社団法人 日本音楽スタジオ協会「サウンドレコーディング技術概論 2009改訂版」兼六館出版
本書は、(略)レコーディングに関与しているエンジニア諸氏の日常的マニュアルとして利用していただくことは勿論、これからレコーディングエンジニアを目指す方々にとっては教科書として役に立つことと確信しております。
――はじめに声を艶やかに、しかも輪郭をハッキリさせたい場合、基音である中音域をいじるよりも、高い方の倍音(10kHz~18kHz)辺りをブーストするとその効果が出る場合が多い。
――第6章 次世代音響技術現在、ロック・ポップス系のアーティストの原版制作費の平均は、アルバムで1,000~1,500万円、シングルで200~300万円といったところだろうか。
――第8章 音楽著作権
【どんな本?】
レコーディング・エンジニアの仕事は多岐にわたる。録音時のマイク選びや位置決め、機材の電源確保から保守管理、残響やイコライズなどのエフェクト処理、各段階の音源管理や配信媒体の特性に合わせたミックスダウンなど、多くの専門知識と経験が必要だ。最近はDAW(Digital Audio Workstation)が普及し、コンピュータ関連のノウハウも重要になってきた。
本書はプロのレコーディング・エンジニア向けのマニュアルとして書かれたものであり、レコーディング・エンジニアに必要な技術と知識を総合的・体系的に網羅した本である。
と同時に、演奏を楽しむアマチュア・ミュージシャンや、理想の音を追い求めるオーディオ・マニア、パソコンで音楽を創るDTMユーザ、そしてより深く音楽を味わいたい音楽ファンにも、濃くて美味しい話が山盛りの美味しい本でもある。
ちなみに著者のJAPRS(社団法人 日本音楽スタジオ協会)は、通商産業大臣(現:経済産業大臣)の認可を受けた正式な一般社団法人だ。粗製乱造の規格本にありがちな、著者を誤魔化すためのテキトーなデッチあげではない。よって、巻末の「執筆者一覧」に個人名がハッキリ出ており、JAPRS外の7名も執筆に協力している。
なお、技術の進歩や時代に合わせ改訂を重ねており、2020年12月現在は2020年版が出ている。
【いつ出たの?分量は?読みやすい?】
2009年3月20日第1刷発行。単行本ソフトカバー横一段組み約518頁。10ポイント38字×41行×518頁=約807,044字、400字詰め原稿用紙で約2,018枚。文庫なら4巻分ぐらいの巨大容量。ただし写真やイラストも多いため、実際の文字数は7~8割程度。
多数の著者による共著のため、読みやすさはまちまち。また内容も章によりけり。積分や対数を含む数式が続々と出てくる所もあれば、具体的なエピソードが楽しい所もある。
【構成は?】
各章はほぼ独立しているので、野次馬根性で読む人は美味しそうな所を拾い読みしてもいい。
クリックで詳細表示、やたら長いので要注意。
- はじめに/監修を終えて
- 第1章 音響の基礎
- 1.1 “主観的な音”と“客観的な音”
- 1.2 聴覚器官の構造
- 1.3 音の性質
- 1.3.1 波の性質
- 1.3.2 横波と縦波
- 1.3.3 球面波と平面波
- 1.3.4 球面波の伝播
- 1.3.5 正相と逆相
- 1.3.6 音の速さ
- 1.3.7 音の種類
- 1.4 デシベルと音圧レベル
- 1.4.1 デシベルとは
- 1.1.2 dBmとdBu(dBs)
- 1.4.3 dBU/dBu,dBV/dBv,dBS/dBs
- 1.4.4 dBの計算
- 1.4.5 音圧レベル
- 1.5 楽器の音響的な性質
- 1.5.1 標準音
- 1.5.2 楽器の波形と倍音
- 1.5.3 弦の振動
- 1.5.4 開管と閉管
- 1.5.5 板の振動(クラドニの砂図形)
- 1.5.6 楽器と箱の定在波
- 1.5.7 楽器のスペクトラム
- 1.5.8 楽器の指向性
- 1.6 音律
- 1.6.1 ピタゴラス音律
- 1.6.2 ミーン・トーン音律(中前音律 Mean tone temperament)
- 1.6.3 純正率 (Just Intonation)
- 1.6.4 平均律(Temperament)
- 1.7 音声信号の伝送における諸特性
- 1.7.1 周波数特性
- 1.7.2 聴覚の周波数特性
- 1.7.3 歪みとは
- 1.7.4 ダイナミックレンジとS/N
- 1.7.5 VUメータとピークメータ
- 1.7.6 マスキング効果
- 1.8 両耳効果とステレオ
- 1.8.1 両耳による距離と方向の知覚
- 1.8.2 ペアマイクによる収音
- 1.8.3 ステレオの“定位感”と“拡がり感”
- 1.8.4 Pan-Pot
- 1.8.5 時間差と位相差
- 1.8.6 残響時間と残響感
- 1.8.7 先行効果(ハース効果)
- 第2章 音響物理の基礎
- 2.1 音と聴覚
- 2.1.1 音と音波
- 2.1.2 音に関する物理量
- 2.1.3 音の尺度
- 2.1.4 音の分類
- 2.1.5 人の聴覚と聴覚形成
- 第3章 電器音響の基礎
- 3.1 電器の基礎
- 3.1.1 オームの法則
- 3.1.2 交流
- 3.1.3 直流
- 3.1.4 電源
- 3.1.5 グランド
- 3.2 基本回路
- 3.2.1 バランス伝送とアンバランス伝送
- 3.2.2 インピーダンス
- 3.2.3 直列と並列
- 3.2.4 分圧回路
- 3.2.5 ロー出しハイ受け
- 3.2.6 電源電圧と最大レベル
- 3.3 オーディオ機器に使用されるパーツ
- 3.3.1 抵抗
- 3.3.2 可変抵抗
- 3.3.3 コンデンサ
- 3.3.4 コイル
- 3.3.5 オペアンプ
- 3.3.6 トランジスタ
- 3.3.7 トランス
- 3.3.8 ダイオード
- 3.3.9 スイッチ
- 3.3.10 リレー
- 3.3.11 ケーブル
- 3.4 オーディオ回路
- 3.4.1 ヘッドアンプ
- 3.4.2 フィルタ
- 3.4.3 イコライザ
- 3.4.4 ダイナミックス
- 3.4.5 ラインドライバ
- 3.4.6 電源回路
- 3.4.7 パワーアンプ
- 3.4.8 ボルテージ・コントロールド・レジスタ(VCR)とボルテージ・コントロールド・アンプ(VCA)
- 3.5 磁気記録
- 3.6 デジタル技術
- 3.6.1 デジタルの基礎
- 3.6.2 A/DコンバータとD/Aコンバータ
- 3.6.3 同期
- 3.6.4 サンプリング・レート・コンバータ(SRC)
- 3.6.5 デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)
- 3.6.6 ハードディスクレコーディングとデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)
- 3.6.7 ファイルアロケーション
- 3.6.8 フラグメンテーション
- 第4章 音響機器
- 4.1 スタジオシステム
- 4.1.1 プロ用音楽スタジオ
- 4.1.1.1 スタジオの概要
- 4.1.1.2 スタジオの形態
- 4.1.1.3 スタジオの音響性質
- 4.1.1.4 スタジオの空調、電気設備
- 4.1.2 スタジオシステムの機器構成
- 4.1.2.1 オーディオシステム
- 4.1.2.2 制御システム
- 4.1.2.3 映像との同期
- 4.1.2.4 レコーディングスタジオのコミュニケーションシステム
- 4.1.2.5 MIDI(Musical Instrument Digital Interface)
- 4.1.3 スタジオの配線システム
- 4.1.3.1 静電誘導とシールド線
- 4.1.3.2 単芯シールド
- 4.1.3.3 2芯シールド
- 4.1.3.4 ツイステッドペアケーブル
- 4.1.3.5 シールド材料による分類
- 4.1.3.6 シールド線と音声信号の高域減衰
- 4.1.3.7 2芯シールドの静電容量と回路方式による高域負荷の違い
- 4.1.4 高周波用ケーブル
- 4.1.4.1 同軸ケーブルおよび同軸コネクタの構造と特性インピーダンス
- 4.1.4.2 ターミネーションプラグ
- 4.1.4.3 同軸ケーブル
- 4.1.4.4 低損失同軸ケーブル
- 4.1.5 マルチケーブル、混合ケーブル
- 4.1.5.1 様々なマルチケーブル
- 4.1.5.6 複合ケーブル
- 4.1.6 デジタル信号用ケーブル
- 4.1.6.1 AES/EBU音声信号
- 4.1.6.2 110ΩSES/EBUケーブル
- 4.1.6.3 スピーカーケーブル
- 4.1.7 スタジオで使われるコネクタ
- 4.1.7.1 RCAプラグ
- 4.1.7.2 フォンプラグ
- 4.1.7.3 ステレオ・フォンプラグ
- 4.1.7.4 XLR型コネクタ
- 4.1.7.5 マルチコネクタ
- 4.1.7.6 D-Sub25ピンコネクタ
- 4.1.8 パッチ盤
- 4.1.8.1 マルチコネクターパッチ盤
- 4.1.8.2 ビデオパッチ盤
- 4.1.8.3 BNCパッチ盤
- 4.1.8.4 XLRパッチ盤
- 4.1.8.5 パッチ盤の存在意義
- 4.1.1 プロ用音楽スタジオ
- 4.2 マイクロホン
- 4.2.1 マイクロホンの役目
- 4.2.1.1 アコースティック録音から電気録音
- 4.2.1.2 増幅器をつけたマイクの必要性
- 4.2.1.3 マイクの役割
- 4.2.2 マイクロホンの感度
- 4.2.3 マイクの指向性
- 4.2.3.1 無指向性マイク(Omni-Direction, No-Direction)
- 4.2.3.2 単一指向性(Uni-Direction, Cardioid-Microphon)
- 4.2.3.3 双指向性(Bi-Direction, Figure-8 Direction)
- 4.2.4 リボンマイク
- 4.2.4.1 リボンマイクの動作原理
- 4.2.4.2 ラジオの主役
- 4.2.5 ダイナミックマイク
- 4.2.5.1 ダイナミックマイクの動作原理
- 4.2.5.2 マイクもスピーカも動作原理は同じである
- 4.2.6 コンデンサーマイク
- 4.2.6.1 コンデンサーマイクの動作原理の解説
- 4.2.6.2 可変指向性マイクについて
- 4.2.6.3 ファントムパワーリング
- 4.2.7 エレクトレット・コンデンサーマイク(Electret Condenser Microphone)
- 4.2.8 ダイレクトボックス
- 4.2.9 マイクの付属品について
- 4.2.9.1 マイクネジ
- 4.2.9.2 アブソーバ
- 4.2.9.3 ウインドスクリーン
- 4.2.1 マイクロホンの役目
- 4.3 ミキシングコンソール
- 4.3.1 ミキシングコンソールの歩み
- 4.3.2 シグナルレベルの統一
- 4.3.3 シグナルパスのモード
- 4.3.3.1 レコーディングモード
- 4.3.3.1 ミックスダウンモード
- 4.3.3.1 オーバーダビングモード
- 4.3.4 I/Oモジュール
- 4.3.4.1 ヘッドアンプ
- 4.3.4.2 チャンネルエフェクト
- 4.3.4.3 フィルタ
- 4.3.4.4 インサート
- 4.3.4.5 AUXセンド
- 4.3.4.6 ステレオルーティング
- 4.3.4.7 マルチトラックルーティング
- 4.3.4.8 マルチトラックマスタ
- 4.3.4.9 マルチトラックモニタ
- 4.3.4.10 フェーダ
- 4.3.4.11 ソロ
- 4.3.4.12 チャンネルメータ
- 4.3.5 マスターセレクション
- 4.3.5.1 ステレオマスタ
- 4.3.5.2 マスターメータ
- 4.3.5.3 AUXマスタ
- 4.3.5.4 エコーリターン
- 4.3.5.5 CUEマトリックス
- 4.3.5.6 モニターセクション
- 4.3.5.7 コミュニケーション
- 4.3.5.8 オシレータ
- 4.3.5.9 クレジット
- 4.3.6 グループ
- 4.3.6.1 オーディオグループ
- 4.3.6.2 フェーダ―グループ
- 4.3.7 パッチ
- 4.3.7.1 パッチベイ
- 4.3.8 オートメーション
- 4.3.8.1 フェーダーオートメーション
- 4.3.8.2 トータルリコール
- 4.3.8.3 スナップショット
- 4.3.8.4 ダイナミックオートメーション
- 4.3.9 デジタルミキシングコンソール
- 4.3.9.1 デジタルコンソールとビット長
- 4.3.9.2 新しいコンソールのスタイル
- 4.4 エフェクタ
- 4.4.1 ダイナミックス
- 4.4.1.1 コンプレッサ
- 4.4.1.2 リミッタ
- 4.4.1.3 ゲート
- 4.4.1.4 エキスパンダ
- 4.4.1.5 ディエッサ
- 4.4.2 イコライザ
- 4.4.2.1 パラメトリックイコライザ
- 4.4.2.2 グラフィックイコライザ
- 4.4.3 フランジャ/フェーザ/コーラス
- 4.4.3.1 フランジャ
- 4.4.3.2 フェーザ
- 4.4.3.3 コーラス
- 4.4.4 センド・リターン系
- 4.4.4.1 リバーブ
- 4.4.4.2 ディレイ
- 4.4.4.3 ハーモナイザ
- 4.4.5 その他
- 4.4.5.1 デジタルエフェクタ
- 4.4.5.2 マルチエフェクタ
- 4.4.5.3 マツリプロセッサ
- 4.4.6 エフェクタを組み合わせて使用する場合の注意
- 4.4.6.1 シリーズ接続
- 4.4.6.2 サイドチェーン
- 4.4.7 カタログの仕様書について
- 4.4.7.1 入力/出力
- 4.4.7.2 電源
- 4.4.1 ダイナミックス
- 4.5 テープレコーダ
- 4.5.1 アナログテープレコーダ
- 4.5.1.1 テープ幅
- 4.5.1.2 トラック数
- 4.5.1.3 テープの厚さ
- 4.5.1.4 テープスピード
- 4.5.2 走行系
- 4.5.3 ヘッド
- 4.5.4 メータ
- 4.5.4.1 VUメータ
- 4.5.4.2 ピークメータ
- 4.5.5 基準録音再生レベル
- 4.5.6 バイアス
- 4.5.7 イコライザ
- 4.5.8 ノイズリダクション
- 4.5.9 デジタルテープレコーダ
- 4.5.9.1 サンプリング周波数
- 4.5.9.2 bit数
- 4.5.9.3 DAT
- 4.5.9.4 マスターレコーダ
- 4.5.9.5 MTR
- 4.5.10 同期
- 4.5.11 テープ以外のメディアを使ったレコーダ
- 4.5.12 これからの録音の流れ
- 4.5.1 アナログテープレコーダ
- 4.6 モニタスピーカ
- 4.6.1 モニタースピーカの役割および設置方法
- 4.6.1.1 メイン(ラージ)モニタースピーカ
- 4.6.1.2 メイン(ラージ)モニタースピーカの設置方法
- 4.6.1.3 ニアフィールドモニタースピーカ
- 4.6.2 スピーカの基礎
- 4.6.2.1 電流と磁界の関係
- 4.6.2.2 フレミングの法則
- 4.6.3 スピーカの種類および構造
- 4.6.3.1 直接放射型スピーカ(コーンスピーカ、ドームスピーカ)
- 4.6.3.2 ホーンスピーカ
- 4.6.3.3 コーンスピーカの指向性
- 4.6.3.4 スピーカーシステムの構成(ウーファ、スコーカ、ツィータ)
- 4.6.4 エンクロージャ
- 4.6.4. 密閉型
- 4.6.4. バスレフ型
- 4.6.5 ヘッドホン
- 4.6.5.1 スタジオにおけるヘッドホン
- 4.6.5.2 ヘッドホンの構造
- 4.6.6 ハイパーソニック・エフェクト
- 4.6.7 デバイディングネットワーク
- 4.6.8 チャンネルデバイダ
- 4.6.9 パワーーアンプ
- 4.6.9.1 ダンピングファクタ
- 4.6.9.2 A級アンプ、B級アンプ、AB級アンプ
- 4.6.9.3 BTL接続(Bridge Tied Load)
- 4.6.1 モニタースピーカの役割および設置方法
- 第5章 録音技術
- 5.1 ペアマイク収音
- 5.1.1 残響感
- 5.1.2 両耳効果とステレオ受聴
- 5.1.3 サウンドステージ
- 5.1.4 演奏者のレイアウト
- 5.1.5 マイクセッティング
- 5.1.6 ペアマイク収音
- 5.1.6.1 オーケストラのペアマイク収音
- 5.1.6.2 色々なペアマイク収音
- 5.1.6.3 ダミーヘッド
- 5.1.7 録音レベル
- 5.1.8 エフェクタの使用、ミキシングコンソールの操作
- 5.1.9 レベルコントロール手法
- 5.1.10 音楽とのかかわり
- 5.2 オーケストラのレコーディング(マルチトラック)
- 5.2.1 はじめに
- 5.2.2 MTRが登場する以前の録音
- 5.2.3 MTRが登場
- 5.2.4 ミキシングコンソールの使用
- 5.2.5 音楽とのかかわり
- 5.2.6 MTRを使用したオーケストラ録音の録音手法
- 5.2.7 マイクセッティング
- 5.2.8 演奏者のレイアウト
- 5.3 リズムトラックレコーディング(マルチトラック)
- 5.3.1 スタジオでのリズムトラックレコーディングの色々
- 5.3.2 音楽とのかかわり
- 5.3.3 リズムトラックの楽器
- 5.3.4 楽器のレイアウトとマイクセッティング
- 5.3.5 アナログテープレコーダの使用
- 5.3.6 モニターバランスの取り方
- 5.4 ダビング(マルチトラック)
- 5.4.1 バンドのレコーディングとダビング、ピンポン
- 5.4.2 ダビングされる楽器
- 5.4.3 ヴォーカルダビング
- 5.4.4 シンセサイザのダビング
- 5.4.4.1 シンセサイザの進歩
- 5.4.4.2 関連技術
- 5.4.4.3 シンセサイザの録音
- 5.5 ミックスダウン
- 5.5.1 初期のミックスダウンの想い出
- 5.5.2 セクションバランスの取り方
- 5.5.3 音楽全体のバランスの取り方(レベル、パンなど)
- 5.5.4 リバーブについて
- 5.5.5 リバーブのパラメータ
- 5.5.6 色々なリバーブ
- 5.5.7 ヴォーカルのリバーブ
- 5.5.8 イコライザの使用
- 5.5.9 ダイナミックス系のエフェクタ
- 5.5.10 各楽器のミックス手法
- 5.5.11 その他のエフェクタ
- 5.5.12 ミックスダウン時の心得
- 5.5.13 各メディアによるミックスダウン手法の違い
- 5.5.14 コンピューターミキシング
- 5.5.15 その他の注意点
- 5.6 ライヴレコーディング
- 5.6.1 録音の規模と音楽の種類
- 5.6.2 基本的な注意事項
- 5.6.3 制作との打合わせ
- 5.6.4 ホールとの打合せ
- 5.6.5 中継車を使用した録音
- 5.6.6 中継室での録音
- 5.6.7 楽屋での録音
- 5.6.8 舞台袖での録音
- 5.6.9 MTRレコーディング
- 5.6.10 ステレオライヴレコーディング
- 5.6.11 サラウンドライヴレコーディング
- 5.6.12 映像などとの同期
- 5.7 マスタリング
- 5.7.1 マスタリングの歴史
- 5.7.1.1 アナログディスク・カッティング
- 5.7.1.2 CDマスタリング
- 5.7.2 素材メディアから、マスタリングメディアへの取込み
- 5.7.3 マスタリング時のエフェクト
- 5.7.4 レベル管理
- 5.7.5 編集 曲順の並び替え(曲間調整)
- 5.7.6 マスタ用の媒体
- 5.7.1 マスタリングの歴史
- 第6章 次世代音響技術
- 6.1 デジタル録音とサウンド制作
- 6.1.1デジタル録音技術
- 6.1.1.1 デジタル録音技術の変遷
- 6.1.1.2 デジタル録音における同期について
- 6.1.1.3 DAW(Digital Audio Workstation)
- 6.1.1.4 データの互換性とネットワーク化
- 6.1.2 デジタル音声圧縮技術
- 6.1.2.1 オーディオ配信・通信におけるデータ圧縮手法
- 6.1.2.2 音声伝送におけるデータ圧縮方式
- 6.1.2.3 ブロードバンド時代の音声伝送方式
- 6.1.2.4 IPネットワーク
- 6.1.2.5 放送における音声圧縮技術
- 6.1.2.6 サウンドのための圧縮技術
- 6.1.2.7 パッケージメディア・ゲームのサラウンド技術
- 6.1.2.8 インターネットにおけるサラウンド技術
- 6.1.3 サラウンド制作手法
- 6.1.3.1 さまざまなサラウンド方式
- 6.1.3.2 サラウンド制作手法
- 6.1.3.3 2chステレオとの互換性
- 6.1.3.4 サラウンド収録方法の実際
- 6.1.4 次世代のメディアの可能性
- 6.1.1デジタル録音技術
- 6.2 マルチチャンネル再生
- 6.2.1 はじめに
- 6.2.2 マルチチャンネルフォーマット
- 6.2.2.1 再生形態
- 6.2.2.2 記録特性・再生特性
- 6.2.3 モニタとスピーカ配置
- 6.2.4 ベースマネージメント(Bass Management)
- 6.2.4.1 室内音響的措置
- 6.2.4.2 スピーカ配置の見当
- 6.2.4.3 電器音響的措置
- 6.2.5 マルチチャンネル再生環境における誤差
- 6.2.5.1 コムフィルタリング現象
- 6.2.5.2 ハ―ネス効果
- 6.2.5.3 サブウーファのクロスオーバ
- 6.2.6 モニタ調整
- 6.2.6.1 5チャンネルのレベルバランス
- 6.2.6.2 LFEチャンネルの調整
- 6.2.7 ダウンミキシング
- 6.3 Pro Tools関連
- 6.3.1 Pro Tools概要
- 6.3.1.1 システムの概要
- 6.3.1.2 普及までの経緯
- 6.3.1.3 ハードウェアの特徴
- 6.3.1.4 オペレーションの変化
- 6.3.1.5 フィジカルコントローラ
- 6.3.1.6 セッション
- 6.3.1.7 トラック
- 6.3.1.8 プラグイン
- 6.3.1.9 LEシステム
- 6.3.1.10 データの二重化
- 6.3.2 オーディオレコーディング・編集
- 6.3.2.1 レコーディングの準備・設定
- 6.3.2.1.1 I/O設定(I/O Setup)
- 6.3.2.1.2 プレイバックエンジンの設定
- 6.3.2.1.3 セッションの新規作成
- 6.3.2.1.4 レコーディング用ディスク容量の指定
- 6.3.2.1.5 ワークスペース・ブラウザの設定
- 6.3.2.1.6 [タスクマネージャ(Task Manager)について]
- 6.3.2.1.7 トラックの新規作成
- 6.3.2.1.8 [ディスク割り当て(Disk Allocation)の確認および設定
- 6.3.2.2 レコーディング
- 6.3.2.2.1 ディストラクティブ/ノンディスクラクティブレコーディングについて
- 6.3.2.2.2 タイム・スケールの設定
- 6.3.2.2.3 小節管理におけるテンポ・拍子の設定
- 6.3.2.2.4 録音レベルとモニターレベルの管理
- 6.3.2.2.5 クイックパンチ、トラックパンチ・レコーディング
- 6.3.2.2.6 レコーディング時のショートカットキーについて
- 6.3.2.3 オーディオの編集
- 6.3.2.3.1 メモリー・ロケーションの活用
- 6.3.2.3.2 プレイリストについて
- 6.3.2.3.3 マルチプルアンドゥ機能について
- 6.3.2.3.4 エディット・モードについて
- 6.3.2.3.5 編集ツールについて
- 6.3.2.3.6 フェードの活用
- 6.3.2.3.7 グループ、リージョン・グループの作成および活用
- 6.3.2.3.8 カット、コピー、ペースト、クリアコマンドについて
- 6.3.2.1 レコーディングの準備・設定
- 6.3.3 ミキシング
- 6.3.3.1 ミックスの準備について
- 6.3.3.2 ミックスで使うツールについて
- 6.3.3.2.1 EQ
- 6.3.3.2.2 コンプレッサ
- 6.3.3.2.3 リバーブ
- 6.3.3.2.4 ディレイ
- 6.3.3.2.5 ピッチ系のエフェクト
- 6.3.3.2.6 その他シミュレータ
- 6.3.3.3 ミックスの進め方について
- 6.3.3.4 オートメーションについて
- 6.3.3.5 Final Mixを録る
- 6.3.3.6 まとめ
- 6.3.4 Pro Toolsシステム・シンク・MIDI・ファイル管理など
- 6.3.4.1 Pro Toolシステム
- 6.3.4.1.1 Macintosh
- 6.3.4.1.2 DSP Card
- 6.3.4.1.3 192 I/O
- 6.3.4.1.4 Sync I/O
- 6.3.4.1.5 HDD
- 6.3.4.1.6 レコーディングスタジオにおけるシステム構成
- 6.3.4.2 シンク
- 6.3.4.2.1 シンクとは?
- 6.3.4.2.2 ポジショナルリファレンスとクロックリファレンス
- 6.3.4.2.3 クロックリファレンスの種類
- 6.3.4.2.4 クロックジェネレータについて
- 6.3.4.3 ファイルの管理と互換性
- 6.3.4.3.1 Pro Toolsで扱うデータについて
- 6.3.4.3.2 データのインポートとエクスポート
- 6.3.4.3.3 データの管理について
- 6.3.4.4 MIDI
- 6.3.4.4.1 MIDIとは?
- 6.3.4.4.2 MIDI I/Oについて
- 6.3.4.4.3 外部MIDI機器とバーチャル・インストゥルメント
- 6.3.4.4.4 MIDIデータの入力
- 6.3.4.4.5 レコーディングおよびミックスでのMIDIの用途
- 6.3.4.1 Pro Toolシステム
- 6.3.1 Pro Tools概要
- 第7章 音楽理論と楽器について
- 7.1 基本的な楽器に対する知識
- 7.1.1 特徴的な性格をもつ楽器の例
- 7.1.1.1 グランドピアノ Grand Piano/Pianoforte
- 7.1.1.2 ウード
- 7.1.1.3 エレクトリックギター(グランジ)ギター
- 7.1.1.4 トライアングル
- 7.1.2 レコーディングシーンに登場する頻度の高い楽器
- 7.1.2.1 エレクトリックギター
- 7.1.2.2 アコ―スティックギター
- 7.1.2.3 アコースティックピアノ
- 7.1.2.4 キーボード
- 7.1.2.5 オルガン
- 7.1.2.6 ヴァイオリン、ヴィオラ
- 7.1.2.7 チェロ
- 7.1.2.8 ホルン
- 7.1.2.9 クラリネット
- 7.1.3 特殊楽器に対する知識
- 7.1.3.1 日本の伝統楽器
- 7.1.3.2 世界の伝統楽器
- 7.1.4 新しい楽器とその展望
- 7.1.5 演奏家とその楽器
- 7.1.1 特徴的な性格をもつ楽器の例
- 7.2 音楽を伝えるために発達してきたメディア
- 7.2.1 楽譜:その歴史
- 7.2.2 楽譜:そのコンセプト
- 7.2.2.1 音符
- 7.2.2.2 譜表
- 7.2.3 現代の記譜法
- 7.2.4 用語:古典的な楽典の基礎
- 7.2.5 用語:ジャンルによる特殊用語 jazz, rock, bossa, etc
- 7.2.6 用語:地域性、国民性
- 7.2.7 テクノロジー:DEMO-TAPE
- 7.2.8 テクノロジー:新しい録音メディアとその将来
- 7.2.9 テクノロジー:SOFTWAREの現状と展望
- 7.3 楽器法、対位法などの音楽理論
- 7.3.1 古典的なロジックの応用:形式と理論
- 7.3.2 バランス:楽器間のパワーバランス
- 7.3.3 モニタ:演奏に必要な情報
- 7.4 アンサンブルというコンセプト
- 7.4.1 楽音と楽音の作用、反作用
- 7.5 作家とその論理そして同時代性
- 7.5.1 個別の(個人)楽想に対する知識
- 7.5.2 クリエイティブなセッションとは
- 第8章 音楽著作権
- 8.1 著作権法概説
- 8.1.1 著作権とは
- 8.1.1.1 序
- 8.1.1.2 著作権とは何か
- 8.1.1.3 著作者人格権とは何か
- 8.1.1.4 著作者人格権の一身専属性
- 8.1.1.5 著作財産権
- 8.1.1.6 著作権の財産権的側面
- 8.1.2 著作隣接権・国際著作権条約とは
- 8.1.2.1 著作隣接権とは何か
- 8.1.2.2 著作隣接権の内容
- 8.1.2.3 二次使用料請求権
- 8.1.2.4 貸与報酬請求権
- 8.1.2.5 著作権等に関する条約
- 8.1.3 保護期間
- 8.1.3.1 著作権の保護期間
- 8.1.3.2 保護期間の原則
- 8.1.3.3 保護期間の計算方法
- 8.1.3.4 外国の著作物
- 8.1.3.5 戦時加算
- 8.1.3.6 著作隣接権の保護期間
- 8.1.4 著作物の自由利用
- 8.1.4.1 著作権の制限
- 8.1.4.2 私的使用のための複製
- 8.1.4.3 私的録音録画補償金制度
- 8.1.4.4 営利を目的としない上演
- 8.1.1 著作権とは
- 8.2 著作権ビジネス概説
- 8.2.1 アーティストが締結する契約
- 8.2.1.1 序
- 8.2.1.2 アーティストのデビューまで
- 8.2.1.3 レコード会社との専属実演家契約書
- 8.2.1.4 プロダクションとのマネージメント契約書
- 8.2.2 原版制作
- 8.2.2.1 レコーディング作業
- 8.2.2.2 原版制作
- 8.2.2.3 原版の権利とは
- 8.2.3 原版ビジネスの仕組み
- 8.2.3.1 原版制作を行う意味
- 8.2.3.2 原版契約
- 8.2.3.3 原版印税の算出方法
- 8.2.3.4 共同原盤
- 8.2.4 出版ビジネスの仕組み
- 8.2.4.1 音楽出版者とは
- 8.2.4.2 仲介業務法とは
- 8.2.4.3 著作権等管理事業法とは
- 8.2.4.4 JASRACの著作権神託契約約款の改正
- 8.2.4.5 著作権等管理事業法による影響
- 8.2.1 アーティストが締結する契約
- 第9章 レコーディングに関わるスタッフ
- 9.1 制作系スタッフの役割
- 9.1.1 プロデューサー
- 9.1.2 ディレクター
- 9.1.3 アレンジャー
- 9.2 技術系スタッフの役割
- 9.2.1 レコーディングエンジニア
- 9.2.2 ミキシングエンジニア
- 9.2.3 アシスタントエンジニア
- 9.2.4 メンテナンスエンジニア
- 9.2.5 マスタリングエンジニア
- 9.3 スタジオマネージメント
- 9.3.1 ブッキング
- 9.3.2 スタジオワーク
- 9.3.3 アフターケア
- 9.4 レコード会社の役割
- 9.4.1 レコード会社の業務内容
- 9.4.2 発売元レコード会社と販売元レコード会社の違い
- 9.4.3 プロモーション
- 9.4.4 原版制作費の内容
- 第10章 レコーディングに関わる用語集
- 付録
- A 測定とハンダ付け
- B 録音再生調整
- C MTRのトラックシートで使われる楽器の略記号
- D トラブルシューティング
- 執筆者一覧
【感想は?】
質・量ともに、確かにプロ向けの本だ。
同時に、音楽ファン・オーディオマニア・DTMユーザを更に沼の深みへと引きずり込む、とっても罪深い本でもある。沼にハマる楽しみを味わうコツは、わかんない所や興味のない所は大胆に読み飛ばすこと。でないと、なかなか先に進めない。なにせこのボリュームだし。
第1章から、音楽ファンには嬉しい話がいっぱい。例えば、楽器の音の人がり方。周波数によって、よく聴こえる方向と聴こえない方向があるのだ。どの楽器も低音は全方向に響き、高音は前でよく聴こえる。意外なのがクラリネットで、1.1kHzあたりは前より斜め前がよく聴こえ、更に高い3.3kHzは前が最も響く。要は楽器と聴き手の向きで音色が変わるのだ。
だもんで、録音する際には、どこにマイクを置くかも大事。
ステレオの収音方式は、ペアマイク収音方式とマルチマイク収音方式に大別される。
ペアマイクによるワンポイント収音方式は、演奏自体が音楽的にバランスが取れているクラシック音楽の収音に適した収音方式である。
一方、マルチマイク収音方式は、ミキシングによるバランス創りと音色形成が前提となるジャズ、ポップス、ロック、J-POPなどの収音に適した収音方式である。
――第5章 録音技術
ペアマイクはステージ中央にマイクを2本置く形。マイクの間隔も大事で、狭いと「定位感が明確」、広いと「広がり感が良く」なる。オーケストラ全体で盛り上げる部分とソロが際立つ部分の両方を活かしたいなら、沢山のマイクを使い…
一般的に音響のマスとして取扱う弦楽器・コーラスなどは主として拡がり感を重視し、線として取扱うソロ楽器は定位を中心としたミキシングプランを立てると良い。
――第1章 音響の基礎
と、パートに応じてミキシングを変えたりする。中には神業を持つ人もいて…
ピーク寸前の圧縮法であるが、オペラのソプラノやゴスペルなど高域でシャウトする歌唱には効果的な方法である、この場合、ブレスなどの一瞬の間を利用して、ピークが出る10ms程寸前でピークを抑えるのがコツである。
――第5章 録音技術
いきなり大音量が入ると音が割れてしまう。それを避けるため、歌手の息継ぎのスキに感度を下げるのだ。こんなん、曲を充分に聴き込み、かつ歌手のクセを充分に知ってる人だけができる技だ。
中には「『ピッチ直し』に技術によって多くの指名を受けるアシスタントエンジニアも存在する」って、あの辺の歌手…いえ、なんでもないです、はい。
と感心すると同時に、生と録音や中継との違いも否応なしに感じてしまう。たとえライブ中継であろうとも、我々の耳に入る音は、エンジニアが「いじって」いるのだ。やっぱり生は違うんだなあ。
音をいじるといえば、まずエフェクタが思い浮かぶ。意外だったのが声をいじるディエッサ。「サシスセソ」は「主に4kHz~10kHzの帯域」で「時には+10dBにも達しアンプを歪ませる」ので、これを抑えるのだ。トーク番組も、単に音を録って流しゃいいってモンじゃないんだなあ。
今はデジタルになっちゃったけど、アナログ時代の話は何かと楽しい。例えばリバーブ(残響効果)のEMT-140。シングルベッドぐらいの大きさの鉄板を箱の中に吊るし云々って、どれだけ大掛かりなんだw 「マントヴァーニの演奏会ではEMT-140をわざわざ運んできた」というから、プロの音への拘りは凄い。
こいいう音楽ファンには美味しいレコーディング裏話は他にもあって、サディスティック・ミカ・バンドの「黒船」や大瀧詠一の「A LONG VACATION」のネタもチラホラ。マイクを動かして「人間トレモロ」とか、そんな手もあったのかw
ロックとかはスタジオで曲を作っていく部分もあったんだが、最近は予めカッチリ決まってる場合も多いのかな? でもミュージシャンもいろいろ。
ラテンパーカッションのプレイヤーは、いきなりテスト録音の時とは異なる楽器を即興的に演奏することもある。
――第5章 録音技術
やはり気質もラテンなんだろうかw
何かと時代を感じさせるのが「第6章 次世代音響技術」で、特に「6.3 Pro Tools関連」は音楽ソフト Pro Tools の話。ここではアナログのテープ時代とデジタル時代の革命的な変化がわかると共に、2009年当時と現在のコンピュータの違いも伝わってきたり。
ハードディスクの伝送速度や容量で苦労する話が出てくるけど、今じゃテラ単位のSSDが当たり前だし、MOはUSBメモリに変わってるのかな? ギターアンプのエミュレータなんてのもあるのか。探したらロータリースピーカのエミュレータもあった。Pro Tools の価格破壊も凄い。本書じゃ「基本セットで数百万」が、今検索したら永続ライセンス版が10万円切ってる。デフレなんてモンじゃない。いい時代だ。
私の基礎知識が貧しいせいで電気の話はほとんどわからなかったけど、ツイストペアの意味がわかったのは思わぬ収穫だった。ハムバック・ピックアップと同じ理屈なのね。にしても、雑音の話はエンジニアの苦労がしのばれる。コードが重なって交差するだけでも雑音が入るとは。大きな会場のコンサートを成功させるには、相当な経験と準備と工夫が要るんだなあ。
プロ向けだから、かなり突っ込んだ話も多く、素人には全く意味不明な個所も多い。と同時に、一つの曲ができるまでの過程が詳しくわかるので、音楽ファンやオーディオ・マニアには嬉しいネタも盛りだくさんだ。読んだ後に曲を聴くと、「これはどうやって録ったんだろう」とか考え出し、音楽との付き合い方も広がる。不愛想に見えるが、好きな人には収穫の多い本だ。
ところで、ギョーカイじゃキックと呼ぶのね。バスドラじゃなく。
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- 2018.02.06 チャールズ・テイラー「音の不思議をさぐる 音楽と楽器の科学」大月書店 佐竹淳・林大訳
- 2017.02.12 トレヴァー・コックス「世界の不思議な音 奇妙な音の謎を科学で解き明かす」白揚社 田沢恭子訳
- 2016.03.28 ダニエル・J・レヴィティン「音楽好きな脳 人はなぜ音楽に夢中になるのか」白揚社 西田美緒子訳
- 2014.05.20 ジョン・パウエル「響きの科楽 ベートーベンからビートルズまで」早川書房 小野木明恵訳
- 2014.01.09 中村明一「倍音 音・ことば・身体の文化誌」春秋社
- 書評一覧:科学/技術
【今日の一曲】
Paul Kossoff - Tuesday Morning
音創りが好きなのがコレ。一見(というか一聴)ほとんど音をいじってないように荒っぽい音創りに聴こえるんだけど、だからこそ目の前でプレイヤー達が演奏しているような臨場感がある。飽きて放り出したかのような投げやりっぽい終わり方も相まって、収録中のスタジオにお邪魔したかのような生々しさがあり、ポール・コゾフのファンはとっても贅沢な気分が味わえるのだ。
当時のコゾフは麻薬に溺れ身体ともにヘロヘロで、あまし凝ったスタジオワークはできなかったハズなんだけど、なんでこんなにド迫力の音が録れたのか、実に謎だ。
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