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2016年7月 8日 (金)

Diomidis Spinellis, Georgios Gousios編「ビューティフルアーキテクチャ」オライリージャパン 久野禎子・久野靖訳 1

 ひとことで言えば、美しいアーキテクチャは、より少ないものでより多くを成し遂げるのです。
  ――序文

【どんな本?】

 IT技術者にはお馴染みオライリー社による、「ビューティフル」シリーズ第二弾。今回は「アーキテクチャ」をテーマに、様々な相反する制約条件を満たすシステムの構造やアイデア,開発手法やコツなどを、有名なエンジニアが惜しげもなく秘儀を披露する。

 取り上げるテーマは、経済性と拡張性が求められる大規模オンライン・ゲーム開発環境の Darkstar,安全性と公開性と柔軟性のバランスを取った Facebook, 移植性と実行速度の両立に悩む仮想マシン Xen,16ビットマシンながら究極の不倒性を誇った Tandem16,Java-VM の速度の限界に挑む JPC,もはやエディタなのかOSなのかわからない巨大システム GNU Emacs など、オールスター・キャスト。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は Beautiful Architecture, by Diomidis Spinellis and Georgios Gousios, 2009。日本語版は2009年11月24日初版第1刷発行。私が読んだのは2009年12月25日発行の初版第2刷。単行本ソフトカバー横一段組みで約404頁。8ポイント48字×38行×404頁=約736,896字、400字詰め原稿用紙で約1,843枚。文庫本なら3~4冊分の巨大容量。

 ハッキリ言って文章は直訳風で、慣れていないと厳しい。内容もコードがバチバリ出てくる上に、扱う範囲も運用やサービスからCPUのメモリ管理方式まで幅広いので、全てを読みこなすのはまず無理。自分が興味を持てて理解できる章を拾い読みするといいだろう。

【構成は?】

 竹内郁雄の推薦の言葉では「まず『はじめに』まで読み、そのあとは読みたいところから拾い読みするのがよいとある。また訳者も「まえがき」で「本書は1章から読まない方がいいですよ」と釘をさしている。

 それぞれの章は完全に独立しているので、推薦者・訳者のアドバイス通り、美味しそうな所からつまみ食いしよう。私は頭から読んだけどw

  • 推薦のことば/訳者まえがき
  • 序文(スティーブ・J・メラー)
  • はじめに
  • 第1部 アーキテクチャについて
    • 1章 アーキテクチャとは何か?(ジョン・クライン,デビッド・ワイス)
      はじめに/ソフトウェアアーキテクチャを作る/アーキテクチャ的構造/良いアーキテクチャ/美しいアーキテクチャ/謝辞/参考文献
    • 2章 2つのシステム:今風ソフトウェア物語(ピート・グッドリッフ)
      メトロポリス~錯綜大都市~の物語/デザインタウン~整備都市~の物語/ということで?/次はあなた/参考文献
  • 第2部 エンタプライズアーキテクチャ
    • 3章 スケーラビリティのためのアーキテクチャ設計(ジム・ウォルド)
      はじめに/背景/アーキテクチャ/アーキテクチャについて
    • 4章 メモリーを作る(マイケル・ニガード)
      機能と制約/ワークフロー/アーキテクチャのファセット/ユーザの反応/結論/参考文献
    • 5章 リソース指向アーキテクチャ:「Web上にある」こと(ブライアン・スレッテン)
      はじめに/従来のWebサービス/Web/リソース指向アーキテクチャ/データ駆動アプリケーション/リソース指向アーキテクチャの適用/結論
    • 6章 データの成長:Facebookプラットフォームのアーキテクチャ(デビッド・フェターマン)
      はじめに/ソーシャルWebサービスを作る/ソーシャルデータクエリサービスを作る/ソーシャルなWebポータルを作る:FBML/システムのために機能をサポートする/まとめ
  • 第3部 システムアーキテクチャ
    • 7章 Xenと仮想化の美(デレク・マレイ,キア・フレイザー)
      はじめに/Xenoservers/仮想化の試練/準仮想化/変化するXen/ハードウェアの変化とXenの変化/学んだこと/参考文献
    • 8章 Guardian:フォルトトレラントなOS環境(グレッグ・レーシー)
      Tandem16/:いつの日か、すべてのコンピュータはこの用に作られる/ハードウェア/機器配置/CPUアーキテクチャ/プロセサ間バス/入出力/プロセス構造/メッセージシステム/ファイルシステム/思い出/マイナス面/後継システム/参考文献
    • 9章 JPC:ピュアJavaのx86PCエミュレータ(ロシ・ニューマン,クリストファー・デニス)
      はじめに/概念の証明/PCアーキテクチャ/Java実行性能のためのヒント/4GBのうえに4GB:うまくいかない問題/プロテクトモードの問題/負け戦を戦う/JVMをハイジャックする/最高のフレキシビリティ/究極のセキュリティ/2度目は良くなる
    • 10章 Jikes RVM:メタサーキュラーな仮想マシンの威力(イアン・ロオジャーズ,デイブ・グローブ)
      背景/実行環境を取り巻く神話/Jikes RVMの歴史概観/自己ホスティングな実行環境をブートストラップする/実行時の構成要素/学んだこと/参考文献
  • 第4部 エンドユーザアプリケーションのアーキテクチャ
    • 11章 GNU Emacs:斬進的機能追加方式が持つ力(ジム・ブランディ)
      Emacsを使う/Emacsのアーキテクチャ/斬進的機能追加方式/その他のアーキテクチャ2つ
    • 12章 バザールが伽藍の建築に乗り出す時(ティム・アダム,ミルコ・バーム)
      はじめに/KDEプロジェクトの歴史と構造/Akonadi/ThreadWeaver
  • 第5部 プログラミング言語とアーキテクチャ
    • 13章 ソフトウェアアーキテクチャ:オブジェクト指向対関数型(バートランド・メイヤー)
      概観/例題/関数型ソリューションのモジュラリティ評価/オブジェクト指向の視点/オブジェクト指向のモジュラリティの評価と改善/エージェント:オブジェクト内部に計算をラップする/参考文献
    • 14章 古典再読(パナギオティス・ロウリーダス)
      すべてはオブジェクトである/型は暗黙のうちに決められる/問題点/レンガとモルタルのアーキテクチャ/参考文献
  • あとがき(ウィリアム・J・ミッチェル)
  • 著者・編者紹介/索引

【感想は?】

 長くなるので、感想は次の記事から。

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