SFマガジン2007年6月号
前号に続き異色作家特集。なんかSFマガジンだかミステリマガジンだかわかんなくなってきてるなぁ。特集のうち2編がロシアで中国とメキシコが1篇づつ。
ミハイル・ヴェレルの「パリに行きたい」は…えーっと、SFマガジン掲載ってのが逆に面白さを削いでいる気がする。ロシアというよりソヴィエトの小説だな。
少年の頃からずっとパリに憧れ続けた男の物語。ソヴィエトの田舎に生まれたコレニコフは映画「三銃士」を見てパリに憑かれた。図書館で三銃士や二十年後を借りて熟読し、秘密のルートでファッション雑誌を手に入れ、地元の仕立て屋をこき使う。レコードでフランス語を学び、オニオンスープと蛙の煮込みを調理する。結婚して子供ができ、家族のために働き続けるうちに情熱は冷めたように見えたが…
解説は必読。作品の読了後に読んだ方がいかも。
続くヴァジム・シェフネルの「沈黙のすみれ」は、あまりロシアに拘らずに楽しめる。列車で同室になった男は奇妙な頼みごとを持ちかける。「あなたをなぐらせてください」と。聞けばこの男、かなりの不幸を背負っていて…
いやあ、そりゃ不幸だよなぁ。でも男って多かれ少なかれそんな部分があるよね。勝手に美化して妄想を膨らませ、現実を思い知って後悔する。しかし×ってなんだってあんなに…
大森望のSF観光局では、噂の最相葉月「星新一 1001話をつくった人」をレビューしている。かなり好意的であると同時に、SF者でない人に優れた星新一伝を書かれてしまった悔しさも伝わってくる。まさしく水玉流「しまった」感というか。これは読まねば。
ところで「今日の早川さん」はいつ出るんだろう。当然、富士見さんのフルカラー大判ポスター付きだよね←何を期待している?
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