ロバート・アスプリン&ピーター・J・ヘック「銀河おさわがせ執事」ハヤカワ文庫
ユーモアSFシリーズ第六弾。やや息切れの感があるなぁ。
シリーズはこんな感じ。
オメガ中隊はクセ者があつまる宇宙軍の吹き溜まり部隊。一見礼儀正しいが奇妙な質問で上官をいらだたせるマハトマ、おたずね者のスシ、喧嘩っ早いドューワップ、妙な宗教に入り込む牧師のレヴ…。そんなオメガ中隊をまとめるのは億万長者のウィラード・フール大尉。資産力で隊の福祉厚生を向上させ、隊員に賢明な資産運営を教え込み、適材適所で隊員の能力を引き出し、独特の方法で中隊をまとめ上げる。フールを快く思わない上官のブリッツクリーク大将の思惑や数々のトラブルにもめげず、オメガ中隊は宇宙軍の輝ける星となるのであった。
一応舞台は軍隊だけど、血生臭い戦闘とかは一切ない。口絵のカラーイラストもゴルフだったりするし、まあのんびりしたもの。
さて今回の騒動は。フールの執事ビーカーは、ある意味で中隊一のしっかり者。主人を助け時には検挙に適切な助言を与え、時にはフールのアイデアを実現するため様々な手配をする。そのビーカーが恋人と共に突然休暇を取って旅行に出てしまう。ところがフールとビーカーには特殊な事情があって、フールは緊急にビーカーと連絡を取る必要があるのだ。ビーカーを追いかけて中隊を留守にして銀河を駆け回るフール。しかし間の悪いことに、フールを目のカタキにするブリッツクリーク大将が、フールの揚げ足を取る材料を集めるためにオメガ中隊の視察を思い立った。
ビーカーを追いかけて銀河の観光惑星を廻るフールのトタバタ・そのフールを追うスシとドューワップの珍道中・ブリッツクリーク大将の対策に頭を悩ませる中隊の面々が交互に描かれる。中隊の全員が一丸となるシーンがないのが寂しい。最初の方で、マハトマが新入隊員サンパーを鍛える(?)シーンがあるんだが、それが伏線になっているわけでもない。なんか散漫な印象があるんだよな。まとめ方も強引であわただしいし。
まあ、次回に期待って所かな。
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