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2007年4月の13件の記事

2007年4月30日 (月)

ジョン・トーランド「勝利なき戦い 朝鮮戦争 上」光人社

 上下巻があるんだが、とりあえず上巻だけ。書名どおり、朝鮮戦争の全貌を描くノンフィクション。場面場面の紹介は下巻に譲って、ここでは全般的な印象を記述する。

 トーランドの常か、丹念な取材に基づく細かいエピソードを積み上げていく構成のため、読み進めるには時間がかかるが、その分充実感は大きい。資料入手や取材の関係か、全般的に国連軍、というより米軍の描写が多くを占めている。特に戦闘場面では海兵隊の記述が多く、陸軍は比較的少ない。空軍は歩兵の視点で下から見上げるだけで、海軍の記述はほとんどない。韓国軍の描写はホワイティこと白将軍が中心で前線の描写はなし。朝鮮人民軍の描写は、まあしょうがないか。資料なんて手に入らないだろうし。

 マッカーサーや李承晩大統領などの有名な人物の細かい日常描写が充実しているとともに、前線で戦う将兵達の描写も生々しい。敵の後方に置き去りにされた前線の将兵たちの脱出行も複数ある。マギー・ヒギンズなど従軍記者の記述も多いのは職業柄かな。また、敢えてソウルに残った各国の聖職者たちが連行され虐待された、通称「死の行進」の記録は貴重だろう。単位系をメートル法に変換した訳者の心使いが嬉しい。

 上巻では朝鮮人民軍の不意打ちから大邸-釜山までの撤退、仁川上陸から中国人民解放軍の逆襲までを扱っている。特に前半はT34に全く歯が立たず、撤退に次ぐ撤退ばかりなので少々もどかしい…って小説じゃないんだからしょうがないか。戦場での視点の多くが、砲兵や戦車兵ではなく歩兵やその指揮官なのも、無力感を強めている。

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2007年4月23日 (月)

図書館

 職場の近所に図書館の分室がある由を、知人から教わった。早速、会員登録してカードを作った。所詮は分室で蔵書は貧弱だが、他館からの取り寄せもできる。書架を漁ったら面白そうな本もいくつか見つかった。ちょっと幸せ。

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2007年4月22日 (日)

坂本康宏「逆境戦隊×[バツ]1,2」ハヤカワ文庫SF

 ただ、愛のために。

 そう、これは、働いてオトナとして生きている我々のための、熱く切なく情けない戦隊ヒーローの物語なのだ。

 騎馬武秀25歳。地方の食品会社の落ちこぼれ、研究員とは名ばかりの雑用係。チビでモテずお局様と取り巻きに嫌がらせを受け他部署の部長からイビられ、最近は頭髪も危うくなりバカ高いカツラをあつらえたのはいいが、バレるのを恐れ態度は更に卑屈になった。こんなダメ男に付き合ってくれる唯一の親友の欠勤を見舞いに行けば、友はおぞましい怪物に変貌し、自分は戦隊物のヒーローに変身してしまう。

 と、まあ、劣等感の塊の様な主人公が突然変身ヒーローになり、葛藤に悩みながらも怪人たちと戦うってのが大まかなお話。戦隊物らしく主人公はレッド、他にピンク・ブルー・イエロー・グリーン、そして謎のブラックが登場する。必殺技にちゃんと名前があるのも嬉しいところ。

 なにせ主人公の立場が身につまされ切ない。何を考えているのかわからない奴でも社長の命とあらば従わなければならない会社の掟、お局様を筆頭にした女性社員の陰険な企み、無力な三下をイビって喜ぶエリート、氷の様に冷たい人事課のセクハラ担当の女性社員、そしてピンチになると頼りにならない同僚と上司。これだけ悲惨な環境で変身ヒーローになった奴が何をするのかと言うと、日頃の恨みを晴らすために大暴れ…ではなく、やっぱし怪人たちと戦うんだ。時には気に食わないガキを小突いたりもするけど。
 巨大ロボットの出番がなく、正義と悪の区別が不明確で、人数が綺麗に揃わずチームワークが全くないあたりは、戦隊物より平成ライダーに近いかも。それぞれが戦う理由も、正義のためというより個人的な理由だったりするし。その理由ってのが、まあ、色々とオトナの事情だったりするあたりが、この作品の魅力のひとつ。怪人の事情もヒガミや足をすくわれた恨みとか、妙にセコいのが楽しい。

 他の隊員、ピンク・ブルー・イエロー・ブラックもそれぞれ痛みを抱えつつ、その痛みを力に変えて戦っていて、これがラスト・バトルで効いてくる。そのラスト・バトルの展開はもちろんお約束通りのアレなんだが、これがちゃんと(?)裏づけあり曰くありでひたすら燃える燃える。

 書名に1,2とあるから、シリーズ物でまだ続くのかと思ったが、2巻で綺麗に完結している。エンディングがまたいいんだ。あまりにタイミングがアレではあるが、まあそれはそれで戦隊物の最終回の慌ただしさがよく出ているように思う。

 子供に戻り、頭を空っぽにして楽しもう。バーニング・インパクツッ!

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2007年4月21日 (土)

畑村洋二郎 畑村式「わかる」技術 講談社現代新書

 知人に勧められて読んだ。書名に「わかる」が入っているだけあって、サクサク読めるし、著者の具体的な体験談も多く、まあ面白い。ただ、書名に著者の名前が入っているせいか、少し自慢話めいた雰囲気のエピソードが多いのはご愛嬌か。

 理解の方法を説いているのではなく、理解力を高める訓練方法を説いている。だから、これを読んだからといって突然物事が理解できるようになるわけではない。では、この本に書かれていることを実践すれば本当に理解力が高まるのかというと、うーん、やってみなくちゃわからないね。

 いくつかは納得できる、というより元々の自分の考え方に近い記述もあった。例えば数学の習得方法で、「身近な例から学ぶ」のくだり。著者は常磐線の例を出しているが、私は通学路の近道で理解していた。逆演算のあたりは、プログラマならおなじみの思考法だろう。うまくいく論理をまず考えて、次にそれを破綻させる要素を検討し、検証する。まあ最近はテスト・ファーストなんてのも出てきてるけど。

 手の平をいっぱいに広げた際の、親指の先から小指の先までの距離を覚えておけば、大雑把なモノサシの代わりになる、なんてあたりはさすが工学部。自分のを図ってみたら21cmだった。覚えておこう。

 ひとつ、著者が書いていない、けど無意識にやっている事がある。それは図を書くコツ。この人の図の多くは簡略化した「人」が入っている。最近、気がついたんだが、図に「人」が入ってると、「わかりやすさ」が増すんだ。たぶん、著者は長年「わかりやすさ」を追求していて、若い頃に図に人を書く入れるというコツを身につけたんだろう。もう習慣になっていて、無意識にやっていることだから気がつかないんじゃないかな。なんか一本取ったって気分。

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2007年4月18日 (水)

岩崎千尋監修 信託銀行資産運用研究会著「資産運用ハンドブック 上/下」社団法人金融財政事情研究会

 意外と拾い物だった。まさしく金融商品の入門書というか素人向けの教科書。

 外貨や投資信託など、それぞれの商品のしくみを説明している。どうやら一般消費者を読者に想定して書いた訳ではなく、若手の銀行員を対象にしている様だ。金融ビッグバンで銀行も投資信託などを扱う様になり、銀行員も様々な金融商品を学ぶ必要が出てきた当時の時勢に応じて出来た本なんだろう。読者対象が銀行員とはいえ、株や外貨などには素人だろうと判断してか、多少の数式は出てくるものの語り口は平易でわかり易いし、グラフや図版が多くて、素人の私でもスラスラ読めた。読みやすさという意味での難点ば横組みって点だけど、グラフを入れる都合を考えればしょうがないか。とはいえ株式投資関係の数式とかは今のところ興味がないから読み飛ばしたけど。

 あくまでも用語としくみの説明だけで、現在の金融状況には触れていない。1999年の本だし。そんな訳で、この本を読んでも現在の金融商品を判断できる訳ではない。

 全体で6部構成。第一部はリスクとリターン・長期と分散・チャートの見方など、基本的な概念を説明する。実際の商品説明は二部~五部。二部は基礎編で債権と株式。三部は外貨(為替,債券,株式,預金)・デリバティブ(株式先物,債権先物,通貨先物など)・コモディティ(商品先物)など、比較的リスクの高い物を扱う。四部は投資信託で、概要・種類・評価法などを解説する。五部で年金・保険などのその他の金融商品。最後の六部で金融商品の評価法を扱う。

 銀行員向けだけあって、カバーなど一見お堅い印象がある割りに文章は平易だし、中身は網羅的で過不足がない。入門用としてはよく出来ていると思う。

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2007年4月16日 (月)

それは言えない

とある女性との会話。

某「どんな音楽を聴くんです?」
私「うーん、やかましいのが多いなぁ」
某「ハード・ロックとか?」
私「あー、まあ、似たようなモンです」

言えねぇよ、「最近気に入ってるのは "ガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト" です」なんて。

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2007年4月15日 (日)

ロバート・キヨサキ+シャロン・レクター「金持ち父さん貧乏父さん」筑摩書房

 お金についての哲学書。だが、決して実用書ではない。具体例も多く出てくるが、中心は心構えや姿勢におかれている。

 書名のつけ方が巧い。インパクトがあって、しかもよく内容を現している。作者のセンスが良く出ていると思う。文章もこなれていて読みやすく、慣れた人なら2時間もあれば読み通せるだろう。同じ文章が何度も繰り返し出てくるが、これは日頃から本を読みなれていない人を読者に想定して書いたからだろう。売れるモノとはどういうモノかってのを、この作者はよくわかってる。映画でも本でも、大当たりするモノはコアなファンに受けるモノではない。日頃は本を読まない人、年に10本未満しか映画を見ない人を惹きつけたモノが大当たりする。そういう意味でも優れたセンスの持ち主だと思う。

 テーマはお金。それも経済学の様なマクロな話ではなくて、「お金を賢く使えば若くしてリタイアできるよ」みたいな内容。とはいえ、具体的なお金儲けの方法が書いてあるわけではない。「お金についてちゃんと勉強しようよ」みたいな、いわばお説教が大半で、後は「僕の作ったゲーム、キャッシュフローを買ってよ」的な宣伝まがいの文章も多い。
 「家は資産ではなく負債だ」ってのが、この本の有名なフレーズ。「資産は収入を増やすもの、負債は支出を増やすもの」ってのがその真意。家を持てば固定資産税や維持費がかかるから支出が増える。だから負債だ、と言っている。この理屈だと、家を人に貸して家賃収入を得ているのなら、その家は資産になる。だが「借家住まいをしろ」と言っているわけではない…と、思う、たぶん。

 お金について勉強しましょう、会社を作って節税しましょう、投資しましょう、ただし投資対象については充分に勉強しましょう、まあそんな内容。節税云々はともかく、言ってる内容自体には好感を持った。投資については不動産を引き合いにだしてるけど、これは作者が不動産投資を得意としているからで、別に不動産に投資しろと言いたいわけではないだろう。「なんであれ、あなたが興味を持っている対象について充分に勉強して投資しなさい、私は不動産が好きだから不動産取引を勉強して投資しました、こんな風に」ってのが真意だろう。いささか自慢話めいて聞こえるのは、まあしょうがない。

 本としては面白いし、文章も読みやすい。書名もインパクトがあるし、ベストセラーにあるのも頷ける。ただ、内容が気に入るかどうかはまた別。語られるのは哲学であって具体的な手法じゃないから、手っ取り早くお金儲けの方法を知りたい人には向かない。そもそもお金について語るのが好きでない人は、興味すら持たないだろうから問題はないと思う。

 もっとも、これを書いてる私は貧乏してるわけで、つまりこの書評は全く説得力がないね。

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2007年4月14日 (土)

飛浩隆「ラギッド・ガール」ハヤカワSFシリーズJコレクション

 道徳も肉体も超越した、SFだがけが記述しえる新分野の官能小説←褒めてます。「SFが読みたい!2007年版」ベストSF国内部門首位に相応しい作品だけど、健全な未成年にはお勧めできません。

 三部作「廃園の天使」の第二部をなす五編の短編集。仮想空間のリゾート地、<数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)>。そこには多数の区界が用意され、区界ごとにリゾート地に相応しい様々な工夫がなされている。区界には多くのAIが住み、訪れる人々(ゲスト)を歓待していた。しかし<大途絶(グランド・ダウン)>を境にゲストの訪問が途絶えた。AI達は今まで通りの暮らしを維持していたが、数値海岸には様々な変化の兆しが現れる。

 全短編が前作「グラン・ヴァカンス」の前日譚。冒頭を飾る「夏の硝視体」は前作と同じ「夏の区界」を舞台として、若い男女AIの出逢いと大途絶後のAI達の暮らしを描く。一見、おしゃれなフランス映画みたいな雰囲気が漂っている。表題作でもある「ラギッド・ガール」は現実の世界が舞台とした数値海岸の誕生にまつわる話。作者の変態振りと底意地の悪さがよくわかる。続く「クローゼット」は「ラギッド・ガール」と対をなす作品で、重要な伏線を張っている…んじゃ、ないかな。このシリーズが完結すれば、の話だけど、飛さんの事だから次巻がでるのはいつになるやら。「魔述師」は現実と区界をいききしながら、大途絶の真相を描く。ここでも作者の変態振りと底意地の悪さが光ってる。最後の「蜘蛛の王」は前作の敵役、蜘蛛の王ランゴーニの誕生の物語。

 官能SFというと、森奈津子と牧野修はいくつか読んだ経験がある。いずれも「常識」や「正常」に叛旗を翻してるけど、コレに比べたらはるかにマトモ。結局は「常識」なり「正常」なりの概念が既にあるという前提で、それに対するアンチとしてあーゆー作品を書いてる。二人とも色々と肉体を弄ぶけど、「肉体を弄ぶのは不道徳である」という前提を読み手に期待しているし、それだけ肉体に拘っているともいえる。

 ところが飛氏はまさしくSFらしい発想の飛躍を果たし、とんでもない方向に着地する。官能だけがあればいいんだと割り切って、肉体をあっさりと捨ててしまう。その結果、全然肉感的でも色っぽくもないけど、ひたすら気持ちいい(または気持ち悪い)感触だけが残る。

 私が数値海岸のアイデアを思いついたら、きっと肉体的な技能習得を考えるだろう。タイピングとか楽器の習得とか格闘技とか、地味な繰り返しの練習が必要な、けど有用な技能習得の努力を分身に任せ、本人は遊んでいる。分身にヴァカンスを楽しませるって発想に、飛氏の官能へのこだわりを感じる。

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2007年4月10日 (火)

フィリップ・リーヴ「移動都市」創元SF文庫

 天空の城ラピュタや未来少年コナンを思わせる、少年少女を主人公とした波乱万丈の冒険物語。

 60分戦争で文明は荒廃した。都市はエンジンをつけて地表を動き回り、都市同士が狩り狩られ食い食われる弱肉強食の世界となった。大きな都市は小さい都市を狩り立てて食い、小さな都市は群れては逃げる。事故で両親を亡くした孤児トムは、歴史ある移動都市ロンドンの歴史ギルドの見習いだ。ギルドには嫌な奴もいれば美人の史学士もいる。ある日、憧れのギルド長ヴァレンタイン氏が謎の少女へスターに襲われる所を助けたのだが、地表に落っこちてしまった。トムはロンドンに戻るため、へスターはヴァレンタインに復讐するため、共にロンドンを追いかけるが…

 都市が動くとなればクリストファー・プリーストの逆転世界が思い浮かぶけど、そーゆー難しい話じゃない。ひたすら妙なガジェットと不思議な風景、そして冒険に満ちた娯楽活劇に仕上がってる。これでヒロインが可憐ならモロにかつての宮崎駿の世界なんだが、これがとんでもないジャジャ馬。シータというより、ひねくれたナディアかな。

 とにかくビジュアルが魅力的。セントポール大寺院を中心に構えたロンドンが、エンジンとキャタピラつけて動き回るんですぜ。移動都市も色々あって、数世帯のオンボロ小都市、仁義無用の海賊都市、空中都市とかもある。もうひとつ心を惹かれるガジェットが自由に空を舞う飛行船たち。終盤近くじゃ飛行船同士のドッグ・ファイトが展開する。

 登場人物も鮮やかな個性を放っている。主人公のトムはちょっと情けないけど、その分、復讐に燃えるヒロインのへスターが強烈。脇役も曲者ぞろい。気風のいい訳ありの飛行船乗りの姉御アナ・ファン、変なコンプレックス持ちの海賊の親分ピーヴィ。工学ギルドのマッドサイエンティストはおぞましい実験を進め、史学ギルドの史学士たちは救いようのない歴史遺物オタク。ロンドン市長クロームは狂った陰謀を企み、ヴァレンタインの過去は謎に満ちている。そしてエンディングではお約束の世界の危機が訪れ…

 シリーズの一作目ではあるけど、ちゃんと完結した物語になってるんで、安心して読めるのもいい所。王道の少年冒険物語。

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2007年4月 9日 (月)

弱み

 今日は少しだけ気分がいい。いつもは会社から出るときはバテて何もやる気が起きない上に食欲もないのだが、今日はお腹がすいていた。食べるものとお金と時間があって空腹って、案外と幸福な状態なんだな。帰りの電車の中ではずっと夕食に何を食べようか考えていた。結局、近所のスーパーで豚ロース切り身を買って帰った。空腹でスーパーに寄るとつい買いすぎちゃうね。

 昨日、「出社拒否」を読んだ影響かもしれない。私は周囲の人に自分の弱点をさらけ出せない。それは自分の欠点のひとつだと「出社拒否」を読んで気がついた。今日、職場の顔見知りの同僚に何気なく自分の弱点を話すことができた。あれで少しだけ欠点を克服できた気がした。こんな感じの何気ない会話だったけど。

 私 「偉い人が多い場所だと気を使いますか?」
 某氏「...ええ、そうなんですよ。」
 私 「ここ、偉い人が多いですからね。私もかなり緊張しています。」

 うまくやろうとしすぎていた気がする。そういえばカーネギーの「道は開ける」に書いてあったっけ。「最悪の事態を予測して、それを避けるように自分の時間とエネルギーを集中させよう」と。今までずっとカッコよくやる事ばかり考えていた。もっと周囲の人に頼って見よう。もっと恥をかいてみよう。もっと人に迷惑をかけてみよう←をい。いいや、どうせこれ以上は評価が落ちることもないんだし。

 とかいいつつ、相変わらず blog ではカッコつけてしまうのであった。

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2007年4月 8日 (日)

石郷岡泰「出社拒否 迷う30代、悩む40代」講談社ブルーバックス

 最近のブルーバックスはかなり傾向が変わってきた。いわゆる科学解説書ではない、文系っぽい内容の物が増えてきた。これもそんな傾向の一冊。優秀で頑張り屋で、周囲からも高く評価されていた人が、ふとしたきっかけで突然出社しなくなる。そんな人たちをカウンセラーの立場から扱った本。

 まじめで自己犠牲的でエネルギッシュで競争心を内に秘め、攻撃性を持ち環境をコントロールしようとする要求も強い。感情を素直に出さず弱点を見せず、人との関係は柔軟性がない。そんな人が多いそうな。

 

自分だと前半は外れてるけど後半は当たってるなぁ。なんか、愚痴がいえないんだ。

 具体例というかケーススタディが多くを占めていて、それぞれ読み物として面白い。例えば冒頭では商社の海外勤務のサンプルが出てくる。東南アジア支店で、共に優秀な40代と30代の人が相次いで倒れたというお話。

 表題どおり30代と40代の話が多いが、20代の女性や50代の管理職の例も出てくる。いずれも、職場や家庭での加齢や昇進に伴う立場の変化に巧く対応できないのが原因。で、結論は「温泉にでも行ってリラックスしたら?」だったりする(いやこれにはちゃんとした根拠があるんだけど)。

 人間関係って、面倒くさいね。

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2007年4月 5日 (木)

野尻泡介「沈黙のフライバイ」ハヤカワ文庫SF

 大半の収録作が、近未来の宇宙開発や宇宙観測をテーマにしている。どの作品も技術的なリアリティが凄い。登場する技術の多くが、現在既に実験室レベルで成功している、もしくは成功しつつある技術を題材にしている。だから、SFで重要なガジェットに関しては素晴らしい迫力がある。やっぱSFはガジェットだよね。特に宇宙開発関係のガジェットが素晴らしい。JAXA 関係が多くて、ちょっと貧乏臭いのもいい味出してる。

 表題作「沈黙のフライバイ」はファースト・コンタクト物。わずかな情報量の電波信号から、相手の住む星の状況や意図を推理するくだりがゾクゾクする。波長の変化や断続・遅延などから発信源の軌道や遮蔽物を考察していく。信号はデジタルなんだけど、分析はアナログな部分でやってるんだ。

 「轍の先にあるもの」は NASA のシューメーカー探査機が撮影した小惑星エロスの地表の写真をテーマにした "私小説"。たった6メートル程度の幅の地形の写真から、どれほど多くの情報を読み取れるのか、その推測の様がいい。まさかスパイダーが登場するとは思わなかった。

 「片道切符」は火星への有人飛行を題材に…って、このタイトルじゃすぐにネタが割れちゃうじゃないか。

 「ゆりかごから墓場まで」は完全な閉鎖環境を実現する "スーツ" が題材。といっても結局最後は宇宙に出て行って火星が舞台になる。ある意味濃縮したレッドマーズ。この技術、砂漠の緑化にも使えるんじゃないかな。幸い日照だけは充分にあるし。

 最後の「大風呂敷と蜘蛛の糸」は凧で高度80Kmまで人を持ち上げる話。どんな凧かは読んでのお楽しみ。この技術が実用化できたら、小型軽量の低軌道衛星の打ち上げ費用は劇的に下がるだろうなぁ。広域無線ネットワークの中継ステーションに使えないかな。飛行船より安上がりな気がする。

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2007年4月 2日 (月)

デイヴィッド・ウェーバー「反逆者の月」ハヤカワ文庫SF

 宇宙戦母艦ダハクで反乱が起きた。艦長は艦のコンピュータには後を託し、反逆者共を寄せ付けないように指示した後、船内を致死性のガスで満たして自分を含めた船内の生物を一掃した。反乱側は数隻の艦載戦艦で目前の惑星に脱出した。鎮圧側の一部の者も救命艇で同じ惑星に脱出した。

 そして数千年の時が過ぎた。

 人類は宇宙に乗り出し、いくつかのスペースコロニーを作り、月の裏側にも恒常的な観測基地を作っていた。月の裏側を飛ぶ探索艇に単独で乗り込んだコリン・マッキンタイア少佐は、何者かに艇の制御を奪われ、拉致される。それはダハクと名乗り、コリンに自らの艦長として就任するように依頼する。

 出だしはやたらスケールがでかい。歴史数千年に及ぶ宇宙帝国と、それを破壊しようと攻撃を仕掛ける正体不明の敵。なんと月は宇宙戦母艦で数千年間も眠り続けてました、とゆー大風呂敷。こりゃ宇宙を飛び回る大冒険かと思いきや、話の大半は地上が舞台で、反乱者たち相手のドンパチが中心。登場人物も軍かその関係者が多く、ミリタリーな雰囲気はある。ほんの少しだけど各国の軍人が悪者を相手に戦う部分があって、わが国の自衛隊が活躍するシーンは燃えた。

 三部作の一作目という事で、次回以降でスケールが大きくなるといいなぁ。

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