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2011年12月 5日 (月)

SFマガジン2012年1月号

僕は基本的に根暗な人間だけど、書いているものにその欠点は一部しかあらわれていないと思う。僕の小説を全部読んだら僕を嫌いになるはずだよ。他人がどうして自分の小説に共感を覚えるのか理解できない。  ――パオロ・バチガルビ インタビュウ「見えない虎を描く」

 280頁の標準サイズ。

 今号は小川一水特集として、大森望によるインタビュウや書籍ガイドなど。やはり小松左京の後継と見なす人が多いようで、本人もインタビュウで「高校の時に小松左京を読み漁った」と語っている。桝田省治の論評が、いかにも「俺の屍を越えてゆけ」の人らしい視点で笑った。

 個人的にハイライトなのが、巻末のパオロ・バチガルビのインタビュウ。どんな人なのか全く知らなかったけど、なんとも悲観的で欝っぽい人だった。専業作家じゃないのも意外。とまれ経歴と職業が独特の作風に活きてるのも事実なんで、あんまし売れないほうがファンには嬉しいかもしれない。野良イモの問題とかを知ったら、この人はどう思うんだろう。

 やはり最後の執筆者紹介の縣丈弘で驚いた。なんど、ワイルドカード映画化とか。これは期待。といっても、「無敵の勇者タートル」ジェットボーイ、それにヨーマンぐらいしか覚えてないけど。なんとか刊行再開してくれないかなあ。

 そのジョージ・R・R・マーティンのペーパーバック部門の大暴れはまだ続いている。ドラマ、評判いいんだろうなあ。アメリカのTVのSFドラマの状況は羨ましくて、スピルバーグ製作総指揮の「Terra Nova 未来創世記」、パイロット版だけで制作費20億円。日本のTVが韓流で制作費を節約してるのに対し、この違いは何なんだろ。

 最近はあまり見なかった草上仁が載ってる。誰か原稿を落としたんだろうか←をい。「予告殺人」。ミュータント絡みの殺人を巡るミステリの掌編。「これから夫を殺す予定だ」という女が、夫と妹を連れて出頭してきた。「どないせいちゅうねん」と頭を抱える巡査部長。ほんと、どう扱えばいいんだろうねえ。

 北野勇作「カメリ、山があるから上る」はお馴染みのカメリのシリーズ。人がいない世界で、知性を持った動物?の生活風景。今回は、勤め先のカフェが突然消えて、そこに巨大な岩の壁、というより山ができていた、というお話。

 大森望「新SF観光局」は、電子書籍が出版業界に及ぼす影響のお話。yomel.jp が、絶版タイトルの電子書籍化を進めてて、作家にも好評というお話。こういうサービスを待ってたんだ。月額315円ってのも格安。といってもスマートフォン持ってないけど。

 海外SFはグレゴリイ・フロスト「ドリアン・グレイの恋人」が怖い。いやホラーじゃないけど、下腹の脂肪の発達に悩んでる人にはとっても怖いお話。その裕福な男は、美食家でかつ大食漢だった。次から次へと美食を平らげるその男、だが男のデートの相手の女はミネラル・ウォーターとクラッカーだけ…。空腹時には読むべからず。

 もうひとつの海外SFはロバート・F・ヤングの「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」。26世紀の過去再建部隊のアーチャー・フレンドは、時間航行中に、パワーパックのガス欠に気づいた。出発前にエネルギー補給を忘れたのだ。最寄のステーションに立ち寄るが…。「たんぽぽ娘」のヤングらしい、ほんわかした雰囲気の掌編。

 横山えいじの「おまかせ!レスキュー」、これはどう見てもQBだろw

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