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2014年8月15日 (金)

夏休みの課題の読書感想文に向く面白く短く読みやすく教師にウケる本

 などと親切めかした記事名をつけちゃいるが、ホンネは自分が好きな本を紹介したいってだけなんだけどね。

【誰向けか?】

 以下二つの条件の両方に該当する人向け。

  1. 日頃はあまり本を読まない人。そもそも日頃から本を読む人なら、こんな記事は無視して自分が読みたい本を読むだろうし。
  2. 中学生または高校生で、あまり成績の良くない人。公立中学の40人学級なら、成績順に数えて25番~40番ぐらいの人。そういう人が、人なみの評価を受けられるあたりを目標としてます。それより成績がいい人は、自分で選んだ方がいいでしょう。

【本を選んだ条件】

面白い
そもそも、なんでこんな記事を書いてるのか、というと。何であれ、何かが好きな人は、同類を増やしたがるもの。私は本が好きなんで、本好きを増やしたい。ヤクのバイニンは、新しいカモに最初の一発をタダでサービスします。そうやって客を増やすのですね。この記事も、そういう目的で書いてます。
短い
日頃から本を読まない人は、分厚い本を見るとたじろぎます。「俺に読み通せるだろうか」と。薄い本の方が、手に取りやすいんですね。実際には「ゴッドファーザー」とか、読み始めると止まらない面白さなんだけど、それは読んだから言える事で。こればっかりは、読む前じゃ判らないんで、とりあえず親しみやすい方がいいでしょう。
読みやすい
ロシア文学とかは、やたらと文が長くて、読みこなすのに体力が要ります。「ないわけではない」みたいな二重否定も、意味を掴むのに苦労します。数式や化学式が沢山出てくるのも、大半の人は嫌います。長いシリーズを途中から読むのも、登場人物や背景がわからないんで、面白くないでしょう。
教師にウケる
例えば「信濃!」。太平洋戦争で追いつめられた帝国海軍が、戦艦を泥縄式に改造した新造空母の信濃と、それを追うアメリカ海軍の潜水艦アーチャー・フィッシュの息詰まる追撃の話。両者を交互に描く構成が見事で、まんまハリウッドが映画化してもウケそうな話なんだけど。戦記物って時点でサヨク教師には嫌われるし、帝国海軍の暗部を書いてるんで、ウヨクにもウケが悪い。「紫色のクオリア」も本格的なSFなんだけど、ライトノベルってレッテルだけで却下されかねない。まあ、その辺を、一応は配慮してます。
ノンフィクションでもいいよね
なんか本というと、多くの人はまず小説を思い浮かべるけど、ドキュメンタリーや科学解説書だって面白い本は沢山あるんです。

【本の紹介】

吉村昭「羆嵐」新潮文庫
1915年、北海道の小さな集落を、体重350kg体長2.7mの巨大な羆が襲う。三毛別羆事件だ。この事件を元に、ベテラン作家の吉村昭が徹底した取材で事件を再構成した、緊迫感あふれる人と巨獣の命を賭けた戦いの物語。
1977年と初出はちと古いが、短い上に文章は読みやすく、お話は迫力満点。冒頭、北海道の開拓者の生活を描くあたりから、現代に生きる私たちには想像を絶する凄まじさで、一気に引き込まれる。中身は凶暴な羆が暴れまわる話で、怪獣映画の面白さそのもの。
ポール・ルセサバギナ「ホテル・ルワンダの男」ヴィレッジブックス 堀川志野舞訳
1993年3月。アフリカ中央部の小国、ルワンダで大虐殺が起きる。多数派のフツ族が、少数派のツチ族をナタで襲い始めたのだ。当時ホテルの支配人だった著者は、狂気の渦の中で決意する。「このホテルに逃げ込んだ人は全て守り通そう」と。だが、彼は何ひとつ武器を持っていなかった。頼りになるのはホテル務めで鍛えた交渉術のみ。
殺戮の嵐が吹き荒れるルワンダ。その渦中、丸腰で千人を越える避難者を最後まで守り通した男。という美談は、確実に教師にウケるだろう。が、実際に読むと、決して聖人の話じゃない。酒を飲ませ賄賂を握らせ上から圧力をかけるなど、どこぞの営業さんみたいな真似をしてる。ここに書かれているのは、誰にでも役立つ技術、つまり「人と仲良くする方法」だったりする。
児玉聡「功利主義入門 はじめての倫理学」ちくま新書967
哲学ってのは、なんか賢そうに見える。その一分野である倫理学は、堅苦しくて真面目そうだ。そういう近寄りがたい雰囲気の倫理学を、親しみやすく説明しているのが、この本。数学や科学は基礎ができてないと議論に参加すらできない。でも、この本では、誰でも何か言いたくなるような例題を出し、それに対し様々な答えを示してゆく。感想文を書くときは、著者に賛成する必要はない。設問に対して自分なりの答えを出し、その理由ダラダラ書いていこう。文字数が稼げます。
スティーヴ・ブルームフィールド「サッカーと独裁者 アフリカ13カ国の[紛争地帯]を行く」白水社 実川元子訳
サッカーが好きな人向け。スーダン取材中、検問にひっかかった著者。だが彼がイギリス人だとわかると、途端に兵隊は機嫌が良くなり叫び始める。「デヴィッド・ベッカム!」「マイケル・オーウェン!」。アフリカで、サッカーは大人気なのだ。そこで著者は考える。「スポーツ記者を装えば政府の重要人物にも会えるのでは?」。独特の視点でアフリカを描く、イギリス人の著者ならではのルポルタージュの傑作。
サッカーが好きなら、まず「第七章 コートジヴォワール サッカー代表チームがもたらした平和と統一」を読もう。先のワールドカップで日本の出足を挫いたコートジヴォワール・チームの話だ。かのチームのエースであるドログバが、どれだけ偉大なことを成しとげたのか。それを知ったら、敗戦の悔しさも少しは紛れるだろう。
中村明一「倍音 音・ことば・身体の文化誌」春秋社
音楽、特に歌が好きな人向け。人の声や楽器の音を科学的に分析して…というと堅苦しそうだが、出てくる例が日本の有名な流行歌手なので、理屈はわからなくても雰囲気でついていける。ただ、美空ひばりや森進一など、出てくる歌手が昭和に活躍した人が多いのが、若い人には難点かも。
下野康史「運転 アシモからジャンボジェットまで」小学館
乗り物が好きな人向け。ジャンボジェット・潜水艦・巨大タンカーから馬や和船、果てはホンダのASIMOまで、様々な乗り物?の運転手に取材し、時には自分で運転したルポルタージュ。出てくる人が皆プロフェッショナルな誇りを持つと同時に、運転する楽しさを味わっているのが伝わってくる。感想文を書く際は、個々の乗り物について、軽く紹介した上で一言の感想を添えると文字数が稼げます。

【おわりに】

 読む前に、予め付箋(ポストイット)と用意しましょう。読みながら、気に入った所に付箋をベタベタ貼っていきます。感想文を書く時に、付箋を貼ったところをテキトーに抜き出して引用すると、文字数が稼げます←こればっかだなオレ

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