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2020年9月 3日 (木)

ハヤカワ文庫NFで文庫化してほしい本13+2冊

 今さらだが Twitter でこーゆーやりとりがあった。

一ノ瀬翔太@shotichin 8月26日
埋もれた傑作ノンフィクションがありましたら弊社で文庫化しますので教えて下さい

ちくわぶ@chikuwafu 8月26日
ジョエル・ベスト「統計はこうしてウソをつく」白揚社
G.M.ワインバーグ「ライト、ついてますか」共立出版
トーマス・ヘイガー「大気を変える錬金術」みすず書房
マーチン・ファン・クレフェルト「戦争文化論」原書房
W.G.パゴニス「山・動く」同文書院インターナショナル

ちくわぶ@chikuwafu 8月26日
ハーレー他「ヒトはなぜ笑うのか」勁草書房
スーザン・フォワード「となりの脅迫者」パンローリング
ジョナサン・ハイト「社会はなぜ左と右にわかれるのか」紀伊國屋書店
ボビー・ヘンダーソン「反★進化論講座」築地書館
ロイ・アドキンズ「トラファルガル海戦物語」原書房

ちくわぶ@chikuwafu 8月26日
デヴィッド・M・バス「『殺してやる』 止められない本能」柏書房
ジョン・パーリン「森と文明」晶文社
中村明一「倍音 音・ことば・身体の文化誌」春秋社

あと御社の
神子清「われレイテに死せず
コリンズ&ラピエール「おおエルサレム!
の増刷を

 まんま「今ちくわぶがお薦めする埋もれたノンフィクション15冊」なんで、ここで紹介する。

  1. ジョエル・ベスト「統計はこうしてウソをつく」白揚社
    世論調査や政策決定などでは、よく統計数字を使う。その実体はどんなものなのか。著者は統計学者ではなく社会学者だ。そのため、統計学の難しい所には立ち入らないので、数学が苦手な人でも大丈夫。それより数字がどのように出来上がっていくか、その過程を暴く迫力が素晴らしい。
  2. G.M.ワインバーグ「ライト、ついてますか」共立出版
    世の中の「問題」は、どのように出来上がるのか。それらは、どうすれば解決できるのか。IBMにプログラマとして勤めた著者が、軽妙な文章とユーモラスなイラストで綴る、問題と解決のエッセイ集。いつかこのブログで紹介したいと思っているんだが…
  3. トーマス・ヘイガー「大気を変える錬金術」みすず書房
    現代の社会を支える化学肥料。その雛型であるアンモニア合成を成し遂げたフリッツ・ハーバーと、それを工業化・産業化したカール・ボッシュ二人の人生を、二つの世界大戦を背景に描く。お堅い印象のみすず書房だが、この本はドラマとして滅茶苦茶に面白い。
  4. マーチン・ファン・クレフェルト「戦争文化論」原書房
    なぜ戦争が起きるのか。クラウゼヴィッツが戦争論で唱えた「戦争は政治の延長である」に真正面から異議を唱え、怖ろしい人間の本性を読者に突きつける問題作。受け入れたくない説だが、戦争を防ぐには直視しなければならない事でもある。
  5. W.G.パゴニス「山・動く」同文書院インターナショナル
    湾岸戦争で兵站を担当した著者による、一種のビジネス本ながら、軍ヲタにとっては「コンテナ物語」と並ぶ必読書。軍事系のわりに文章はこなれている上に、エピソードの紹介も軽妙で楽しく読める。
  6. ハーレー他「ヒトはなぜ笑うのか」勁草書房
    タイトルそのまま、「笑い」を徹底的に分析した本。やはりお堅い印象が強い勁草書房ながら、ジョークをたっぷり収録しているため、とても楽しく読める。優れたハッカーは往々にしてユーモアが豊かなのも、この本に従えば納得出来たり。
  7. スーザン・フォワード「となりの脅迫者」パンローリング
    人との会話、特に交渉において、困った人たちがよく使う汚い手口を徹底的に暴いた本。あまし深い付き合いのない人なら「なるたけ近寄らない」ようにすればいいんだけど、家族や職場の上司だと逃げられないから困るんだよね。
  8. ジョナサン・ハイト「社会はなぜ左と右にわかれるのか」紀伊國屋書店
    善とは、正義とは何か。一見わかりやすいようだが、人により善悪のモノサシは全く違う。これが食べ物や音楽の好みならともかく、善悪となると殺し合いにまで発展しかねない。それはなぜなのか。どうすれば共に生きていけるのか。争いたくない人のための必読書。
  9. ボビー・ヘンダーソン「反★進化論講座」築地書館
    FSM,。Flying Spaghetti Monster。空飛ぶスパゲッティ・モンスター教ことスパモン。最近になって出現した新興宗教の中でも、最も勢いが強く急激に信者を増やしつつあるスパモンの経典。
  10. ロイ・アドキンズ「トラファルガル海戦物語」原書房
    1805年10月21日の、ネルソン率いるイギリス艦隊とヴィルヌーヴ率いるフランス・スペイン連合艦隊の海戦を、政略・戦略・戦術・戦闘はもちろん、乗員の食事から排泄に至るまで、圧倒的な解像度で再現したド迫力の戦記。帆船小説を読む前に、まずコレを読んでおこう。
  11. デヴィッド・M・バス「『殺してやる』 止められない本能」柏書房
    著者は主張する。「ヒトには殺しの本能がある、ある条件下で人殺しは子孫を残すのに有利だった」と。読み終えてしばらく、私は胸の高まりが収まらなかった。
  12. ジョン・パーリン「森と文明」晶文社
    メソポタミア,ギリシア,ローマ。古の文明が栄えた地は、いずれも豊かな森におおわれていた。森と文明の意外な関わりを明らかにし、歴史の見方を変える衝撃の一冊。「木材と文明」と合わせて読むと、林学の泥沼に引きずり込まれます。
  13. 中村明一「倍音 音・ことば・身体の文化誌」春秋社
    人の声はみな違う。ハスキーな桑田佳祐、伸びのある浜崎あゆみ、そして千変万化の美空ひばり。その違いはどこにあるのか。倍音構成を軸に声から楽器そして音楽へと分析を広げ、東西の音楽の違いや政治家の声による印象までを語り、音楽ファンとオーディオマニアに強烈なボディブローを叩きこむ衝撃作。
  14. 神子清「われレイテに死せず
    太平洋戦争末期の1944年11月。陸軍玉兵団(第一師団)は、レイテ島奪還のためオルモックに逆上陸する。第57連隊の神子清伍長は敵の旺盛な火力により兵力の大半を失い、本隊とはぐれジャングルを彷徨う羽目になる。いわゆる遊兵となりフィリピンの島を巡った帝国陸軍兵たちの知られざる実態を生々しく描く、貴重な従軍手記。
  15. コリンズ&ラピエール「おおエルサレム!
    1948年5月14日のイスラエル独立と同時に発生した第一次中東戦争を、焦点となったエルサレム防衛戦を中心に、イスラエル・アラブ双方の指導者から市民まで、多彩な視点でモザイク状に再現する、20世紀ドキュメンタリーの金字塔にして、今なお続くパレスチナ問題の原点を描く傑作ルポルタージュ。

 やっぱ軍事系が多いなあ。あと、「ライト、ついてますか」はそのうち紹介したいんだけど、他にも読みたい本が山ほどあるんでブツブツ…。

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