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2017年12月の18件の記事

2017年12月31日 (日)

SFマガジン2018年2月号

われわれSFファンというのは、気に入った作品にすこしでもSF要素があると、すぐに“あれってSFだよな”といいだす困った人種なのである。
  ――酒井昭伸「ガルパン礼讃」

「こんなのフェアじゃない」ティモシーは不平をもらあし、玄関ドアにもたれかかった。「絶対にフェアじゃない。みんな、あれだけの目にあってきて、こんどはクリスマスがくるなんて……」
  ――スティーヴ・ベンスン「からっぽの贈りもの」中村融訳

「ここが我々の重大な分岐点となる」
  ――冲方丁「マルドゥック・アノニマス」

その手のいわば震災カルトたちはその後様々な道を歩んだが、彼の場合は精神世界に傾倒した結果、物質文明や科学技術を否定することを選んだ。ネットを活用して信者を集めていたにもかかわらず。
  ――澤村伊智「マリッジ・サバイバー」

21世紀以降、探査を目的とした単発の有人火星行はべつにして、人類は火星に三度地球人を送り込んで植民を図ったが、三度とも失敗した。
  ――神林長平「先をゆくもの達」

 376頁の標準サイズ。

 特集は豪華三本。オールタイム・ベストSF映画総解説PART3,「ガールズ&パンツァー」と戦車SF,アーサー・C・クラーク生誕100年記念特集。

 小説は9本+アーサー・C・クラークのショート・ショート2本。

 連載は5本。椎名誠「岩石回廊」,冲方丁「マルドゥック・アノニマス」第18回,三雲岳斗「忘られのリメメント」第6回,藤井太洋「マン・カインド」第3回,神林長平の新連載「先をゆくもの達」。

 読み切りは4本+ショート・ショート2本。まずガルパンもとい戦車SF特集の2本。ティモシー・J・ゴーン「サイバータンクVSメガジラス」酒井昭伸訳,スティーヴ・ベンスン「からっぽの贈りもの」中村融訳。次にクラーク生誕100年記念でアーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター「タイムをお願いします、紳士諸君」中村融訳。最後に澤村伊智「マリッジ・サバイバー」。

 オールタイム・ベストSF映画総解説PART3。銀河ヒッチハイク・ガイドなんて映画化されてたのか。高山羽根子が紹介するのはどれもマニアック。どっからネタを仕入れたんだか。

 「ガールズ&パンツァー」と戦車SF。「大嘘をついても小ウソをつくな」はまさしく正論。これはハードSFに限らず、あらゆる物語の原則でしょう。

 ティモシー・J・ゴーン「サイバータンクVSメガジラス」酒井昭伸訳。遠未来の某惑星。全幅30m全長60mの電脳戦車<オールド・ガイ>は、単独で警備と採掘監督の任務をこなしている。探索用プローブなども従えているが、それらは周辺機器であり、ここに居るのは自分だけ…

 なぜ戦車が自意識を持つのか、ちゃんと理屈をつけてるのが楽しい。出合い頭の戦闘で、危機を脱する手段、たぶんこれ実際の戦闘を参考にしてるんじゃないかな。第四次中東戦争のシナイ半島で、エジプト軍の対戦車ロケットに苦しんだイスラエル軍が編み出した方法に似てる(→ヨム・キプール戦争全史)。

スティーヴ・ベンスン「からっぽの贈りもの」中村融訳。大人たちが消えた街。生きているのは子供だけ。リーダーは12歳のティモシー。雪降る中、空腹を抱えながらもバケツで雪を運ぶ。4歳のアンジーが尋ねる。「サンタさんはまた来てくれるよね?」

 クリスマス・ストーリー。食糧が乏しい中、リーダーだからと黙って自分の食事を抜くティモシーが泣かせます。「こんなのフェアじゃない」と愚痴をこぼしつつ、幼い仲間たちのために奮闘するティモシーの前に現れたのは…

 椎名誠「岩石回廊」。惑星だと思っていたが、それはパイプ型の外殻惑星だった。実は中に内惑星があったのだ。わたしは外殻惑星の内側に沿って進む。ここでは、なぜか重力は惑星の外側に向かっている。

 「ラクダ」というからラクダだと思い込んでいたが、そういう事か。やたらタフな上に働き者だし、そういう目的には確かにあってるけど(→ラクダの文化史)。

 冲方丁「マルドゥック・アノニマス」第18回。長い雌伏の時は過ぎ、今日は作戦決行の日。ハンターらをブチ込む証拠は揃った。ウフコックの活躍によるものだ。そのウフコックは、ブルー&スティールと共にカジノへと向かう。だがそこには…

 物語序盤から不思議な存在感を示してきたあの方が、ついに本領を発揮する回。相変わらずマイペースだけどw 対するハンターは、思いもよらぬ作戦に出てくる。じっくりとハンター一味を書き込んできただけに、私もかなりハンターに肩入れしちゃってるんだよなあ。

 澤村伊智「マリッジ・サバイバー」。父親は幼い頃に家を出て行った。母親は新興宗教に入れ込み、新しいモノを拒む。俺はタブレットを与えられず、級友たちから取り残される感覚を味わった。18で家を出て職に就き、今は35歳だ。そろそろ結婚した方がいいと思い始め…

 何者だ、この作家。「コンピューターお義母さん」の「九十八円ぺたり」も凄いが、今回の「取り残されている」も、やたらと鋭い。いやホント、世間からズレた環境で育つと、常識的な感覚を身に着けるのにやたら苦労するんだよなあ。なんで著者はそれが判るんだろ?

 三雲岳斗「忘られのリメメント」第6回。連続殺人犯の朝来野唯は、四年前に死体となって警察が確保した。朝来野の模倣犯を追う宵野深菜は、リギウス社CEO迫間の自宅を訪れる。他人の記憶を体験できる疑憶素子MEM、そして「神の記憶」とは…

 連載もこれだけ続き、衝撃の展開が繰り返されると、ネタバレを避けて紹介するのは難しい。今回の引きも、「おい、ここで続くかよっ!」と、思いっきり読者の気を引きまくる見事な幕の引き方。

 アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター「タイムをお願いします、紳士諸君」中村融訳。キングズ・カレッジの学生SFクラブのコンヴェンションは同窓会となり、ゲスト・オブ・オナーのベン・グレッグフォードを引き連れ、ハリー・パーヴィスを先頭に<白鹿亭>へ…

 でお分かりの通り、短編集「白鹿亭綺譚」を受けた作品。ベテランらしく、有名SF作家や作品を贅沢にクスグリに使いつつ、いかにも「白鹿亭」な香り高い皮肉なユーモアが漂う作品。ガジェットの扱いもクラークらしいが、最後のオチのキレもいい。

 同じクラーク特集で、中村融「知識の探求と美の想像 クラークがめざしたものについて」。科学解説書も書くSF作家というと、日本じゃアイザック・アシモフが有名だが、私はクラークの方が好きだ。アシモフは学者って感じなのに対し、クラークは油臭いエンジニアって雰囲気があって、そこが好きなんだよなあ。

 神林長平の新連載「先をゆくもの達」。舞台は未来の火星。ラムスタービルの人口は約120。機械が自動で建設し、管理・維持する環境だ。31歳のナミブ・コマチは幼いころから<全地球情報機械>に親しんだ。地球人が残していったものだ。

 皆さんお待ちかねロングピース印の火星物。人類はノイマン・マシンっぽい機械が建設した環境の中に住んでいる。というと、ちょうど先日読んだ「からだの一日」の腸内細菌を思い浮かべて、そんな感じの共生体なのかな、と思ったり。

 藤井太洋「マン・カインド」第3回。反乱軍の指揮者チェリー・イグナシオは、軍事企業<グッドフェローズ>の捕虜を殺した。それをスクープした迫田の記事は、デマと判断される。残虐行為をスッパ抜かれたチェリーは意外にも…

 相変わらずガジェットは細かい所まで目が行き届いた、この作家ならではのもの。銃や防弾ガラスなどの軍用装備はもちろん、貨幣・交通機関・通信・エンバーミング、そしてニュースの審議判定方法など、凝りに凝ってる。数の数え方とかも、国際派らしい見事な書き込み。

 鳴庭真人「NOVEL&SHORT STORY REVIEW」巨大ロボット、発進! なんと巨大ロボット物を集めた書き下ろしアンソロジーが出てるとか。MECH: Age of Steel。鉄人28号の英語版なんてあるのか。

 山本さをり「世界SF情報」。エリック・コタニって、天文学者の近藤陽次だったのか。「彗星爆弾地球直撃す」も「小惑星諸島独立す」も大好きだった。続きが出るのを待ってたのに、結局出なかったなあ。

 大野典宏「サイバーカルチャートレンド」コンピューターギークの楽しみとストレス。チューリング・マシンの停止性問題とプログレス・バーの話。やっぱりアレはインチキだったのかw

 日下三蔵&筒井康隆「筒井康隆 自作を語る」第5回 『虚人たち』『虚構船団』の時代 前編。日本SF大賞設立の驚きの真相にビックリ。「同時代ゲーム」、面白そうだなあ。

 にしても、戦車SF特集で榊涼介の「ガンパレード・マーチ」シリーズがないのは何故だ。少年少女が戦車に乗る話だぞ。人型だけど。人型が駄目なら、「5121小隊の日常Ⅱ」収録の「Panzer Ladys」はどうだ。装輪式戦車士魂号L型が活躍するぞ。そもそも戦車は集団で使ってこそ本領を発揮する。その戦車の機動力と打撃力を活かしたフォーメーション・バトルが堪能できる稀有な作品だというのに。

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2017年12月30日 (土)

2017年に面白かった小説3つノンフィクション3つ

 例年と同じに、今日の気分で選んでます。明日になったら、また違ったラインナップになるでしょう。

【小説】

オキシタケヒコ「波の手紙が響くとき」ハヤカワSFシリーズJコレクション
 武佐音響研究所。音響工学の技術を売り物にした零細企業だ。普段は古くなった録音テープから音をサルベージしたり、店舗の音響環境を整えるなどの仕事を請け負う。が、ときおり、奇妙な依頼も舞い込んでくる。録音された音源から録音環境を突き止めるなんてのは可愛い方で、心霊現象の解明なんて事件も…
 SFマガジンに第一話「エコーの中でもう一度」が載った時から、音響科学・工学を素材にする発想の素晴らしさに舌を巻き、書籍化を心待ちにしていた作品。書籍では、そんな私の期待を充分に満足させてくれた。どころか、最終話の「波の手紙が響くとき」では、まさしくSFの王道で彼方まで突き抜けてくれた傑作。
A・E・ヴァン・ヴォクト「スラン」浅倉久志訳 早川書房世界SF全集17
 時は未来。特殊な能力を持つ新人類「スラン」は、人類から追われる身だ。9歳の少年スランは目の前で母を殺され、お尋ね者の烙印を抱え、敵だらけの世界で、ただ一人で生き延びなければならない…
 1940年発表と、SFとしてはとんでもなく古い作品だから、「どうせ古臭くて退屈なんだろう」と思い込んでいたら、とんでもない。危機また危機、謎また謎の連続で、常に緊張感あふれる場面を途切れさせず、またお話もコロコロ…というよりアッチコッチの思わぬ方向へハイスピードで転がってゆく、ジェットコースター・ストーリー。
アレックス・ヘイリー「ルーツ Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」現代教養文庫 安岡章太郎・松田銑訳
 西アフリカのガンビア。マンディンカ族の少年クンタ・キンテは白人に捕えられ、奴隷としてアメリカ南部に売り飛ばされる。事あるごとに希望を打ち砕かれる奴隷の暮らしの中で、しかしクンタ・キンテはマンディンカ族の誇りを持ち続けようと抗うのだが…
 発表した当時はベストセラーとなり、ドラマも史上最高の視聴率を稼いだ化け物コンテンツ。これに影響され、アメリカではご先祖探しのブームまで巻き起こした。そのブームの主流は白人なのが、このお話の凄さを物語っている。奴隷にされた黒人による白人への恨み節として書き始めたそうだ。が、完成した小説は人種間の垣根をアッサリ越え、今生きている全ての人に力強く訴えてくる、骨太の作品となった。今の日本では手に入りにくいのが、つくづく悔しい。

【ノンフィクション】

沢山美果子「江戸の乳と子ども いのちをつなぐ」吉川弘文館
 今は粉ミルクがあるが、江戸時代にそんな便利なモノはない。体や心の具合で乳の出は変わる。しかも、栄養状態は今より遥かに悪い。その上、当時は出産も命がけで、母親が命を落とすことも多かった。
 にも関わらず、私たちは今も生きている。ということは、当時の人たちも、なんとかやりくりして、私たちにまで命をつなげてくれたのだ。それは、どんな工夫だったのか。どんな苦労があったのか。
 書名だけで、面白さが保証されたような本だ。そういった目の付け所のよさは、単なるキッカケに過ぎない。この発想を生かすべく、丹念に資料を集め読み解いた研究の苦労は創造するに余りある。が、完成したこの本は、そういった苦労を微塵も感じさせず、素人にも分かりやすい文章で、当時の人々の暮らしをアリアリと再現してくれる。先の「ルーツ」にも通じる感動が蘇る一冊。
ランドール・マンロー「ホワット・イフ? 野球のボールを光速で投げたらどうなるか」早川書房 吉田三知代訳
 タイトル通りの素朴な質問に対し、著者が真面目に計算して答え…た後、質問者が全く考えていなかった影響まで答えてくれる、数学と科学と工学とユーモアがたっぷり詰まった、とっても楽しい一冊。
 光速で野球のボールを投げたらどうなる? 全人類が一斉に飛び跳ねたら地震が起きる? 月に人類が一斉にレーザーポインタを向けたら? なんて、小学生が思いつきそうな質問に対し、キチンと計算して答えるあたりが、とってもワクワクするし、その計算に必要な数字を調達する方法も、著者の柔軟な発想に感心するところ。読み終えると、身の回りの様々な事柄を計算してみたくなる。
吉見直人・NHK取材班「終戦史 なぜ決断できなかったのか」NHK出版
 太平洋戦争の終戦は、1945年8月15日となっている。が、どう頑張っても敗戦が避けられない事は、当時の対日本帝国の上層部にはわかっていた筈だ。もっと早く敗戦を受け入れていれば、原爆や中国残留孤児などの被害は避けられただろう。なぜ無駄な足掻きを続けたのか。
 国内の文書の多くは、敗戦直前に焼却処分され、ほとんど残っていない。そこで著者らは海外に残った外交資料や、各国の情報機関が解読した通信などにあたり、当時の模様を再現してゆく。
 そこから見えてくるのは、敗戦の真相ばかりではない。そもそも、なぜ無謀な戦争に突き進んだのかに至るまで、当時の大日本帝国の根本的な欠陥を露わにしてゆく。また、優れた者が集まるハズの組織で、愚か極まりない結論が下される原因も、この本を読めば、その一端が見えてくる。日本の現代史としての重要性ばかりでなく、一級品の組織論としても読む価値は計り知れない。

【おわりに】

 などと三冊づつ選んだが、当然ながら私は未練タラタラ。

 小説では、16年の時を経て刊行された「ブルー・マーズ」が期待を裏切らない出来だったし、「スペース・オペラ」で一段落ついたジャック・ヴァンス・トレジャリーも捨てがたい。イーガンの「アロウズ・オブ・タイム」も、こんなとんでもないシロモノが読める時代に感謝したいし、「捜神記」の怪しさも捨てがたい。

 ノンフィクションも面白いのがいっぱいあった。

 音楽好きとして「音楽の進化史」は外せない。「暴力の解剖学」は、SF者の妄想マシーンを暴走させる衝撃作。衝撃ではデーヴ・グロスマン「[戦争]の心理学」も期待を裏切らない迫力だった。「戦地の図書館」も、本好きなら感涙の一冊。冒頭に収録した海兵隊員の手紙は、創作に携わる全ての人の心を揺さぶるだろう。その言葉は朴訥ながら、物語に何ができるかを、戦慄すら感じさせる激しさで伝えてくる…

 とか書いているとキリがないので、今日はここまで。

【関連記事】

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2017年12月29日 (金)

リンク集

本来の意味での「ホームページ」を目指して。

【ブログとか】

Riuichi's Home Page タニグチリウイチ氏のサイト。ライトノベル評が中心の「積ん読パラダイス」の充実振りは圧倒的。

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる 書評系ブログじゃ人気トップでしょう。

HONZ ノンフィクションの新刊に絞った書評サイト。

誰が得するんだよこの書評 書評系。SF系が充実しているのが嬉しい。

馬場秀和ブログ 書評系。私が「面白そう」と思った本を検索すると、高確率でこの人がレビューしてる。

Living Well Is the Best Revenge  優雅な生活が最高の復讐である 書評系。記事はかなり歯ごたえあり。

キリキリソテーにうってつけの日 海外の主流文学の書評が中心。「面白そう」と思わせる手腕が見事。

前田有一の超映画批評 映画評。書評を始める際、このサイトがどれほど勉強になったことやら。

ココログ 私が使ってるブログサービス。

ちくわぶ をい。

【教えてもらったサイト】

元ネタは某記事のコメント。

基本読書 「質量ともに凄い! SFとノンフィクに強いです」(dain氏)

悪漢と密偵 「速度と感度が凄い! 天下一のキュレーターです」(dain氏)

物語三昧 「物語愛が凄い! 全身全霊で没入する姿のさらけだしっぷりがいい」(dain氏)

読書猿 「教養が凄い! 読むだけで賢くなれます(or その方法が身につきます)」(dain氏)

Librarian Nightbird みずけろ氏より 国内外のヤングアダルト関係

【ハマると危険な面白サイト】

イランという国で イランで暮らす女性のブログ。普通のイラン人の暮らしが分かるのが楽しい。

やる夫.jp - やる夫シリーズまとめ AA(アスキー・アート)で作った物語を集めたサイト。

らばQ 海外の面白ニュースを訳して配信する有名サイト。

quote over100notes jp Tumblr から人気記事を集めたもの。

【便利なサイト】

koukinri @Wiki 主に銀行金利の情報を集めたサイト。

Yahoo!路線情報 鉄道運賃・時間の見積もりや乗り換え案内。

Yahoo!天気・災害 天気予報。

goo辞書:国語・英和・和英・類語・中国語辞書検索 各国語の辞書。

西暦-年号早見表 by便利ページ 出版年を元号から西暦に変換する時は、いつも使ってます。

ドメイン/IPアドレス whois情報検索 IPアドレス←→ドメイン名の変換。

Wikipedia 有名な百科事典。

アンサイクロペディア そのパロディ版。

【ニュースとか】

朝日新聞RSS / 読売新聞 / MSN産経 / 毎日jp / Yahoo!ニュース / Google ニュース

AFPBBRSS / ロイターRSS / CNNRSS / BBC日本語RSS / ニューズウィークRSS

【ネット界隈】

スラッシュドットRSS  / ガジェット通信RSS / はてなブックマーク / togetter(Twitterまとめ)

駄文にゅうす / まなめはうす / たまごまごごはん

【使って便利な道具】

Firefox Webブラウザ。

Thunderbird メールの読み書き。

K2 Software's Page テキスト・エディタの K2Editor を愛用してます。

Pixia お絵かきソフト。

Massigra 軽快な画像ビューア。

OpenOffice 無料総合オフィスソフトウェア - Apache OpenOffice 日本語プロジェクト 表計算・ワードプロセッサ・プレゼンテーションなど、一通りの事務系ソフトが揃ってます。

株式会社Jane 2ちゃんブラウザ Jane Style を愛用してます。

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iTunes のラジオ局/プログレ,アニメ,サザンロック,局集

iTunes のラジオ局(インターネット・ラジオ)で気に入った局をいくつか。

目次:  →プログレ  →サザン・ロック  →アニメ関係  →特定ミュージシャン専門  →ラジオ局集

プログレ

 最もよく聞くのがこれ。最初の頃は MOROW が多かったけど、最近は Aural Moon が中心。Pink Floyd, ELP, YES, King Crimson, Genesis 等は以下の全ての局で頻繁にかかるので敢えて省いてる。意外と Camel が人気あるようで、あたしゃ嬉しい。

  1. Aural Moon  -56kbps- http://auralmoon.com/ The Net's Progressive  Rock Garden
    プログレに加えアートやサイケっぽいのも良くかかる。バランス的にこれが一番好き。Jeff Beck や初期の Journey とか、解ってらっしゃる。フランス語やイタリア語っぽいのも良くかかって、バラエティ豊かで面白い。2010.06.19あたり接続の具合が悪くて途切れ途切れになってたけど、記念イベントがあったためらしく、最近(2010.11.01)は繋がりやすくなった。
  2. MOROW.com -128kbs- http://www.morow.com/ The Best Progressive Rock of Yesterday and Today!
    ポンプっぽいのが多いかな?Pendragon とか Marillion とか。
  3. PROG.FM -128kbps- http://www.prog.fm/ Starstream Progressive Rock Radio
    ポンプに加えシンフォニック系が多い気がする。アイン・ソフなど日本のバンドもよくかかる。
  4. Delicious Agony -80kbps- http://www.deliciousagony.com/ Progressive Rock Radio -- Carrying the stream: Pamela Progsnob
    Aural Moon に雰囲気が似てるかも。英語の曲が中心なのが違いかな。
  5. Purple Piper Progressive Rock -32kbps- http://www.purplepiper.eu/http://87.6.207.244:8000/
    AREA や PFM など、イタリアが多いなあ…と思ったら局の頁に堂々と三色旗が。
  6. Stellar Attraction -128kbps- http://www.stellar-attraction.com/ Progressive Rock Heaven (Yes, Pink Floyd, Genesis, ELP, Jethro Tull et al)
    styx や Galahad など、ちょいメタルよりのもかかります。いきなり日本語の女性の綺麗な声が響いて焦ったら interpose ってバンドの恋文って曲だった。
  7. ProgPositivity -96kbps- http://www.progpositivity.com/
    上のタブの Tune In に飛べば、iTunes のアイコンからプレイリスト・ファイルを落とせます。Nightwish とか新しめが多いかな?
  8. The Dividing Line Broadcast Network -160kbps- http://www.thedividingline.com/
    Genesis がご贔屓みたいだ。他は OSI や Marillion とかポンプかな。
  9. Yestunes -56kbps- http://yurstunes.rantnrave.com/ eclectic blend of over 3200 hours of music in many worldly progressive rock sub-genres
    名前から YES ばっかりかと思ったら、私が聞いたときは Gentle Giant をかけてた。曲ではなくアルバムを通して流してるのかな?プレイリストは北米とアジアの二つがあるけど、北米の方が巧くつながるっぽい。音質はイマイチ。
  10. laut.fm/progman -128kbps- http://www.laut.fm/progman Progressive Rock Radio Dieses Programm widmet sich dem klassischen progressive Rock von Yes, Genesis oder Rush, ebenso wie dem aktuellem Prog von Porcupine Tree, Riverside oder Dream Theater.
    ロシア・東欧・ドイツ・北欧のバンドなどレアなのが多くて楽しい。タルカスのカバーとかも興味深い。
  11. laut.fm/prog_fm -128kbps- http://www.laut.fm/prog_fm Progressive Rock, Artrock, Postrock, Krautrock und Progressive Metal - kurz gesagt: Experimentelle Rockmusik von 1969 bis heute
    laut.fm で発見。progmam に比べ、英国色が強いかな。
  12. Krautrock-World -96kbps- http://www.krautrock-world.com/ Cool People listen to cool Music
    Caravan とか、懐かしめのが多いかも。プログレよりサイケ寄りかな?Free の Stealer のカバーとか、なんという俺得。

ちとプログレから外れてますが。

  1. True Progressive Radio -80kbps- http://www.trueprogressiveradio.com/
    かなりハウスっぽいのも混じってる。
  2. Prog Palace Radio -192kbps- http://www.progpalaceradio.com/
    プログレッシブ・メタル。左の Tune in ボタンで飛ぶとプレイリストが取得できます。
  3. Yesternow Radio -128kbps- http://yesternow-radio.playtheradio.com/ El mejor Rock, Blues y Progressive Rock de los 60s y 70s
    プレイリストは http://www.radionomy.com/en/radio/yesternow-radio より取得できる。CSN&Y とか、プログレというより当時の "ニューロック" な雰囲気。
  4. BlackDiamondRadio -128kbps- http://www.blackdiamondradio.net/ If you like heavy, power, progressive and gothic metal don't hesitate and tune in!
    最近のメタルが多いかも。
  5. RAKISTA Radio! 100% Pinoy rock! -128kbps- http://www.rakista.com/radio/ 100% Pinoy Rock!
    フィリピン・ロック。メタルやガレージなどノリがいいのもあれば、変拍子のプログレ、コーラスが気持ちいいリバプール・サウンド風、かと思えば南国風のスカもあって、バラエティ豊か。

サザン・ロック関係

  1. Freebird Radio http://www.freebirdradio.com/ Broadcasting from Tokyo, Japan Serving you the Best Classic Rock 24 hours a day!
    以下二つのチャンネルが生きている。
    1. Station#1 -256kbps- http://www.freebirdradio.com/hiro/indexjpn.html Freebird Radio ***Classic Rock Still Rocks!***
      サザン・ロックというより、Good Old American Rocks って感じ。Bob Seger とか Stephan Stills とか。Listen Now! よりプレイリスト(.pls)を取得可能。
    2. Station#2 -128kbps- http://www.freebirdradio.com/acr/ Freebird Radio ***All Country Rock!***
      同じサイトのカントリー・チャンネル。左袖の Listen Now! よりプレイリスト(.pls)を取得可能。
  2. All Dixie Rock.com -128kbps- http://www.alldixierock.com/ Finger-Lickin', Guitar-Pickin' Southern Rock
    頁上のバナーの下の Listen Live! で飛んだ先からプレイリストを取得できる。
  3. Crank Up The Tunes -128kbps- http://www.crankupthetunes.com/ Southern Rock Radio
    Doc Holliday, Elvin Bishop,  Atlanta Rhythm Section, Steve Earle, そして当然 Allman Brothers Band, Lynyrd Skynyrd。

【アニメ関係

全般に懐かしめの曲が多いかも。radiotime http://radiotime.com/index.aspx でキーワード anime で検索すると、沢山の局が見つかります。iTunesだと、ストリーム International/World の項に多く見つかります。

  1. AnimeAMAZE -192kbps- http://www.animeamaze.net/ Anime and JPop Hits | Touhou Included!
    能登かわいいよ能登
  2. Animusique -128kbps- http://www.radionomy.com/animusique.aspx TV animation themes (french, italian, japanese, us) and animation issues.
    影山のアニキが歌ってました。
  3. Anime Seed Radio -128kbps- http://radio.animeseed.com/
    最近(2010.07.05)開局したばかりの模様。海外のファンによる運営っぽい。
  4. AnimeNfo Radio -192bps- http://www.animenfo.com/radio/index.php Serving you the best Anime music!
    上のタブの radio → Listen で、プレイリストの URL が出る。右肩にリクエストTop10があるのが嬉しい。
  5. Hellena2 -128kbps- http://www.radionomy.com/hellena2.aspx    Your TV Animation Shows Soundtracks Webradio
    アニメ主題歌なんだけど、フランス語かイタリア語で歌っとります。
  6. RADIO JUNIOR -128kbps- http://www.radiojunior.com/ Anime Music , Japanese Pop,  Disney and toons Music
    ディズニーとかのカートゥーン物が多くて、お子様向けですね。
  7. Japan-A-Radio -64kbps- http://www.japanaradio.com/ Anime Music & Japanese Pop (Jpop / Anime)
    時間帯により J-Pop 番組とアニメ番組を交代でかけてるみたい。番組表は http://www.japanaradio.com/#/page/5 で確認できる。
  8. RadioAnimati -128kbps- http://www.radioanimati.it/ Sigle TV Cartoni Animati Telefilm - Opening Theme and Sound Tracks - From Italy
    イタリア語のアニメ主題歌がかってた。
  9. Radiotaku -128bps- http://www.radionomy.com/en/radio/radiotaku JFOU RADIO: Anime, JPop and JRock hits! ALWAYS UPDATED!!!
    分島花音 が好きらしい。J-Pop中心。
  10. Radio Japanime -128kbps- http://www.radionomy.com/en/radio/japanime Japanime propose le meilleur de la musique J-rock et j-pop
    Web頁 http://www.japanimes.fr/ で、最近かけた曲が出てる。女性シンガーが多いかな?試しに聞いたら Meg Rock の Clover がかかってあたしゃ嬉しい。
  11. laut.fm/purepure -128kbps- http://www.purepure.de/, http://www.laut.fm/purepure
    laut.fm で発見。比較的有名で新しい曲が多い気がする。laut.fm に番組表と最近かけた曲がある。
  12. Anime Online Radio -128kbps- http://www.animeonline.su/ Radio Nami
    ストリーミング・サーバはロシアにあるらしく(http://radionami.ru/)、ちと通信速度が苦しいかも。
  13. anime.com.pl -64kbps- http://anime.com.pl/ nadajemy muzykę i audycje przez całą dobę: słuchaj zobacz ramówkę
    radiotime で発見。WashuOS なんてのがあるとは。
  14. Animation 80 -128kbps- http://www.radionomy.com/en/radio/animation-80 Animation 80 est la radio des ge'ne'riques TV de votre jeunesse, de Goldorak au Minipousse en passant par Candy et princesse Sarah retrouvez tous les ge'ne'riques des dessins anime's!!!
    懐かしめのアニメ曲の(たぶん)フランス語 ver を流してる。
  15. Extreme Anime Radio - Keiichi.net ex² -128kbps- http://radio.keiichi.net/, http://radio.keiichi.net/index2.php live feed station that plays your Anime, J-Pop, and J-Rock favorites from our extensive playlist of over 4000 songs.
    アニメや J-Pop に加え、ニコニコ動画関係など電波系も。プレイリストは右上の帯の Listen! で飛んだ先から入手可能。
  16. Anime stereo -128kbps- http://www.radio-anime.net/ anime radio musica anime
    openings, endings la mejor radio para el j-pop y k-pop de los animes
    canciones japonesas y koreanas
    真面目に日本文化に興味を持っているようで、私が見た時は先頭頁で七夕の紹介をしてた。
  17. AnimeTop Radio - La musica que te gusta -64kbps- http://www.animetop.cl/ The
    best asian and dub music.
    プレイリストは先頭頁から RADIO で飛んだ先にある。.cl はチリ。みたらし団子のレシピが載ってたり、やはり日本文化に興味をお持ちの模様。軽く聞いた限りじゃ Angela など女性シンガーが多いので、男性向けかな。
  18. dd-animes -128kbps- http://dd-animes.playtheradio.com/ La mejor radio para la musica Anime openings, endings , el j-pop y k-pop de los animes canciones japonesas y koreanas
    プレイリストは http://radio-ddanimes.com.ar/ から取得可能。私が聞いた時は  Lia の My Soul, Your Beats! をフルバージョンでかけてた。
  19. HelloProjectAnime -128kbps- http://tsuki-radio.playtheradio.com/ Hello Project , Anime and J-pop radio
    プレイリストは radionomyhttp://www.radionomy.com/en/radio/tsuki-radio/index から取得可能。
  20. Subarashii -128kbps- http://www.subarashii.be/ Subarashii est une radio consacree a l'animation japonaise. On peut y retrouver des openings et des endings d'animes recents et plus anciens mais egalement des background music (BGM) de films d'animation, d'animes et de jeux videos.
    プレイリストは上の帯の Applications から取得可能。どちらかというと女性向けかな?
  21. Tsumugi -128kbps- http://tsumugi.forum-thalie.fr/ Generiques d'anime, soundtracks de jeu video, rock dementiel. Tout cela et bien plus encore sur Tsumugi !
    試しに聞いたら Nightwish が流れてて「アレ?間違えたかな?」と思ったら「ニッポン笑顔百景」になったり、カオス。プレイリストは radionomyhttp://www.radionomy.com/en#!/en/radio/tsumugi/index で取得可能。tsumugi の由来は、頁を見れば判ります。
  22. 1 Otaku Music Radio -128kbps- http://www.otakumusicradio.com/ Emisora de radio con la mejor m?sica Otaku: JRock, JPop... Sonido venido directamente desde Jap?n...!Radio station with the best Otaku music: JRock, JPop... Sound coming directly from Japan!
    プレイリストは http://www.radionomy.com/en#!/en/radio/1-otaku-music-radio/index

これも時代か、やっぱりあったヴォーカロイド専門局。

  1. Radio Vocaloid -128kbps- http://www.radiovocaloid.com/ anime radio Vocaloid music vocaloid anime radio miku ren japanese world song singles
    プレイリストは radionomy(http://www.radionomy.com/en#!/en/radio/radiovocaloid/index)から得られる。

特定ミュージシャン専門局

まずは Beatles 専門局を6つ。

  1. Beatlesday Radio -128kbps- http://www.radionomy.com/beatlesday.aspx Beatles songs (original and interpretation), pop, rock, oldies, French songs, news
  2. Beatlesradio.com -128kbps- http://www.beatlesradio.com/ The Beatles, Solos, Covers & more.
  3. Beatles-A-Rama -128kbps- http://www.beatlesarama.com/ The Beatles' Story in words and music.
  4. LIVERPOOL REVOLUTION LIVE -128kbps- http://www.radionomy.com/en/radio/liverpool-revolution-live The ultimate Beatles' webradio ! Pure Beatles' music 8 days a week ! Exclusive material never heard before ! With LIVERPOOL REVOLUTION LIVE, in the beautiful Beatles' sound you dive!
  5. ABC Beatles -128kbps- http://www.radionomy.com/en/radio/abc-beatles The Beatles A to Z
  6. ZET Beattles -128kbps- http://www.radiozet.pl/sluchaj/online/ZET-Beatles.html

次に Pink Floyd を3局。

  1. Feeling Floyd -128kbps- http://www.radionomy.com/feelingfloyd.aspx The best Pink Floyd and Gilmour Radio
  2. 4 Ever Floyd -96kbps- http://4everfloyd.com/ Where The PINK FLOYD Never Stops
  3. WJOE - Pink Floyd Radio -128kbps- http://wjoe.piscitella.com/ All Day, All Night, All the Time!
    …なんか異様なテンションの一族のサイト。左下の Streaming Music の Pink Floyd の項でプレイリストが手に入る。

Dead Heads ご用達の Grateful Dead 専門局。

  1. GDRADIO.NET -64kbps- http://www.dead.net/ Streaming Grateful Dead and more!
  2. radioio.com : Dead -64kbps- http://76.76.15.147:9046/
  3. GratefulDay -128kbps- http://www.gratefulday.com/ Grateful Dead Complete Live Shows 24/7
  4. WJOE - Grateful Dead Radio -128kbps- http://wjoe.piscitella.com/ All Day, All Night, All the Time!
    先の Piscitella Family。左下の Streaming Music の Grateful Dead の項でプレイリストが手に入る。
  5. Closet Deadhead -128kbps- http://www.closetdeadhead.net/home.html Grateful Dead and non-GD music & interviews
    プレイリストはWeb頁右上の "Click Here To Listen Now!" で飛んだ先の頁から取得できる。

なんと AC/DC も3局見つかった。

  1. Powerage -128kbps- http://www.radionomy.com/en/radio/powerage AC/DC Only!
  2. Highway to AC/DC -128kbps- http://www.radionomy.com/en/radio/highway-to-acdc Exclusively for AC/DC Fans...
  3. AC DC Radio - Let there be rock 24 hours a day -128kbps- http://acdc.radiodelsuronline.com/ Let there be rock

Led Zeppelin は今のところ 2局。

  1. 4 Ever Zeppelin -96kbps- http://4everzeppelin.com/ Your Stairway To Zeppelin
    プレイリスト(.pls ファイル)は先頭頁から取得可能。
  2. WJOE - Led Zeppelin Radio -128kbps- http://wjoe.piscitella.com/ All Day, All Night, All the Time!
    Led Zeppelin。先の Piscitella Family。左下の Streaming Music の Led Zeppelin の項でプレイリストが手に入る。

Bob Dylan も2局。

  1. DylanRadio.com -128kbps- http://www.dylanradio.com/ The world's only Bob Dylan radio station
  2. Bob Dylan Tracks -128kbps- http://www.bobdylantracks.com/ Songs written by Bob Dylan

以下、様々なミュージシャン専門局を。

  1. Orabidoo -128kbps- http://www.radionomy.com/EN/Radio/orabidoo Only Mike Oldfield & relatives
    マイク・オールドフィールド専門局。
  2. Strutter Radio -64kbps- http://strutterRadio.com/ KISS Tribute Statio
    ヘビメタおぢさん感涙の KISS 専門局。あるもんなんだなあ。
  3. Zappa Radio -64kbps- http://www.zappa.com/zapparadio/ Frank Zappa: 'Music Is The Best' - That's right folks, you heard Right. Don't touch that dial! Zapparama & Randomonium too. Puts the Hrz on your nose. KILL UGLY RADIO!!!!!
    …まあ、仕事中毒のザッパだしなあw
  4. Pat Metheny Radio -96kbps- http://www.patmetheny.com/ Features the music of guitarist Pat Metheny - The Official Station of guitarist Pat Metheny
    その名のとおり、Pat Metheny のオフィシャル局。
  5. Always - Bon Jovi Radio: Radio Aspekt [N] -96kbps- http://www.bonjoviradio.com/
    Bon Jovi のみってワケではなく、彼らの好きなミュージシャンの曲もよくかかる。
  6. [1ARadios.com] Van The Man -128kbps- http://www.1aradios.com/ Van Morrison all Day and Night. Hits, B-Sides, Rarities and More!
    Van Morrison の専門局。ちとサーバの応答は遅いかも。プレイリスト(.pls ファイル)は先頭頁から取得可能。
  7. Rolling Stones Radio -96kbps- http://rollingstonesradio.com/
    その名の通り、Rolling Stones 専門局。Listen Live! よりプレイリストを取得できる。
  8. Metal Gods -128kbps- http://www.radionomy.com/nl/radio/metal-gods Judas Priest Only!
    重金属の神ジューダス・プリースト専門。radionomy内。
  9. Beach Boys Radio [LifeJive.com] -128kbps- http://www.lifejive.com/index.php/beachboys-128 Beach Boys all day and all night! Hear Studio Hits, Bsides, Rarities and More!
    夏の定番、ビーチボーイズ。
  10. Michael Jackson Jams -128kbps- http://mj.audiograted.com/ Michael Jackson Jams is a radio dedicated to celebrating the life and legacy of Michael Jackson.  MJ Jams is playing hits from Michael's days in the Jackson 5 and as a solo artist, and unreleased and less popular music as well.
    マイケル・ジャクソン。
  11. Tom Petty Radio [LifeJive.com] -128kbps- http://www.lifejive.com/index.php/tompetty-128 Tom Petty all day and all night! Hear Studio Hits, Bsides, Rarities and More!
    ハートブレイカーズも含めたトム・ペティ専門局。

クラシックには疎いんだけど、一応調べてみた。

  1. RadioMozart -128kbps- http://tv1.rtp.pt/radiomozart/ Ce n'est pas de la radio, c'est du Mozart
    モーツァルト。プレイリストは http://www.radionomy.com/en/radio/radio-mozart から。
  2. BeethovenRadio -128kbps- http://www.beethoven.com/ Only Beethoven
    ベートーベン。プレイリストは http://www.radionomy.com/en/radio/beethoven-radio から。
  3. RadioBach -128kbps- http://www.radiobach.com/ La magie du baroque
    バッハ。プレイリストは http://www.radionomy.com/en/radio/radio-bach から。
  4. RadioChopin -128kbps- http://www.radiochopin.org/ Toute la magie de Chopin dans une radio
    ショパン。プレイリストは http://www.radionomy.com/en/radio/radio-chopin から。

正直、クラシック愛好家の期待に応えるには、今のインターネット・ラジオじゃ音質面に改善の余地が大きいような気がする。とまれこれはビットレートやサンプリングレートなどデジタル面に加え、サウンドボードやスピーカなど再生環境・マイクの位置や指向性など録音環境も含め、総合的な研究・開発が必要なのかも。

インターネット・ラジオ局を集めたサイト

  1. radionomy http://www.radionomy.com/ EN で英語メニューに移り、キーワードで探してみよう。やたら重いのが欠点。
  2. MusicPlayOn.com http://ja.musicplayon.com/ 頁の一番上にある検索フィールドに jpop や anime 等のキーワードを入れて検索しよう。
  3. Live365 http://www.live365.com/index.live 充実っぷりは半端じゃないっす。
  4. SHOUTcast.com http://www.shoutcast.com/ 最近かかった曲(Recently Played)の表示があるのが嬉しい。
  5. MUSIC STYLE.infohttp://www.music-style.info/music-style/html/002_004.html にインターネット・ラジオ局集のリンク集があります。
  6. ooTunes http://demo.ootunes.com/radio_streams_that_work_on_iphone Find your favorite station... にキーワードを入れて探そう。
  7. radioio http://www.radioio.com/ 2010.08.07現在で78局。ブラウザで即聴けるのは楽かも。
  8. laut.fm http://www.laut.fm/ ドイツ~北欧圏の小さい局を集めたサイトっぽい。各局ごとに、番組表(sendungen)と最近かけた曲(playlist)が見えるのは有難い。
  9. radiotime http://radiotime.com/index.aspx キーワード "anime" で検索したら、66局も出てきてビビった。ロシア・メキシコ・ポーランドなど、国際色豊か。自動翻訳してくれるのはいいけど、Progressive を進歩主義者、ハウスを家ってのは…
  10. tunein http://tunein.com/ 文化放送やNHKなど、日本のラジオ局が充実してるのが嬉しい。

【iTunes Tips】

気に入ったラジオ局は、自分のプレイリストに登録すると便利です。→iTunes のラジオ局はプレイリストに登録しよう

ライブラリに登録した局につながらなくなった時は、局の URL を再登録すると復活する場合もあります。→iTunes:ライブラリに登録したラジオ局が聞けない/繋がらない時の対策

iPod の再生回数が iTunes に反映しなくなったら、再設定で直る時もあります。→iPod nanoの再生回数がiTunesに反映しない時の対処

iPod に曲を転送できない時は再設定で直ります。→iPod:"その他"が大きくて曲が転送できない時の対処法

iPod の曲をランダムっぽく入れ替えるには→iPod,iTunes:自動でランダムっぽく曲を入れ替えるプレイリストを作る

【おわりに】

おまけ:惜しくも消えてしまった局。

  1. JCHMusicProgressiveRock -128kbps- http://www.radionomy.com/EN/Radio/jchmusic-progressive-rock
    PFM, ELP とプログレど真ん中が続いたと思ったら Jackson5 や George Duke が来たり、結構カオス。ハウスやテクノっぽいのもちらほら。
  2. radioio PROGRESSIVE ROCK -64kbps- http://www.radioio.com/genres/All/Progressive-Rock Extraordinary, experimental 60s and 70s rock
    radioio 内のプログレ・チャンネル。Kansas や Jethro Tull もかかります。
  3. Technicolor -128bps- http://www.techwebsound.com/ Web of Sound 60s Psychedelic Web Radio (www.techwebsound.com)
    いきなし James Gang 時代の Joe Walsh の声が流れて、おぢさん狂喜乱舞。Neil Young がご贔屓みたい。
  4. Cover Songs by Radio Free Fernie -128kbps- http://www.coversongsradio.com/ All rock cover songs all the time
    カ バー・バージョンの専門局。選曲が Don't Fear The Reaper とか Born To Run とか、おぢさんホイホイすぎて困るw アコースティック・ギターとバイオリンの Dream On とか、Jeff Beck による A Day In The Life とか、美味しすぎ。プレイリストは右上の「Listen To The Best Cover Songs Live Now!!」で移動した頁にあります。
  5. PURE ROCK RADIO -128kbps- http://www.purerockradio.net/news.php CD Quality Hard Rock & Metal since 2000! LIVE REQUESTS & LOUD!
    W.A.S.P. とか Saxon とか、メタルだなあ。
  6. Progressive Station -192bps- http://progressive.sytes.net/
    Kingdom Come とか、メタルが多い。
  7. Between Cyborg and Jester Radio -128kbps- http://between-cyborg-and-jester-radio.playtheradio.com/ Prog rock, metal, heavy, classic rocks from the cyborg to the jester
    プレイリストは rdionomy から取得できる:http://www.radionomy.com/nl/radio/between-cyborg-and-jester-radio
  8. All Southern Rock -128kbps- http://allsouthernrock.com/ Non Profit, Commercial Free!
    元は All NEW Southern Rock って名前で、Lynyrd Skynyrd、それも野太いジョニーではなく哀愁漂うロニー・ヴァン・ザントの歌声がしょっちゅう聞こえてきて、いったいどこが New なんだろう…と思ってたら、いつの間にか NEW が取れてた。こういうのって、「New」はセールスポイントにならないしねw 他に Black Foot や Gov't Mule、そして勿論 Allman Brothers Band とか。
  9. Swamp Monster Radio -64kbps- http://bmoreradio.com/bmoreswampmonster/ Southern Rock 24 hours a day
    Bread とか Roy Buchanan とか、70年代のブルースやカントリーが好きな人向け。サザンというよりアメリカのルーツ・ミュージックって感じに加え、南部風ヒップホップもよくかかる。

以後、気が向いたらテキトーに追加していきます。

【不充分な更新履歴】

  • ~2010.11.01 何回か更新
  • 2010.11.02 プログレに laut.fm/progman, laut.fm/prog_fm, アニメに laut.fm/purepure, 局集に laut.fm を追加。
  • 2010.11.04 頁タイトル変更
  • 2010.11.07 Krautrock-World, Radio Nami, anime.com.pl, Bon Jovi Radio, radiotime を追加。
  • 2011.04.07 Animation 80, 4 Ever Zeppelin, Van The Man を追加。
  • 2011.04.27 Freebird Radio Station#1,  Station#2 を追加
  • 2011.05.01 Rolling Stones Radio, Yesternow Radio, RadioMozart, BeethovenRadio, RadioBach, RadioChopin を追加。
  • 2011.06.21 Extreme Anime Radio - Keiichi.net ex² を追加、体裁を少し変更
  • 2012.03.21 ABC Beatles, Bob Dylan Radio, Metal Gods, AC DC Radio, Between Cyborg and Jester Radio, BlackDiamondRadio, RAKISTA Radio, tunein を追加
  • 2012.11.07 All Dixie Rock.com を追加
  • 2013.07.16 Anime stereo, AnimeTop Radio, dd-animes, HelloProjectAnime, Subarashii, Tsumugi, 1 Otaku Music Radio, Radio Vocaloid, , ZET Beattles, Beach Boys Radio, Michael Jackson Jams, Tom Petty Radio を追加
  • 2015.02.04 Closet Deadhead, Crank Up The Tunes を追加。消えた局を追加。少し体裁を変える。

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2017年12月28日 (木)

カテゴリ別書評一覧

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2017年12月27日 (水)

ジェニファー・アッカーマン「からだの一日 あなたの24時間を医学・科学で輪切りにする」早川書房 鍛原多恵子訳

本書はあなたの身体に関する新しい科学的知見にかかわるものであり、1日24時間のうちに体内で起きる複雑で興味深い出来事を多数見ていこうとするものである。
  ――プロローグ

私たちは五感をとおして1秒につき数千万ビットの情報を取り入れているけれども、意識が処理できるのはわずかに7~40ビットに限られている。
  ――第3章 機知

(空腹感を司る)ホルモンレベルは食事前にほぼ80%急上昇し、胃が空っぽになる食事前にピークを迎え、食後一時間すると最低レベルまで降下する。
  ――第4章 正午きっかり

秒速1.8m超、つまり時速4.8kmの速度での歩行がもっとも効率がいいそうだ。筋肉がこの歩調で歩くときの歩幅と歩数でもっともよく動くというのが一つの理由だ。
  ――第5章 ランチのあと

昼寝することによって、その後の注意力、気分、俊敏性、生産性が上がるとする研究は山積している。
  ――第6章 居眠りの国

あなたの肉体は一日のやや遅い時間に最高の状態になる。(略)手と背骨は一日の早いい時間と比べて約6%強靭になっている。
  ――第8章 運動する

一般的にいって、筋肉痛は激しい運動の24~48時間後にピークを迎える。
  ――第8章 運動する

「疲れるのは脳で、体ではないのよ」
  ――第8章 運動する

消化管内壁の細胞は夜に比べて昼には23倍の速さで増殖する
  ――第11章 夜風

【どんな本?】

 時差ボケを経験した人は見に染みてわかるだろうが、私たちの体には24時間のリズムがある。なら、勉強に適した時間や運動に適した時間もあるんだろうか? 

 世の中には朝型の人と夜型の人がいる。同じように食べても、太る人と太らない人がいる。悲観的な人と楽観的な人がいる。これは何が違うんだろうか?

  目覚めのとき。音楽を聴くとき。歩くとき。驚いたとき。あくびが出るとき。疲れたとき。恋に落ちたとき。眠るとき。食事のとき。そして消化のとき。私たちの体には、何か起きているんだろうか。

 著者は「かぜの科学」でも体当たり取材に挑んだ突撃型サイエンス・ライター。現代科学が解き明かした私たちの体の謎を、抜群の行動力によって世界中の医学者・科学者に取材し、時には自ら被検体となってかき集め、親しみやすく紹介する、一般向けの科学解説書。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は Sex Sleep Eat Drink Dream : A Day in the Life of Your Body, by Jennifer Ackerman, 2007。日本語版は2009年10月25日初版発行。単行本ハードカバー縦一段組みで本文約330頁に加え、訳者あとがき5頁。9.5ポイント43字×16行×330頁=約227,040字、400字詰め原稿用紙で約568枚。文庫本なら普通の厚さの一冊分。

 文章は比較的にこなれている。内容も特に難しくない。ときおり脳の部位やホルモンや化学物質の名前が出てくるが、「そういうモノ」ぐらいに思っていれば充分に楽しめる。国語が得意なら、中学生でも読めるだろう。

 ちなみに原題 Sex Sleep Eat Drink Dream は King Crimson の曲(→Youtube)。アルバム Thrak 収録。そういう趣味だったのね。

【構成は?】

 プロローグと第1章は、本書全体の基礎となる事が書いてあるので、最初に読もう。以降の各章はほぼ独立しているので、気になった所だけをつまみ食いしてもいい。

プロローグ

 第1章 目覚め
 第2章 外界をさぐる
 第3章 機知

 第4章 正午きっかり
 第5章 ランチのあと

午後
 第6章 居眠りの国
 第7章 緊張感
 第8章 運動する
夕暮れ
 第9章 パーティーの顔


 第10章 魅せられて
 第11章 夜風
 第12章 眠り
 第13章 狼の時刻
謝辞/訳者あとがき/原注

【感想は?】

 誰だって何が一番気になるかは決まっている。自分の事だ。だから、この本は面白い。だって、この本は、私の、そしてあなたの体の事を書いているんだから。

 とはいえ、同じ体のことでも、人によって気になる点は違う。

 受験生なら、もの憶えのいい時間を知りたいだろう。体重が気になる人は、運動と食べ物と消化関係。寝つきが悪い人は、睡眠関係。スポーツ好きな人なら、筋力がつきやすいトレーニング方法。そして、誰もが気になるのが、モテる方法だ。安心していい。みんな、役立つ事が書いてある。

 例えば勉強に向く時間だ。

注意力、記憶力、明確に思考し学習する能力は、1日のあいだで15~30%変動するという研究がある。たいていの人は目覚めてから2時間半から4時間のあいだがいちばん頭が冴えている。
  ――第3章 機知

 そんなわけで、午前中に集中して学ぶといい。ヒトの体には、一日のリズムがあるのだ。

体温は1日のうちに2度近く変動する。早朝のおよそ36度1分という体温に始まり(つまり朝いちばんに測った体温が37度なら、あなたは微熱がある)、午後遅くか夕刻早くにはおよそ37度2分あるいは37度8分まで上昇するのだ。
  ――第1章 目覚め

 このリズムを巧く使えば、色々と役に立つ。ただし、試験の日は寝坊厳禁だ。1950年代、米空軍は駐機中の戦闘機のコクピットにパイロットを眠らせ、いつでも離陸できるようにした。これが大失敗。叩き起こされた直後のパイロットは寝ぼけているため、事故が続出した。

 睡眠については他にもあって、終盤では睡眠不足の恐ろしさを繰り返し警告してたり。現在、バスの運転手は人手不足を超過勤務でカバーしているらしいが、これはとても恐ろしい事なのだと、つくづく感じる次第。

 さて。私は付箋をつけながら読んでいる。読み終えて改めて「どこに付箋がついているか」を眺めると、食事と消化が最も多く、次に睡眠関係だった。本能に忠実に生きてるなあ。

 私は温かい食べ物が好きだ。夏でもコーヒーはホットで飲む。これにも、ちゃんと理由があった。

温度も味覚に関係している。食べ物を温めると、甘さや苦みが増す(コーヒーがおいしく感じられるもう一つの理由である)。実際、舌の温度を変える(上げたり下げたりする)だけで、50%の人が味を感じる。
  ――第2章 外界をさぐる

 温かい方が、より味を強く感じるのだ。逆に、アイスコーヒーは、より濃くする必要があるんだろう。甘い物が好きだけど太りたくないなら、ホット派に鞍替えしよう。加えて、朝ご飯はガッチリ食べた方がいい。

毎日一度、朝食に2000キロカロリーの食事を摂ったとすると、体重は減るかもしれない。ところが、同じ量を夕食に摂れば、おそらく体重が増えるだろう。
  ――第5章 ランチのあと

 これも一日の体のリズムが原因だ。

 また、睡眠不足もダイエットの敵。寝足りないと、食事の量が増える。また、脂っこいものが欲しくなる。あなたも経験あるでしょ? だけでなく、体に脂肪がつきやすくなってしまうのだ。がび~ん。悲しい事に、太りやすい体質ってのも、ある。これは遺伝子いだけじゃない。なぜって…

「健全な人体を構成するすべての細胞の中で、99%以上が皮膚や腹部などに暮らす微生物なのだ」
  ――第5章 ランチのあと

 この体内、特に腸内の微生物がクセ者。

バクテロイデス・テタイオタオミクロンのような細菌がいなければ、炭水化物はカロリーの源になることもなく、ただ私たちの体内を通過してしまっていたことだろう。
  ――第5章 ランチのあと

 彼らは消化を助けてくれる。のはいいが、この腸内微生物の構成が、人により違う。太りやすい人は、消化を助ける微生物を沢山飼っているらしい。余計なことをしやがって。

 なんていう悩みやストレスも、少しなら役に立つ。

ストレスそのものは体にいいのだという。ただし、短い時間であれば、という条件つきである。
  ――第7章 緊張感

 驚いた時、筋肉が緊張して呼吸が荒くなり脈も増える。体が戦闘状態に入るわけだ。いわゆる「火事場の馬鹿力」ですね。ホラーやジェットコースターなど、恐怖やスリルを「楽しむ」娯楽があるのは、このためなんだろうか。

 ただし、長い期間に渡り続くストレスは「選択を誤りがち」になる。パワハラ上司やカルト宗教の洗脳は、こういう体の働きを悪用してるのかも。

 悪用って程でもないが、モテるコツも載っていて、例えばカレシに自撮り写真を渡すなら…

 と、役に立つ事から野次馬根性で楽しめるネタまで幅広く扱っていて、読んでいて飽きない。半面、あまりに身近過ぎて考え込んでしまう話も多い。文章は読みやすく内容も分かりやすいが、読み通すのには意外と時間がかかる本だった。

【関連記事】

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2017年12月24日 (日)

ベルナール・ヴェルベール「タナトノート 死後の世界への航海」NHK出版 榊原晃三訳

もしわたしが死んでいたら、彼らはもっと悲しんだだろうに。そして、わたしはあらゆる美点を一挙に獲得していただろうに。
  ――第一期 アマチュアの時代

「円を描き、そのまま鉛筆を紙から離さないで円の中心点を書くことができるかね?」
  ――第一期 アマチュアの時代

あることについて何ひとつ知らない場合は、さほど疑問は起こらない。だが、ひとたび解釈のきっかけをつかんでしまうと、なんとしてもすべてを知りたくなる。
  ――第二期 先駆者たちの時代

人は、友は選べても、家族は選べないものだ。
  ――第二期 先駆者たちの時代

宗教は毒にも薬にもならない。ただ生き残りを図っているだけだ。
  ――第二期 先駆者たちの時代

人に仇なした者は、自分の犯した行為のためにその相手を恨むのだ。
  ――第二期 先駆者たちの時代

大規模な戦争は、必ず善の名においてはじめられ、決して悪の名が語られることはない。
  ――第三期 プロフェッショナルの時代

【どんな本?】

 フランスの奇想作家ベルナール・ヴェルベールによる、近未来を舞台とした長編SF小説。

 21世紀後半、フランス。ミカエル・パンソンとラウル・ラゾルバックは、幼い頃から「死」に憑かれていた。死とは何か。人は死んだらどうなるのか。死後の世界はあるのか。そこはどんな所なのか。多くの書物を漁るが、その正体は掴めない。

 そして年月は過ぎ、ミカエルは麻酔医に、ラウルは冬ごもりを研究する教授となる。

 フランス大統領リュッサンデールは、テロリストに襲われる。生と死の狭間で、彼は不思議な経験をする。己の心霊体が肉体から離れてゆくのだ。いわゆる臨死体験である。

 幸か不幸か命をとりとめたリュッサンデールは、一つの計画を始める。人類にとって、「死」は未知の世界だ。ならば、「死」を征服しよう。その計画は、麻酔医ミカエルと教授ラウルを巻き込み、密かに進み始めた。

 この研究は、世界に大きな騒ぎを巻き起こし…

 メソポタミア,日本,マヤ,チペア・インディアン,リグ・ベーダなど世界各国の神話・伝説、聖書やコーランや仏典などの宗教書、論語や葉隠やカバラなどの思想書・哲学書など、古今東西の多くの書物から生死に関する文章を引用しつつ、奇想天外な発想と気の利いたフレーズで読者の頭脳を揺さぶる、奇妙奇天烈な長編SF/ファンタジイ小説。

 なお、英語版 Wikipedia によると、この作品は五部作の開幕編らしい。が、日本語版では続きが出ていない。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は Les Thanatonautes, par Bernard Werber, 1994。日本語版は1996年9月25日第1刷発行。単行本ハードカバー縦一段組みで本文約660頁に加え、訳者あとがき3頁。9ポイント45字×20行×660頁=約594,000字、400字詰め原稿用紙で約1,485枚。文庫本なら上中下の三巻ぐらいの巨大容量。

 文章はとてもこなれている。内容もわかりやすい。SFとはいっても、ケッタイなアイデアを楽しむ本なので、理科が苦手な人でも大丈夫。どころか、この作家、ハッキリ言ってメカ描写は悲惨なので覚悟しよう。21世紀後半が舞台なのにカセットテープとか。

 どうでもいいけがこの作家、名前の日本語表記がバラバラなのは困りもの。ベルナール・ウエルベル,ベルナール・ウェルベル,ベルナール・ヴェルベール。また韓国じゃ外国作家としては人気ナンバーワンで、J・K・ローリングより売れてるそうです(→中央日報)。

【感想は?】

 カオスというかサラダボウルというか。変な方向の教養と悪趣味なコメディのカクテル。

 文庫本三冊分なんてやたらと長いお話だ。しかも、構成は単純で、過去から未来に向かい一直線で進む。が、意外と読んでて飽きない。

 それはストーリーが波乱万丈で、語り口が微妙にユーモラスなためもあるが、もう一つ、この作家お得意のテクニックが功を奏しているから。

 まず、文章を数頁程度の短い段落に分ける。そして、その合間に、色とりどりのものを挟んでゆく。それは未来の「歴史の教科書」だったり、「警察のリスト」だったり。加えて効いているのが、古今東西の神話・伝説・思想書などの引用。

 この引用が、よく調べたなと感心するぐらい、バラエティに富んでいてマニアック。

 フランス人だから聖書やギリシャ神話やパスカルのパンセは当然としても、ギルガメシュ叙事詩,ラップランドのサーミ人の神話,ヒンドゥーのウパニシャッド,アステカ神話,アマゾンの神話,仏典,論語,葉隠,マヤ神話,古事記,ケルト神話,ルバイヤート…と、好き者は涎が止まらないラインナップ。

 こういった思わせぶりな引用で「何かあるな」と感じさせながらも、登場人物はデフォルメが効いていて、お話はコミック・タッチなあたり、どこまで本気でどこから冗談なのか、なんともクセ者で正体が掴めない。

 そもそも臨死体験で死後の世界を探ろうって所からして、もう怪しさビンビン。懐疑主義の人は、とりあえず主義を脇に置いて読もう。ある意味、馬鹿話でもあるし。

 なにせ死を探ろうって研究だ。しかも大統領のキモ入り。となれば、バレたら大騒ぎになる。ってんで、最初は秘密裏にコソコソ実験を始める。この秘密の研究室の雰囲気が、いかにも古臭いホラーな感じながら、妙に貧乏くさいのがなんともw

 が、しかし。壁に耳あり障子に目あり。世間は目ざとく秘密を嗅ぎつけ、やがて大騒ぎとなる。この騒ぎの中での公開実験のあたりから、著者の悪ノリっぷりはエンジンがかかってくるので、お楽しみに。確かに公開実験はいいけど、あんまりにも雑すぎるだろw

 彼ら「死」を探検する者たちが、書名にもなっているタナトノート。少しづつ、死のベールを剥ぎ取り、タナトノートたちは死後の世界の実態を明らかにしてゆく。その度に、彼らの発見は、世間に嵐を巻き起こし、世の人々は右往左往する。

 当然ながら、計画を進めた大統領リュッサンデールの支持率も激しく乱高下を繰り返すんだが、それより面白いのは宗教界の反応。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のアブラハム三兄弟はもちろん、仏教・神道・道教・サンエントロジーと、全方面に喧嘩売りまくり。

 にしても、熾天使、それでいいのかw

 と、宗教界には大嵐が吹き荒れ、世の人々も新しい発見に悲喜こもごもな風潮の中、肝っ玉母ちゃんで押し通したり、機を見るに敏なビジネスマンとしてひたすら商売に精を出す、ブレない人たちもいたり。このあたりも、著者の正体が掴めない所だったり。

 といった矛盾を抱えながらも、著者の悪ノリは終盤で更に調子に乗り、意外なというかやっぱりというか、ソノ手の連中まで乱入してきて、もはや何が何だか。なんじゃいコマコーラってw この辺は、一時期の筒井康隆を思わせる、悪趣味で風刺の利いたギャグが次々と炸裂するので、ちょっと通勤電車の中では読めない。

 ただし、幾つかの面で考証は酷いので、そこは覚悟しよう。1994年の作品ながら、相対論なにそれ美味しいのってな科学考証、21世紀後半でもビデオデッキな技術考証、やはり未来でもワルがカセットデッキでAC/DCな時代考証。せめてそこはRUN-DMCの Walk This Way で(←たいしてかわらん)。

 怪しげで思わせぶりな大量の引用と、気の利いたフレーズ、悪趣味でコミカルな社会風刺、そして奇想天外なアイデアの数々。「変な小説」ではあるけど、読みやすさは抜群。そういう変わったモノが好きな人向け。

 ただし、「ちょっとウェルベルを味見したい」って人には、「」か「星々の蝶」の方がいいかも。「変てこさ」で「」、短さで「星々の蝶」がお薦め。

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2017年12月20日 (水)

鳥井順「アフガン戦争 1980~1989」第三書館パレスチナ選書

遊牧民の中で主流を占めるヒンドゥークシ山脈南部山麓の遊牧民は、冬季はパキスタンで過すのが特徴である。(略)春の彼岸の頃、アフガンの涼しい夏営地を求めて移動を始める。彼らには国境がないのと同じで、国家の統治下に入らないのが常である。
  ――第一章 アフガニスタンという国

戦争間を通じてソ連軍が実施した対ゲリラ戦全般をよくよく観察してみると、意外にも“ゲリラに対して地上からは積極的に攻撃しない”という特徴があることに気付く。
  ――第八章 ソ連軍の対ゲリラ戦闘(前期)

そもそも、文明の発達度に大きなギャップがあり、かつ文化・思想等が全く異なる発展途上国に先進国が現代的軍隊を投入する場合には、緒戦から圧倒的な兵力を投入するのが軍事常識である。
  ――第九章 ソ連軍の問題点

【どんな本?】

 今でも内乱が続くアフガニスタン。そのきっかけは、1980年に始まったソ連のアフガニスタン侵攻である。1989年まで続くソ連軍の戦いは、やがて東欧に続きソビエト連邦までも崩壊させた。

 戦場となったアフガニスタンとは、どういう所か。そこにはどんな者が住み、どんな暮らしを営んでいたのか。なぜソ連はアフガニスタンに侵攻したのか。ソ連軍と抵抗軍はどんな目標を掲げてどのように戦ったのか。新鋭装備を持つソ連軍が、なぜ苦戦したのか。そして、国際社会はどう反応したのか。

 各国の公式発表や新聞記事はもちろん、軍の論文誌に至るまで、多様な資料を駆使し、混乱のアフガニスタン戦争を分析する専門書。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 1991年11月1日初版発行。単行本ハードカバー縦一段組みで約458頁、うち本文は約376頁。資料編の付録が80頁近い本格的な研究書。9ポイント44字×18行×458頁=約362,736字、400字詰め原稿用紙で約907頁。文庫本なら上下巻でもいい分量。

 軍事物の専門書のわりに、文章はこなれている。内容も専門的ではあるが、Google や Wikipedia の助けを借りれば、素人でもついていけるだろう。なんといっても、兵器やアフガニスタンの地形が、調べればすぐにわかるのは嬉しい。

 ただ、若い人は、当時の国際情勢を知らないと、国際社会の動きがピンとこないかも。

 まず、当時の中央アジア諸国は、ソ連領だった。トルクメニスタン・ウズベキスタン・キルギス・タジキスタン・カザフスタンがそれ。イエメンも、南イエメンと北イエメンに分かれていた。イランは1978年まで親米の王国だったが、1979年に革命が起きて現体制に変わった。

【構成は?】

 だいたい時系列順に進むので、素直に頭から読もう。

  • 第一章 アフガニスタンという国
    広漠たる山の国/戦術的視点からの地形分析/民族・部族のモザイク国家/農業主体の経済
  • 第二章 英露角逐の舞台
    王国の独立/対英戦争/ロシアの南下/英露角逐による国境線の確定/遅れた近代化/安定と停滞/ソ連勢力の浸透/共和革命
  • 第三章 ソ連の衛星国化と内戦の発生
    タラキー政権の成立(四月革命)/政権内の対立抗争/反政府活動の発生/反乱の拡大・激化/反乱拡大の原因/内戦下のカブールの表情/ソ連の共産政権支援/ソ連の衛星国化/政府軍をバックアップするソ連軍/周辺諸国の懸念/アミーン政権の成立/激化する内戦の様相/道路網の麻痺/ソ連のテコ入れ/イランをにらむソ連/アミーン、ソ連離れか?
  • 第四章 ソ連の侵攻作戦
    ソ連の動向判断/アフガンの戦略的価値/決心とその動機/誰が決断したのか?/先遣部隊の事前配置/カブール空港降着作戦/カルマル政権の樹立/主要地方都市への降着作戦/地上侵攻作戦/空軍の作戦及び輸送支援/ソ連の侵略名目/米国の猛反発と制裁/関係諸国の反応と対処/ソ連非難の大合唱
  • 第五章 反政府勢力のゲリラ活動
    ムジャヒディンの高い士気の根源/乱立する反政府グループ/ムジャヒディンの総数は?/ゲリラ派閥の構成/ゲリラ派閥間の対立抗争/統一戦線への試行錯誤/ムジャヒディン・イスラム同盟の結成/貧弱な武器装備/前期におけるゲリラへの武器援助/ムジャヒディンのゲリラ戦術/都市におけるテロ活動/困難な対空戦闘/対装甲車戦闘/巧妙な地雷戦/国土の大半を支配したゲリラ
  • 第六章 ソ連の傀儡カルマル政権
    親ソ政権内の内部抗争/パルチャム派独裁体制の確立/国民の支持獲得工作の限界/兵士の脱走と寝返り/徴兵の強化/政府軍の数的戦力(84年)/民兵組織の拡充努力/破壊された行政と経済/鉱産物の収奪/難民のパキスタン・イラン流入
  • 第七章 ソ連軍の戦力
    ソ連軍の総兵力は?/部隊識別の困難性/陸軍部隊の編制及び展開/優良な舞台装備/空軍の戦力/航空基地等の整備/恒久的軍事・交通施設の建設/同盟国軍の増援
  • 第八章 ソ連軍の対ゲリラ戦闘(前期)
    当初の作戦砲身/首都及び主要都市の保持/幹線道路の確保/パンジシール掃討作戦の不成功/激烈な航空攻撃/化学剤の使用/ゲリラと住民の隔離/聖域からのルート遮断/ワハン回廊の実質的併合/前期までのソ連軍の損害推定
  • 第九章 ソ連軍の問題点
    兵力の不足/不慣れな対ゲリラ・山地戦/戦術的思考の硬直性/固執した乗車戦闘/兵士の低い士気/規律の弛緩/政府軍への信頼感の欠如/アフガン国民との遊離
  • 第一〇章 ソ連軍の改善努力
    対ゲリラ戦術・先方の改善努力/実戦的な訓練の徹底/部隊改編と兵器実験/車両縦隊の防護対策/対地雷戦法の開発/工兵偵察の模範例/空中機動作戦の多用/空輸の活用/地対空ミサイル対策/士気高揚の努力/アフガン勤務は出世コース/軍規の維持施策/アフガンのソ連化政策の推進
  • 第一一章 勝利なき戦い(後期)
    85年の三つの大規模作戦/ソ連軍の作戦方針の変更/ゲリラの都市攻撃/対ゲリラ武器援助とパキスタンの対応/スティンガーの出現/ゲリラの戦術・戦法の変化/パキスタンに対する破壊工作/苦戦を認めたソ連
  • 第一二章 ナジブラ政権の国民和解政策
    ナジプラ政権への交代/実効なき国民和解政策/新憲法の制定/政権党内の亀裂/経済苦境の打開努力/援助負担に悩むソ連/帰国できない難民
  • 第一三章 難航する間接和平交渉
    間接和平交渉の開始/米国の代弁者パキスタン/出口なきクレムリン/弱い撤兵要求/世界から忘れられた戦争/ゴルバチョフの登場/米ソの直接取り引き/ゴルバチョフ、一部撤兵を言明/撤兵をめぐる意見の相違/一部撤兵の実行/鍵を握るクレムリン/進展がない間接和平交渉
  • 第一四章 和平協定の締結
    ソ連、撤兵を示唆/間接和平交渉のポイント/ゴルバチョフ、撤兵を言明/撤兵決断の要因/反政府側の暫定政権構想/したたかなパキスタン外交/最後の掛け引き/アフガン和平協定の締結/和平協定の問題点
  • 第一五章 ソ連軍撤退とゲリラの失敗
    ソ連軍撤退開始/政権固めを急ぐ両陣営/政治的駆け引きの活発化/ソ連軍の撤退完了/ソ連の損失/反政府側の暫定政権成立/ジャララバード攻防戦/攻撃に失敗したゲリラ/ゲリラの攻撃不成功の要因/戦争の惨禍と遠い春
  • あとがき
  • 付録1 ソビエト社会主義共和国連邦・アフガニスタン民主共和国間の友好善隣協力条約(全文)
  • 付録2 侵攻直後の各国の反応及び対応
  • 付録3 本戦争に登場した新兵器の全貌
  • 付録4 87年初めにおける主要関係国の立場・対応等
  • 付録5 ソ連軍が得た戦訓(軍事通報誌、90年5・6月号)
  • 付録6 アフガニスタン間接和平交渉合意四文書(要旨)
  • 付録7 アフガニスタン撤兵完了に関するソ連政府声明
  • 付録8 最近の政府・反政府軍の戦力表(ミリタリー・バランス、90/91年版)
  • 付録9 主要参考文献

【感想は?】

 鳥井氏の著作の特徴は、広範囲の資料を漁った多角的な視点にある。反面、具体的な戦闘の様子や戦地に住む民間人の声は聞こえない。それは覚悟しよう。

 と、俯瞰的な視点で描く本ではあるものの、掘り下げは深い。私は幾つかアフガニスタン関係の本を読んだので、多少は知っているつもりになっていた。が、冒頭の「第一章 アフガニスタンという国」から、何もわかっちゃいなかったと思い知らされる。

 例えば、近隣諸国との関係。パキスタンとの関係は、この記事冒頭の引用が示す通り。アフガン国境に近いパキスタンの連邦直轄部族地域(→Wikipedia)が特別扱いなのは、そういう事か。もともと、国境なんか関係ない暮らしをしてたんだ、あの辺の人は。

 また、イランとも関係が深い。アフガン難民と聞くとパキスタンばかりを思い浮かべるが、イランに逃げた人も多いし、イランを基地としてソ連と戦った勢力もある。人数にして、だいたいパキスタン3:イラン2ぐらいの割合かな?

 アフガン内には雑多な勢力が入り乱れ、中でもパシュトゥーンが最大勢力なのは知っていたが、パシュトゥーン内でもドゥラーニー部族 vs ギルザイ部族の抗争があるとは知らなかった。

 加えて、ソ連の共産主義を嫌い中央アジアから逃れてきた人たちもいる。おまけにカレーズ(地下水路,→Wikipedia)による灌漑農地も多く、これが独特の小権力が乱立する源となっている(「カナート イランの地下水路」)。もともと、治めにくい土地なのだ。

当初、ソ連は傀儡政権を打ち立てて衛星国にしようと目論む。が、アメリカのベトナム政策同様、傀儡政権は役に立たない。ってんで直接介入を目論む。

 そのソ連軍、仮想敵はNATOだし、戦場もポーランドとかの大平原を考えてた。広く平らな所に大兵力を展開して押し込む算段だ。アフガンは山だらけだけど、ジャングルばっかのベトナムと違い木のない禿山ばかりだから大丈夫だろう、と思ったのが大間違い。にしても、その第一歩は…

(1979年12月27日)KGBが指揮するソ連コマンド部隊数百人が(略)アミーン大統領を有無をいわせず家族や一族もろとも射殺した。(注、80年1月11日の報道によれば、侵略数日間でソ連軍は、少なくとも300人のアフガンの要人たちを処刑している。)
  ――第四章 ソ連の侵攻作戦

 と、KGBによる要人暗殺に始まってるのが怖い。プーチンは、そういう仕事をしてた人なのだ。

 対するムジャヒディンの得意な戦術は、ヒット・アンド・アウェイ。「ソ連軍の補給幹線となった山岳地帯を横断している主要道路の遮断、もしくは車両縦隊(コンボイ)に対する襲撃」。補給を叩くのはゲリラの鉄則ですね。中でも得意なのが地雷。山をぬって走る狭い道路に地雷はよく効くだろうなあ。

 なお、手持ちの地雷を使い果たしても、ダミーの地雷を置いて脅す手を編み出している。

 意外な事に、84年まで主な得物は「中国製とエジプト製のソ連タイプ」。80年代から、ソ連と中国の間には、大きな溝があったのがわかる。もっとも、中国は、この頃に培ったアフガン人とのコネを、今も使っているような気がするんだが…

 対するソ連の得物で最も印象に残るのは、攻撃ヘリコプターMi-24ハインド(→Wikipedia)。特にD型は装甲も厚く小銃が効かないので、ゲリラも苦戦した模様。もっとも、装甲が厚いのは底と横なんで、ゲリラも山の上から打ち下ろすなんて戦術を開発してる。

 他にもソ連軍は毒ガスを使ったり、おもちゃに偽装したブービー・トラップをバラ撒いたりと、なかなか非道な真似をしてるあたりが、なんともおそロシア。

 それだけに、アメリカが与えたスティンガー(→Wikipedia)の有難みもかなりのもの。それでも、86年にCIAがコッソリ持ち込んだスティンガーを試しに使ったら、マトモに使えたのは12発中1発だけだった、なんて情けない出だしだが。

 なお、タリバンはもちろん、アルカイダも全く出てこない。「倒壊する巨塔」でも、アルカイダはほとんど戦ってない上に役立たずだったとある。というのも…

つまり、“反政府ゲリラ”というよりも“反共ゲリラ”であり、“反共ゲリラ”というよりも“反外人ゲリラ”といった方が分かりが早い。
  ――第五章 反政府勢力のゲリラ活動

 と、つまりアフガン人にとっては、「よそ者は出ていけ」な戦いだったのだ。アメリカが今なお苦しんでいるのも、こういうアフガン気質のためなんだろうか。

 真面目な本だけに、あまり刺激的な表現は出てこない。が、資料的な価値は優れていて、読む者が積極的に読み取ろうとすれば、相応しい報酬が約束されている。時間をかけて、じっくり読もう。

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鳥井順関係

アフガニスタン関係

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2017年12月17日 (日)

吉田親司「マザーズ・タワー」ハヤカワSFシリーズJコレクション

人類にとって開拓すべき最後の領域――それは脳と宇宙だ。
  ――p121

「固定観念とは打破するためにあるんだ」
  ――p236

【どんな本?】

 仮想戦記やライトノベルで活躍中の吉田親司による、近未来を舞台としたテクニカル・アクションSF長編。

 2036年。インドとスリランカを結ぶ“ザ・ビッグ・ブリッジ”が完成する。その中央橋塔は高さ666メートルに達し、マザーズ教団が拠点とした。女だけで構成され、難病の末期となった子供を看取る、新興宗教組織。しかし黒い噂も流れている。

 そして2038年。戦略上の拠点としての重要性を考え、インドの州軍が中央橋塔の占拠へと動き出す。その頃、四人の男たちがマザーズ教団を訪れていた。傭兵、脳外科医、臓器ブローカー、電脳技術者。この事件を機に、四人の男は人類全体の運命を担う羽目になり…

 近未来を舞台に、派手なアクションと奇矯なガジェットを壮大なスケールで描く、波乱万丈の娯楽SF作品。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 2008年7月25日初版発行。単行本ソフトカバー縦二段組みで本文約310頁に加え、あとがき2頁。8.5ポイント25字×19行×2段×310頁=約294,500字、400字詰め原稿用紙で約737枚。文庫本なら厚めの一冊分。

 文章はこなれていて読みやすい。お話そのものは解りやすい。ただし、最先端または近未来のテクノロジーが次々と出てくるので、そういうのが好きな人にはたまらなく美味しいが、メカメカしいのが苦手な人には向かない。

 それと、できれば登場人物一覧が欲しかった。

【感想は?】

 豪快で爽快、疾風怒濤。乗り物大好きな男の子が大喜びするガジェット満載のテクノロジー小説。

 冒頭から豪快さは全開。なんたって、歩兵が素手で戦車の砲塔をへし折っちゃう。「Объект(オブイエークト)」だの「ウゥゥラァアァー!」だの、いきなり吹き出してしまった。

 出鱈目なお話かと思ったら、実はちゃんと仕掛けがあって、後でキチンと説明がつくんだけど、それにしても豪快すぎる。ジェルジンスキーさん、濃いキャラが揃ってるこの作品の中でも、キャラの立ち方はピカ一。

 が、この作品の最も美味しいのは、人物よりガジェット。なんたって、ジェルジンスキーを含む四人の男の目的が、アレを作ろうって話だし。

 ジェルジンスキーの砲塔破壊のタネもそうだが、彼の宿敵となる人物が使いこなすガジェットも楽しいシロモノばかり。当然、戦闘を生業とする者らしく、物騒極まりないガジェットばかりなんだが、予算が許せば私も欲しい。特にあのスーツ。

 そして表紙の中央下に出てくる、ケッタイな形の船。合衆国海軍のステルス艦(→Wikipedia)をモデルとした双胴船だ。んなモン何に使うのかと思ったら、これにもちゃんと理屈がついてた。うん、確かにそういう仕事にはピッタリだよね。費用対効果ははなはだ疑問だけどw

 やはり乗り物として楽しいのが、表紙折り返しの上にある、大型飛行機らしきもの。ロボット・アニメ大好き少年の夢を、強引な理屈で引っ張り出した血沸き肉躍るシロモノ。「後に止める奴はいなかったのかと嘲笑される」と自らツッコミを入れる潔さがいいw

 最初の舞台となる中央橋塔も、実は単なる鉄とコンクリートの塊じゃないあたりも、入念な仕込みの産物。肝心の仕掛けのアレ、今はたぶん値段の関係で、せいぜい手のひらサイズのモノにしか使ってないけど、それをこう使うかー。

 など数々のガジェットを露払いとして、四人が創ろうとするのが、SFファン大好きなアレ。これも表紙に出てるけど、そのタイプがこの作品ならではの方法なのも独創的な点。しかも、そのタイプでなきゃならない理由も、ちゃんと辻褄をあわせてあったり。かなり強引だけどw

 現実にそういう壮大なモノを作ろうとすると、その中心となって動くのは、今までは国家だった。が、最近は、ビル・ゲイツがマラリアのワクチンの開発に資金を出してたり、Xプライズ財団が先端技術のコンテストをやったりと、大きな資産や影響力を持つ個人や民間団体が主導する事が多くなってる。

 そういう今世紀の風潮を敏感に捉えたのか、鈍重な組織が中心となるのではなく、行動力に溢れた個人が引っ張っていくのが、この作品のもう一つの特徴。そもそも、創る動機からして、やたら個人的なシロモノだし。

 それだけに、官僚同士のウザい駆け引きはスッ飛ばし、それぞれの要点に位置する人々との取引で話が進むあたりが、この著者の味なんだろう。そうする事で、トンガったガジェットの登場場面も増えたし。

 加えて、肝心のブツに関しても、冒頭の場面からシェフィールドやニーヴンなどへのオマージュが詰まっており、SF者としては嬉しい限り。特にクラークに比べ冷たい扱いをされがちなシェフィールドの発想を、うまいこと蘇らせてくれたのにもニンマリだ。

 はいいけど、そのネーミングは、色々と不吉じゃね? 「そうしてこうなったのかはわからない」と言われる代表だろうにw

 などと、愉快な連中と個性豊かなメカやガジェットが次から次へと登場して見せ場を作り、テンポよく物語が転がってゆく、メカ好きにはとっても心地よい作品だった。おまけに終盤では更に風呂敷が広がり、これぞSFの王道と喝采したい仕上がり。気持ちよく爽快なSFが読みたい人には格好のお薦め。

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2017年12月14日 (木)

ハーレー,デネット,アダムズJr.「ヒトはなぜ笑うのか ユーモアが存在する理由」勁草書房 片岡宏仁訳

本書が示そうと試みるのは、ぼくらのご先祖たちが無制限の思考を備えるようになったとき生じた計算論的な問題からユーモアは進化してきたということだ。
  ――序文

ぼくらは、この世界に意味をなしてもらいたがる。
  ――第六章 情動と計算

無脊椎動物の単純きわまりない神経系から、ぼくらの立派な器官まで、あらゆる脳は予測生成機だ。
  ――第七章 ユーモアをこなせる心

【どんな本?】

 人間は笑う。そして、わざと笑いを創り出す。ジョーク、コント、漫才。ギャグ漫画、コメディ映画。身内の馬鹿話、駄洒落。どれも楽しい。それは誰でも知っている。

 だが。なぜユーモアは楽しいんだろう? どんな時に笑いが起きるんだろう? ジョークやギャグで笑う時、私たちの心の中では、何が起きているんだろう? 全てのジョークやギャグに共通する性質はあるんだろうか? そして、コンピュータはユーモアを獲得できるんだろうか?

 昔から、ヒトは笑いに関し、色々と考え分析してきた。どんな性質を持っているか。どんなメカニズムで笑いが起きるのか。どんな条件を満たす必要があるのか。様々な人が様々な説を掲げた。しかし、今のところ、全てのユーモアやギャグを説明しうる説は見つかっていない。

 本書では、それらの笑いに関する過去の説を紹介した上で、斬新かつ大胆な仮説を示す。

 ユーモアを心地よく感じる性質は、ヒトにとって必要不可欠な機能である。その目的は、ヒトの脳が持つ優れた処理能力を維持する事だ、と。

 ばかりでなく、笑い研究がもたらした成果も、多く紹介する。その代表は、サンプルとして大量に収録したジョークだ。

 認知科学的な方法論で笑いを分析する真面目な本でありながら、同時にお笑い道の基礎を学べる、楽しい思想書。

 なお、著者は以下の三人。認知科学者・哲学者・心理学者の異色トリオだ。

  • マシュー・ハーレー:計算機科学・認知科学者
  • ダニエル・C・デネット:哲学者
  • レジナルド・B・アダムズJr.:心理学者

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は Inside Jokes : Using Humor to Reverse-Engineer the Mind, by Mathew M. Hureley & Daniel C. Dennet & Reginald B. Adams Jr. , 2011。日本語版は2015年2月20日第1版第1刷発行。単行本ハードカバー縦一段組みで本文約480頁に加え、訳者あとがき11頁。9ポイント47字×19行×480頁=約428,640字、400字詰め原稿用紙で約1,072枚。文庫本なら上下巻ぐらいの大容量。

 文章はやや硬い。内容も、真面目な部分は相当に難しい。ある程度、AI の基礎を知っている方がいい。それも、今流行りのディープラーニングではなく、それ以前のマーヴィン・ミンスキーなどが主導していた頃の諸理論だ。

 もっとも、そういった小難しい所はバッサリ読み飛ばし、わかる所とジョークだけを拾い読みしても、充分に楽しめる。

【構成は?】

 原則として前の章を基礎として次の章を組み立てる形なので、なるべく頭から読もう。

  • 日本語版のための序文/序文/凡例
  • 第一章 導入
  • 第二章 ユーモアはなんのためにある?
  • 第三章 ユーモアの現象学
    • 1 対象または出来事の属性としてのユーモア
    • 2 デュシャンヌの笑い
    • 3 ユーモアの体系的な言い表しがたさ
    • 4 「ワハハ 可笑しい」と「フム 可笑しい」
    • 5 ユーモアの知識相対性
    • 6 男女の事情
  • 第四章 ユーモア理論の学説略史
    • 1 生物学的理論
    • 2 遊戯理論
    • 3 優位理論
    • 4 解放理論
    • 5 不一致と不一致解決理論
    • 6 驚き理論
    • 7 ベルクソンの機械的ユーモア理論
  • 第五章 認知的・進化論的ユーモア理論のための20の問い
  • 第六章 情動と計算
    • 1 笑いのツボを探す
    • 2 論理か情動のどちらかがぼくらの脳を組織しているんだろうか?
    • 3 情動
    • 4 情動の合理性
    • 5 情動の非合理性
    • 6 情動的アルゴリズム
    • 7 若干の含意
  • 第七章 ユーモアをこなせる心
    • 1 すばやい思考 頓智の費用・便益
    • 2 メンタルスペース構築
    • 3 活発な信念
    • 4 認知的な警戒とコミットメント
    • 5 衝突、そして解決
  • 第八章 ユーモアとおかしみ
    • 1 メンタルスペースの汚染
    • 2 認知的情動のなかのおかしみ ミクロダイナミックス
    • 3 報酬と首尾よくいった汚れ仕事
    • 4 「笑いどころをつかむ」 基本ユーモアをスローモーションでみる
    • 5 干渉する情動
  • 第九章 高階ユーモア
    • 1 志向的構え
    • 2 一人称と三人称のちがい
    • 3 擬人化と人間中心主義
    • 4 志向的構えジョーク
  • 第一〇章 反論を考える
    • 1 反証可能性
    • 2 認識的な決定不可能性
    • 3 見かけ上の反例
    • 4 他モデルを簡潔に検討
    • 5 グレアム・リッチーの五つの問い
  • 第一一章 周辺例 非ジョーク、ダメなジョーク、近似的ユーモア
    • 1 知識相対性
    • 2 強度の尺度
    • 3 境界例
    • 4 機知と関連現象
    • 5 予想の操作に関するヒューロンの説
  • 第一二章 それにしてもなんで笑うんだろう?
    • 1 コミュニケーションとしての笑い
    • 2 ユーモアと笑いの共起
    • 3 コメディという芸術
    • 4 文学における喜劇(と悲劇)
    • 5 人を癒すユーモア
  • 第一三章 おあとがよろしいようで
    • 1 「20の問い」への回答
    • 2 ユーモアのセンスをもったロボットはつくれるだろうか?
  • 終章
  • 注/訳者あとがき/参考文献/事項索引/人名索引

 なお、巻末の「注」は、*の原注と★の訳注があるので注意。

【感想は?】

 なぜか脳内で「笑点のテーマ」が鳴り響いて困った。

 と書くとおかしな本のようだし、実際にたくさんのジョークを載せていて、笑える所も多い。が、基本的には「笑う時に私たちの脳内で何が起きているか」を、ごく真面目に分析した本だ。

 真面目に考えると、笑いは難しい。一言で笑いと言っても、いろいろな種類があるし、この本でもダジャレ(地口)・変顔・戯画(デフォルメ)からお付き合いでの笑い、メシウマ、足の裏をコチョコチョくすぐるのまで、考えられる限りの「笑い」を挙げている。

 こういった多くの種類の「笑い」を全て説明できる仮説を、著者たちは目指しているし、それは成功しているように私は思う。

 なんといっても、これで「笑点のテーマ」のおかしみも説明できちゃうのが凄い。

 これは終盤に入ってからなんだが、笑いのツボと、心地よい音楽のツボには、ちょっとした共通点があるのだ。童謡は単純な曲が多く、大人はもちっと複雑な音楽を好む。笑いもそうで、成長するにつれ、より複雑な笑いが発達してくる。

 とまれ、それが「おかしみ」になるか、「斬新さ」になるかは、かなり微妙な線なんだけど。

 このあたりは、認知心理学にかなり踏み込んでて、かなり慎重に読み進める必要があるんだが、それだけの価値はある。是非とも、落ち着いて、何度も繰り返して読もう。ややこしい理屈は出てくるが、じっくり読めば、だいたい理解できる。

 といった分析に留まらず、更に大胆な一歩を踏み出しているのもエキサイティング。「笑う能力は、ヒトにとって、何の役に立つんだろう?」と。進化の過程で発達するのは、生存競争に役立つ機能だ。では、笑いは、人類百万年の野生の生存競争で、どう役に立つのか。

 加えて、同じジョークでも、笑う人と怒る人がいる。シャルリ・エブド襲撃事件(→Wikipedia)がその典型だ。ブラック・ジョークやシモネタなど、ネタと人の相性によって「不謹慎だ」と感じたり、逆におかしさが増したり。このメカニズムの説明も、なかなか巧いと思う。

 などと主張する説は大胆ながら、その姿勢は実証的かつ科学的なのに、好感を持ってしまう。なんたって、末尾の文章がこれだ。

このモデルで可笑しいと予測されるのに明らかに可笑しくないものや、ちゃんと可笑しいのにモデルでつかめないものを見つけ出してほしい。ぼくらは、理論がこの挑戦に耐えられるかどうかをみたいと切望している。

 反例を探してみてくれ、と言ってるわけだ。こういう姿勢が、従来の哲学者や心理学者と大きく違ってて、誠実さを感じる。

 とまれ、注が後ろにあって、しかも原注と訳注が分かれているのは、ちと辛い。

 というのも、かなり面白いネタが注に入っているから。例えば、やたらダジャレを飛ばす人がいるでしょ。その大半はしょうもないオヤジギャグばかりの疲れる人なんだけど、たまにキレのあるギャグをかます人がいる。その違いは何なのか。いや、これの解もしょうもないオチなんだけがw

 そんな風に、とっても真面目で、かつ小難しい理屈が詰まった本ながら、アチコチにオツムの凝りをほぐす楽しいネタを仕込み、読者を飽きさせない工夫をしてるのも嬉しい。

 ちゃんと読むと、お笑い芸人が変な格好をしたり、舞台で小道具を使ったり、それぞれにキャラを作ったりする理由も見えてきたり。だけでなく、ジョークを巧く語るコツや、ナンパの際のギャグの効用など、下世話な意味での使い道も、注意深く読めば気がつくだろう。

 特に嬉しいのが、多くのジョークを収録していること。私が気に入ったのは、これ。

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2017年12月12日 (火)

アイラ・レヴィン「ローズマリーの赤ちゃん」ハヤカワ文庫NV 高橋泰邦訳

「ブラムフォードはドアの一つにR=G・ウッドハウスと書かれるとき、禍いの家から幸福の家に変わるでしょう」
  ――p32

彼は役者だ。役者がいつ演技でなく真実なのか、誰に分かるだろうか?
  ――p120

「スーツケースが一つで足りない人はね」「ありゃあ観光客で、旅行家じゃあない」
  たーしp238

【どんな本?】

 ミステリやサスペンスで人気のアメリカの作家アイラ・レヴィンによる、ベストセラー小説。発表後すぐに映画化され、これもまた大ヒットとなった。

 ローズマリーはネブラスカ州オマハ出身の24歳。カトリックの一家で六人兄弟の末っ子。兄や姉はみな若いうちに結婚し、両親の近くに住んでいる。ローズマリーは単身ニューヨークに出てきて、売り出し中の役者で9歳上のガイ・ウッドハウスと結婚した。両親はガイがカトリックでないのを快く思っていない。

 子供は欲しいと思っているが、ガイがその気にならない。新居を探している時、古風な古いブラムフォードの黒いアパートが見つる。親友の作家ハッチはブラムフォードの不吉ないわれを語るが、ぞっこん惚れこんだローズマリーの決心は固い。

 隣のローマン&ミニー・キャスタベットは年配の夫婦だ。ミニーはいささか変わった嗜好の持ち主だが、明るく親し気に接してくれる。老夫妻は、若い娘のテリー・ジオノフリオを養っている。ローズマリーはテリーとも親しくなったが…

 ヒタヒタと恐怖が忍び寄る、都会派ホラーの古典。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は Rosemaryy's Baby, by Ira Levin, 1967。日本語版は1972年1月31日発行。私が読んだのは1994年7月31日の19刷。着実に版を重ねてるロングセラーですね。文庫本で縦一段組み、本文約308頁に加え訳者あとがき4頁。8ポイント43字×18行×308頁=約238,392字、400字詰め原稿用紙で約596枚。文庫本としては標準的な厚さ。

 さすがに半世紀も前の作品なので、出てくる言葉は時代を感じさせるものの、文章そのものは意外と読みやすい。ここで感じる「古さ」ってのも変なモンで、ぐっと遡って18世紀あたりを舞台にすると、古さどころか逆に異境的な新鮮さを感じるから、奇妙な話だ。

 内容もわかりやすいが、多少ニュアンスを読み取るべき所がある。

 まず、ローズマリーがネブラスカのカトリック一家出身で六人兄弟という点。ニューヨークから見ればネブラスカは田舎だ。カトリックの六人兄弟って所から、家族は信心深い事がうかがえる。田舎の信心深い子だくさん家庭の出身、という所を押さえておこう。

 ガイは33歳で売り出し中の役者。それなりに仕事は入ってきちゃいるし、評判も上がりつつあるが、ボチボチ一発当てないと、年齢的にヤバい。朗らかに振る舞っちゃいるが、内心はかなり焦っているはず。ローズマリーより九歳も上で、しかも演技のプロである役者なのも、巧みな設定だ。

 加えて、ローマ教皇や「神は死んだ」など、キリスト教関係の要素。これはすぐ気が付くだろう。

【感想は?】

 とっても底意地の悪い、妊娠小説。

 正直、今の感覚だと、本題に入るまでが長い。じっくりと描かれたニューヨークでの新居での暮らしは、狭い日本家屋に住む身としちゃ、かなり羨ましかったり。いいねえ、新婚二人で四部屋なんて。

 アパートのエレベーターにボーイがいるのも、当時のニューヨークならでは。昔はデパートにエレベーター・ガールがいたんだけど、今は手動開閉式なんて滅多にないし。

 とかも、古い映画が好きな人は、良く知っているだろう。夫のガイが役者で、親友のハッチが作家なためか、レトロなエンタテイメントのネタがアチコチに仕込んである。

 冒頭の引用はジーヴス・シリーズで有名なイギリスのユーモア作家P・G・ウッドハウス(→Wikipedia)だし、「ロンドン子の花売り娘を、公爵夫人に」はピグマリオン(→Wikipedia)だろう。いや私は映画マイ・フェア・レディ(→Wikipedia)しか知らないけど。

 と、そんな出だしの明るさは、ローズマリーの妊娠で大きく変わる。

 待ちに待った赤ちゃんとはいえ、はじめての妊娠で不安がいっぱい。頼りになる家族は近くにいないし、そもそも折り合いが悪い。親身になってくれるハッチは男なので、なにかと相談しづらい。

 日頃の暮らしも、気持ちの持ち方がガラリと変わる。ちょっとした家事や街を歩くのも、おなかの赤ちゃんの安全のため、色々と気を遣う。慣れない変わった食べ物も、体にいいからと聞いては色々と試す。そんな食べ物の好みも変わったり戻ったり。当然、体の具合も今までとは違い…

 住みかが変わり、日頃から付き合う人も変わった。新居のご近所は親切にしてくれるものの、付き合いが浅い上に歳も離れており、なによりどこか正体が捉えどころがなく、得体のしれない習慣も多い。

 と、はじめての妊娠で不安いっぱいなローズマリーの気持ちが、ひしひしと伝わってくる。

 夫のガイの挙動も、役者なんて不安定な仕事のせいのようにも思えるし、何か裏があるような気もしてくる。隣のキャスタベット夫妻、特にミニーはやたらと押しつけがましいのかもしれないし、単に親切な世話焼き婆さんなのかもしれない。

 中でも私が最もゾクッときたのは、体調がコロリと変わった時のローズマリーが、最初に何を考えたか。これはもう、「うおおっ!やられた!」と完全に脱帽。

 ほのめかされる予兆、ローズマリーの周囲で起きる様々な出来事、そしてハッチの不吉な予言。誰が信じられて誰が信じられないのか。初めての妊娠で安定になっているローズマリーの思い過ごしなのか、ローズマリーの知らない所で何かが進んでいるのか。

 国際色豊かなニューヨーク、不規則な役者の暮らし、そして若い妊婦の不安な気持ちをブレンドし、アアチコチに巧みな伏線をはりつつ、驚愕の終盤へとなだれ込む、現代ホラーの古典。いやホント、改めて読み直すと、伏線が実に見事なんだ。

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2017年12月11日 (月)

バーバラ・W・タックマン「愚行の世界史 トロイアからヴェトナムまで」朝日新聞社 大社淑子訳 3

支配者の不名誉は、世界史のなかではさほど大きな事件にはならないが、政府の不名誉は傷を残す。  ――五章 ヴェトナム戦争 6 離脱(1969-1973)

 バーバラ・W・タックマン「愚行の世界史 トロイアからヴェトナムまで」朝日新聞社 大社淑子訳 2 から続く。

 この本、なかなか気の利いた文章や台詞が多いんで、テーマごとにまとめてみた。

【権力】

権力を取得する過程は、権力を求める人間を堕落させ、残酷にする様々な手段を使う。その結果、彼は目がさめて、権力を手にしているのは、徳――あるいは道徳的目的――を失うという代価を払ったためだと知るのである。
  ――三章 法王庁の堕落 4 戦士 ユリウス二世(1503-1513)

 ルネサンス期の法王を描いた三章から。いずれの法王も買収や脅しなど、汚い手口で法王に上り詰めた。仮に最初は高邁な目的を持っていたとしても、権力を握る中で汚い手に染まり切ってしまう。いざ権力を使う段になっても、もう元には戻れない。

 これは別に法王に限らず、政府でも企業でも、ほぼ全ての組織に言える事だろう。じゃどうすりゃいいのかと言われると、うーん。私は情報公開が予防策として効果があると思うんだけど、どうでしょうね。とまれ、統治ってのはなかなか厳しいもので…

「あなた方は権力を揮うことはできるかもしれないが、抵抗する人々を治めることは決してできないものです」
  ――四章 大英帝国の虚栄 3 満帆の愚行(1766-1772)

 と、治められる側も大人しく黙っているわけじゃ…

【政治】

愚かで腐敗した体制は、ふつう全国規模の動乱か解体なくしては改革できないものである。
  ――三章 法王庁の堕落

 と思ったけど、いったん確立しちゃった権力ってのは、なかなか倒れないもんなんです。北朝鮮の金王朝もなかなか倒れそうにないし。

彼らの顕著な三つの態度――教区民のいや増す不満を忘れ、私益の増加を第一に考え、不可侵の地位にあるという幻想を抱いたこと――は、愚行のいやし難い特質である。
  ――三章 法王庁の堕落 6 ローマの略奪 クレメンス七世(1523-1534)

 これまた権力者にありがちな態度。つまりナメきってたんだな。

政府が金で買った支持の上にあぐらをかいているとき、真の政治的自由は死文になっている
  ――四章 大英帝国の虚栄 2 「行使できないとわかっている権利を主張して」(1765)

 これは腐敗選挙区を示したもの。

ひとたび政策が決定され、実施されると、あとに続くすべての行為はそれを正当化する努力と化す
  ――五章 ヴェトナム戦争 1 胚子(1945-1946)

 これもよくあるパターン。特に政策の規模が大きいほど、政権は頑固になりがち。政権交代があり得る民主主義の優れた点が、これだろう。新政権は前政権の政策をチャラにしても、メンツは潰れないし。

依存関係においてはつねに、倒れるぞ倒れるぞと脅すことによって、被保護者のほうが保護者を支配することができる。
  ――五章 ヴェトナム戦争 3 保護政権を作る(1954-1960)

 この本では南ヴェトナムと合衆国政府の関係だけど、「アメリカの卑劣な戦争」によれば、21世紀でもイエメンで似たような泥沼にハマっていたとか。懲りないなあ。でもこの関係、別に外交に限らず、個人と個人の関係でもありがちだったり。

「外交政策の決定は、一般に国内政策の場合より不合理な動機に左右される事が多い」
  ――五章 ヴェトナム戦争 5 大統領の戦争(1964-1968)

 ヴェトナムじゃ評判の悪いリンドン・ジョンソンだけど、公民権や社会保障などの内政じゃ、優れた手腕を発揮してる。思うに国民の多くは自分に関りが深い内政に強い関心があり、外交には関心が薄いんで、選挙への影響が少なく、だから政治家も外交は軽く見ちゃうのかも。

愚行は、たえざる過剰反応からはじまる。すなわち、危機に瀕した「国家の安全保障」の創作。「極めて重要な利益」の創作。「約束」の創作。
  ――五章 ヴェトナム戦争 6 離脱(1969-1973)

 先にも書いたけど、私が情報公開を重視する理由がコレで。ウソがすぐバレる体制なら、この手の創作は難しいだろう、と。その代わり、国民の方も、政治家が「すまん、間違ってた」と態度を改めた時に、強く責めず「しゃーない」と許す懐の深さが必要なんだけど、はてさて。

【軍事】

 ニワカとは言え軍ヲタだけに、軍事関係にはついつい目が張り付いてしまう。

「ひとたび戦争に突入したら、安上がりな戦争の仕方というものはない」
  ――五章 ヴェトナム戦争 2 自己催眠(1946-1954)

 この手の誤算はキリがなくて。アフガニスタンもイラクも、最初は楽勝って雰囲気だったのに、結局は泥沼にはまり込んだ。太平洋戦争も、最初は1~2年でケリがつくはずが、結局は総力戦の末に満州も太平洋諸島も失う羽目に。第一次世界大戦も…。

 「クリスマスには帰れる」は、嘘と相場が決まってるんです。

「戦争が限定戦争かどうかは、相手側による」
  ――五章 ヴェトナム戦争 5 大統領の戦争(1964-1968)

 この本ではヴェトナム戦争の話だけど、太平洋戦争もモロにそういう発想だった。敵が自分と同じように考えるなんて思っちゃいけません。

【思い込み】

 と書いていくと、まるで権力者だけを責めているように思えるけど、実は自分にも当てはまる言葉がけっこうあるよね、と気づいたのは、半分ぐらい読み終えてから。というのも。

 馬鹿なことをした経験は、誰だってある。それが一過性の事ならいいが、いったん吐いちゃった言葉に捕われ、意地になってしがみつくなんてのも、私は何回かある。そういう黒歴史を、容赦なくえぐるから、この本は厳しい。

感情に走る癖は、つねに愚行を生み出す源となる。
  ――四章 大英帝国の虚栄 4 「レハベアムを思い出せ!」(1772-1775)

 はいはい。嫌いな奴に同意するのが嫌で無理して反対に回ったりね。で、いったん旗色を明らかにすると…

しみついてしまった考え方にしがみついて反対の証拠を無視するのは、愚行の特徴となる自己欺瞞のもとである。
  ――四章 大英帝国の虚栄 5 「…病気だ、精神の錯乱だ」(1775-1783)

「事実で私を混乱させないで」
  ――五章 ヴェトナム戦争 4 「失敗と縁組みして」(1960-1963)

 と、明らかな証拠が出てきても、なかなか認めなかったり。どころか…

強い信念に対して客観的根拠が反対を唱えた場合(略)その結果は「認識の硬直化」である。
  ――五章 ヴェトナム戦争 5 大統領の戦争(1964-1968)

 「認識の硬直化」というと難しそうだが、つまりは余計に片意地を張るようになるわけ。陰謀論やエセ科学にハマってる人に事実を突きつけても、より頑なになるだけで効果がないのも、そういう事なんだろう。

愚行の実行者も時折、自分たちはばかなまねをしていると自覚しているのだが、決まった型を打ち破ることができないのである。
  ――四章 大英帝国の虚栄 5 「…病気だ、精神の錯乱だ」(1775-1783)

 と、自覚がある場合でも、なかなか態度を変えるのは難しい。政治家なら支持率が下がれば態度を変える事もあるが、個人が悪癖から抜け出すのはなかなか。こういう傾向は「まちがっている」や「確信する脳」でも扱ってて、ヒトが意見を変えるのは、とにかく難しいのだ。

【おわりに】

 などと、最初は「うんうん、偉い人の話だよね、私にゃ関係ねえや」と思ってたら、強烈なカウンターを食らってしまった。読みごたえはあるが、それだけの価値もある本だ。

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2017年12月10日 (日)

バーバラ・W・タックマン「愚行の世界史 トロイアからヴェトナムまで」朝日新聞社 大社淑子訳 2

政治問題に関する警告は、受け手がそれとは別のことを信じたいと思っている場合には、徒労に終わる。
  ――四章 大英帝国の虚栄 4 「レハベアムを思い出せ!」(1772-1775)

 バーバラ・W・タックマン「愚行の世界史 トロイアからヴェトナムまで」朝日新聞社 大社淑子訳 1 から続く。

【二章 愚行の原型】

 かの有名なトロイアの木馬(→Wikipedia)がテーマ。なにせパリスの審判(→Wikipedia)に始まる半ば神話であり、ちと歴史とは言い難い。

 「これは孔明オデュッセウスの罠だ」と諫めたが蛇に絞め殺されるラオコーン(→Wikipedia)、予知能力はあるが信じてもらえない呪いを受けたカッサンドラ(→Wikipedia)など、テーマと関係ありそうなネタもある。

 が、それ以上に、「イリアス」(→Wikipedia)「オデュッセイア」(→Wikipedia)「アエネイス」(→Wikipedia)の紹介といった感が強い。

 にしても、カッサンドラの特殊能力、ライトノベルのネタに使ったら面白そう。でも、まずもって明るい話にはなりそうにないのがツラい。

【三章 法王庁の堕落】

「神が私に法王職を与えたもうた――だから、それを享受するとしよう」
  ――5 プロテスタントの勃興 レオ十世(1513-1521)

 この章ではルネサンス期の法王6人に、腐敗しきった行いを描く。この章もある意味じゃ浮いていて、確かに6人と集団ではあるが、それぞれの法王は個人で決定を下している。

 先の引用が示すように、暗殺するわ美食に凝るわ人事は身びいきだわ愛人は持つわ戦争は指揮するわと、皆さんやりたい放題だ。そりゃルターもキレるよ。この印象は今でも尾を引いてるし。

【四章 大英帝国の虚栄】

 この本の本番と言えるのは、第四章以降。ここの主人公は18世紀の大英帝国。植民地アメリカから無謀な税をむしり取ろうとして反発を食らい、独立戦争へと追いやってしまう。

 期待できる税収より、それを集める費用のほうが高くつく、つまり赤字の税制に、なぜ大英帝国は拘ったのか。理由は幾つかある。優越意識、植民地への侮り、アメリカへの無知…。が、結局は、振り上げたこぶしをおろせないメンツの問題みたいだ。

 などの本論より、当時の英国の政治制度が意外。なんと、「統治の専門職というものは存在しなかった」。大英帝国を仕切る貴族の皆さんは、娯楽や社交が本業で、政治は片手間だったのだ。よくそれで国が保ったなあ。

 ちと、どころか、やたら腹が立つのが、次のくだり。

新しい挑発は、1766年の年間軍隊宿営法となって現れた。(略)
このなかには、植民地議会が(植民地に駐屯する)正規軍の宿舎と、蝋燭、燃料、酢、ビール、塩などの軍隊用生活必需品を供給する、という一箇条が入っていた。
この規定が(略)憤怒を買うだろうということは、(略)議会にはすぐにわかったはずだ。
  ――四章 大英帝国の虚栄 3 満帆の愚行(1766-1772)

 英国はアメリカに軍を送る。その軍の費用はアメリカが払え、とする法だ。これにアメリカは猛反発する。なんで俺たちを押さえつける奴らを俺たちが養わにゃならん? 当たり前だね…

 と思ったら、似たような真似されて大人しく従ってる国があるんだよなあ(→日本経済新聞)。これじゃ同盟国どころか植民地未満だぞ。

【五章 ヴェトナム戦争】

連続五人の大統領の任期を通じてアメリカはヴェトナムで大変な苦闘を続けたが、この問題に関して、無知は弁解としては使われたものの、真の要因ではなかった。
  ――1 胚子(1945-1946)

 と、これまた意外な見解で始まるヴェトナム戦争編。「ベスト&ブライテスト」とは少し違い、ホワイトハウスは実情を知り得た、と言う。

 確かに1950年代は、再度インドシナの植民地を取り戻そうとするフランスに引きずられた感はある。が、その前、太平洋戦争中は、アメリカがベトナムの対日抵抗組織に武器や医薬品を与えていて、これが「マラリアと赤痢に苦しむホー・チ・ミンの命を救った」。北と手を組む余地はあったのだ。

 にも関わらず戦いを引き継いだ原因は、共産主義への恐れだとしている。悪名高いドミノ理論(→Wikipedia)だ。が、同じ東側でも、モスクワと一線を画そうとしたユーゴスラヴィアのチトーとは巧く付き合えた。変な話である。

 この本では、中国の共産主義に加え黄禍(→Wikipedia)の悪い印象が重なった、としている。アメリカでも、黄禍論はあるんだね。加えて、ジョン・フォスター・ダレス(→Wikipedia)が熱心に反共産主義を売り込み、これが功を奏した、とも。

 この戦争で失われた人命は置いて、カネも相当なものだ。「合計千五百億ドル」としている。ちなみに Google で調べると、1985年当時のヴェトナムのGDPは約140億ドル。どう考えても、そのカネで北を買収した方が安上がりで利益も大きかったよなあ。

買収と言うと印象が悪いけど、経済援助と言い換えればいい。当時のヴェトナムが必要とするモノは幾らでもあった。太平洋戦争で耕地も交通網もズタズタ、工業は未発達で、農民は借金と暴利に苦しんでいる。金利の安い金融機関を作るだけでも、だいぶ農民の助けになったはず。

 などの美味しいエサを見せて、西側への寝返りを求めても良かっただろうに。まあ、後知恵ですが。

 「ベスト&ブライテスト」だと、悪いニュースに対してケネディ政権は「アーアー聞こえない」な態度だったとあるが、意外とそうでもない。国防長官のマクナラマを始め、公的使節団は「何度もサイゴンを往復させられた」。それなりに気にしていたし、情報も欲しがっていたのだ。

 ある意味、彼らのお思惑は、太平洋戦争末期の大日本帝国に似ている。やられっぱなしで手打ちを持ち出せばナメられて不利だ。そこで一発カマし相手の足元がグラついた所で話を持ち掛けようって腹だが、「妥協のために戦争を終わらせるのは、この上なく困難」なのだ。

 ケネディ,ジョンソン,ニクソンと続いた面々は、決して愚かではなかったし、現実から目を背けるヘタレでもなかったと、私は感じた。というのも、いずれも有権者の支持率には素直に耳を傾け、適切な対応を取っている。酷い話に思えるが、アメリカの世論もヴェトナムを軽く見ていたようだ。

 それでも反対運動はあったんだけど、デモが過激で暴力的だったり、愛国心を失っていると感じさせたりで、労働者たちに嫌われ憎まれてしまう。政治運動ってのは、普通の人を敵に回しちゃいけないんですね。逆に気に食わない政治運動する者にレッテルを貼って貶める手口もよくあるけど。

【おわりに】

 すんません、次の記事で終わります、たぶん。

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2017年12月 8日 (金)

バーバラ・W・タックマン「愚行の世界史 トロイアからヴェトナムまで」朝日新聞社 大社淑子訳 1

愚行は権力の落とし子だ
  ――一章 愚の行進 国益に反する政策の追及

【どんな本?】

 国を治める者が、国の害にしかならない決定を下した例は、歴史上いくらでもある。それらは、たいてい次の四つの要因を含んでいる。

  1. 暴政または圧政
  2. 過度の野心
  3. 無能または堕落
  4. 愚行または頑迷

 いずれも困ったことだが、ここでは「4.愚行または頑迷」に絞ろう。加えて、現代の民主主義社会の教訓とするため、次の三つの制約を加えよう。

  1. 「今思えば愚かだった」ではなく、当時の基準でも愚かだとわかるもの
  2. 他にも取りうる可能な選択肢があったこと
  3. 独裁者など個人の決定ではなく、集団によるもの

 これらの基準により、著者は四つの例を選んだ。

  1. ギリシア軍の木馬を城壁内に引き入れたトロイア
  2. プロテスタントの分離を招いたルネサンス時代のローマ法王たち
  3. アメリカ合衆国を独立戦争に追いやった18世紀の英国政府
  4. ヴェトナム戦争にはまり込んだ20世紀のアメリカ合衆国政府

 なぜ権力者たちは愚かな決定を下すのか。そして、愚かだと分かっていながら、なぜその決定にしがみつくのか。「三人いれば文殊の知恵」と言うが、議会や内閣などの集団が愚かな判断を下すこともある。そこにはどんな力が働いているのか。そして、私たちは、歴史からどんな教訓を学べるのか。

 「八月の砲声」で評判の高い歴史学者のバーバラ・W・タックマンが、縦横無尽に資料を駆使して、愚行の原因と過程そしてメカニズムを暴き出す、一般向けの歴史解説書。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は The March of Folly : From Troy to Vietnam, by Barbara W. Tuchman, 1984。日本語版は1987年12月20日第一刷発行。単行本ハードカバー縦二段組みで本文訳427頁に加え、訳者あとがき4頁。8ポイント26字×22行×2段×427頁=約488,488字、400字詰め原稿用紙で約1,222枚。今は中公文庫から文庫本が上下巻で出ている。上下巻でも厚めの部類だろう。

 文章は比較的にこなれている。ただ、内容はちとシンドかった。というのも、三章と四章は西洋史の知識が必要なため。それぞれルネサンス期のイタリア・18世紀後半のイギリスが舞台だ。そのため、知らない人名や事件が次々と出てきて、ちと辛かった。

【構成は?】

 一章が全体の紹介、二章が開幕編、三章~五章で具体例を細かく見ていく。一章を最初に読めば、後は拾い読みしてもいいだろう。ちなみに一章には大日本帝国の対米開戦も出てきます。

  • 謝辞
  • 一章 愚の行進 国益に反する政策の追及
  • 二章 愚行の原型 トロイア人、木馬を城壁内に引き入れる
  • 三章 法王庁の堕落 ルネサンス時代の法王たち、プロテスタントの分離を招く(1470-1530)
    • 1 寺院のなかの殺人 シクストゥス四世(1471-1484)
    • 2 異教徒の宿主 インノケンティウス八世(1484-1493)
    • 3 悪行 アレクサンデル六世(1492-1503)
    • 4 戦士 ユリウス二世(1503-1513)
    • 5 プロテスタントの勃興 レオ十世(1513-1521)
    • 6 ローマの略奪 クレメンス七世(1523-1534)
  • 四章 大英帝国の虚栄 英国、アメリカを失う
    • 1 与党と野党(1763-1765)
    • 2 「行使できないとわかっている権利を主張して」(1765)
    • 3 満帆の愚行(1766-1772)
    • 4 「レハベアムを思い出せ!」(1772-1775)
    • 5 「…病気だ、精神の錯乱だ」(1775-1783)
  • 五章 ヴェトナム戦争 アメリカはヴェトナムで自己背信をおかす
    • 1 胚子(1945-1946)
    • 2 自己催眠(1946-1954)
    • 3 保護政権を作る(1954-1960)
    • 4 「失敗と縁組みして」(1960-1963)
    • 5 大統領の戦争(1964-1968)
    • 6 離脱(1969-1973)
  • エピローグ 「船尾の灯」
  • 訳者あとがき/索引

【感想は?】

 歴史とはいいものだ。特に他国の歴史は。

 たいていの人間は、自分の事となると頭に血が上りやすく、落ち着いて論理的に考えられなくなる。いや自分に限らず、家族や親しい友人に関わる事でも、感情的になりやすい。少なくとも私はそうだ。

 この傾向は自分に近いほど強く、遠いほど弱い。自分の勤め先や出身校の話には強く興味を惹かれ、名も知らぬ外国のニュースは「フーン」で済ます。地理的な距離だけでなく、時間も影響する。ワイドショウが取り上げるのは今日か昨日の事件で、大正時代のネタは滅多に出てこない。

 そして、人間は間違いや欠点を指摘されるのは嫌いだ。だから自分や家族を悪く言われるとムッとする。でも大昔の異国の者の悪口なら、「へえ、そういう人なんだ」で済ます。名前すら知らない人の事なら、なおさらだ。

 この本には、悪口が詰まっている。

 木馬を城壁内に引き入れ自滅したトロイア人、教会を腐敗させプロテスタントの勃興を招いたルネサンス期のローマ法王たち、モトの取れない税金を取ろうとして植民地アメリカを失った18世紀の英国政府、そして無駄な血と金をヴェトナムに注ぎ込んだ20世紀のアメリカ合衆国。

 いずれもパターンは似ている。まず最初の一歩を間違った方向に踏み出す。それが巧く行かないと、さっさとひき返せばいいのに、敢えてさらに踏み込む。何回か同じことを繰り返し、まちがいの証拠が積み上がってるのに、頑として現実を認めようとせず、無駄に傷口を広げてゆく。

 これが自分の事だったら、落ち着いて読めないだろう。でも、昔の他人の話だから、「うんうん、馬鹿な事やったね」と鼻で笑って読める。おまけに、登場人物は、国家を動かす権力者ばかり。ただの貧乏人の私には関係ないね。

 …と思ってたら、ときおり挟まれる警句が、特大ブーメランとなって私に返ってきた。

【一章 愚の行進】

国王、軍人階級、地主階級、産業資本家、大実業家たちにとっては、利益をもたらす戦争だけが権力の座にとどまりうる唯一の方法だった。
  ――一章 愚の行進

 二章以降で、個々の愚行を細かく見ていく。対して一章では、「損するとわかっている政策を国が盗った例」を、幾つかの例を挙げ大雑把に見る形だ。

 中でも興味深く読めたのは二つ。第一次世界大戦のドイツの無制限潜水艦戦(→Wikipedia)と、大日本帝国の真珠湾攻撃。いずれもアメリカの参戦を促し、国を破滅へと導いた。著者はその原因を「支配の夢、壮大な自負、貪欲」としている。四つの要因の中では「2.過度の野心」だろうか。

などと書くと、まるで大日本帝国は国家として統一した軍事・外交政策があるように思えるけど、実態はもっとお粗末なのが情けない。軍は前線司令官の暴走を止められないし、国家としても外務省と陸軍と海軍の方針(というより思惑)が違ってたり。

 逆に賢い例も一つだけ載ってる。紀元前6世紀のアテナイのソロン(→Wikipedia)だ。混乱したアテナイで執政官となったソロン、奴隷解放・選挙権の拡大・通貨改革・度量衡の統一に加え法を定めた。要は政治改革ですね。加えて評議会に今後10年改革を維持するよう誓わせた後…

 なんと、船を買って旅に出る。つまりはトンズラだ。無責任なようだが、国にいれば改革に文句を言われるし、法を元に戻せとの圧力もかかる。居なけりゃ文句も言えまい? その分、権力者としての美味しい想いもできないけど。

 が、ここまで無欲で大胆な真似ができる人は滅多にいない。アシモフじゃないけど「いっそAIに政治を任せちゃおう」なんて思いたくなる例が、この後に延々と続くので覚悟しよう。

 そんなわけで、続きは次の記事で。

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2017年12月 5日 (火)

ロバート・J・ソウヤー「さよならダイノサウルス」ハヤカワ文庫SF 内田昌之訳

「ぼくはここ。ほかのはあそこ。3.1415と同じくらい簡単」
  ――p88

「ぼくたちも、ここの生物のためにこの場所へきた」
  ――p216

【どんな本?】

 カナダの人気SF作家ロバート・J・ソウヤーによる、恐竜娯楽SF長編。

 ブランドン・サッカレーとクリックス・マイルズは、古生物学者だ。二人は、物理学者チン=メイ・ファンが開発したタイムマシンで、世界初の時間旅行に出かける。目的時は、6500万年前、白亜紀末期。恐竜が絶滅した頃だ。

 乏しい予算をやりくりした末に実現した時間旅行だけに、人員も装備も貧弱だが、二人は運よく目的時に辿りつく。落葉樹の森があり、ヌマスギもそびえたっている。しかも、歩いているのは…ティラノサウルス! だが、喜びもつかの間、二人は予想もしない事態に直面し…

 なぜ恐竜は滅びたのか。なぜ白亜紀と第三期の境界層にイリジウムが豊富なのか。なぜプロントサウルスなどの巨大な恐竜が存在し得たのか。

 自由奔放なアイデアで読者を翻弄しつつ、恐竜の繁栄と絶滅に関する様々な謎に、奇想天外な発想で巧妙な解を与える、恐竜ファン待望の娯楽作品。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は End of an Era, by Robert J. Sawyer, 1994。日本語版は1996年10月31日発行。文庫本で縦一段組み、本文約326頁に加え、訳者あとがき8頁。8ポイント42字×18行×326頁=約246,456字、400字詰め原稿用紙で約617枚。文庫本としてはちょい厚め。

 文章はこなれていて読みやすい。内容は…まあ、あれだ。恐竜ファンのためのお話なので、恐竜について多少の知識はあった方がいい。とはいっても、ティラノサウルスとトリケラトプスの違いがわかる程度で、充分に楽しめる。

【感想は?】

 男の子は怪獣が好きだ。そして、恐竜は本当に生きていた怪獣だ。だから男の子は恐竜が好きだ。

 なんたって、あんなデカい生き物が、ノッシノッシと地上を歩いていたってのにワクワクする。しかも、忽然と姿を消してしまった。その鮮烈で謎診満ちた退場も、男の子の野次馬根性を刺激する。

 これは、そんな(元)男の子のための、とっても楽しくてワクワクゾクゾクする物語だ。実際、表紙にあるように、様々な恐竜が続々と登場しては、彼らの暮らしを披露してくれる。しかも、いきなり暴君ティラノサウルスだ。でも、なんか様子が変だぞ?

 次に登場するのは、トロエドン(トロオドン)=ステゴニコサウルス(→Wikipedia、→Google画像検索)。体長1.5~2mぐらいだが、俊敏で賢かったとされる。他にも、石頭なパキケファロサウルス(→Wikipedia)、駝鳥みたいなオルニトミムス(→Wikipedia、→Google画像検索)など、白亜紀末期にいた恐竜たちが姿を見せる。

 そういう点では、終盤の恐竜大攻勢がサービス満点。パラサウロロフス(→Wikipedia)が吠えまくり、みんな大好きトリケラトプス(→Wikipedia、→Google画像検索)が迫力ある突進を披露する。既に滅びている筈の巨大なブロントサウルス(→Wikipedia)も出てくるが、これはご愛敬。

 など、私のなかの男の子がはしゃいで仕方がない見せ場ばかりでなく、SFとしてもキッチリ設定を詰めているのも、嬉しいところ。とはいえ、そこはロバート・J・ソウヤー、普通じゃ思いもつかないケッタイなアイデアで、幾つもの謎に辻褄の合った解を出してくれてるのが、もう一つの読みどころ。

 その謎とは…

  1. 恐竜はなぜ絶滅したのか。
  2. 白亜紀と第三期の境に、なぜイリジウムが豊富な層がなぜあるのか。
  3. プロントサウルスなどの巨大な恐竜が、なぜ存在し得たのか。
  4. 多くの巨大な恐竜が絶滅したのに、環境変化に敏感なカエルがなぜ生き残ったのか。

 などに加え、今なお我々を苦しめるアレや、太陽系のナニまでバッサリと解いてしまう。加えて、この作品の成立に欠かせない時間旅行まで。

 さて。謎1.と謎2.は、天体が地球に激突したため、との説をよく聞く。重い元素であるイリジウムは、天体の表面に少なく、中心に近い所に多い。単に重いから沈む、と考えていい。恐竜が絶滅した6500万年前ころの地層に、このイリジウムを豊かに含む薄い層がある。それも、世界各地で。

 そこで、こんなシナリオが考えられた。6500万年前ころ、天体が地球に衝突した。天体は中心にあるイリジウムを地上にまき散らす。また衝突の衝撃で大気中に大量の塵が舞い、これが雲となって陽光を遮り、または逆に熱を吸収して温暖化を進める。

 いずれにせよ、地表の気候は一変し、食物連鎖の頂点にいた地表や浅海の大型動物は絶滅し、底辺に近い小型の生物や、大きな変化を受けなかった深海の生物が生き延びた。

 が、だとすると、謎4.が残る。比較的に環境変化に敏感なカエルが、なぜ生き延びたのか。

 などの恐竜絶滅の謎を、SFらしい大らかな大法螺でケリをつけるのが、この作品の楽しい点。その仕掛けこそ大法螺もいいところだが、地磁気の逆転や月の自転周期など、細かい描写をキッチリと詰めつことで、巧くリアリティを醸し出している。

 肝心の恐竜の描写も、温血説や羽毛説など、(当時の)最新のトピックを折り込み、色鮮やかな姿が見れるのも楽しい。

 とかの理屈はともかく。私としては、トリケラトプスの突撃が見られただけでも幸せ。やっぱりカッコいいじゃないか、あの角とフリル、戦車みたいで。

 みんなが気になる科学上の謎に、奇想天外な大法螺でケリをつけるばかりか、とんでもない大風呂敷を広げて読者を煙に巻く、SFならではの醍醐味がたっぷり詰まった楽しい作品。リラックスして楽しもう。

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2017年12月 4日 (月)

ジーナ・コラータ編「ニューヨークタイムズの数学 数と式にまつわる、110の物語」WAVE出版 坂井公監修 2

たとえ統計的に見て実際にパターンが存在しないとしても、人間の脳はパターンを探してしまうようにできている
  ――第2章 統計学、偶然の一致、驚くべき真実
     こんなことありうる? 関節炎の痛みに天気は関係ない?

問題は、一般的に言って、数学者が物理学者に100年先んじていることなのです。
  ――第3章 広く知られた問題の数々:解決済みの問題と未解決の問題
     〔科学質問箱〕ポアンカレの予想

構造は目に見えません。
  ――第3章 広く知られた問題の数々:解決済みの問題と未解決の問題
     無秩序に見える流れの中に秩序を見つける

カタストロフィー理論はあまりにも曖昧で具体性に欠き過ぎるために役に立たないという非難に対し、ジーマン博士はこう問い返しました。「それでは数字はどうなのだ。1、2、3、それから?具体性に欠き、曖昧でもあるが、役に立たないなどと言い切れるのか?」
  ――第4章 カオス、カタストロフィー、ランダムネス
     専門家が災害の予測について議論する

古典的な幾何学の形は、線、面、円、球、三角形、錐です。
  ――第4章 カオス、カタストロフィー、ランダムネス
     新たな幾何学を作った人

乱数発生器はすべてのコンピューターに実装されています。現在用いられているどの発生器にも何らかの欠点があります。
  ――第4章 カオス、カタストロフィー、ランダムネス
     本当のランダムネスに対する探究が、ついに成功する

(グレース・マレー・)ホッパー准将の話によると、はじめてのバグは実際に蛾だったのです。
  ――第6章 数学の世界に登場したコンピューター
     准将グレイス・M・ホッパー:コンピューターに革新をもたらし85歳でこの世を去る

「自分にはできないということだけを理由に、何かを難しいと決めてかかってはならない。自民には見えないが鼻先に簡単な解決法があるかもしれないのだ」
  ――第6章 数学の世界に登場したコンピューター
     ソヴィエトの発見が数学世界を攪乱させる

「印刷機は科学革命を起こさなかった。でも、印刷機なしでは科学革命は起こらなかっただろう」
  ――第6章 数学の世界に登場したコンピューター
     ステップ1:不可解な証明を投稿する ステップ2:騒ぎを見守る

 ジーナ・コラータ編「ニューヨークタイムズの数学 数と式にまつわる、110の物語」WAVE出版 坂井公監修 1 から続く。

【何の関係が?】

 と驚いたのが、「第2章 統計学、偶然の一致、驚くべき真実  ゲーム理論は、イランがいつ爆弾を手に入れるかを予測できるのか?」での、ブルース・ブエノ・デ・メスキータの登場。

 あの衝撃の書「独裁者のためのハンドブック」の著者だ。なんと彼は、権力者たちの椅子取りゲームをスプレッドシート(Excel みたいな表計算)に落とし込み、「CIAの分析官による予測よりも2倍の頻度で“大当たりした”」のだ。

 もちろん、表計算に入れるデータは必要だ。それは依頼者から手に入れる場合もあるが、彼自身が自ら取材してデータを集める時もある。その取材能力を高く評価する人もいるのだが、本人は「インタビューは誰にでもできますよ」。

 でも謙遜しているわけじゃないらしいのが、彼の面白い所。たまにいるよね、能力と評価基準がズレちゃってる人って。

【応用問題】

 確率はややこしい。とはいえ問題が数式の形で出れば、数学が得意な人は正確な解を出せる。が、モンティ・ホール問題のように、文章で問われると、専門家でも間違える時がある。そして、裁判で確率が重要な時、ソレは文章の形で問われる。

 「第2章 統計学、偶然の一致、驚くべき真実  見込みに賭ける」では、O・J・シンプソン事件の例が出てくる。被告シンプソンはしょっちゅう被害者の妻を虐待していた。これに対し弁護側は、こう語る。「アメリカじで夫に虐待される妻は、年に400万人いる。けど殺される妻は2500人に1人だ(意訳)」。

 だが、検察側は、こう返すべきだった、と指摘している。「虐待され、かつ殺された女のうち、虐待犯が殺人犯だったのはどれぐらいか?」答えはなんと90%。

 間違いは計算で起こるんじゃない。何を問うかが大切らしい。

【とはいえ…】

 数学の問題は、そもそも何を問うているのかすらわからないモノがある。

 リーマン予想とかは Wikipedia を見るとグラフがあるんで一瞬わかりやすそうに思えるんだが、説明に出てくるリーマンゼータ関数(→Wikipedia)で挫折したり。

 理由の一つに、数学はやたら小難しい言葉で語ってるから、ってのがある。これを親しみやすい言葉で言い換えてくれるのが、この手の本の嬉しい所。とはいっても、大抵はわかってるわけじゃなく、わかった気分になるってだけなんだけど。

 「第3章 広く知られた問題の数々:解決済みの問題と未解決の問題  捉えどころのない人物による捉えどころのない証明」では、ポアンカレ予想(→Wikipedia)を説明して曰く、幾何学の世界では「穴のないものは球でなければならない」。

 なるほど。問題は分かった…気がする。が、しかし。

 その証明がなぜ難しいのか、なぜ証明をせにゃならんのかが、私にはわからないのであった。だって、幾何学の世界じゃ、穴のない三次元のシロモノは、球として扱っていいんじゃなかったっけ?

【歴史】

 この本、個々のコラムは独立している。が中には、一つのテーマを追って時系列順に並べた所がある。これが、20世紀の歴史を感じさせて、なかなか趣が深い。

 3章「第3章 広く知られた問題の数々:解決済みの問題と未解決の問題 」では、先のポアンカレ予想・四色問題・フェルマーの最終定理がソレ。新聞の切り抜きを集めたような雰囲気で、ちょっとエキサイティングな気分になる。

 4章「第4章 カオス、カタストロフィー、ランダムネス 」は、ほとんどカオス理論の歴史といった感じ。「雲をそのように描くのかどうしても知りたい」なんて台詞が出てきて、CGに詳しい人はニヤリとするだろう。「カークウッドの間隙」(→Wikipedia)とかも、カオスに関係してるとは知らなかった。

 特にニュース的な色合いが強いのが、「第5章 暗号学と、絶対に破れない暗号の出現 」。ここでは、オープンな文化の数学者と、やたら秘密主義な国家安全保障局(NSA)の戦いを、1977年から順を追って綴ってゆく。

ちょっと違うけど、アップルも PowerMacG4 の広告で秘密主義を茶化してたっけ(→Youtube)。当時の基準じゃ PowerMacG4 の演算能力がパワフルすぎて、アメリカの輸出規制にひっかかったのだ。

 数ある学問の世界でも、数学者は飛びぬけてフリーダムだから、NSAも手を焼いただろうなあ。「太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで」でも、合衆国海軍内の暗号解読部隊の話があって、やはり軍内部でも異彩を放っていた様子。

 そんな「歴史を体験する感覚」が最も強いのが、「第6章 数学の世界に登場したコンピューター 」。ここでは、なんと1927年のヴァネヴァ・ブッシュ(→Wikipedia)のアナログ・コンピューターであるプロダクト・インテグラフ(→Wikipedia)から、コンピューターの歴史をニュースで追ってゆく。

 にしてもパンチカード(→Wikipedia)が1801年からあるとは知らなかった。磁気コアとか磁気ドラムとか ALGOL とか、懐かしい名前が続々と出てくるのもオジサンには嬉しい。画像圧縮技術に、意外な人たちが熱いまなざしを送ってたり。

【おわりに】

 数学というと堅苦しい印象があるし、この本でも少しは堅苦しい部分はある。けど、大半は親しみやすい言葉で書かれているし、何より嬉しいのは各コラムが数頁と短い点。テーマもバラエティに富んでいるし、美味しそうな所だけをつまみ食いできるのもいい。

 黒い表紙のハードカバーで600頁越えと威圧感はあるが、中身は意外と読みやすい。気後れせずに、ちょっと手によって少し味見してみよう。

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2017年12月 3日 (日)

ジーナ・コラータ編「ニューヨークタイムズの数学 数と式にまつわる、110の物語」WAVE出版 坂井公監修 1

科学の知識は暫定的なもので絶えず修正されるのに対し、数学はたいてい永久不変のものと見なされます。
  ――第1章 数学とは何か?
     役に立つ発明か、絶対的な真理か;数学とは何か?

【どんな本?】

 ニューヨークタイムズ紙に載った、数学関係のコラムを集め、テーマごとに編集した、一般読者向け数学コラム集。

 テーマは数論・数学の歴史・数学者の横顔・フェルマーの最終定理やモンティ・ホール問題など有名な話題・コンピューターが数学界に与えた影響・カオスや暗号など流行りの数学分野、そしてコンピューターや公開鍵暗号などが引き起こした騒動の記録など、バラエティに富んでいる。

 また文章が書かれた時代も、古くは1920年代のコラムから、新しいのは21世紀までと様々な上に、コラムの長さも、短いのはたった1頁から、長いのは20頁を越えるものまでと色とりどり。

 数学というと構えてしまう人もいるが、雑学本として気軽に楽しむ本。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は The New York Times Book of Mathematics : More Than 100 of Writing by The Numbers, ED. by Gina Kolata, 2013。日本語版は2016年5月25日第1版第1刷発行。単行本ハードカバー横一段組みで本文約650頁。9ポイント33字×30行×650頁=約643,500字、400字詰め原稿用紙で約1609枚。文庫本なら上中下の三巻ぐらいの巨大容量。

 文章はこなれている。内容は…全部を理解しようとすると、大学の数学科並みの数学力が要る。根拠は私の想像。が、楽しむだけなら、中学二年程度の数学力で充分。根拠は私。なんたって私は二次方程式の解の公式すら Google で調べにゃならん体たらくなのに、この本は楽しめたんだから。何より、数式が滅多に出てこないし。

 それより大事なのは、わからんところを読み飛ばす図太い神経。書いてある事全てがわからないと気が済まない人には向かない。特に数学者が式の意味について語る所などは、「なんかグリンゴン語を話してるな」ぐらいに軽くいなす神経が必要。

 なお、コラムの執筆陣は以下。

  • リサ・ベルキン
  • マルコム・W・ブラウン
  • ケネス・チャン
  • インフェイ・チェン
  • アン・アイゼンバーグ
  • ピーター・B・フリント
  • ジェームズ・クリック
  • ヤッシャ・フマン
  • ポール・ホフマン
  • ジョージ・ジョンソン
  • デヴィッド・ケイ・ジョンストン
  • ジーナ・コラータ
  • ウィリアム・L・ローレンス
  • ヘンリー・L・バーマン
  • ウィル・リズナー
  • スティーブ・ローア
  • ジョン・マーコフ
  • プラディープ・ムタリク
  • ジョン・A・オスムンセン
  • デニス・オーヴァーバイ
  • ジョン・アレス・バロウス
  • サラ・ロビンスン
  • ブルース・シェクター
  • リチャード・セベーロ
  • レナード・シルク
  • ジャネット・スタイツ
  • ウォルター・サリバン
  • クライブ・トンプソン
  • ジョン・ティアニー
  • ビナ・ヴェンカタマラン
  • ピーター・ウェイナー
  • ジョゼフ・ウィリアムズ

 訳者は以下四名。

  小川浩一 河野騎一郎 宮本寿代 守信人

【構成は?】

 各コラムは独立しているので、気になった所だけを拾い読みしてもいい。ただし、第3章・第4章・第5章・第6章などの一部は、当時のニュースが時系列に並ぶ形なので、順に読むと世の移り変わりが分かる仕掛けになっている。

  • 序文/イントロダクション
  • 第1章 数学とは何か?
    • 役に立つ発明か、絶対的な真理か;数学とは何か?
    • でも、真理と美があれば十分なんじゃないですか?
    • コンピューターが生み出すアイデアに直面する数学者たち
    • ようやうログオンした数学者たち
    • 重要な数学の証明で、知性を持たないコンピューターが推論能力を発揮する
    • コンピューターはまだ美しい数学ができない
    • 10京回の計算の末に、分かった!
    • 統計学の不確定要素に、コンピューターの力を応用する理論家
  • 第2章 統計学、偶然の一致、驚くべき真実
    • 1兆に1つの偶然の一致? 実際はそれほどでもないことを専門家たちが突きとめる
    • より重い物体は、一番上へ移動することがある:これがその理由
    • モンティ・ホール問題の裏側:当惑、論争、そして解答?
    • 42番通りを封鎖したらどうなるかに、なぜ誰も気づかなかったか?
    • 計測不能 なぜ一部の数字はとてもよくできた推測でしかないのか
    • こんなことありうる? 関節炎の痛みに天気は関係ない?
    • 電子工学が気象についての計算を手助けする
    • 研究としての保険業 事業を代数によって計算する人々の重要性
    • レオンチェフの貢献
    • 多くの小さな出来事が積み重なって、大量絶滅が起こる可能性がある
    • 数値評価マニア
    • トランプカードをシャッフルする時は、7回が必要かつ十分
    • ゲーム理論は、イランがいつ爆弾を手に入れるかを予測できるのか?
    • リスクをモデル化するさいに、見落とされた人的要因
    • 見込みに賭ける
    • 月曜日のパズル:誕生日問題の解答
    • 遺伝子ルーレットにおけるあなたの確率はどれくらい?
    • 2000年の大統領選挙:数える事の科学
    • コンピューター・プログラムは市場を理解できるか?
    • 脱税者を見つけ出すための国税庁の新たな手段
  • 第3章 広く知られた問題の数々:解決済みの問題と未解決の問題
    • 2つの世界をつなぐ新しい数学
    • 捉えどころのない人物による捉えどころのない証明
    • 〔科学質問箱〕ポアンカレの予想
    • グレゴリー・ベルクマンの美しき精神
    • 難問を解決した数学者、賞金100万ドルを辞退
    • 解決に向かう「4色問題」
    • 4色問題の予想
    • ゴールドバッハの予想:証明される日が来るかもしれないが、それは誰にもわからない
    • 350年来の数学の問題、間もなく解決か?
    • フェルマーの定理、またも解決ならず
    • フェルマーの最終定理、いまだ解決法なし
    • 長年の数学の謎に、ようやく「解けた!」の叫び
    • フェルマーの定理
    • 数学の証明に不備、手直しが進行中
    • あれから1年、フェルマーの難問は「Q.E.D.(証明完了)」まで、まだあと一歩
    • フェルマーの証明の隙間は、いかにして埋められたのか
    • 2つの主要な数学問題、25年後に解決
    • ポーカーの数学的理論をビジネス問題に応用する
    • 古い数学問題におけるシャボン玉の新しい役割
    • 数学の進歩が結び目の秘密を暴く
    • 四面体の詰めこみ、限界に迫る
    • 無秩序に見える流れの中に秩序を見つける
    • 泡と金属、その姿を変える技術
    • 完全な対称性への科学的展望
    • いまだに数学者を駆り立てる143年来の問題
    • 今日、数学でもっとも重要な問題は何か?
    • 古くからの難問の解決:最短経路はどれ?
  • 第4章 カオス、カタストロフィー、ランダムネス
    • 新しい方程式によるカオスの定義
    • 専門家が災害の予測について議論する
    • カオスという数学の難問を解く
    • 新たな幾何学を作った人
    • 科学的な徹底探索によって、雪の結晶の謎がようやく判明する
    • カオスの物語:宙返りする衛星と不安定な小惑星
    • 一種の流体数学がことを簡単にする
    • カオスが市場を支配するとき
    • 鳥の群れの複雑さを新たに理解する
    • 壊れない波が超伝導体のカギを握る
    • 本当のランダムネスに対する探究が、ついに成功する
    • コンピューターでコイントスをすると、捕えがたい偏りが見えてくる
    • カオスの予測不可能性のため、ぼんやりとした将来を科学は横眼で眺めている
    • 疾病クラスターを調べる:証明するよりも見当をつける方がたやすい
    • そのオッズ
    • フラクタルの視点
  • 第5章 暗号学と、絶対に破れない暗号の出現
    • 暗号研究にいやがらせを受けたと主張
    • 研究者ら公開前チェックに同意へ
    • 暗号学の進歩に対し保安規定を厳格化
    • 秘密保護の新手法を発見
    • アメリカ政府の一時差し止めに怒り
    • 困難な数学問題を解決
    • 最大の割り算、数学の巨大な一歩
    • 暗号を破る数学の道具を科学者が考案
    • 攻めあぐねる暗号研究者、限界に挑戦
    • 白昼堂々と暗号論争
    • 政府の暗号機関が民間と縄張り争い
    • コンピューター暗号は解読可能と研究者が証明
    • ニック・パターソン 冷戦の暗号研究者、DNAの秘密に挑戦
    • 安全保障への脅威に数学も
    • 賞はさておきP対NP問題の余波続く
  • 第6章 数学の世界に登場したコンピューター
    • 「考える機械」が高度な数学に挑む 人間なら数カ月かかる方程式を解く
    • 新型の巨大な「脳」が魔法使いのように働く
    • 戦時の難問解決のため「脳」はスピードアップした
    • デジタルコンピューター どのように誕生したのか、どのように動き、何ができるのか
    • 長い数学の証明に見いだされたショートカット
    • 新しい技術によって、画像がより効率的に格納できる
    • 巨大コンピューターが、実質的に空間と時間を征服する
    • 准将グレイス・M・ホッパー:コンピューターに革新をもたらし85歳でこの世を去る
    • フランシス・E・ホルバートン 84歳:初期のコンピューター・プログラマ
    • アコーディオンのようにデータを押し潰す
    • 電子脳がつながる
    • ソヴィエトの発見が数学世界を攪乱させる
    • ヘルスケア論争 役に立つものを探す
    • ステップ1:不可解な証明を投稿する ステップ2:騒ぎを見守る
  • 第7章 数学者とその世界
    • 数学の最前線の旅人ポール・エルデシュ(83歳)、死す
    • ある天才数学者の素顔を求めて
    • 数学界最高の名誉を辞退
    • 〔科学者の仕事場〕ジョン・H・コンウェイ とらえがたい数学世界の達人
    • 名傍役、クロード・シャノン
    • 孤立した天才に正当な評価
    • 〔科学者の仕事場〕アンドリュー・ワイルズ 350年来の問題に挑む数学の達人
    • 〔科学者の仕事場〕レオナルド・エーデルマン コンピューター理論の核心を突く
    • 〔追悼〕数学者クルト・ゲーデル博士(71歳)
    • 天才かデタラメか? 数学変人の奇妙な世界

【感想は?】

 数学と数学者、どっちが面白いか難しい所。

 エルディシュ数の元ネタになったさすらいの数学者ポール・エルディシュ(→Wikipedia)はさすがに飛びぬけてるが、セミョン・ファイトロヴィチと、彼の仕事もおかしい。

 私たちは問題を解くためにコンピューターを使う。または自分の予想が当たってるか外れてるかを確かめるために使う。少なくとも科学者と工学者はそうだ。だがファイトロヴィチが作ったプログラムのグラフィティは逆だ。グラフィティは問題を出す。いやクイズ・ゲームでも脳トレの類でもない。

 グラフィティは、グラフ理論における「予想」(→Wikipedia)を吐き出すのだ。その大半はクズだが、たまに数学者の興味を引くものがある。それを証明してみろ、というわけ。たかが機械のくせに生意気な、と思うが…

少なくとも20人の数学者がこのプログラムの生み出した予想の証明に取り組んでいて、<グラフィティ>の予想を証明した論文は5編あることが分かっている

 というから侮れない(1989年6月現在)。もっとも、卒論のテーマが見つからず悩む学生は、「俺の専攻向けに改造してくれ」と望むかもしれない。機械に指示されて嬉しいのか?って気もするが、実際に役立ってるんだから仕方がない。

 何考えてこんなモン作ったんだろう?もしかしたら、作ってみたかったから、じゃないかな。

 などの浮世離れした話題が多い中で、確率や統計関係は、身近に感じる楽しさがある。かの有名なモンティ・ホール問題(→Wikipedia)も出てきた。今まで私はなんか納得できなかったが、この本でなんとなくわかった…気がする。説明してみろ、と言われたらムニャムニャだけど。

 何より、実験してみて確かめたってのに、説得力を感じてしまう。もっとも、実際の番組では、司会のモンティ・ホールが、参加者が間違えるよう巧みに誘導するんで、計算通りとはならないとか。

 などと面白いネタはたくさんあるので、次の記事に続きます。

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2017年12月 1日 (金)

スキーと読書

 私は本が好きだ。こんなブログをやってるし。

 なんで好きかというと、楽しいからだ。そして、どんな趣味であれ、ヒトは自分の趣味に他人を引きずり込もうとする性質がある。このブログをやってる理由の一つが、それだ。私にとって、読書は趣味・道楽なのだ。

 が、世の中には、本を読むのは苦行だと思っている人もいる。人により好みは違うから、本より好きな事がある人も多いだろう。そういう人が、本なんか読んでる暇はないと言うなら、納得できる。が、苦行だってのは、ちと違うんじゃないか。

 私は昔、スキーをやっていた。スキーをやらない人は、スキーを苦行だと思うだろう。「なんだって寒い時に、もっと寒い所に行って、シンドイ運動なんかするんだ」と。

 実際、スキーヤーがやってるのは、そういう事だ。しかも高い金を払い、夜中に重たい荷物を担いで歩き、または車で危険な雪道を長いドライブし、帰ってきたら泥だらけの車を洗う手間までかけて。苦労ばかりじゃないか。

 でも、楽しいのだ。自分の腕に合った斜面を、一気に駆け降りる心地よさ。雪を跳ね飛ばして曲がる時の、「もしかして今の俺カッコいんじゃね?」的な気持ち。そして、日常では味わえない、風を切って進むスピード感。心のなかのケダモノを解放する、野生に帰った感覚。

 そりゃ吹雪にあったり、ゲレンデが岩だらけだったり、逆にカチコチのアイスバーンだったりと、ハズレな時もある。でも、状態がいい時の気持ちよさは、そんなハズレを差し引いても、タップリとオツリが来る楽しさに溢れている。何より、スキーに行かなきゃ、スキーの楽しさを味わえないじゃないか。

 そんな楽しさを味わうには、幾つかの条件がある。ゲレンデや天気の良しあしもある。が、その前に。何より、スキーヤーが、ある程度スキーの技術を身につけていなくちゃいけない。

 滑れない人を急斜面に連れて行ったら、そりゃ苦行でしかない。寒いし、コケてばかりで体中痛いし、立ち上がるのにも筋力を使うし。それ以上に、下手なコケ方をすれば、怪我しかねない。

 だから、スキーを始めるなら、まずスキー教室に入って、基本的なスキーの技術を身につけよう。そこで板やストックなど装備の選び方と使い方、怪我をしない転び方、滑り方、止まり方、曲がり方、そしてゲレンデのマナーなど、スキーを楽しむために必要な事を学び、知識と技術を身につけるのだ。

 これは読書も似たようなモンで。

 どんな本でも、それを楽しむためには、ある程度の「技能」が必要なのだ。

 どんな技能がどの程度に必要かは、本によって違う。「補給戦」は、古今の有名な戦いをアチコチで引用しているので、歴史に疎いと、読みこなすのは難しい。逆に、「剣客商売」あたりは、テレビの時代劇の雰囲気をなんとなく知っていれば、充分に楽しめる。

 ばかりでなく、もっと基本的な技能もある。例えば日本語を読む能力だ。これがないと、日本語で書かれた本が読めない。加えて、読解力も要る。

 一言で読解力と言っても、その中身はよく分からない。どんな要素から成っていて、それぞれの能力はどうすれば育つのか。最近になって新井紀子教授の読解力テストが話題になった。これでやっと、「読解力」を構成する要素が見えてきた程度だ。

 が、残念ながら、読解力を構成するそれぞれの能力を、どうすりゃ鍛えられるのかまでは、分かってない。

 これがスキーと読書の大きな違いで。

 スキーだと、必要な技能の洗い出しは終わってる。また、どういう順番で教えるべきかも、だいたいの方針が定まっている。ボーゲンの是非など、多少の議論はあるようだが。

 いずれにせよ、「生徒がどの段階にあるのか、次に何を教えればいいのか」が、スキーはだいたい決まっているし、生徒がどの段階にいるのかも、見ればわかる。だから、教える側は、ガイドラインに沿い、生徒の習得具合に合わせ、段階を踏んで教えていけばいい。

 が、読解力については、スキーほどハッキリしたガイドラインがない。だもんで、教える側も、「とりあえず本を読めや」と、かなり無茶な教え方をしたりする。スキーで言えば、「とりあえずゲレンデに来い」と言ってるようなもんだろう。

 しかも、だ。

 スキーなら、初心者をいきなり急斜面に置き去りにする、なんて真似は無茶だと、誰だって考える。まずは緩い斜面で板に慣れる所から始めるだろう。

 が、これが本になると、いきなりグレッグ・イーガンの直交三部作を勧めるとか、無茶を強要する性格悪い奴がいたり。

 スキーなら、ゲレンデのシンドさは、見ればだいたいわかる。急な斜面は上級者向きで、初心者は緩い斜面の方が楽しめるだろう。それぐらいは、素人でもスグに判断できる。別に斜面を見なくても、斜度(角度)って数字で、ハッキリと難しさがわかるし。

 が、本だと、そうはいかない。

 パッと見てわかるのは、本の厚さだ。が、これが大きな罠だったり。「補給戦」は薄いが、斜面で言えば頂上の急斜面だ。対して「木枯し紋次郎」の傑作選とかは、分厚いわりに、とっても読みやすくてスラスラ読めるのだ。

 また、「難しさ」にも、いろいろある(右図)。

A2  例えば白雪姫。日本語の本なら何の問題もないが、タガログ語で書かれていたら、私にはまず読めない。内容以前に、タガログ語の素養が必要で、私にはソレがないからだ。

 「液晶の歴史」は一般向けの科学解説書だ。とても丁寧に書かれていて、一歩一歩順を踏んで説明している。だもんで、じっくり読めば、なんとか最後までついていける。ただし、途中で投げ出さない執念が必要だ。

 と、こんな風に、同じ「難しい」でも、敷居が高い難しさと、内容の濃さゆえの難しさの、少なくとも二種類がある。他にも、最初は楽そうなのに、途中でいきなりレベルが上がっちゃう本とか。

 などと、難しさや読みにくさの原因は色々ある。けど、斜面の角度のように、本の読みやすさも、ハッキリと数字で示せればいいのに、と思う。

 もっとも、それをどうやって測るかってのが、難しい問題で。とりあえず考えたのが、「私が一時間に何文字読めたか」で測るとか。で、単位の名前は当然、「ちくわぶ」だ。イーガンは千ちくわぶ、「木枯し紋次郎」は4万ちくわぶ、とか。

 なんて馬鹿なことを考えたが、そうやって測るためには、ストップウォッチ片手に読まにゃならん。それは面倒くさいぞ。加えて、SFは全般的に査定が緩くなりそうだ。でも、Kindle とかの電子媒体なら、読むのにかかった時間を勝手に測ってくれそうだなあ。いや私は Kindle 持ってないんだけど。

 などと難しい関門は幾つもありそうだが、なんとか「本の読みやすさの尺度」みたいなモンが出来るといいなあ。あなた、どう思います?

 

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