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2007年4月15日 (日)

ロバート・キヨサキ+シャロン・レクター「金持ち父さん貧乏父さん」筑摩書房

 お金についての哲学書。だが、決して実用書ではない。具体例も多く出てくるが、中心は心構えや姿勢におかれている。

 書名のつけ方が巧い。インパクトがあって、しかもよく内容を現している。作者のセンスが良く出ていると思う。文章もこなれていて読みやすく、慣れた人なら2時間もあれば読み通せるだろう。同じ文章が何度も繰り返し出てくるが、これは日頃から本を読みなれていない人を読者に想定して書いたからだろう。売れるモノとはどういうモノかってのを、この作者はよくわかってる。映画でも本でも、大当たりするモノはコアなファンに受けるモノではない。日頃は本を読まない人、年に10本未満しか映画を見ない人を惹きつけたモノが大当たりする。そういう意味でも優れたセンスの持ち主だと思う。

 テーマはお金。それも経済学の様なマクロな話ではなくて、「お金を賢く使えば若くしてリタイアできるよ」みたいな内容。とはいえ、具体的なお金儲けの方法が書いてあるわけではない。「お金についてちゃんと勉強しようよ」みたいな、いわばお説教が大半で、後は「僕の作ったゲーム、キャッシュフローを買ってよ」的な宣伝まがいの文章も多い。
 「家は資産ではなく負債だ」ってのが、この本の有名なフレーズ。「資産は収入を増やすもの、負債は支出を増やすもの」ってのがその真意。家を持てば固定資産税や維持費がかかるから支出が増える。だから負債だ、と言っている。この理屈だと、家を人に貸して家賃収入を得ているのなら、その家は資産になる。だが「借家住まいをしろ」と言っているわけではない…と、思う、たぶん。

 お金について勉強しましょう、会社を作って節税しましょう、投資しましょう、ただし投資対象については充分に勉強しましょう、まあそんな内容。節税云々はともかく、言ってる内容自体には好感を持った。投資については不動産を引き合いにだしてるけど、これは作者が不動産投資を得意としているからで、別に不動産に投資しろと言いたいわけではないだろう。「なんであれ、あなたが興味を持っている対象について充分に勉強して投資しなさい、私は不動産が好きだから不動産取引を勉強して投資しました、こんな風に」ってのが真意だろう。いささか自慢話めいて聞こえるのは、まあしょうがない。

 本としては面白いし、文章も読みやすい。書名もインパクトがあるし、ベストセラーにあるのも頷ける。ただ、内容が気に入るかどうかはまた別。語られるのは哲学であって具体的な手法じゃないから、手っ取り早くお金儲けの方法を知りたい人には向かない。そもそもお金について語るのが好きでない人は、興味すら持たないだろうから問題はないと思う。

 もっとも、これを書いてる私は貧乏してるわけで、つまりこの書評は全く説得力がないね。

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