« 今度はJavaScriptに挑戦 | トップページ | 川成洋「スペイン内戦 政治と人間の未完のドラマ」講談社学術文庫 »

2010年11月19日 (金)

Shelley Powers「初めてのJavaScript 第2版」オライリージャパン 武舎広幸・武舎るみ訳

 この言語に出会ってからは「プログラミングを学ぶならば JavaScript から始めるべし」とずっと思ってきました。とても取っつきやすい言語なのです。もし、他のプログラミング言語をご存じなら、学習を始めたその日のうちに新しいプログラムを書き始めることができるはずです。  --訳者まえがき より

 プログラマには馴染み O'Reilly の、JavaScript 入門書。申し訳ないが私は JavaScript 初心者であり、JavaScript について充分な知識を持っていない。よって、当書に何が足りないか、どの辺の説明が不十分か、などは指摘出来ない。できるのは、本書は誰に向くか、本書を読めば何ができるか、本書は入門書として判りやすいか、読んで楽しいか、などだ。最後の「読んで楽しいか」は、ここで断言しておく。楽しい。とっても、楽しい。少々、食い足りないぐらいだ。

 ソフトカバー横組み一段組みで350頁ちょい。既に述べたとおり、私は「面白くなってきた所で終わってしまった」感があるけど、そういう人は「JavaScript」を読みなさい、って事なんだろう。あくまで入門書だし。文章の読みやすさは、まあ O'Reilly の標準、って所かな。Perl 関係のように、クセの強いジョークがない分、マシかも。数あるプログラミング言語の中でも、JavaScript 周辺は進歩が著しく、新鮮さが重要になる。この本は2009年11月24日発行なんで、その点は合格だろう…たぶん。

1章 JavaScript の第一歩
2章 データ型と変数
3章 演算子と文
4章 JavaScript オブジェクト
5章 関数
6章 トラブルへの対処、デバッグ、異種ブラウザ間の問題
7章 イベント
8章 フォームと検証
9章 ブラウザオブジェクトモデル
10章 クッキーとその後継技術
11章 ドキュメントオブジェクトモデル
12章 動的なページの作成
13章 カスタムオブジェクトと例外の処理
14章 Ajax の基礎
15章 Ajax のデータ-XML か JSON か
付録A 練習問題の解答

 では、まず、本書は誰向けか、について。以下の条件を満たす人だと思って下さいな。

  • HTML と CSS を知っている。参考書を見ながらでもいいから、テキスト・エディタでスタイルシートが書ける。CSS を学びたい方は、こちらをどうぞ。 →CSS 完全ガイド第2版
  • プログラミングの経験がある。最低でも、変数・条件分岐・関数を知っている。オブジェクト指向やイベント駆動型処理の経験があれば尚よし。文法は C や Java に近いんで、そっちに慣れてると違和感が少ないかも。
  • ブラウザごとで振る舞いに違いがあると判っている。複数のブラウザが使える環境にある。
  • Firefox ユーザが有利。まあ、これを読もうって人なら、Firefox のインストールぐらいは出きるよね。
  • 終盤の Ajax では、TCP/IP と HTTP の知識が必須。出来れば PHP も読めた方がいい;私は PHP を知らないけど、perl は知ってるんで、なんとか読めた。14章以降は判らなくてもいい、というなら、話は別。

 次に、この本で何ができるか、というと。ハッキリ言って、この本だけじゃ、プロにはなれません。実際に使えるプログラムを作るには、DOM(Document Object Model)・jQuery などのライブラリ・Google Map API などのサービスを使いこなす必要があって、そっちはそれぞれの解説書を読むなり、ネットで参照するなりして下さい。まあ、ウダウダ言うより、実際に何かを作ってみればわかります。素人の私は十数時間かかって、この程度でした。 →今度は JavaScript に挑戦

 そして、入門書として判りやすいか。これは、読者による。上記の条件を満たす人には、とっても判りやすい。むしろ、もっと本格的な解説書が欲しくなるかも。こういう時、「O'Reilly って商売上手だよなあ」と感じてしまう。逆に、プログラミング未経験者には、かなり敷居が高い。JavaScript でプログラミングを学びたい人は、他の本を当った方がいい。「初めての」と言いつつ、プログラミング初心者向けじゃないのは痛い所。

 一般に O'Reilly の本は理論的な面に偏りがちで、実装面はぶっきらぼうな傾向がある。けど、この本は珍しく、6章で開発環境 Firebug の紹介があって、これがとてもありがたかった。早速インストールして使いましたよ、ええ。最初に作ったプログラムでは、CSS で定義した属性(背景画像の位置情報)が参照できなくて、数時間苦闘した挙句、とりあえず諦めた。で、暫く PC から離れ本に戻って読み進め、12章に達したところで。

 …直接 style 属性で指定しているものに関しては、JavaScript から style.color を経由して値を取得できますが、親要素から受け継いだりして、間接的に指定されているものに関しては、この方法では取り出せないのです。
 このことは重要なので覚えておいてください。DHTML を取り扱うときには必ずといってよいほど、ここでつまずきます。

 はい、つまずきました。ああ悔しい。

 5章の関数ではクロージャの例を出したり、普及してない let を紹介するあたり、著者の本性は LISPer なのかも。13章でも継承やメソッドの追加を説明してたり、プログラム言語マニアな側面が垣間見えて、ちょっと同病相哀れむ気分。スクリーンショットが Aqua だったりするのも、個人的にはポイント高し。いや昔 Mac 使ってたもんで。

|

« 今度はJavaScriptに挑戦 | トップページ | 川成洋「スペイン内戦 政治と人間の未完のドラマ」講談社学術文庫 »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

書評:科学/技術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Shelley Powers「初めてのJavaScript 第2版」オライリージャパン 武舎広幸・武舎るみ訳:

« 今度はJavaScriptに挑戦 | トップページ | 川成洋「スペイン内戦 政治と人間の未完のドラマ」講談社学術文庫 »