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2011年3月21日 (月)

SFマガジン編集部編「SFが読みたい!2011年版」早川書房

書評を書くの、めんどうじゃないですか! ――北上次郎

 2009年11月1日~2010年10月31日までに発行されたSF小説を中心に、ホラーやファンタジイなど周辺領域の書籍や映画などから、アンケートの人気投票などで「お薦め品」をリストアップし、語ったムック。新鋭作家や翻訳者の対談なども載っている、一種のおまつり本。

 私は最近SF以外の本を読むのに忙しくて、新作SFから遠ざかっていたため、国内編のベスト10は全て未読だった。上田早夕里氏とか、全然知らなかったし。小川一水氏と山本弘氏、それと大森望氏の暴れっぷりが凄い。海外編で読んでたのは「ジェイクをさがして」と「跳躍者の時空」のみ。ガミッチ君の人気ぶりは意外だった。

 意外といえば、「スワロウテイル人工少女販売処」が「星の舞台からみてる」より上位なのも、意外。でもまあ、「星」はテーマがテーマだけに、ウケる市場は限られてるのかも知れない。その分、市場に当てはまる人には強い魅力があるんでしょう、たぶん。本木氏も「リミッターを外す感じで書いています」と言ってることだし。

 河出書房の奇想コレクションをはじめ、短編集が豊富に出たのも昨年の特徴。本書内で繰り返し語られるように、アンソロジーの出版が活発になったのも、短編市場を豊かにしている。私も昔は「ホークスビル収容所」や「忘却の惑星」など、アンソロジーを読み漁って面白そうな作家を探した経験があるんで、こういう傾向は若いファンへの布教に役立つでしょう、きっと。

 その大暴れしてる小川一水氏のアンケート回答が、P.W.シンガーの「ロボット兵士の戦争」。まあ、確かに面白いし、大抵のSFファンなら胸が熱くなる部分も多いけど、この発想はなかった。

 各出版社の2011年の予定では、早川書房の飛浩隆氏に期待と不安が半々。あの遅筆作家に何があったんだろ。河出書房新社の、マイクル・コニイの「ハローサマー・グッドバイ」の続編は信用していいんだろうか。東京創元社からは、ついに「ブルーマーズ」が消えてしまった。なんてこったい。

 特別企画「オールタイム・SF映画ベスト50」は偏ったメンバーによる偏った映画のガイド。高橋良平氏が「惑星ソラリス」を「何度も寝てる映画ですよ」とバッサリ切ってるのがいっそ爽快。そして「ダーク・クリスタル」が地味にランクインしてるのも嬉しい。いい映画ですよ、地味に。

 って事で、とりあえず上田早夕里氏に挑戦してみようと目論んでます、はい。

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