとフィルタ
    • 3.5 インクリメンタル更新
    • 3.6 オブジェクトと相互参照ストリーム
    • 3.7 直線化PDF
    • 3.8 PDFファイルの読み込み方法
    • 3.9 PDFファイルの書き出し方法
  • 4章 ドキュメント構造
    • 4.1 トレーラ辞書
    • 4.2 ドキョメント情報辞書
    • 4.3 ドキョメントカタログ
    • 4.4 ページとページリスト
    • 4.5 テキスト文字列
    • 4.6 日付
    • 4.7 すべてをまとめる
  • 5章 グラフィックス
    • 5.1 コンテンツストリームの内容を覗いてみる
    • 5.2 オペレータとグラフィックスの状態
    • 5.3 パスの生成と塗りつぶし
      • 5.3.1 ベジェ曲線
      • 5.3.2 図形の塗りつぶしとワインディング規則
    • 5.4 カラーとカラースペース
    • 5.5 変換
    • 5.6 クリッピング
    • 5.7 透明度
    • 5.8 シェードとパターン
    • 5.9 フォームXObject
    • 5.10 イメージXObject
  • 6章 テキストとフォント
    • 6.1 PDFにおけるテキストとフォント
    • 6.2 テキストの状態
    • 6.3 テキストの印字
      • 6.3.1 テキストの選択
      • 6.3.2 テキスト空間とテキストの位置決め
      • 6.3.3 テキストの描画
    • 6.4 フォントの定義と埋め込み
      • 6.4.1 PDFにおけるフォントタイプ
      • 6.4.2 Type1フォント
      • 6.4.3 フォントのエンコーディング
      • 6.4.4 フォントの埋め込み
    • 6.5 ドキュメントからテキストを抽出する
    • 6.6 リリース
  • 6.5章 日本語の取り扱い
    • 6.5.1 サンプルコード
    • 6.5.2 フォント辞書
      • 6.5.2.1 エンコーディング
    • 6.5.3 CIDフォント辞書
      • 6.5.3.1 CIDシステム情報
    • 6.5.4 フォントディスクリプタ
    • 6.5.5 ページのコンテンツ
  • 7章 ドキュメントのメタデータとネビゲーション
    • 7.1 しおりとデスティネーション
      • 7.1.1 デスティネーション
      • 7.1.2 ドキュメントアウトライン(しおり)
    • 7.2 XMLメタデータ
    • 7.3 注釈とハイパーリンク
    • 7.4 ファイルの添付
  • 8章 ドキュメントの暗号化
    • 8.1 はじめに
    • 8.2 暗号化辞書
    • 8.3 暗号化されたドキュメントの読み込み
    • 8.4 ドキュメントの暗号化と書き込み
    • 8.5 暗号化されたドキュメントの編集
  • 9章 pdftkを用いた作業
    • 9.1 コマンドラインシンタックス
    • 9.2 ドキュメントのマージ
      • 9.2.1 ファイルをマージした際に起こること
    • 9.3 ドキュメントの分割
      • 9.3.1 ファイルを分割した際に起こること
    • 9.4 スタンプと透かし
      • 9.4.1 スタンプを追加した際に起こること
    • 9.5 メタデータの抽出と設定
    • 9.6 ファイルの添付
    • 9.7 暗号化と復号化
      • 9.7.1 暗号化されたファイルの復号化
      • 9.7.2 ファイルの暗号化
    • 9.8 圧縮
  • 10章 PDFソフトウェアと参考文献
    • 10.1 PDFビューア
      • 10.1.1 Adobe Reader
      • 10.1.2 プレビュー
      • 10.1.3 Xpdf
      • 10.1.4 GSview
    • 10.2 ソフトウェアライブラリ
      • 10.2.1 JavaおよびC#向けのiText
      • 10.2.2 PHP向けのTCPDF
      • 10.2.3 Perlを用いたPDFの処理
      • 10.2.4 Mac OS X上のPDF
    • 10.3 フォーマットの変換
      • 10.3.1 PDFからPostScriptへ、またはその逆への変換
      • 10.3.2 PDFのラスタ化によるイメージへの変換
      • 10.3.3 ファイルの印刷によるPDFへの変換
    • 10.4 PDFの編集
      • 10.4.1 Adobe Acrobat
      • 10.4.2 Mac OS X のプレビューを用いた編集
    • 10.5 PDFとグラフィックスの参考文献
      • 10.5.1 ISO32000とPDFファイル形式
      • 10.5.2 PDF Hacks
      • 10.5.3 関連する話題
      • 10.5.4 フォーラムとディスカッション
      • 10.5.5 Adobeのウェブサイトにあるリソース
  • 付録A JavaScriptの埋め込み(古簱一浩)
    • A.1 埋め込みの基本
      • A.1.1 文書アクションでのJavaScript埋め込み
      • A.1.2 フォームレベルでのJavaScript埋め込み
      • A.1.3 ページレベルでのJavaScript埋め込み
      • A.1.4 PDF読み込み時のJavaScript埋め込み
      • A.1.5 一括してJavaScriptを編集する
    • A.2 JavaScriptのデバッグ
      • A.2.1 デバッガーの起動
    • A.3 しおりを階層化テキストで書き出す
    • A.4 閲覧期限を限定する
    • A.5 閲覧回数を表示する
    • A.6 フルスクリーンモードにする
    • A.7 自動的にしおりを作成する
    • A.8 スライドショー
    • A.9 ゼロパディング
    • A.10 メニューの実行
    • A.11 アクション/バッチ処理
    • A.12 その他のJavaScript
    • A.13 JavaScriptコードを一括して削除する
  • 付録B 電子書籍に便利なツール集(千住治郎)
    • B.1 文字列を検索する――pdfgrep
      • B.1.1 poplerライブラリ
    • B.2 PDFを比較する――diffpdf
    • B.3 pdftkのGUI――pdfchain
    • B.4 WISIWYGなPDFエディタ――pdfedit
    • B.5 PDFの版管理機能――pdfresurrect
      • B.5.1 処理内容
      • B.5.2 pdfresurrectの機能
      • B.5.3 利用形態(案)
    • B.6 PerlのText::PDFモジュール
    • B.7 電子書籍の管理――calibre
  • 索引

【感想は?】

 以下三つの条件を全て満たす人向けの本だ。

  1. PDFに興味がある。
  2. プログラミングの経験がある。
  3. 文字や図形の描画について、多少の知識がある。

 加えて、できれば Adobe Illustrator を使い込んでいると、感覚を掴みやすいだろう。

 「PDFに興味がある」といっても、その程度は様々だ。だいたい、次の三段階に分かれるだろう。

  1. 「PDFとは何か」を知りたい
  2. 「PDFで何ができるか」を知りたい
  3. 「ソレはどうやればいいのか」を知りたい

 後の方ほど、細かく詳しい解説が必要になる。この本は、2. と 3. の中間あたりまでを満たす内容だ。「PDFで何ができるか」は、だいたい見当がつく。だが、実際にPDFを扱うプログラムを作るには、Adobe Systems から分厚い仕様書を手に入れる必要がある。

 基本的に「ザッと軽く流し読みして、細かい所は Adobe の仕様書を読んでね」という本である。これ一冊でPDFの全てを賄う本ではない。また、プログラミングの経験がないと、読んでもナニを言ってるのか見当もつかないだろう。B木は、まあわからなくても大きな問題はないだろうが、「相互参照テーブル」がわからないと、かなり厳しい。

 「軽く流し読み」が前提の本とはいえ、それぞれの章は、相応の前提知識が必要だ。

 2章~3章では、少なくともASCIIとUnicodeの違いがわかる程度には文字コードの知識が必要である。さすがに16進ダンプをスラスラ読める必要はないが、0x20と聞いて「ASCIIの空白ね」と分かる程度には知らないとマズい。少なくとも、テキスト・ファイルとバイナリ・ファイルの違いは分かっている必要がある。

 「5章 グラフィックス」では、「マイター結合」だの「ワインディング規則」だの「カラースペース」が出てくる。これらは Adobe Illustrator を使い慣れていたり、PostScript を知っていれば、雰囲気を掴みやすい。つかCTM(Current Transformation Matrix)がピンと来る人は滅多にいない…いや、CGの世界じゃ常識なのかな?

 「6章 テキストとフォント」も、相当に突っ込んだ話が次々と出てくる。「レディング」「カーニング」「グリフ」…。文書を作る際に、Microsoft Wrod ではなく、Adobe InDesign や Quark XPress を使う人向けの内容である。

 そんなわけで、全部を真面目に通して読む人は、滅多にいないだろう。大半の人は、1~4章を軽く流し読みして、5章以降は意味不明な所を飛ばしながら読む、そんな読み方になると思う。というか、全体を完全に理解しながら読める人は、素直に Adobe から正規の文書を手に入れた方がいい。

 私は「どうせ PostScript+αだろう」と思っていたんだが、だいぶ違うので驚いた。ラスタ画像がなきゃテキスト・ファイル名 PostScript に比べ、PDFはヘッダから ox80 以上のバイトが出てくる。バイナリとテキストが混在した、ややこしい形式なのだ。

 単純な頁の並びかと思っていたが、終端近くに「各オブジェクトのバイト・オフセット」が入ってるし。これじゃテキトーに中身を入れ替えたら、ズレて使い物にならなくなるじゃん←ナニをするつもりだw いや書き換えたいじゃん、できれば sed や awk とかのコマンド一発で←をい

 「PDFなら文字の位置とかもズレないよね」と思っていたが、この本を読む限り、ズレる可能性は充分残ってるっぽい。

 というのも、各文字の送りなどはフォントに依存するんで、表示または印刷する環境に、必要なフォントがなかったり、フォントのバージョンが違ってたりすると、悲劇が起きる可能性はある。素直にPDFにフォントを埋め込んでおけば問題ないんだけど、日本語はフォント情報が膨大だしなあ。現場じゃどうやってるんだろ?

 まあいい。全般として、初心者向けとしては詳しすぎるしマニアックすぎ、プロ向けとしては詰めが甘い本である。プロが Adobe の仕様書を読む前に、全体の雰囲気を掴むために流し読みする、といった位置づけの本だろう。

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2015年2月23日 (月)

アップルにiPod nano の電池交換を問い合わせたら第1世代が第7世代に進化した

 だいぶ前、アップルの iPod nano の電池に問題が見付かり、回収になった。もしかして自分の iPod nano も対象ではないか?と思いアップルに電話して問い合わせたら、新品と交換してもらえた。アップルからは「最大で6週間ほどかかる」と言われたが、一週間で完了した。そこで、ここに顛末を書いておく。

【結果】

交換前:iPod nano 第1世代 容量2G 2006年2月18日に購入したもの
交換後:iPod nano 第7世代 容量16G 2015年2月23日に受け取る

なお、当然ながら、元の iPod nano の内要は完全に消える。
必要なデータ(住所録など)があるらなら、バックアップしておこう。

【概要】

2015.02.16(月) 10:00ごろ アップルのサポートに電話し、状況を伝える。
2015.02.19(木) 17:30ごろ 今使っている iPod nano を、ヤマト運輸が回収に来る。
2015.02.23(月) 10:50ごろ iPod nano 第7世代 16Gを、ヤマト運輸から受け取る。

【詳細】

0.予め用意するもの

iPod nano のシリアル番号
自分の住所・連絡先の電話番号(配送のヤマト運輸との連絡のため)・メールアドレス
ペンとメモ用紙:修理番号を書きとめる

1.2015.02.16(月) 10:00ごろ アップルのサポートに電話する。電話番号は 0120-277-535。

iPod nano の電池交換サービスの対象となるか否かを問い合わせた。
ここでシリアル番号を伝えると、詳細はアップル側が調べてくれる。
電池交換サービスの対象は iPod nano 第1世代であり、私の iPod nano は第2世代だ。
よって文言どおりなら交換対象ではないのだが、なぜが交換してもらえることになった。

2015年2月16日現在、iPod nano 第1世代は製造が終わっている。
そのため、最近の世代への交換となる。
この時点では、第6世代または第7世代に交換する事になった。

第6世代なら、送られてくるのは本体のみである。PCとの接続ケーブルやイヤホンは付かない。
第7世代の場合、本体+PCとの接続ケーブルがくる。
これは、第7世代で接続ケーブルの端子の形が変わったためだ。
だから、第6世代までは第2世代用のケーブルが流用できる。
だが第7世代はケーブルを流用できないのである。

今使っている iPod nano の引き取りの打ち合わせをする。
ここで住所と電話番号とメールアドレスを伝える。
引取りのにくる日時は、ある程度指定できる。
朝9:00~夜21:00の間で、2~3時間刻みぐらいの精度だ。
例えば「2015年2月18日水曜日の午前9時~12時の間」のように。

今の iPod nano を渡す際は、本体だけを渡せばよい。
ケーブルや保証書などは要らない。

なお、「交換には最大6週間かかる」そうだ。
最後に修理番号を教えてくれるので、メモしておこう。
配送などで不具合が合った時、修理番号を伝えれば迅速に対応してくれる。

3.2015.02.16(月) 11:30ごろ アップルから交換サービス受付確認のメールが届く。

私の場合、電話が終わってから60分以内に届いた。
英語だが、短い文章ばかりなので、私にも理解できた。
iPod nano のシリアル番号と、修理番号が書いてある。
文中のハイパーリンクをクリックすると、Web ブラウザで修理の進捗状況が確認できる。

以下にアップルからのメールを示す。
なお、シリアル番号と修理番号(赤い文字の所)は架空のものに変えた。

差出人:AppleSupport@email.apple.com
件名:We got your repair request.

Dear Customer,
Thanks for choosing Apple Support for your repair.

IPOD NANO

Problem Description:
iPod Hardware - iPod nano (1st gen.) Replacement Program
Serial Number: 0A123B45CDE
Repair ID: F987654321
Track the status of your repair.

What happens next?

Shipping
The courier will pick up your product and provide the necessary box.
Please give the courier the only the product itself.
If you include other items, such as the exterior box,
warranty, protection case, protection film, or any other items,
we won't be able to return the items to you.

Coverage
Based on the information you have provided,
we believe that your repair will be covered by the warranty,
an AppleCare product, or an Apple repair program or exchange program.
We will contact you if we have questions or concerns about the coverage.

4.2015.02.19(木) 17:30ごろ 回収に来たヤマト運輸に、今使っている iPod nano を渡す。

今使っている iPod nano を渡せばよい。
特に包装する必要はなく、裸のまま渡せばいい。
イヤホンやケーブルなどの付属品は渡さない。

5.2015.02.20(金) 17:30ごろ アップルから修理品の受取確認のメールが届く。

以下にアップルからのメールを示す。
なお、修理番号(赤い文字の所)は架空のものに変えた。

差出人:AppleSupport@email.apple.com
件名:We've received your product.

We'll start the repair now.
Your product reached the Apple repair center on 2015-02-20.
We will send you another email when the service request is complete.

Product: IPOD NANO
Repair ID: F987654321

You can also track the status at our Repair Status website.

Sincerely,
Apple Support

TM and copyright (c) 2015
All Rights Reserved / Privacy Policy / Support / Give us feedback

6.2015.02.22(日) 17:00ごろ アップルから修理完了・発送済みのメールが届く。

以下にアップルからのメールを示す。
なお、シリアル番号と修理番号と追跡番号(赤い文字の所)は架空のものに変えた。

On its way!
Your repair request is complete and we're sending you a replacement product.

Model
IPOD NANO

Repair ID
F987654321

Tracking number
123456789012

You can choose the delivery date and time after the tracking number
appears in the Yamato system.
This may not be immediate.
Once the tracking number is active,
you can call Yamato Transport to schedule the delivery.
Be sure to have your tracking number ready.

Serial number of original product
0A123B45CDE

Serial number of replacement product
ABCDE0F1G2HI

Please keep this email.
It shows that your product's serial number has changed with this repair.
You can track this request at our Repair Status website.

Thanks,
Apple Support

TM and copyright (c) 2015
All Rights Reserved / Privacy Policy / Support / Give us feedback

メール中の追跡番号(Tracking number)はハイパー・リンクになっている。
これをクリックすると、ブラウザで配送状況が確認できる。
集積所から自宅に向け配送中なら、ヤマト運輸のサイトで運転手の携帯電話の番号までわかる。
便利だなあ。

7.2015.02.23(月) 10:50ごろ ヤマト運輸が、新しい iPod nano を届けてくれる。

iPod nano 第7世代 16G のまっさらな新品だった。
付属品はケーブルではなく、旧ケーブルと端子の形を変える変換コネクタが付いてきた。
いずれにせよ、問題なく使えるので不満はない。

今までの容量2Gから16Gにいきなりスケール・アップしたので、ちょっとしたパニックになった。
なんか機能もやたらと増えてるし。
それでも、iTunes から音楽を転送したら、15分もかからず終わる。速い。すげえ。

【おわりに】

どうでもいい話を三つ。

その1。

電話の応対に出た人は、若々しくハキハキした声の女性である。「オフにはスカッシュやってます」みたいな感じの、元気のいい声だ。と同時に、会話の内要は深い業務知識とサポートの長い経験を感じさせる、賢く頼もしい印象がある。私の用件はクレームとも取れるシロモノであるにも関わらず、電話の後は愉快な気分になった。

もちろん、新世代の iPod nano が手に入る、というさもしい欲得は、ある。それに加え、頭の回転の速い人との会話は、楽しいのだ。たとえそれが事務的な話であっても。

寂しさでクレームの電話をかけまくる老人の気持ちが、少しだけ分かってしまった。

その2。

このサービスの結果、今まで使っていた iPod nano とはお別れする羽目になる。これが、少し寂しい。アップルの製品は、機械のクセに、長く使っていると、ペットのような愛着が湧くのだ。電池交換サービスはオトクなサービスにも関わらず、今使っているモノへの愛着ゆえに断念する人も多いんじゃないかと思う。

その3。

新しい iPod nano を受け取り、使い方を少し飲み込んだら、さっそくお出かけしたくなった。
とにかく嬉しくて、使いたくてしょうがないのだ。
iPod は引き篭もりの対策に使える…わけないかw

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