2018年10月15日 (月)

イアン・ホワイトロー「単位の歴史 測る・計る・量る」大月書店 冨永星訳

これは、ごく古い文明の時代から今日に至るまでに、人間が世界を秩序立てて理解するために用いてきた手段についての本だ。
  ――はじめに

A0の紙は、縦横比が1.4142であるだけではなく、じつは面積がちょうど1平方メートルなのだ。
  ――第3章 面積の単位

いったいどうやって陽子や中性子の質量を求めたのだろう。
  ――第5章 質量の単位

1キロカロリーとは、標準大気圧の中で1キログラムの水の温度を1℃上げるのに必要な熱量…
  ――第10章 エネルギーと仕事率の単位

【どんな本?】

 単位にはいろいろある。メートル/キログラム/秒などは、SI基本単位として国際的に使っている。また、マイクロ・ミリ・センチ・キロなど、いろいろな接頭語がつく場合もある。

 加えて、国や分野や業界に特有の単位もある。アメリカは今でもガロンやマイルで、ボクサーの体重はポンドだ。文字サイズはポイントで、ダイヤモンドはカラット、原油はバレル。SF者ならAU・光年・パーセクなどがお馴染みだ。

 メートル法だと、ミリやキロは、たいてい10のn乗を示すので、なんとなくわかる。が、ヤード・ポンド法などでは、同じ長さでも、1マイルは1760ヤードと、妙に半端な数字になる。

 なぜこんな半端な数字になるのか。それぞれの単位は、いつ、何を、どう測るために決まったのか。そして、科学者たちは、どのようにモノゴトを測ってきたのか。

 単位をめぐる歴史と、様々なものを測ろうとした科学者の試みを、軽快なコラムで語る、一般向けの科学・歴史解説書。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 原書は A Measure of All Things : The Story of Man and Measurement, by Ian Whitelaw, 2007。日本語版は2009年5月20日第1刷発行。単行本ハードカバー横一段組みで本文約240頁。8.5ポイント36字×34行×240頁=約293,760字、400字詰め原稿用紙で約735枚。文庫本なら厚い一冊分ぐらいだが、イラストや写真が多いので、実際の文字数は7~8割ぐらい。

 文章は比較的にこなれている。内容も特に難しくない。が、ヤード・ポンド法が盛んなアメリカ人・イギリス人向けに書いてあるため、日本人には慣れないグレインやパイントなどの単位が出てくるのは、少し辛かった。また、読み終えてから気がついたんだが、フィートをフートと書いてある。

【構成は?】

 それぞれ1~5頁ぐらいの独立した短いコラムが並ぶ構成だ。だから、気になった所だけをつまみ食いしてもいい。

  • はじめに
  • 第1章 度量衡
    ごく初期の計測/古代地中海文明での計測/世界各地の度量衡/英語を話す世界では/帝制度量衡と慣用度量衡/メートル法の起源/国際単位系/米国でのメートル法
  • 第2章 長さの単位
    フート、ハロン、ロッド/マイルとヤード/海に関する長さの単位/メートルという基本単位/宇宙を測る/馬に関する単位/計測の限界/ゲージ
  • 第3章 面積の単位
    中世の土地の単位/面積の単位/メートル法の面積の単位/紙の大きさを定義する
  • 第4章 体積や容量の単位
    メートル法の体積の単位/ワインボトルのボトルサイズとその呼び名/帝制度量衡の体積の単位/液体を入れる樽の容積/料理に登場する単位
  • 第5章 質量の単位
    質量と重さ/帝制度量衡と慣用度量衡の質量の単位/少量の物や貴重な物の質量/メートル法の質量/きわめて小さなものの質量/物質の密度
  • 第6章 温度の単位
    熱さと冷たさ/度の問題/絶対温度
  • 第7章 時を計る
    年と月/時間と国際単位系/1秒をさらに分割する/地質年代を測定する
  • 第8章 速さの単位
    速さの国際単位/平均の速さ/帝制度量衡と慣用度量衡の速さの単位/光と音の速さ/Cを求めて/加速度
  • 第9章 力や圧力の単位
    力とは何か/国際単位系と慣用度量衡の力の単位/重力と重さ/トルクとてこ/圧力/大気圧
  • 第10章 エネルギーと仕事率の単位
    力が働く/国際単位系以外のエネルギーと仕事率の単位/国際単位系の仕事とエネルギーと仕事率の単位/放射能/電気の単位/放射エネルギー/レーザーで測る/爆発のエネルギー/風力
  • 第11章 さまざまな物を計る
    デジタル情報の単位/薪の量/唐辛子はどれくらい辛いか/指輪のサイズ/濃度の単位/硬さ/活字/国際単位系の図
  • エピローグ
  • 解説 日本の単位 高田誠二
  • 索引

【感想は?】

 世の中には暗記が得意な人と苦手な人がいる。私はとても苦手だ。

 お陰で海外の小説を読む時は、けっこう苦労したり。最近になって、やっと1マイル≒1.6kmと覚えたが、ガロンは今でもピンとこない。

 こないのも当たり前で、アメリカのガロンとイギリスのガロンは違うのだった。アメリカは1ガロン≒3.8リットル、イギリスは1ガロン≒4.5リットル。あー面倒くさい。これは計量スプーンにも影響してるとか。料理本を翻訳する人は大変だ。

 ある意味、メートル法は不自然な単位で、だから直感的にピンとこないのだ、みたいな話を聞いた事がある。というのも、昔の単位は、「何を測るか」に基づいて決まったからだ。例えば、船や航空機の距離や速度を表す、海里やノット。

船が経線に沿って航行し、緯度にして30分移動すると、その船は30海里進んだことになる。
  ――第2章 長さの単位

1時間に1海里進む速さのことを1ノット〔knot〕と呼ぶ。
  ――第8章 速さの単位

 確かにこれだと、色々と便利そうだ。天測で位置を調べるにせよ、海図で距離を調べるにせよ、地球上の角度を単位の基本とすれば、いろいろと便利だろう。なお、ここでの1分は1度の1/60で、1海里≒1.85キロメートル。

 便利そうな単位として面白いのが、「ジレット」。レーザー研究の初期に、レーザーの強さを表すため、研究者のセオドア・レイマンが考え出し、ソレナリに使われたとか。これは、「レーザーで一度に穴をあけられるジレットのカミソリの刃の枚数」を表し、初期のレーザーは2~4ジレットぐらい。

 なんかいい加減なようだけど、「ジレット社製安全カミソリの刃は厚みがかなり一様なので」けっこう信頼できた、というから、工業製品の精度は恐るべし。

 やはり昔の単位は人の身体を基準として決まってるから便利、みたいは話もある。けど、1フート(フィート)は足の大きさで、約30.5センチメートルと聞くと、「ホンマかいな?」と思ったり。いやそれ、やたら足デカくね?見栄はってるだろ、絶対。もしくは足じゃなくてサンダルの大きさなのかな?

 などと、前半では「どうやって決まったか」の話が多い。これが後半になると、「どうやって測ったか」が増えて、科学の色が濃くなる。

 最初に凄いと思ったのが、光速の測り方。ガリレオは巧くいかなかったようだが、1675年にオーレ・レーマー(→Wikipedia)が巧みに計算している。木星の月イオの(食の)周期は、季節により違う。これは季節により地球とイオの距離が違うからだと考えたのだ。

 実際、最も近い時と、最も遠い時では、約2AU(30億km)違う。この距離を光が進む時間だけズレると考えた。今 Google に尋ねたら約16分38秒です。発想も鮮やかだが、当時の観測装置でやった執念も凄い。ちなみにレーマンの誤差は25%だとか。

 光はもっと身近な所でも使われてて、例えばレーザーで距離や大きさを測るなんて技術もある。とはいえ、花火との距離は音と光のズレで分かるけど、光はやたらと速い。んなモン、どうやって調べるのかと思ったら…

レーザービームを分割し、ビームを半分づつ異なる経路を通してから組み合わせ、2つのビームの干渉の具合を見れば、これらの経路に違いがあるかどうかが、ビームの波長の何分の1といったわずかなレベルでわかるのである。
  ――第10章 エネルギーと仕事率の単位

 そうか、位相の違いを見るのか。それなら、波長を変えれば短い距離もわかるね。もっとも、どうやって位相の違いを調べるのかはわからないけど←をい。

 どの章も、ほぼ独立した数頁のコラムを束ねた形なので、気になった所だけをつまみ食いできるのも嬉しい。また、テラ・ギガ・メガ・キロ・ミリ・マイクロ・ナノ・ピコ・フェムトなど、国際単位系の接頭語が整理してあるのも有り難い。ちょっと独自の単位を作ってみたくなったなあ。食品の腐りやすさとか。

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2018年10月14日 (日)

森岡浩之「星界の戦旗Ⅵ 帝国の雷鳴」ハヤカワ文庫JA

朕は遥か昔、人類の故地で生まれた。役割はいまと変わらず、顧問である。
  ――p6

「星界軍がかくも貧しく戦うことになろうとは」
  ――p184

「歴史の指し手にでもなったつもりか、殿下?」
  ――p246

【どんな本?】

 ベテランSF作家の森岡浩之による、大人気スペース・オペラ「星界」シリーズ待望の第二部が、約五年を経てついに開幕。

 遠未来。人類は銀河に広く広がった。長寿のアーヴは平面航法により超光速航行を手に入れ、恒星間航行を支配し、銀河に帝国を築く。だがアーヴ以外の人類は同盟を組んでアーヴに挑み、帝都ラクファカールを墜とす。

 平面航法の要となる門が集中する帝都を失ったアーヴは、幾つかの領域に別れ孤立し、それぞれに力を蓄えて時を待つ。

 アーヴの皇太女ラフィールは、練習艦隊の司令長官を務めている。そこに皇帝ドゥサーニュより、命が下った。ついに反攻の時が来たのだ。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 2018年9月15日発行。文庫本で縦一段組み、本文約288頁に加え、あとがき4頁。9ポイント39字×17行×288頁=約190,944字、400字詰め原稿用紙で約478枚。文庫本としては普通の厚さ。

 文章はこなれていて読みやすい。ただし内容は続き物で登場人物も多く、また作品世界の設定も込み入っているので、できれば「星界の紋章」から読んだ方がいい。

【感想は?】

 珍しく?主人公のラアフィールが大活躍する巻。

 アブリアルらしく誇り高く野心もあり血の気も多いとはいえ、元来が優秀な人だけに、ラフィールが艦隊を指揮するとなれば、かなりの安定感がある。そういう意味じゃ、この巻はサクサク読める心地よさだ。

 とはいえ、著者お得意の陰険な会話は相変わらず順調だ。こういう点じゃラフィールはいささか素直すぎるんだが、その分を上皇ラムローニュ猊下がもったいなくも補ってくださる。おまけにジントも多少アーヴの色に染まったのか、終盤では「社交辞令」を巧みに使いこなしてたり。

 とはいえ、嫌味合戦と言えば、やはりこのお方を忘れちゃいけない。ご無事で何よりです、スポール閣下。この巻じゃ出番は少ないものの、相変わらずの傲岸不遜でわがまま放題な姿が拝めます。クファディスさんも苦労するなあ。

 そのスポール閣下に下る命というのが、実に皮肉というか嫌がらせというかw

 まあ、極めて優秀ではあるものの、誰の指揮下についても、マイペースで好き勝手に動く人だしなあ。重大で独立裁量の幅が広い反面、あまし危なっかしい真似は出来ない役割は、適役なのかも。その分、クファディスさんの苦労は増えるだろうけど。

 そんなスポール閣下を相手に交渉するなんて仕事は、できれば御免こうむりたいところ。となれば並みの神経じゃ務まらないわけで、そこでこの人選とは妙手だw いずれも熱心なファンの多いお方だけに、両者の交渉場面は「断章」で是非とも書いて欲しい。

 刊行ペースが長い作品だけに、読者も設定をほとんど忘れている。特にこの巻では大艦隊を率いての遠征が中心だ。それだけに、平面航法を柱とした航法系や、艦隊同士の戦い方など、スペース・オペラとしての設定を、アチコチでおさらいしてくれるのは嬉しい心づけ。

 特に、鉄道網でいう駅の役割を果たす<門>とその性質、そして平面宇宙と通常宇宙の関係などは、改めて詳しく説明している。通信のタイムラグや、質量と速度の関係とかで、艦隊の行動が設定に強く縛られているのがわかり、特に補給の面でいい味を出してたり。

 前巻ではアーヴ危うしな雰囲気だったが、この巻では地上人側も楽観はしていられない様子なのが、チョトチョロと見えてくる。中でも終盤に出てくる舞台は、「星界の断章Ⅲ」でチョロっと姿を見せたアレだったり。こういうのも、長いシリーズならではの楽しみだろう。

 いよいよ逆襲に転じたアーヴ。ラフィールの快進撃は続くのか。にしても、この刊行ペース、もしかしたら著者はアーヴなのかも知れない。少しは寿命の短い地上人の事情も考えて欲しい。

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2018年10月12日 (金)

藤代泰三「キリスト教史」講談社学術文庫 2

古代教会におけるローマ・カトリック教会は司教らの教会であったが、中世においてそれは教皇の教会となる…
  ――22 教皇制度の興隆

グレゴリウス九世(在位1227-1241)は1231年に異端審問所を創設した。異端審問所においては告発者と裁判官とは同一人である。
  ――29 分派運動と異端審問所

プロテスタント教会は宗教改革ののちも分裂に分裂を重ねていくが、ローマ・カトリック教会は一つとなって宣教に当たっていった。
  ――39 対抗改革

アフリカのキリスト教徒の数は、北部(主にイスラム教徒や原始宗教信仰者が多い)を除いて、プロテスタント教徒が約千二百万人、そしてローマ・カトリック教徒が約千八百万人であると推定される。
  ――79 アフリカと東南アジアと東アジアとオセアニアとの教会

 藤代泰三「キリスト教史」講談社学術文庫 1 から続く。

【系統樹】

 ある意味、この本を要約してるのが416頁の図、教会系譜。生物の本の系統樹のような、有名な教会の系譜の図だ。400年頃、既に五つに分かれている。エジプトのコプト教会、ペルシアのネストリオス教会、シリアのヤコバイト教会、ローマ教会(後のバチカン&正教会)、そしてアルメニア教会。

 アルメニア教会って正教の一派かと思ってたけど、実はすごく歴史のある宗派だったんだね。

【聖餐】

 キリスト教史全体を通しても、組織体質が最も大きく変わったと感じるのが、ローマに受け入れられていく過程。例えば聖餐。今は教会によって色々な解釈がされてるようだけど…

 まず原始教団では聖餐は共同の食事であり、弟子がユダヤ教の習慣に従ってこの食事に集まり、一人がパンを祝福する時、彼らはかつて主が祝福してパンをさいたあの楽しかった日々を想起した。
  ――9 礼拝と礼典

 と、最初は「みんなで晩メシ食っておしゃべりしよう」的なモノだった。こういう発想を受け継いでるのって、現代日本の「こども食堂」なんでない?

 また、「上流階級に浸透するにつれ、奴隷を兄弟と考える」って発想が薄れてくあたりは、時代と共に人が入れ替わるにつれ、中の人に相応しい形に変わったんだろう。で、特にローマ・カトリックは、当時に得た上流階級用の性質を、現在まで受け継いできたんじゃないか、と。

【世界史】

 キリスト教史を語るにあたって、その時その土地の情勢や背景から説き起こしているのが、この本の凄い所。お陰で、歴史学の底なし沼に読者を誘い込むトラップがアチコチに仕掛けてある。例えば…

(ゲルマンの)神々は人生における助力者であり彼らの敵に対して戦う。神々は氏族の幸福である平和を保障し共同体の守護神となる。神々は祭儀に関して命令するが、その命令はまだ倫理的領域との連関をもっていなかった。
  ――19 ゲルマン民族への宣教

 って、これ、日本の神道とソックリだ。特に祭儀には拘るけど倫理は別って所とか。というか、アブラハムの宗教以外の宗教って、たいていはそんな性格なんじゃなかろか。いや調べてないけど。

 やはりドイツだと、こんな記述もあって。

30年戦争の結果、ドイツの国土は荒廃し道徳は低下し産業も衰え、その人口は三千万人から千二百万人に激減した。
  ――51 敬虔主義

 なにそれ凄い。ニワカとはいえ軍ヲタを自任してるくせに、30年戦争は全く知らなかった。日本だと徳川秀忠~家光あたりか。ヨーロッパは地獄だぜ。

 やはり興味をそそられるのが…

カルヴァンの宗教改革当時ジュネーヴの人口は一万九千人であったが、その約1/3すなわち、六千人の亡命者が住んでいた。
  ――37 カルヴァンの宗教改革

 と、かなり昔からジュヴェーヴは国際都市だった模様。いったい、どんな事情でそうなったのか。いつかジュネーヴの歴史も調べてみたい。とか言ってると、野次馬根性は際限なく広がっていく。果たして死ぬまでに、どれだけの本が読めるんだろう?

【植民地政策】

 とかの歴史ばかりでなく、現代の世界情勢にも目を配ってるから憎い。例えば…

19世紀後期に契約に基づき農園労働者としてこの国(フィジー)に移民したインド人の数は、この国で誕生したインド人を含めて同年に十七万人になったので、すでに1956年にフィジー族の人口は十四万八千人となり、この国のなかで少数民族となってしまった。
  ――79 アフリカと東南アジアと東アジアとオセアニアとの教会

 って、フィジーも大変だ。Wikipedia を見ると、やはり睨み合いはある様子。スリランカといい、イギリスも無茶やってるよなあ。

【新大陸】

 合衆国はプロテスタントの国って印象がある。そうなったのは、どうやら宗派ごとの布教の方法の違いもあるらしい。カトリックはフランシスコ・ザビエルみたく役割を担った伝道者が布教に赴くのに対し、幾つかのプロテスタントは信徒が自ら布教する。これが西部開拓のスタイルに合っていた、と。

 しかも、これが戦争の趨勢にも影響を与える。

それでは教職者はこの戦争(独立戦争)に対してどのような役割を果たしたのであろうか。ニューイングランドほど読み書きが普及しておらず、また新聞報道に接する機会も少なかったところでは、植民地人は時代の諸問題がどのようなものであるかを知ることができず、これらについて知るためには、説教者による以外には手立てはなかった。
  ――52 北米における教会の移植と発展

 要はクチコミ。で、各地を旅する説教者は、同時にニュースを伝える役割も担っていたわけ。今でも「旅人を丁寧にもてなす」習慣が残ってる地域があるのは、こういう事情なのかな? 当時の旅人は、こういう役目があると同時に、山賊に襲われる危険も大きかったんだし。

【儀式】

 プロテスタントは幾つもの宗派に分かれてるが、状況によっては一緒にやっていこうとする場合もある。特にキリスト教徒が少ない土地では、助け合うケースもみられる。この障害の一つが儀式の形で、宗派によっては形も大切なのだ。

定式化した祈祷はいわば魔力的効力を持つものと考えられたから、これを多少でも変更することはこの効力の喪失になると考えられた。
  ――62 東方とロシアの正教会

 特に文字も読めない人が多い所では、こういう形って大事なんだろう。

【正教】

 日本のプロテスタントの記述が多い半面、正教の扱いは少ない。が、少ないなりに、正教は苦闘の歴史を歩んできたのがわかる。正教が盛んな土地は、主にオスマン帝国の支配下にあったため、どうしても少数派として迫害されがちなのだ。

 唯一の楽園はロシアだったんだが、それも革命で…

1933年の初めに、1937年までにはソヴィエト連邦には、ひとつの教会も残らないように目標が設定された。
  ――73 ボリシェヴィキとロシア正教会

 と、スターリンにいぢめられる。確かスターリンは神学校に通ってたはずだが、その時の恨みもあるんだろうか?

【ライバル】

 宗教と科学の対立なんて構図があるけど、最近になって私はこう思うようになった。「宗教の商売敵って、科学より娯楽なんじゃね?」と。この疑念を裏付けてくれる記述もある。

…文明の娯楽――例えばラジオ、新聞の日曜娯楽版、最初は自転車、のちに自動車――が日曜日の習慣を変えてしまった。1850年には恐らく人口の少なくとも半数が教会に規則的に出席していたが、1950年までにその9/10がそのこのような習慣をもたなくなった。
  ――76 英国と英連邦との教会

 昔から漫画やアニメやゲームを敵視する人はいた。世の中には、見慣れないってだけで新しいモノを嫌う人もいる。が、中には異様に攻撃的な人もいる。最近ではキズナアイが騒ぎになった。その背景には、こういう事情もあるんじゃないかと私は疑っている。

 つまり、誰でもスグ手軽に楽しめる娯楽は、新興宗教の市場を食い荒らすのだ。特に最近はネットで同好の志を募るのも楽になった。これは、新興宗教のもう一つのアピール・ポイント、「仲間が見つかる」とも競合する。

 市場拡大を目論む新興宗教にとっては、手軽に楽しめて仲間も見つかるヲタ趣味は、実に目障りな存在だろう。逆に考えると、ヲタ趣味はカルトの力を削ぐのだ。ゲームは世界を平和にするのだ。ホンマかいなw

【おわりに】

 などとケッタイな結論になったが、もちろん本書はそんなふざけた本じゃない。その時々や地域の政治情勢など広く深い歴史の知見を基礎に、教会の組織はもちろん重要人物の思想にまで踏み込みつつも、二千年の歴史を一冊の文庫本にギュッと押し込めた、極めて重い本だ。相応の覚悟をして挑もう。

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2018年10月11日 (木)

藤代泰三「キリスト教史」講談社学術文庫 1

古代教会におけるローマ・カトリック教会は司教らの教会であったが、中世においてそれは教皇の教会となる…
  ――22 教皇制度の興隆

【どんな本?】

 ユダヤ教の中からキリスト教が生まれてから、現在のように世界中に広まるまで、どのような経過を辿ったのか。

 それぞれの地域における時代背景から、権力者と教会の関係、組織内や宗派間の論争や闘争、様々な組織の離散集合や組織体質の変化、他の宗教との競合、戦争や革命などの歴史的事件が各宗派に与えた影響や各宗派が果たした役割、そして世界各地における伝道活動など、キリスト教の歴史を俯瞰的・総合的に描く、学究者向けの専門書。

【いつ出たの?分量は?読みやすい?】

 元は1979年に日本YMCA同盟出版部から単行本で刊行。講談社学術文庫はこれを改訂し、2017年11月10日に第1刷発行。文庫本で縦一段組み、本文約647頁に加え、佐藤優の解説「藤代先生と私」10頁。8.5ポイント41字×19行×647頁=約504,013字、400字詰め原稿用紙で約1,261枚。上中下の三巻に分けてもいい大容量。

 文章は硬い。いわゆる学者の文章だ。内容もかなり難しく、読みこなすには歴史とキリスト神学の充分な知識が要る。神学者または神学者を目指す学生向けの、専門的な学術書だ。少なくとも「コリント人への第一の手紙」と聞かれて、誰が誰に宛てた手紙でどんな内容なのかスラスラと言えなければ、まず歯が立たない。とか書いている私は、何も答えられません、はい。

【構成は?】

 ほぼ時系列順に進むので、素直に頭から読もう。なお、各章の冒頭の「序」は、その章の内容を巧みにまとめてあるので、素人は「序」だけを拾い読みすれば、美味しい所をつまみ食いできる。

  • 序論
    私の立場/解釈学/課題の設定/類型論/時代区分

第一部 古代

  • 1 古代史の課題
    課題/時代的限定
  • 2 ギリシア・ローマ文化
    序/ギリシア・ローマ文化の世界/哲学思想 (1)プラトン (2)アリストテレス (3)ストア学派/東方宗教/皇帝礼拝/結語
  • 3 ユダヤ教
    序/政治的状況/ユダヤ教/サドカイ人/パリサイ人/アム・ハ・アレツ/エッセネ人/メシア待望/庶民信仰/クムラン教団/知恵/ディアスポラのユダヤ人
  • 4 イエス
    序/バプティマスのヨハネ/イエス (1)預言者 (2)メシア (3)贖い主/神の国/イエスの復活/イエスの神性
  • 5 原始教団
    序/宣教共同体/ペテロ/パウロ/ヨハネ
  • 6 教会の発展
    序/ユダヤ人キリスト教会/異邦人キリスト教会の宣教/使徒教父
  • 7 教会の内的危機
    序/グノーシス主義 (1)バシレイデス (2)ヴァレンティノス (3)総括と批判/マルキオン/モンタニズム/ナグ・ハマディ文書
  • 8 教会の組織的発展
    序/合同教会/監督職 (1)教会法の導入 (2)教会会議/使徒伝承と信仰告白/正典/史的意義
  • 9 礼拝と礼典
    序/聖餐/洗礼/礼拝/礼拝の時/礼拝の場所
  • 10 キリスト教徒の生活と修道院
    序/慣習と教会規則/この世におけるキリスト教徒の倫理/修道院制度の発生と展開
  • 11 神学思想
    序/弁証家/エイレナイオス/単一神論 (1)動態的単一神論 (2)様態的単一神論/アレクサンドリア学派 (1)クレメンス (2)オリゲネス/アンテオケ学派/アレイオス/ニカイア会議とアタナシオス/カパドギア教父/コンスタンティノポリス会議/キリスト論論争/キュリロス/エウティケス/カルケドン会議/クリュソストモス/東方教会と西方教会の神学思想の相違/テルトゥリアヌス/キプリアヌス/アンブロシウス/ヒエロニムス/アウグスティヌス
  • 12 ローマ帝国と教会の闘い
    序/初期の迫害/キリスト教徒迫害の理由/迫害の法的根拠/国家的規模の迫害/コンスタンティヌスの寛容令/コンスタンティヌスの後継者の時代
  • 13 教皇制度の発生
    序/ローマ教会の卓越性/教皇観念の発生
  • 14 イスラム教のもとのキリスト教会
    序/イスラム教による統一国家/イスラム教のもとのキリスト教会
  • 15 社会と文化と教会
    序/禁欲/教会における社会思想発生の原因/教会における社会思想 (1)所有 (2)労働 (3)商業 (4)家族 (5)奴隷 (6)愛の働き (7)教会と国家/教育
  • 16 古代教会発掘の現状
  • 17 回顧

第二部 中世

  • 18 中世キリスト教史の課題
    時代的限定/課題
  • 19 ゲルマン民族への宣教
    序/ゲルマン民族の文化と宗教/ゲルマン民族への宣教 (1)ゲルマン民族宣教の主要課題 (2)東ゲルマン民族への宣教 (3)西ゲルマン民族とローマ・カトリック教会 (4)ボニファティウス (4)ザクセン人と北方人 (6)ゲルマン民族のキリスト教受容の精神的理由 (7)キリスト教のゲルマン化
  • 20 スラヴ民族への宣教
    序/スラヴ民族の宗教/スラヴ民族への宣教開始/東ローマ帝国とローマ・カトリック教会の対立/西スラヴ民族への宣教/バルト海沿岸地方
  • 21 東方正教会と西方教会の分裂
    序/称号問題/教皇首位権問題
  • 22 教皇制度の興隆
    序/教会の主としての教皇/世界の主権者としての教皇
  • 23 帝国と教皇の闘い
    序/カール大帝の死からオットー一世まで/クリュニー修道院の改革運動/叙任権抗争(1056-1122)/シュタウフェエル朝と教皇庁の闘い
  • 24 十字軍
    序/十字軍の原因/経過/敗因/史的意義 (1)政治的影響 (2)文化的影響 (3)経済的影響 (4)教会への影響
  • 25 新しい修道会の創設
    序/カルトゥジオ修道会/シトー修道会/プレモントレ修道会/フランシスコ修道会/ドミニコ修道会/史的意義
  • 26 神学思想
    序/エリウゲナ/アンセルム/アベラール/ロンバルドゥス/アルベントゥス・マグヌス/トマス/スウコトゥス/オッカム
  • 27 神秘主義
    序/観想的神秘主義 (1)フーゴー (2)ベルナール/静寂的神秘主義 (1)エックハルト (2)タウラー (3)ソイゼ (4)リュスブレック/神の友会/「テエオロギア・ゲルマニカ」
  • 28 秘跡と民衆の信心
    序/七つの秘跡/実体変質説/告解と免償証/婚姻/マリア崇敬/成人と遺物/極端な信心/説教/信心書
  • 29 分派運動と異端審問所
    序/カタリ派/ワルドー派/ヨアキム/ロラード派/フス派/異端審問所
  • 30 中世末期の教皇制度
    序/ボニファティウス八世/教皇理念に反対した思想家/教皇庁の財政/教皇庁の分裂/教会会議運動
  • 31 ルネサンスと人文主義
    序/イタリアのルネサンス/美術/古典語の研究/エラスムス/ルネサンスと宗教改革の関連
  • 32 社会と文化と教会
    序/中世の社会生活とキリスト教の理想/領邦教会の発生と財産/カトリック教会と修道院の土地所有/教会法/トマスの教会的統一文化の理念/トマスの家庭観/教育
  • 33 回顧

第三部 近世

  • 34 近世キリスト教史の課題
    課題/時代的限定
  • 35 ルターの宗教改革
    序/修道院における苦闘/「95箇条提題」からヴァルトブルク城まで/ヴィッテンベルクの宗教改革の発展/エラスムスとの論争/農民戦争(1524-1525)/教会の組織化/カトリック側とプロテスタント側の抗争
  • 36 ツヴィリングリの宗教改革
    序/起源と展開/国家と教会/聖餐論論争/神学の特色
  • 37 カルヴァンの宗教改革
    序/カルヴァンの回心/第一回ジュネーヴ時代/ストラスブール滞在/第二回ジュネーヴ時代/神学の特色 (1)神観における神の栄光と尊厳 (2)二重予定論 (3)調停的聖餐論 (4)歴史における神の意志/カルヴィニズムの発展の理由
  • 38 ラディカル宗教改革運動
    序/再洗派/神秘的心霊主義/反三一神論
  • 39 対抗改革
    序/イエズス会/トリエント会議/異端審問所
  • 40 北欧におけるルター主義の発展
    序/デンマーク/ノルウェー/アイスランド/スウェーデン/フィンランド
  • 41 イングランドの宗教改革
    序/ヘンリ八世/エドワード六世/メリー/エリザベス一世
  • 42 フランス、ネーデルランド、スコットランドにおけるカルヴィニズムの発展
    序/フランス/ネーデルランド/スコットランド
  • 43 ギリシアとロシアの正教会
    序/ギリシア正教会/ロシア正教会
  • 44 インド、中国、東南アジアへの宣教
    序/ローマ・カトリック教会
  • 45 日本宣教の開始と展開と鎖国
    序/宣教の開始と発展(1549-1586)/秀吉の迫害(1587-1598)/徳川幕府初期の政策(1599-1613)/迫害と追放(1614-1637)/苦闘と潜伏(1637-1638)/キリシタン文化
  • 46 ピューリタン運動の発生と展開
    序/ピューリタンの主張/長老派/ピューリタン革命/独立派(会衆派)/バプティスト派/レヴェラー派/クエーカー派(友会)/第五王国論者/ランター派/ピューリタン革命後/ピューリタン運動の史的意義
  • 47 社会と文化と教会
    序/倫理原則/結婚/召命(職業)/国家と教会/経済/文学/芸術/教育
  • 48 回顧

第四部 近代

  • 49 近代キリスト教史の課題
    時代的限定/課題
  • 50 啓蒙主義とキリスト教思想
    序/英国 (1)ロック (2)ニュートン (3)広教会主義 (4)理神論 (5)ヒューム/フランス (1)デカルト (2)スピノーザ (3)理性的宗教理解への批判者パスカル (4)サロン (5)ルソー (6)ヴォルテール/ドイツ (1)ライプニッツ (2)ヴォルフ (3)ライマールス (4)歴史的批判的聖書研究/史的意義
  • 51 敬虔主義
    序/先駆者/シュペーナー/フランケ/ベンゲル/ツィンツェンドルフ/ドイツ敬虔主義の史的意義/メソヂスト運動/ヤンセニズム/静観主義
  • 52 北米における教会の移植と発展
    序/教会の移植/第一次大覚醒運動(第一次信仰復興運動)/独立戦争と教会/信教の自由の確立/欧州の教会や教派からの独立
  • 53 啓蒙的絶対主義王政と教会
    序/教皇領/プロイセン/ドイツ/オーストリア
  • 54 フランス革命とローマ・カトリック教会
    序/宗教的状況/革命の第一段階(1789-1792)/第二段階/ナポレオンの教会政策 (1)「教政条約」 (2)「基本事項」
  • 55 啓蒙主義克服の試み
    序/カント/シュライエルマッハー/ヘーゲル
  • 56 フランスの自由主義カトリック運動
    序/ラムネの自由主義カトリック運動
  • 57 ピウス九世の信仰箇条宣言
    序/「マリアの無原罪の解体」/「謬説表」の発布/「教皇不可謬性」の教義/文化闘争/教皇領の喪失
  • 58 英国の教会とオックスフォード運動
    序/アングリカン教会/諸分離派/メソヂスト派/ローマ・カトリック教会/北アイルランドの宗教事情/オックスフォード運動/スコットランドの教会
  • 59 教会への新しい思想的挑戦
    序/フォイエルバッハ/シュトラウス/ルナン
  • 60 キリスト教社会運動
    序/オーエン/チャーチスト運動/キリスト教社会主義運動
  • 61 米国の教会の西部への発展から南北戦争まで
    序/西部への宣教/第二次大覚醒運動(第二次信仰復興運動)/内国伝道と外国伝道/神学校と大学/新しい教派 (1)モルモン教会 (2)アドベンチスト教会 (3)心霊主義者 (4)科学者キリスト教会/共産主義的共同体の実験/奴隷解放問題
  • 62 東方とロシアの正教会
    序/バルカン半島の正教会の解放/18世紀末までのロシア正教会/オールドビリーヴァー派(古儀式派)その他/19世紀のロシア正教会
  • 63 中国、東南アジア、アフリカ、シベリア、および北極圏宣教
    序/ローマ・カトリック教会 (1)インド (2)中国 (3)東南アジア (4)アフリカ/正教会 (1)西シベリア (2)中国 (3)カルムック人 (4)ヴォルガ川中部 (5)東部シベリア (6)カムチャツカ (7)アリューシャン列島/プロテスタント教会 (1)東南アジア (2)グリーンランド
  • 64 日本カトリック教会の復興
    序/明治初年のキリシタン迫害の発端/外交問題へと発展/迫害/追放移民/切支丹禁制の高札の撤去/赦免帰村/教勢
  • 65 日本プロテスタント教会の創立と発展
    序/プロテスタント教会の宣教開始/諸教会の創立と発展 (1)日本基督一致教会 (2)組合基督教会 (3)聖公会 (4)メソヂスト教会 (5)バプティスト教会 (6)福音協会 (7)美普教会 (8)基督教会 (9)基督友会 (10)基督同信会 (11)スカンジナビアン・アライアンス (12)日本福音ルーテル教会 (13)アライアンス教会 (14)同胞教会 (15)セブンスデー・アドベンチスト教会 (16)フィンランド福音ルーテル教会 (17)自由メソヂスト教会 (18)神の教会 (19)ナザレン教会 (20)ペンテコステ教会 (21)世界宣教団 (22)日本伝道隊 (23)スコットランド一致長老教会 (24)改革派教会 (25)カンバランド長老教会 (26)スコットランド・エジンバラ医師宣教会 (27)ホーリネス教会 (28)救世軍 (29)無教会主義集会 (30)普及福音教会 (31)ユニテリアン協会 (32)同仁教会 (33)近江ミッション(近江兄弟社) (34)その他の教会/一致教会と組合教会の合同の挫折/いわゆる教育と宗教の衝突/神学上の苦闘/教育 (1)東奥義塾 (2)札幌農学校 (3)同志社 (4)立教学院 (5)明治学院 (6)青山学院 (7)東北学院 (8)関西学院 (9)松山学院 (10)名古屋学院 (11)その他の男子校(共学を含む) (12)聖フェリス女学院 (13)横浜共立学院 (14)女子学院 (15)青山女学院 (16)神戸女学院 (17)同志社女学院 (18)梅花学院 (19)平安女学院 (20)立教女学院 (21)その他の女学院/聖書邦訳/賛美歌編集/社会福祉事業/出版事業/YMCAとYWCA/日清、日露戦争と教会/教勢
  • 66 日本正教会の創立と発展
    序/ニコライの来日/ニコライの東京移住/迫害/教会の発展/教勢
  • 67 19世紀後半のプロテスタント神学思想
    序/バウル/リッチュル学派/キェルケゴール
  • 68 カトリック・モダニズム
    序/経過
  • 69 回顧

第五部 現代

  • 70 現代史の課題
    時代的限定/課題
  • 71 神学思想
    序/バルト/ブルンナー/ネオ・オーソドクシイ(新正統主義)/ティーリッヒ/ブルトマン/その他の神学
  • 72 エキュメニカル運動
    序/起源/展開/ローマ・カトリック教会の態度/今後の問題
  • 73 ボリシェヴィキとロシア正教会
    序/ボリシェヴィキの宗教政策/第五回ソヴィエト大会/「活ける教会」の分離/第一次五カ年計画と再迫害/圧迫の緩和/1937年から翌年にかけての粛清/宗教復興
  • 74 全体主義国家とローマ・カトリック教会
    序/教皇庁の政策/イタリア/オーストリア/ポルトガル/スペイン/フランス
  • 75 ナチスとプロテスタント教会
    序/ドイツの教会の状況/教会からの離脱/ドイツ・キリスト者/教会闘争
  • 76 英国と英連邦との教会
    序/教職者数の減少/自由教会の衰退/社会と教会/教会合同/カナダの合同教会/アングリカン教会と教会合同/南インド教会/ローマ・カトリック教会
  • 77 米国の教会
    序/教会の合併と訓練を受けていない教職者/ファンダメンタリスト論争/禁酒運動/国際問題への関心/社会・経済倫理/近代主義宗教教育と礼拝と教会の制度化/教会合同と教会連合/国家とプロテスタント教会/ローマ・カトリック教会/北米日本人キリスト教会
  • 78 東方とチェコスロバキアとの教会
    序/ギリシア/トルコ/チェコスロバキア
  • 79 アフリカと東南アジアと東アジアとオセアニアとの教会
    序/アフリカ/東南アジア (1)インドネシア共和国 (2)ビルマ連邦社会主義共和国 (3)スリランカ共和国(セイロン) (4)インド (5)パキスタン (6)アフガニスタン (7)ネパール (8)フィリピン共和国/東アジア (1)中国 (2)台湾 (3)韓国/オセアニア
  • 80 ラテン・アメリカ諸国の教会
    序/ローマ・カトリック教会/メソヂスト福音主義教会
  • 81 第二ヴァチカン会議
    序/教会一致/典礼/教会論/神の民としての信徒/現代世界に対する教会の役割/ユダヤ教や他の宗教/パウロ六世の聖地巡礼
  • 82 日本ローマ・カトリック教会
    序/発展/教勢/教育/社会福祉事業
  • 83 日本のプロテスタント教会
    序/開教50年記念会/日本基督教会同盟/三教(キリスト教、教派神道、仏教)会同/全国協同伝道/第八回世界日曜学校大会/日本基督教連盟/神の国運動/社会的キリスト教/宗教団体法の成立/二つの信徒大会/日本基督教団の成立/戦時下の教会/天皇の人間宣言/日本基督教団の再編/新設教会 (1)リーベンゼラ日本伝道会 (2)日本アッセンブリー教団 (3)基督兄弟団 (4)基督聖協団 (5)イムマヌエル綜合伝道団 (6)日本福音教団 (7)聖イエス会 (8)イエス之御霊教会教団 (9)日本ユナイト・ペンテコステ教団 (10)極東福音十字軍 (11)クリスチャン文書伝道団 (12)日本聖契キリスト教団 (13)メノナイト派 (14)在日大韓基督教会 (15)東洋ローア・キリスト伝道教会 (16)原始福音 (17)ものみの塔聖書冊子教会(エホバの証人) (18)末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教会) (19)その他の教会/聖書改訳/賛美歌改訂/教会の戦争責任問題/沖縄キリスト教団と日本基督教団の合同/「靖国神社法案」/万国博覧会問題/種谷裁判/津地鎮祭判決/教勢/教育/社会福祉
  • 84 日本正教会
    序/分離の経緯/教勢
  • 結び 展望
    信仰と理性/信仰と社会的実践/社会福祉と教会/政治と経済と信仰生活/諸宗教と福音/文化と福音/教育と福音/平和問題/教会協力と一致/歴史と信仰/旅人
  • 地図 五世紀半までの五総大司教区(総主教区) 16世紀末の宗教分布
  • 図表 教会系譜/文献/解説 藤代先生と私 佐藤優/索引

【感想は?】

 まさしくライフワークだ。良くも悪くも。

 「良くも」は、少なくとも三つ。まず、素人でも一目でわかる巨大ボリューム。次に、時代的にも組織的にも全体を見渡す俯瞰的な視点。そして、神学にに限らず広く深い歴史の知識が、学術的な基礎をシッカリと支えていること。

 なんたって、それぞれの事柄について、その背景にある歴史・社会・経済的な事情から語ってくれるのが嬉しい。例えば、キリスト教の発生についても、それ以前のギリシア文化や、当時のユダヤ教の状況から説き起こしている。

 ただし、あくまでも研究者向けの本であり、キリスト教徒ではない素人向けじゃない。だから、常識的な事は省いてある。例えばイースターやペンテコステについて、「それは何か」は書いていない。お陰で私は散々 Google と WIkipedia のお世話になった。

 「悪しくも」は、著者の研究の方向性が色濃く出ている点だ。これは目次を見ればすぐ分かる。日本の記述が異様に多い反面、正教や中南米の頁は少ない。別に贔屓したわけではなく、単に自らの研究の集大成として書いた結果、そうなったんだろう。

 そんなわけで、ド素人向けの入門書ではない。研究者または研究者を目指す人向けの専門書である。そういう本を、キリスト教徒ですらないド素人の私がどう読んだか、これはそういう記事だ。

 本書は、それぞれの時代の高名な思想家や神学者の考えた事も書いてある。一人につき10行~2頁ぐらいに要点をまとめてあって、興味のある人には便利だろう。が、私は大半を読み飛ばした。何せド素人だから、三一とかの基本的な用語すら何の事だか見当もつかない。

 そんなわけで、思想的な部分には触れない記事になる。詳しくは次の記事で。

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2018年10月10日 (水)

脅迫スパムが来た:1F5csJmyf3yJs5s25tZmYKoFXznR452er9

脅迫スパムが来た。不愉快なので晒す。
ちなみにメールアドレスとパスワードは出鱈目なものに変えてある。

件名:Delete Message After Reading

Hello!
I'm a member of an international hacker group.

As you could probably have guessed,
your account mymail@address.com was hacked,
because I sent message you from your account. Now I have access to all your accounts! For example, your password for mymail@address.com: password Within a period from July 31, 2018 to October 3, 2018,
you were infected by the virus we've created,
through an adult website you've visited. So far, we have access to your messages, social media accounts,
and messengers. Moreover, we've gotten full damps of these data. We are aware of your little and big secrets...yeah,you do have them.
We saw and recorded your doings on porn websites.
Your tastes are so weird, you know.. But the key thing is that sometimes we recorded you with your webcam,
syncing the recordings with what you watched! I think you are not interested show this video to your friends,
relatives, and your intimate one... Transfer $800 to our Bitcoin wallet: 1F5csJmyf3yJs5s25tZmYKoFXznR452er9 If you don't know about Bitcoin please input in Google "buy BTC".
It's really easy. I guarantee that after that, we'll erase all your "data" A timer will start once you read this message.
You have 48 hours to pay the above-mentioned amount. Your data will be erased once the money are transferred. If they are not, all your messages and videos recorded
will be automatically sent to all your contacts found
on your devices at the moment of infection. You should always think about your security. We hope this case will teach you to keep secrets. Take care of yourself.

英語は苦手なので意味はよく分からない。たぶん、こんな事を言いたいんだろう。

件名:読んだら消してね

俺は世界的なハッカー集団の一員だ。
君のアカウント mymail@address.com を乗っ取った。
その証拠に君のアカウントからこのメール送ってる。
パスワードは password だろ。

2018年7月31日~2018年10月3日の間にエロサイト経由で俺らの作ったウイルスに感染した。
俺らは君のメールやSNSやメッセを使えるし、そのデータ全部を抑えてる。

おまけにWebcamから君のアレなナニも撮ってある。
こういうの、あまし友だちに見られたくないよね。

ビットコインの 1F5csJmyf3yJs5s25tZmYKoFXznR452er9 に800ドル送れば、
君のデータは消すよ。
ただし48時間以内にね。
それ過ぎたら、みんなにに録画を送るよ。
送り先は君のマシンから吸い取った。

もちっとセキュリティに気を付けた方がいいぜ。
いい教訓になっただろ?

普通の人は、自分のメール・アドレスからメールが来ると、ギョッとする。
でも、実は差出人のメール・アドレスは、いくらでも偽造できるのだ。
電子メールのプロトコルの不備と言えば言えない事もない。

スパム屋の間では、メール・アドレスの一覧が出回っている。
または、スクリプトで自動に沢山のメール・アドレスを作り出し、片っ端から送りつける手もある。

この商売、10万個を送って1匹カモが釣れれば、モトは取れるとか。
ソースは岡嶋裕史「迷惑メールは誰が出す?」新潮新書

つまり、あなたの所に似たようなメールが来たとしても、それはマグレ当たりだ。

とりあえず、スパム中の一部の文章をコピペして Google で検索してみよう。
この記事と同じ趣旨の頁が幾つか見つかるだろう。

なお、同じ文面を使いまわしてる模倣犯も複数いるようだ。
中には日本語に訳した文章を使ってる奴もいるとか。
ただし自動翻訳らしく、かなり不自然な文章になってる。

…とか書いてて思ったんだが、私が訳した文章を模倣犯に使われたら困るなあ。

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