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2020年12月 2日 (水)

みんなSFのせいだ

 私が読む本は傾向がバラバラで、「これが専門」と言えるものがない。何を読むかは、店頭や図書館の棚と、その時の野次馬根性で決まる。いや小説だとSFが好きってハッキリした傾向があるんだが、ノンフィクションはアチコチの分野を食い散らかしている。

 なんでこうなったかというと、やっぱりSFのせいだ。

 まず軍事関係。これはハヤカワ文庫NFの影響が大きい。書店じゃハヤカワ文庫SFの隣にハヤカワ文庫NFがあったりする。だからSFを漁る時に、ハヤカワ文庫NFも目に入ってしまう。今はそうでもないが、昔のハヤカワ文庫NFは軍事物も多かった。コリンズ&ラピエールとかコーネリアス・ライアンとかジョン・トーランドとか。それで軍事にハマったのだ。

 そういう物理的な理由もあるが、中身のせいでもある。

 例えばゲーム理論。これに興味を持ったのは、山田正紀の「謀殺のチェス・ゲーム」にカブれたから。自衛隊の最新対潜哨戒機の盗難から始まる、ゲーム理論の専門家同士の追いかけっこを描く、アクション・ミステリ。それまで本格SFばかり書いてた山田正紀が、SFから飛び出し、より広い市場に挑戦した意欲作で、今でも一級の娯楽小説として通用すると思う。

 やはり技術史に手を出したのは、マイケル・クライトンの「タイムライン」が面白かったため。歴史学の教授と学生が英仏戦争真っただ中の14世紀のフランスに放り込まれ…ってお話。これに出てくる実践歴史学に野次馬根性を刺激された。当時の技術で当時のモノを再現しようって学問だ。ここから技術史の面白さに目覚めたのだ。

 まあ目覚めたのはいいが、歴史学ってのは異様に範囲が広い上に深く追求するとキリがない世界だ。これは技術史に限っても同じで、当時の勢力情勢や政治体制はもちろん、産業・気候・地形・生態系そして技術水準など、やたらと多くの要素が絡むんで、やっぱり足を踏み入れるとキリがないのであった。

 最近になって倫理学に目移りし始めたのは、SFマガジンで山本弘の「輝きの七日間」を読んだせい。実は連載の初回は読み逃した上にオトナの事情(→Twitter)で書籍が出てないため、いい加減な紹介なんだが、「いきなり人類の知能が七日間だけ急上昇したらどうなるか」ってお話。この作品は倫理が大きく関わってて、「ちょっと違くね?」と思う所も多かった。

 そこから始まって「そういや善悪の基準って何だろう?」とか考え始め、倫理学に行きついたのだ。ところで善悪の基準、つまり「何が善で何が悪か」ってのは、たぶん誰もが興味を持つ話…だよね、そうだと言ってくれ。まあいい。そういう事にしておく。

 でも、現実だと、そういう事を突っ込んで考えるのは、毛が生え始めた厨房か、さもなきゃ大学で哲学を研究する専門家、と相場が決まってるのは何故だろう? 誰もが興味と自分なりの意見を持って主張できる、なかなか美味しい分野だと思うんだが。もっとも、だからこそ、マジになりすぎてシャレにならん決裂をもたらしかねないネタでもあるんで、近づかないのがオトナなのかも。

 と、まあ、そんな風に、私の読書傾向が雑然かつ混沌としているのは、みんなSFのせいです。

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